私の兄は捻くれている。でも、決してただ捻くれているだけじゃない。そこにはちゃんとした優しさが存在するのです。何かと理由をつけながらも、兄は色んなことをしてくれる。小町が家出した時だって、探して見つけてくれたのはお兄ちゃんだった。小町が寂しくないように、小町より先に帰ってきて『おかえり』って迎えてくれるようになった。それでも兄は『学校にいるより家に早く帰りたかったから、たまたまだ』なんて言ってのけてしまうだろう。お兄ちゃんってば本当優しい。小町的にポイント高いよ。
そんな兄ですが、最近少しだけ変化があったみたいです。
入院していた時は、『これで高校生活ぼっちスタート確定だな。ぼっち最高』とか言っていた筈のお兄ちゃんが、クラスメイトと連絡を取り合うようになっていました。というかもう少し詳しく話を聞いてみたら、なんと部活に入っていました。え、いきなりどうしちゃったの? どういう風の吹き回し? それでもお兄ちゃんは基本的に小町よりも先に帰ってくるようにしてくれる。捻くれているけど優しい所は何にも変わっていないみたい。一番驚いたのは、あのお兄ちゃんに連休中の予定が出来ていた事です。友達の家でゲームをしに行くというものでしたが、まさか高校入学してすぐに友達の家に行く用事が出来るなんて思ってもみませんでした。小町も友達と一緒にお出かけしたりすることはありましたが、こういう長い休みの日は、兄妹揃って家に居ることも珍しくありません。そんなお兄ちゃんが、家に居ない日が出来たのです。
お兄ちゃん史上、最も多くの友達がいるんじゃないかって思いました。更に驚くべきことに、何とGW中にお泊り行事に参加するということです。お兄ちゃんの学校の先生の計らいで小町も参加することとなりましたが、かなり驚くべきことでした。いつものお兄ちゃんならば、何かと理由をつけてこういったことはサボろうとするのに、今回に関してはそれを受け入れているのです。一瞬、私は本当に自分の兄なのかどうかを疑いかけました。お兄ちゃんが、ごみいちゃんじゃなくなっている……!? 結局、行事中のお兄ちゃんの行動を見ていつものごみいちゃんであることを悟ったのですが……。
そして極め付けは、あのお兄ちゃんに……女の子のお友達がたくさん出来ていた事です!!
お兄ちゃんが入院していた時にお菓子を持ってきてくれたお菓子の人――結衣さんをはじめとして、凄く美人な雪乃さんに、スレンダー美人さんな美波さん。そしてちっちゃくて可愛い葉月ちゃん。本当にいつの間にお兄ちゃんはこんなに義姉ちゃん候補を見つけてきていたのでしょう!? しかも妹キャラまで!? 小町の妹としての立場が危うくなりそうです! というか私も葉月ちゃんのお姉ちゃんになりたいです!! 美波さんにお願いしちゃおうかなぁ……。
前に聞いた時には『そんな人いるわけない』って言ってたのに、裏を返せば三人も義姉ちゃん候補がいるなんて思ってもみませんでした。まったくごみいちゃんってば……。
でも、お兄ちゃんが対人関係に関してここまで動いているのは、きっと周りの人のおかげなんだろうって思います。特に、よくお兄ちゃんと連絡を取り合っていたり、一緒に行動している所を見かける、吉井明久さん。多分この人に会ったからこそ、今のお兄ちゃんが居るんじゃないかなって思います。
根本は変わっていなくても、少しずつ良くなっているんじゃないかなって。
もし、お兄ちゃんが明久さんと会っていなかったらどうなっていたんだろう?
もし、お兄ちゃんがぼっちのままで高校一年生を過ごしていたらどうなっていたんだろう?
あまり、そういったことは考えたくありません。
兄が幸せになってくれることこそ、妹の幸せという物です。
中学時代に色々あったお兄ちゃんには、高校生になって幸せになって欲しいんです。だって、あれだけ辛い想いをしてきたお兄ちゃんなのに、報われないなんてあんまりじゃないですか。何があったのかを細かく聞いたわけじゃありませんが、おおよそのことは小町だって知っています。それが原因でさらに人に対して疑り深くなってしまったこともそれとなく感じています。
そして何より、自分自身が大好きだと言っているのに、自分を犠牲にしようとするお兄ちゃん。
いつか必ず、そんなお兄ちゃんを幸せにしてくれる人が居てくれることを――理解してくれる人が現れてくれることを祈っています。
それが、雪乃さんだったとしても、結衣さんだったとしても、美波さんだったとしても、他の誰かだったとしても構いません。
小町は、お兄ちゃんを幸せにしてくれる人が居てくれればそれでいいのです。
小町はもう何年も捻くれたお兄ちゃんの妹をしています。なのでお兄ちゃんがどんな思いで行動して、そしてどんな風に動くのかをなんとなく察することが出来ます。
だけど、そう言った人が現れてくれるまでは、小町がお兄ちゃんの面倒を見てあげるからね?
これ、小町的にポイント高い♪
……兄の妹離れもなかなかに出来ていないと思うけど、小町も小町で、兄離れが出来ていない。ブラコンというわけではないけど、兄が好きなのには変わりない。何より、この気持ちに嘘はつきたくないし、お兄ちゃんのことは本当に好きなのだ。
「……お兄ちゃん、今度こそちゃんと、幸せになってね」
たくさんの人に囲まれているお兄ちゃんを見て、小さく呟きました。
――どうか、お兄ちゃんが幸せになりますように。
悩みに悩んだ末に、随分と難産となりましたが――今回は小町の話を書きました。会話文がほとんどなく、独白のみの短編です。
この小説での小町はまだ受験生ではありません。中学二年生です。きっと兄に甘えたいお年頃でもある筈です。なのに、兄の幸せを誰よりも願っているんじゃないかなって思って今回の形となりました。家族として大好きだからこそ、きっとお節介をするんじゃないかなって。ですが基本的に妹であることに変わりはないので、兄の前では無防備で、かつ、甘えてくる。そんな妹が比企谷小町なんじゃないかと思います。
きっとこの二人に恋愛的な何かはなく、互いに互いを家族として好きあっているからこその関係性なのかなぁ……って。
まだまだ書きたい番外編はありますが、話が進んでいったらちょくちょく挟んでいく形を取っていきたいと思います。
また、それとは別に少しお知らせみたいな形です。
バカガイルの番外編にこんな話を書いて欲しいというリクエストのようなものがありましたら、以下のURLにありますリクエスト箱までコメントお願いします。
なるべく形にしたいと思っております。
それでは、これからも本編も番外編も応援よろしくお願いします!!
番外編リクエスト箱URLはこちらより。
↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=219081&uid=11412