以下の問いに答えなさい。
「I can imagine his astonishment when she asked him to marry her.という英文を日本語訳しなさい」
雪ノ下雪乃の答え
「彼女が彼に結婚して欲しいと言った時の彼の驚きを想像することが出来ます」
教師のコメント
よく出来ました。この英文は時制を気にする必要があるのですが、よく分かりましたね。
土屋康太の答え
「彼女は彼に驚きの想像をすることが出来ます」
教師のコメント
驚きの想像というのはどんなことですか。
吉井明久の答え
「なんのことか分かりませんでした」
教師のコメント
君は時に私達に驚きの表情をさせてくれますね。見ていて飽きないですよ。
学力強化合宿も終わり、六月も中旬に差し掛かったとある休日。僕はららぽにいた。だけど今日ここに居るのは僕一人というわけではない。
「まったくごみいちゃんってば……小町が何度も起こしてあげているのに、布団から出てこないんだもん……」
「だからって布団引っぺがす奴がいるかよ……おかげでお兄ちゃん布団から転げ落ちそうになったよ? 危うく永眠しかけたよ?」
「あら。目だけではなくとうとう身体まで腐らせようとしているのかしら?」
「お前は相変わらず絶好調だな雪ノ下……俺をゾンビと言いたいのか」
会話の通り、今この場に居るのは僕を含めて四人。
雪ノ下さん、小町ちゃん、そして八幡。奉仕部から由比ヶ浜さんを抜いて、小町ちゃんが加わった形だ。こんな特殊な編成になっているのにも理由がある。
その理由を思い返す為に、数日前まで遡った。
※
「その、奉仕部に由比ヶ浜さんが来てもう二ヶ月になるのよね……」
僕と八幡がいつもの通り部室に来ると、雪ノ下さんは自分で淹れた紅茶を飲みながらそう言った。最近この部室が休憩室になってきているのではないかと思ってしまう程、設備が充実してきている。そのうちの一つに、雪ノ下さんの紅茶があった。元々この部屋は空き部屋だったって話を、最初に来た時に平塚先生からされた気がするんだけどな……気付けばこうして色んな人の私物が増えてきた。最近では僕達四人分のマグカップも置かれていて、いよいよ放課後ティータイムかな? ってなりつつある。僕達軽音学部じゃないけど。これで楽器まで持ち込まれたら完璧だけど、僕は演奏出来ないからパスの方向で。
そうして八幡はいつものように読書を、僕はいつものように漫画本を開いていたら、雪ノ下さんからそう話がふられたのだ。ちなみに由比ヶ浜さんは、今日の所は三浦さん達との用事があるということで部活をお休みしている。というか、由比ヶ浜さんだけではなくて、僕や八幡、そして雪ノ下さんが部活立ち上げてから二か月になるわけだけど……この人どれだけ由比ヶ浜さんのこと好きなんだろう?
「それと……実は今度の火曜日は由比ヶ浜さんの誕生日だって知っているかしら?」
今度の火曜日?
ということはつまり……。
「18日か。今初めて知ったな……」
「相変わらず貴方達は同じクラスなのにそう言った会話をしないのね……」
「生憎、俺に教室で話しかけてくるのはそこに居るバカと島田、そしてマイエンジェル戸塚くらいなものだからな……」
バカって一体誰のことだろう?
少なくとも僕も話しかけに行っているんだけどなぁ……ていうか、あれ? 材木座君の名前がないよ?
「というか、僕も由比ヶ浜さんの誕生日初めて知ったなぁ。そういった話題は上がってこなかったし……雪ノ下さんはいつの間に知ってたの?」
「知っていた、というよりかは……想像、かしらね。アドレスに0618って書いてあったから、もしかしたら、って思っただけで」
「直接確認したことはないんだな?」
八幡がそう言うと、雪ノ下さんはキッとした表情を浮かべながらも、反論はなかった。
うーん、この……。
「そしたらさ、サプライズで由比ヶ浜さんにプレゼントを上げるっていうのはどう?」
「……驚いた。貴方、これから私が言おうとしたことを先回りしたというのかしら?」
「いや、コイツの場合は本当にただ単に今思いついただけだと思うぞ」
雪ノ下さんは目を丸くして僕を見る。一方の八幡は、ただ溜め息を吐きながらそう言っただけだった。
「とにかく。私としては日ごろの感謝を込めて由比ヶ浜さんをお祝いしたいと思ったの……」
「うんうん。いいと思う!」
由比ヶ浜さんに誕生日プレゼントを買ってあげたら、きっと喜ぶだろうなぁ。
僕はそんなことを考えていた。
「そうか……」
八幡はただ一言そう呟いただけだった。
何か八幡、こういうのに乗り気じゃなさそうだなぁ。
「八幡も何か買うんだよ?」
「……マジ?」
「マジ。マジも大マジ。せっかくだから奉仕部として三人で由比ヶ浜さんにプレゼントを上げたいじゃん?」
「じゃん? って言われてもな……」
とはいえ、僕は由比ヶ浜さんに対してどんなプレゼントを上げたらいいのか正直あまり分かっていないんだよねぇ……一体どんなプレゼントを上げたら喜んでくれるんだろう?
