以下の問いに答えなさい。
「多項式P(x)をx-3で割ると3余り、x-5で割ると-21余る。P(x)を(x-3)(x-5)で割った時の余りを求めよ」
姫路瑞希の答え
「ー12x+39」
教師のコメント
正解です。さすがは姫路さんです。
土屋康太の答え
「x」
教師のコメント
答えようとした努力だけは認めてあげましょう。
吉井明久の答え
「 ←バカには見えない解答」
教師のコメント
後で職員室にて今後についてのお話があります。
夜の自由時間、僕の心はとてもわくわくしていた。八幡から連絡が来て、僕達の部屋に女の子達が遊びに来るということらしい。それはつまり、旅行行事における青春を存分に味わうことが出来るということになるわけで、相当僕の心がぴょんぴょんしている。最高だぜ!
そうして集まった僕達だけど。
「なんか結構人集まったねぇ」
元々この部屋に居る雄二や八幡、ムッツリーニに秀吉、そして彩加を始めとして、姫路さんに美波、工藤さんに霧島さん、由比ヶ浜さんに雪ノ下さん。合計すること十二人って感じか……よくこの一部屋に集まったなぁ。未来から来たネコ型ロボットのようなことをしなくちゃいけないことは避けられているから助かったけどね! 多分このメンバーだと高確率で僕がそういうことやらされそうだし!
「雄二の隣は……私」
「分かったから好きにしてくれ……なんかオーラがこえぇから」
雄二の隣には霧島さんが既に控えていた。そして周りの女の子に対して、『雄二に絶対近づかないように』という威嚇をしている。多分そんなことしなくても霧島さんの邪魔はしないと思う……むしろ応援すると思うよ。僕は積極的に雄二を潰しにかかるけどね!!
「何かバカなことを考えておるな……」
「……いつものこと」
「ちょっと二人とも! 僕が考え事をしているだけでバカなことを考えているんだっていう先入観を与えるのだけはやめてよ!」
「おぉ、先入観って文字は読めたんだな。明久頭よくなったな」
「いくらなんでも雄二のその台詞はバカにし過ぎだよね!?」
「せん、にゅーかん?」
「……由比ヶ浜。無理しなくていいんだぞ。なんかひらがなで書かれているように見える」
「ヒッキーが私のことをストレートにバカにしてきたし!?」
「その、由比ヶ浜さん……たとえ読めない漢字が多かったとしても、私が面倒見てあげるから……ちゃんと漢字読めるようにしてあげるから……一緒に頑張りましょう」
「そのやさしさが少しだけ辛いよ!?」
なんか、色々とカオスな空間だなぁ。
とりあえず今分かったのは、由比ヶ浜さんが雪ノ下さんに凄く優しく扱われているということだ。うん、何と言うか凄く身に覚えがありすぎる扱われ方しているよね……分かるよ、その気持ち。
「ねぇ、ムッツリーニ君。ムッツリーニ君って保健体育が得意なんだってね?」
「……それがどうした?」
気付けば工藤さんがムッツリーニの隣に来て、何やら話をしている。
どうやら二人とも得意科目が保健体育らしく、それについて話しているみたいだ。
すると工藤さんは、太もも部分をチラッと開きながら、
「ボクも実は得意なんだよ……それも、実技でね?」
「……実技、だと!?(ブシャアアアアアアア)」
いきなり鼻血出したー!!
「……吉井。お前も鼻血出てるからな」
八幡に指摘されて僕も咄嗟に鼻を抑える。
しまったー! 想像して興奮した挙句鼻血出してしまったーっ!
僕はまず自分の鼻にティッシュを詰め込んで、それからムッツリーニの鼻にタオルを押し当てる。みるみるうちにタオルは紅く染まったけど、何とかムッツリーニが出血多量になることだけは避けられたみたいだ。
「吉井君……吉井君は、その、え、えっちな女の子が、すき、なんですか?」
「へ?」
姫路さんが顔を真っ赤にしながら、僕にそう尋ねてくる。
正直、えっちな女の子はタイプです。というか姫路さんも相当えっちな女の子だと思う。特におっぱいが! 美波にはない魅力を出していると思うよ!!
