以下の問いに答えなさい。
「体の構造等の情報が記録されているDNAと呼ばれる物質は、細胞のどの器官に含まれているかを答えなさい。
また、DNAはどのような構造をしているのかも答えなさい」
姫路瑞希の答え
「含まれている器官……核
構造……二重らせん構造」
教師のコメント
正解です。簡単な問題ながら、意外にもDNA自身がどのような構造をしているのかを間違えてしまうことも少なくはないので、
今後とも気をつけてください。
吉井明久の答え
「含まれている器官……トーマス」
教師のコメント
『機関』ではありません。『器官』です。
比企谷八幡の答え
「構造……ねじれ国会のようにねじれている構造」
教師のコメント
言葉で誤魔化した所で、間違いは間違いです。
六月頭。今日から何日間か、学力強化合宿が始まる。勉強漬けの一日を過ごさなければいけないのは少し嫌だけど、それでも夜は秀吉と共に過ごせるのかと考えると心がうきうきするよね! ちなみに部屋は六人部屋とのことだったから、既に雄二やムッツリーニ、彩加に八幡――そして、秀吉を呼んでいる。賑やかで楽しい部屋になりそうだ。
現在時刻は午前八時。鉄人に目を付けられていた僕や八幡はもちろんのこと、他の人達も遅刻や欠席者が出ることなく、無事出発することが出来た。ここからバスで移動すること結構な時間がかかるらしいので、その間基本的に周りの人達と話してもいいということになっている。僕の隣には雄二が座っていて、その後ろに八幡と彩加、前には秀吉とムッツリーニという席順だ。おのれムッツリーニ……秀吉の隣を確保しやがって……っ!
ちなみに、通路を挟んで反対側の席には、美波と由比ヶ浜さんが座っている。最近クラスの中でもよく話すようになったなぁって思う。
「ミナミナー、それ何読んでるのー?」
相変わらずニックネームをつけるのが流行っているみたいで、由比ヶ浜さんは美波のことをそう呼んでいた。
「……由比ヶ浜。それ、誰のことだ?」
「え? ミナミナはミナミナだよ?」
「……まさか、島田のことか?」
八幡は、『なんだこいつバカか』と言いたげな表情で由比ヶ浜さんを見つめていた。隣に座っている雄二も、笑いを堪えきれてないみたいだ。確かに、個性的だよね……なかなかそんな風に呼ぶ人はいないと思うから。美波も少し苦笑いを浮かべているっぽい。
「えっとね、心理テストよ。本屋で見つけたんだけど、これがなかなか面白くて」
「へぇ~! ねぇねぇ、みんなでやってみようよ!」
「いいねぇ! 美波、僕達にもいくつか問題出してみてよ! 八幡達もやろうよ?」
「え、俺もやんの……?」
「面白そうだね! 島田さん、僕達もやってみるよ」
「そうだよなぁ戸塚ぁ! 面白そうだよなぁ!」
彩加がやると言い出した途端に、八幡のテンションは上がったし、しかも発言が真反対になっていた。どうやら八幡は彩加のことが好きみたいだね……よかった、秀吉を取り合う修羅場に発展しなくて。
「何故ワシを熱い眼差しで見ておるのじゃ……?」
そりゃもちろん、僕が秀吉のことを愛しているからだよ!
「とりあえず、最初の質問ね……『次の色でイメージする異性を挙げて下さい。緑 オレンジ 青』それぞれ似合うと思う人の名前を言ってくれる?」
「緑、オレンジ、青かぁ……」
最初の質問に答えるのは、どうやら由比ヶ浜さん、僕、そして八幡の三人らしい。八幡は、彩加が『八幡まずやってみてよ』って笑顔で言ったらすぐに答えてくれた。それにしても異性かぁ……えーと、そうなると……。
僕達の考えはまとまって、次の通りになった。
由比ヶ浜さん → 葉山君、僕、八幡
僕 → 美波、秀吉、姫路さん
八幡 → 由比ヶ浜、彩加、美波
「……っ!?!?」
瞬間、美波の顔が凄く赤くなった。
え、え? どうしたの美波? 一体何が起こったの!?