と、その時。
「それで、あの、えっと……」
「「ん?」」
珍しく、雪ノ下さんが言い出しにくそうにしていた。
手をもじもじとさせて、少し顔を赤くしているその姿は、正直とても可愛いです。元々美人さんだから余計にそういう仕草が萌えるというか。だけど相手は雪ノ下さんだから、決して本人にはそのことは言わない。言った後でどんな言葉が返ってくるのかは目に見えているから……。
そうして雪ノ下さんはやっと決心がついたのか、僕達にこう言ったのだ。
「その、もしよかったらなんだけど……付き合って、くれないかしら?」
「「え?」」
ふぁっ!?
こ、こんな時にいきなり告白ぅ!?
突然だし、これって僕と八幡のどっちに言った言葉なの!?
「おい待て吉井。この場合の『付き合う』は買い物のことだと思うぞ。発想が顔に出てんぞ」
「……はっ!」
た、確かに!
八幡の言う通り、冷静になって考えてみればそうだったね。
「……相変わらず何考えているのか分からないわね、吉井君は」
雪ノ下さんは、最早恒例となったこめかみ抑えポーズを見せていた。最近そのポーズをする瞬間が増えてきているよね。雪ノ下さんの中で流行っているのかな?
「私だけでは、その、由比ヶ浜さんにどんな物を上げたらいいのか分からないから……三人寄れば文殊の知恵って言うじゃない? きっと、比企谷君や吉井君でも、いいアイデアが浮かぶのではないかしら」
「なんか若干言い方に悪意を感じるが、確かに俺も一人で買いに行こうとするとよく分からないからな……」
「うーん。確かに。由比ヶ浜さんがどんな趣味しているのかもあまり分からないからねぇ」
僕がそう呟くと、雪ノ下さんは少し悲しそうに。
「……私。由比ヶ浜さんがどんな趣味をしているのかも知らなかったのね」
と呟いていた。
けど、それは仕方ないことなんじゃないかな……いつも同じクラスで話すタイミングが多い僕や八幡と違って、雪ノ下さんが話せる機会というのは奉仕部関係となることがほとんどだ。もちろん休日とかに一緒に遊びに行ったりするだろうけど、それも毎回じゃない。
他の人がどんな趣味をしているとか、そういったことは聞かないと分からない。僕だって友達でも知らないことがあったりするからね……秀吉の写真でムッツリーニが撮影したものについては、持っていない写真はないけどね。
「そしたらさ、みんなで今度の日曜日にららぽで買い物しようよ。そしたらきっと、何かいいプレゼントが買えるかもしれないしさ……あ、八幡。もしよければ小町ちゃん誘ってもいい?」
「小町を? なんでお前が」
何か八幡が若干どころかかなり機嫌悪くなった気がする。
「ほら、知り合いは多い方がいいだろうし、小町ちゃんなら何かいいアイデア浮かぶかもしれないじゃん? 少なくとも、女の子に対するプレゼントについては、僕や八幡よりも役に立つんじゃないかなって」
「……一理ある。仕方ない。ただし俺から声かける。お前は手出ししなくていい」
「なんか警戒されている?」
「……シスコンもここまで来ると重傷ね」
「バカ。俺はただ小町のことが心配なだけだ」
「それある意味僕に対して失礼だよね!?」
とりあえず、そんなわけで日曜日に四人でららぽで由比ヶ浜さんへのプレゼントを買いに行く予定が決まったのだった。
というわけで、今回は由比ヶ浜さんへの誕生日プレゼント購入イベントでございますー。
ということは、ここであの人が登場するわけですね……。
本編十四問までやってきましたが、やっっっっと登場というわけです。
ちなみに、俺ガイル原作ではこの段階で八幡と由比ヶ浜さんが若干不穏な空気を出していたわけですが、今回はそのイベントがありません。
なので、割とギャグ寄りな展開が増えてくるかもしれません。
本来登場しない筈のキャラも何人か登場する予定ですし……いずれにせよ今回は明久目線での話なので、一筋縄ではいかなそうですね。