やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第十問 バカと合宿とグループ学習 (4)

 しばらく勉強していた僕達だったけど、三十分ほど休憩時間という先生からの通達が来たおかげでつかの間の休みを過ごすことが出来た。やっと解放されたぁ……勉強漬けなんて本当疲れる……GW中に雪ノ下さんから課せられた課題をやって以来だよ……。

 

「ふぅ……やっと解放されたぁ……」

「お疲れ様です、吉井君」

 

 結局僕は、ほとんど姫路さんに教わりっぱなしだった。僕から教えられる科目なんて正直言って何もなかったから、姫路さんに何もお返し出来てないわけだけど……本当に大丈夫なのかな。

 

「学年トップの成績を取った生徒が普通科に居るって話を聞いたのだけれど、やっぱり姫路さんのことだったのね」

 

 雪ノ下さんが髪の毛をサラッと掻き上げながら言った。ちなみに雪ノ下さんにみっちりとしごかれた由比ヶ浜さんは、魂が抜けそうになっている。

 

「はい。国際教養科か普通科か迷ったのですが……その、正直私のわがままで普通科に行きたいと思ったので……」

「……そうだったの」

 

 姫路さんがチラッと僕の方を見ながらそう言ったけど、一体何のことだろう?

 雪ノ下さんもこめかみを抑えながら溜め息を吐いているし……。

 

「ところでムッツリーニ、さっきはもう大丈夫だった? 僕も心臓ドキドキしてたのは間違いないんだけど、エロが大好きムッツリーニだから、鼻血まで出しちゃって……」

「……問題ない。だが、一つ訂正しなければならない」

「何? どういうこと?」

 

 ムッツリーニが何やら拳を握り締めながらワナワナと震えている。そしてムッツリーニは、衝撃的な真実を告発したのだ!

 

「奴はスパッツを履いている……っ!」

「な、何だって!? それじゃあパンチラ出来ないじゃないか! 酷いよ工藤さん! 僕の純情を返して!」

「……パンチラを期待している段階で純情も何もないだろ」

 

 八幡は何も分かっていないよ! パンチラは男のロマンなんだよ!

 

「パンチラが嫌いな男の子なんていないじゃないか! まして工藤さんのような可愛くてえっちな人のパンチラなんて貴重だよ!」

「アキ、今凄く恥ずかしいこと言ってる自覚ある……?」

 

 何故か島田さんにまで呆れられた気がするけど、こればかりは止められないよ!

 ……って、姫路さんまで何処か怒っている気がするんだけど、どうしてだろう?

 

「アハハ、ごめんごめん。代わりにさ、面白い物みせてあげるからさ」

 

 そう言いながら工藤さんは、ポケットから何かを取り出した。

 それは――。

 

「小型録音機?」

 

 彩加が首を傾げながら尋ねる。

 工藤さんは笑いながら、再生ボタンを押した。

 

『酷いよ工藤さん! 僕の純情を返して!』

「これ、さっき僕が言った台詞だ!」

「これ、結構面白いんだよ。こうしてああして、と……」

 

 工藤さんが慣れた手つきで録音機のボタンを押していき、そして再生ボタンを押した。

 すると……。

 

「『僕』『工藤さんのような可愛くてえっちな人』『が大好き』!」

「うわぁあああ! 何か僕とんでもない告白してるように聞こえるじゃないか!!」

 

 おかしいぞ! 確かに全部僕が言った言葉なんだけど、すべてがとんでもない台詞のように聞こえる!

 

「ぷくく……切り貼りしてるってわけか……なかなかおもしれぇことするじゃねえか……」

「笑うな雄二!!」

 

 何かもう何を言っても恥ずかしい台詞にすり替えられるような気さえしてきたよ!

 ていうか、由比ヶ浜さんも雪ノ下さんも何気に笑っているじゃないか!

 

「……無意味に言葉を発すると言葉狩りにあうな……文字通り……」

「……そのドヤ顔、とてつもなく気持ち悪いから止めて欲しいのだけど、ドヤ谷君」

「俺の名前で遊ぶのやめろ雪ノ下」

「あら、今の貴方を表すのにちょうどいい言葉じゃないかしら?」

「百歩譲ってドヤ顔したのは事実としても、それを煽りに使うな」

「先程も島田さんに手を握られたり、工藤さんを舐めるような視線で見渡したりして、本能が丸出しになってしまっているわ。帰ったら通報してあげるわね」

「握られたのはともかく、別に舐めるように見たりしてねぇよ……」

 

 相変わらずの雪ノ下さん節が炸裂していた。

 なんだか追いつけていない由比ヶ浜さんと美波の二人は、何処か複雑そうな表情を浮かべている。だけど、あの二人の会話に追いつけるような人なんてそうそういないと思うんだけどなぁ……。

 

「まぁ八幡は彩加のこと好きだからねぇ」

「お、俺は別に……」

「八幡……僕のこと、嫌いなの?」

「そんなわけないだろ戸塚ぁ! 俺は『工藤さん』が好き……って、ちょい待て」

 

 ナイスタイミングだよ工藤さん……!

 今のは完璧すぎた……もう最高……笑いが止まらな過ぎて腹筋が痛い……っ!

 

「は、ハチ……今のは、駄目……っ」

「ひ、ヒッキー……ごめん、冗談だって分かってるんだけど……面白くて……っ」

「くっ……こんな単純な手に引っかかるなんて……っ」

 

 八幡が割と本気で悔しそうにしていた。

 どんだけ彩加に愛の告白をしたかったのかが良くわかる。僕だって秀吉への告白をこのような形で不意にされてしまったら怒りを抱いてしまいそうになるもの。

 

「ね? なかなかに面白いでしょ?」

「もー……確かに面白いけど、それ以上困らせちゃ駄目だよ?」

 

 彩加が工藤さんをやんわりと注意している。

 

「彩加ちゃんに言われちゃ仕方ないなぁ。これはまた今度にするよ」

「また今度やるのか……」

 

 ぽつりと八幡が呟いていたのを聞き逃さなかった。

 うん、次は気を付けよう。

 

「……雄二。今のように、雄二も私に、愛の囁きを……」

「しないからな? 絶対にしないからな?」

 

 霧島さんからのアプローチを全力で避けている雄二が居た。

 霧島さんも積極的にいってるし、雄二もそれに気付いているのに全力で避けている構図って、なんだか不思議だなぁ……幸せになってもらいたいよ本当に。後で須川君達と処刑方法を考えよう。

 

「おい明久。お前今ろくでもねぇこと考えてるだろ」

「そんなことないさ雄二。今夜何処で雄二を埋めようか考えていただけだよ」

「本当にろくでもねぇこと考えてたじゃねえか!」

「じゃあかぁしい! 羨ましいんだコンチクショー!」

 

 勉強中もずっと霧島さんは雄二に付きっきりで、本当に羨ましいんだからな! こんな美人さんに想われているというのに……! モテない男達の怒りを喰らえ!!

 

「多分だけど、それ、ヨッシーが言えることじゃないと思うよ……?」

「……そうね。比企谷君も大概だけど、貴方も存外鈍感なのかもしれないわね」

「待て。何で俺の所に飛び火したんだ。後俺は敏感だ。敏感過ぎて反応し過ぎるまである」

 

 ……八幡ってば一体何を言っているんだろうか。

 




お気に入り登録数がとうとう1100件を突破しました……っ!
応援ありがとうございます!!
これからもこの調子で頑張っていきます!!

―追記―

八幡誕生日おめでとうございます!!
誕生日の日に更新した内容が、工藤さんに弄ばれるシーンでごめんなさい(笑)
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