「……なんか、今ウチ、アキに物凄く失礼なことを思われた気がしたんだけど」
「なんでもないです」
若干美波の目線が怖かったので、思わずそっぽを向いてしまった。ちなみに、その時の美波は胸を両手で隠している。あ、そんな素振りを見て八幡が少し照れてる。由比ヶ浜さんはほっぺをぷくーっと膨らませて拗ねてるみたい。
というか美波も十分勘が鋭いよね!?
「違うのじゃ……逆に明久が分かりやすすぎるのじゃ」
「何考えているのかがすぐ顔に出るからな」
「……馬鹿正直」
「こんな所まで『バカ』ってつけなくてもいいじゃないか!!」
秀吉、雄二、ムッツリーニの三人に散々いじり倒される。
そこまで言わなくてもいいじゃないか!
「ところで、これだけたくさん集まったみたいだけど、みんなで何するの?」
彩加が首を傾げながら尋ねてくる。
あ、八幡が拳を握りしめている。何かを噛み締めているように見えるけど、周りの人達はスルー……出来てないみたいだ。何せ雪ノ下さんはこめかみを抑えて溜め息ついているし、美波はムッとした表情を浮かべていて、由比ヶ浜さんは更にほっぺたを膨らませている。
何だろう、無性に由比ヶ浜さんのほっぺたから空気を抜いてみたい。ぷしゅーって音が出て空気が抜けていく所とか見てみたい気がする。そんなことをしたら天誅下されるのが分かっているからやらないけど。
ともかく、今はこれだけたくさんの人が集まったから何をしようかという流れだ。
「ふっふっふ……それについてなんだけど、実は僕、とっておきのゲームを考えているんだ」
男子も女子もこれだけの人数が揃っていて、かつ、そんなに用意するものがなくても十分楽しく遊べるゲーム。その名も……。
「王様ゲェエエエエエエエエエエエム!!」
「「王様ゲーム?」」
僕の叫び声に合わせて、八幡と雪ノ下さんが声を揃えて尋ねてくる。というか、そこに込められている気持ちの中に『え、マジでやるの?』って気持ちがこもっていなくもない気がするのは僕だけだろうか。
彩加は苦笑い、霧島さんが一番やる気を出している。多分雄二にどんな命令を下そうか考えているのだろう。
「明久、ルールの説明を頼む」
「了解」
雄二の言葉に乗っかる形で、僕はルール説明を始めた。多分みんな知っているとは思うけど、こういうのは様式美というか、なんというか。
「ここに数字の書かれた紙と、『王』と書かれた紙が入った箱があります。最初にそれぞれ一枚ずつ紙を取り、『王様だーれだ!?』の掛け声と共に、その紙を開きます。そして、王様は数字を指定して、その人物に命令をすることが出来ます。例えば、一番が王様の肩を揉む、三番が七番にしっぺをする、等……そして、王様の命令は……絶対!」
「……え、マジでやるの?」
八幡に関しては見るからに嫌そうな表情を浮かべている。
言葉には出していないけれど、雪ノ下さんもあまり乗り気じゃなさそうだ。
しかし、
「えー、ゆきのん楽しそうじゃーん。みんなでやろうよ? ね?」
「……し、仕方ないわね。由比ヶ浜さんがそう言うなら……後、ちょっとくっつき過ぎよ……」
百合百合空間に雪ノ下さんが負けた!!
ともかく、これで賛成多数で王様ゲームを行うことが出来るよね!
「ボクも楽しみだな。色んな命令をしてあげるね? 明久君♪」
ウインクしながら言ってきた工藤さんに、僕の心臓はドキドキが止まらない!
「……どうしたの? 瑞希」
「……ううん、なんでもありません、美波ちゃん」
何故か、姫路さんのやる気も出ちゃったみたいだ。
ともかく、これから王様ゲームが始まる。
――そう、カオスな空間になること間違いなしの、王様ゲームが。
というわけで……とうとう始まってしまいました……禁断の王様ゲーム……っ!
元々は番外編リクエストに入っておりましたので、番外編で描こうかと思ったのですが、本編でやるならここしかない! ということで我慢出来ずに本編入りを果たしました!
もうこの面子でやる王様ゲームとかカオスな予感しかしませんが、頑張って描ききりたいと思います……っ!