「ど、どうしたのミナミナ!? 顔真っ赤だよ!?」
当然、隣の席に座っている由比ヶ浜も美波に尋ねる。
美波は口をパクパクとさせながら、ページを凄い勢いでペラペラとめくってしまった。
「こ、これはおしまいっ! つ、次行くわよっ!」
「え、これが何を意味するのかって教えてくれないのか……?」
八幡が美波にそう尋ねると、より一層顔を赤くしてしまう。そして、そのまま思いっきり美波は八幡から目を逸らして、心理テストの本をじーっと見つめ始めた。これ以上追及するわけにはいかないのかなぁ。
雄二は何かを察したかのようにニヤニヤとしている。一体何なのだろうか。
「……っ!!!!」
そしてムッツリーニは、囚われたかのように美波のことを写真に収め始めた。顔を赤くして全力で八幡を避けている様子を撮って、一体どうしようと言うのだろうか。ムッツリ商会にはいつもお世話になっているけれど、出来上がった写真を見なければどうするべきか分からないなぁ……。
「『一から九の数字で、今あなたが思い浮かべた数字を順番に二つ挙げて下さい』」
構わず、美波は次の問題を言ってきた。今度は他の人達も何人か答えるみたい。
えーと、それぞれの数字は……。
雄二→5・6
僕 →1・4
秀吉→2・7
八幡→5・8
由比ヶ浜さん→1・7
彩加→8・1
「それぞれ数字毎に何を現すか言っていくわね……」
美波が言うには、最初の数字がいつも見せている顔で、次の数字が普段は見せない顔とのこと。
それぞれ合わせると……。
雄二→クールでシニカル・公平で優しい
僕 →好奇心旺盛・我慢強い
秀吉→落ち着いた常識人・色気の強い人
八幡→クールでシニカル・努力家
由比ヶ浜さん→好奇心旺盛・色気の強い人
彩加→努力家・好奇心旺盛
という結果だった。
「ちょ、ひ、ヒッキーっ! なんか目つきいやらしいしっ!」
「ばっ、そ、そんなことねぇよ」
「……うぅ」
八幡の視線が由比ヶ浜さんの、大きな二つのメロンに行っているのが良くわかる。分かるよ八幡……由比ヶ浜さんの胸は最早凶器だよ。狂気に囚われてしまうよね。願わくばずーっと見ていたい。
ちなみに、美波が自分の胸を両手でぺたぺたと触りながら、悲しそうな目をしていた。
駄目だ八幡……それ以上由比ヶ浜さんの胸ばかり見ていると、特定の誰かが傷ついてしまう!!
「ワシの何処に色気があると言うのじゃ!?」
「好奇心旺盛って、照れちゃうなぁ……」
「俺は努力家なのか……?」
秀吉は驚いていて、彩加は可愛らしく照れていて、八幡は疑問を抱いているみたいだった。結構これ当たっているような気がするんだけどなぁ……八幡って、頼まれたことは基本的にしっかりやってくれるし。シニカルかどうかはあまりよく分からないけど。
「ま、まぁあくまで心理テストだから……必ず当たっているとも言いきれないし……」
由比ヶ浜さんが照れながら言っている。
一方で美波はそんな彼女のことを見ながら少し唸っている。由比ヶ浜さんの場合、嫌味として言っているわけではなくて本心から言っているから怒れないのかもしれない。
「他にも色々あるけど……これでもうおしまいっ!」
「……なんで俺の顔見ながら言うんだよ」
美波は心理テストの本を閉じる時、何故か八幡の顔を見ながら閉じていた。
うーん、一体どんな意味があるんだろうか?
「……ご馳走さまでした」
ムッツリーニ、君は一体ここまでの流れで一体何を見てきたというんだい?
「そろそろ到着する頃だな」
雄二がニヤニヤした顔を崩すことなく、外を見ながらそんなことを言っていた。僕達は雄二につられて窓の外を見てみる。するとそこには――。
「わぁ……凄い……」
視界いっぱいに広がる自然の緑があった。
というわけで、学力強化合宿編スタートです!
恐らく結構長くなるんじゃないかなぁ……って思います。
今回は心理テストだけで話を一話分使いました()
なんとなく彼らはこんな結果なんじゃないかなーって思いながら書きました。
ちなみに、明久は罵られておりません。