以下の問いに答えなさい。
「『太陽王』とも呼ばれる、フロンドの乱にてフランス最後の貴族の反乱を抑えたフランス絶対主義を象徴する皇帝は誰か答えなさい」
姫路瑞希の答え
「ルイ14世」
教師のコメント
正解です。ルイ14世の元にいた宰相をマゼランと言い、ルイ14世自身は『朕は国家なり』などの言葉を残したとも言われています。また、ヴェルサイユ宮殿に住んでいたことも有名ですね。
土屋康太の答え
「山田ルイ53世」
教師のコメント
決してひげ男爵ではありません。
戸部翔の答え
「国王」
教師のコメント
斬新でいいアイデアです。先生はこういう答えは嫌いではありませんよ?
世間をほんの少しだけ賑やかにさせた大型連休も幕を閉じ、とうとう学校が再開する日が訪れてしまった。この際だから言わせてもらいたいのだが、正直あと一か月足りない。というか休日は休む為にあるものなのに、およそ半分は仕事の為に外へ出たような物だ。代休があっても文句は言われない筈だ。そんなわけでバイトやボランティアの代休として後五日間は休もうと思ったのだが、案の定そんな俺の考えを先読みしていた小町に叩き起こされて、現在学校までの道のりを自転車で走っている所である。五月も少し進んだこともあり、自転車を走らせている時に感じる風が妙に温かく感じる。それがまた俺の精神をがりがりと削っていくような気さえしている。
正直、もう帰りたい。帰って布団に飛び込みたい。あ、でも被ると汗かきそうだからそれは勘弁。
いい感じに俺の思考が負の方向へとシフトしつつあるのを自覚しながら、学校に辿り着いた。
駐輪場に自転車を置き、そのまま下駄箱へ向かおうとしたところで、
「……君が、比企谷八幡君、だよね?」
誰かが呼ばれている気がした。
呼ばれていますよ、そこのヒキガヤハチマンさん……って、八幡なんて名前この学校には他にもいたんだな。それにヒキガヤって苗字まで同じとは、ソイツ絶対友達いねぇよ。
……現実逃避するのは止めよう。間違いなく俺が呼び止められている。流石にフルネームで言われてしまっては逃げようがない。第一、俺は誰かに呼び止められるような真似はした覚えはないんだが……百歩譲って平塚先生や西村先生に捕まるならばともかく。
一応呼び止められたからには振り向かなくてはならないので、俺は声のした方を見た。
そこに居たのは、眼鏡をかけた『いかにも優等生です』と主張しているような男子生徒だった。クラスメイト……ではない筈だ。そもそもクラスで顔を覚えている奴なんてあんまりいないから自信ないけど。少なくとも知り合いのカテゴリーには存在しない人物であることは確かだ。いよいよ以て、呼び止められた理由が分からない。
わざわざ名前を呼んできたということは、少なくとも相手は自分のことを理解している。それはつまり、相手には明確な目的があるということだ。ここで逃げた所で、何度も話しかけに来られても面倒だ。
そもそも、コイツは一体誰なんだ。
とりあえず、油断していないぞという所を見せつけなければと威勢を込めて――。
「ひゃ、ひゃい。なんでしょうか?」
どもった上に盛大に噛んだ。
もういっそ泣きたい……。
「僕は久保利光。よろしくね」
「え、あ、お、おう」
いきなり自己紹介された。
いや、まぁ確かに相手がどんな奴なのかを知ることが出来たのはいいんだけどさ……多分もう二度と話しかけないだろうけど。というか俺から話しかけたわけではないのだが。
とにかく、俺は久保という人に話しかけられる理由が思いつかないので、ただ茫然と突っ立っているだけだった。別に相手についても特にこちらに対してそこまで敵意を見せているわけでもない。
だからこそ、何故俺に話しかけてきたのかが分からない。
目的があるのは見えているのに、それに辿り着くまでの情報量が圧倒的に少ないせいで予想が全然立たない。特に、コイツは優等生っぽいことは見た目で判断できる。見た目だけで判断してはいけないとは思いつつ、出している雰囲気が如何にも優等生ですと言いたげだ。物語っていると言ってもいい。それだけの人物が、教室でも目立たない存在、まして学年では名前すら知れ渡っていないのではないかと思われる俺に話しかける程の理由がないまである。
だからこそ、俺は疑問に思わざるを得なかった。
その疑問に対して、久保と名乗った男は答えるように次の言葉を告げた。
「比企谷君は、その……最近吉井君と仲がいいという噂を聞いているんだが……」
何故、コイツは吉井の名前を告げる時、頬を赤く染めたのだろうか。
「……いや、俺は別に」
「なんてうらやm……なんて破廉恥な!」
いやお前今明らかに羨ましいって言おうとしたよね?
それになんで吉井と仲良くすることが破廉恥なの? 俺そもそも仲良くしている気はないんだけれども。何なの? 吉井って実は一緒に居るだけで変態されるような奴だったのん?
「ごほん! 失敬、完全に取り乱していたみたいだ」
まったくだよ。
「その、吉井君はどんな人がタイプなのだろうかと思ってね……」
「は?」
思わず口をあんぐりと開けてしまった。
ひょっとしたら三度見位してしまったかもしれない。
なんで男である久保が、吉井の好きなタイプを気にしているのだろうか。
……最近、女同士の人間関係について目の当たりにしたばかりなので、男同士でそういったこともあるのかもしれない。それにしても、だ。
それに俺を巻き込まないで頂きたい。
「……本人に聞けばいいんじゃないか?」
「それが出来たら苦労しない……っ!」
なんでだよ。男同士だろ。
つか、この状況……林間学校の時に居た海老名さん辺りが見てたら思わず噴水の如く鼻血を噴き出しそうな展開だな。『くぼ×あきktkr!』とかいい出すのかな。ちょっとあれだな……俺には分からない世界だ。そういった世界があっていいと思うし、何よりそうやって一つを追い求めることが出来るのは『本物』だとも思う。清水を見ている時と同じ感情を抱きかけていたが――しかし相手は知り合いだ。どうにも複雑な気持ちになってしまうのは仕方のないことなのではないだろうかとさえ思ってしまう。
というか、なんでコイツは肝心なところで初心なんだよ。よっぽど男が男に対して気になる目線を送る方が世間一般的には勇気いることだと思うのだが……。
「まぁ、その……少なくとも俺は分からない。坂本辺りに聞いてみたらどうだ?」
「確かに……霧島さんの幼馴染なら分かるかもしれない」
霧島さんのことはよく知っているっぽいから、もしかしたらJ組なのかもしれない。
「君のことは雪ノ下さんから紹介されたものだから、もしかしたらと思ったけれど……それなら坂本君に聞いてみることにするよ。ありがとう、比企谷君」
「お、おう……」
J組であるということは、当然雪ノ下とも面識があるわけで。
そして今の会話の流れから察するに、雪ノ下は全面的に俺に押し付けたということになる……こめかみを抑えながら俺のことを話した図が安易に想像出来る。こういうことについては疎そうだからな……。
そのまま先に下駄箱へ向かおうとした久保は、一旦その場で立ち止まり、その後で俺の方を振り向いて、
「吉井君ともし仲良くしているのだとしたら……羨ましいんだからなっ!」
と、謎の宣戦布告をして立ち去っていった。
……え、なにこれ。何この三角関係。
「まさしく、ヒキタニ君と久保君の、吉井君を巡る三角関係……だけど、そんなヒキタニ君には葉山君という愛する人が……っ!」
「……ねぇから」
何処から話を聞いていたのか分からないが、突然海老名さんが俺に話しかけてくる。内容が内容なだけにそれとなく返答することが出来たが、内心バクバクである。黙っていれば美少女であることには代わりないのだから、そんな彼女に話しかけられているという事実だけで思わず勘違いしてしまいそうになる。
何回勘違いしたらいいんだ俺は。
「もー、つれないなー。この前の喫茶店ではさり気なく中学生の女の子と連絡先交換してたりするしさー。少しは葉山君のこと気にしている自覚を持った方がいいんじゃないかなー?」
「……いや、そういう感じで見てねぇから」
さり気なく、喫茶店で行われていたことを確認されていた。
とりあえずスルーする為にもその話題には触れない。
そんな俺の対応を察したのか、海老名さんは下駄箱へ向かおうとした際に、
「……まぁ、結衣や島田さんには黙っておいてあげるからさ、泣かせるようなことしちゃ駄目だぞ?」
と、何とも意味ありげな笑顔を浮かべながら立ち去っていった。
……まったく、休み明けは色んな意味で油断出来ない。
というわけで、今回は八幡目線での話となります!
久保君の登場シーンと、海老名さんによるちょっとした意味深な言葉のシーンです。
恐らくだいぶ先のことになりそうですが、彼と彼女についても番外編を書くつもりですので、それまでお楽しみに……原作でもなかなか明かされない、『そもそも何故久保君は明久のことが気になっていたのか』という部分を、バカガイルなりに解釈したものを書きたいなと思っています。
さて、今回の章はあくまで短編集的な話が続くような形を取りたいと思っています。
この話の次に勉強合宿編を書きたいなぁ、って思っております故……それまでに各キャラをある程度登場させてあげたいなぁって思っておりまして……。
ちなみに、前回の話で登場した一色さんや、鶴見さんに関しても今後割とすぐに出番がある予定です。そもそも番外編も作ろうと思ってます。
ここからはご報告です。
ついにお気に入り登録数が990を突破しておりました……すごい……この一週間で何があったのかと言う程の伸びです……本当に応援ありがとうございます!
しばらくは、日常というか、ギャグというか、そこそこ明るい話が続きそうな予感です。ただ、俺ガイル原作エピソードになるとシリアス部分が増えたり、バカテスの原作エピソードでもそういった部分をアレンジして出してみたり、さらにオリジナルエピソードにてシリアスをやったりと、割と今後忙しくなりそうです。
頑張ります!!