やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第十四問 バカと買い物と姉の襲来 (5)

「お兄ちゃんって捻デレさんですから……色んな人に誤解されやすいんです。それに、本当は誰よりも優しいのに、その優しさに気付いてくれる人が少ないから……一人で背負い込んで、一人で考え込んで、周りを頼ってくれないから……だからいつしか、お兄ちゃんの周りには人がいなくなっちゃうんじゃないかって思って……だけどそんな中で、明久さんや奉仕部のみんな、それに美波さんや他の人も来てくれて……そうしてお兄ちゃんは一人ぼっちじゃなくなったんだって思って……」

 

 小町ちゃんは嬉しそうな表情を浮かべながら、泣いていた。

 まるで抱え込んでいた何かを吐き出すように、次々と小町ちゃんは言葉を発していく。

 ……やっぱり、小町ちゃんは八幡のことが大好きなんだね。それだけしっかりと見てあげていて、心配していて、自分のことのように嬉しく思って。

 いい兄妹だなぁって僕は心から思った。

 

「僕も八幡には感謝しているんだよ。色んな場面で、八幡じゃなきゃ解決出来なかったこともあるし、何より僕が八幡と仲良くなりたかったから近くに居るだけだよ。それにこれからだって、僕は八幡と友達をやめるつもりなんてない。八幡はどう思っているのか分からないけどね……」

「捻デレさんですからね……お兄ちゃんは『友達になろうって言ったわけじゃないから友達ではない』とか言いそうだなぁ」

「あー、分かるかもしれない。けどなんとなく、それでこそ八幡だなぁって感じもする」

「「……あははっ!」」

 

 なんだか面白くなっちゃって、僕と小町ちゃんは思わず笑い合っちゃった。

 

「ささ、湿っぽい話はここまでにしちゃいましょう! 今は結衣さんの誕生日プレゼントを買いに行くのが先ですからね。とびっきりいいプレゼントを買っちゃいましょうね!」

「もちろんだよ! 由比ヶ浜さん喜んでくれるといいなぁ」

 

 こうして、僕と小町ちゃんは二人でプレゼント探しを始めることとなった。

 のだけど。

 

「……あれ、明久?」

「……へ?」

 

 ものの数秒で、今見つかってはいけない奴らに見つかってしまった。

 そう……坂本雄二という名前を冠した悪魔だ。

 

「隣に居るのは比企谷の妹だよな?」

「ど~もですー。えっと確か……」

「坂本だ。そこに居るバカの悪友みたいな感じだ」

「…………土屋康太」

「うわぁ! ムッツリーニまで!?」

 

 突然僕の後ろから現れたのはムッツリーニだった。

 その手に持っているのはカメラだ。

 ……まさか。ムッツリーニ、もしかして。

 

「……証拠はばっちり」

「今すぐその写真を消せぇええええええええええええええええ!!」

 

 なんてことだ!

 小町ちゃんと二人並んで歩いている写真なんてFFF団に回されようものなら、明日の太陽を拝めるか分からなくなってしまうじゃないか!

 というか今さっき偶然会ったばかりなのに随分と用意周到だよね!?

 

「あの時写真を撮ってくださったお兄さんですね! 小町を可愛く写してくださいよ~」

「……っ!! 御意!」

 

 って、なんだかすごいノリノリで小町ちゃんはムッツリーニに写真を撮ってもらっているね。心なしかポーズも決めちゃってるよ。いろはちゃんがやると『あざとい』と切り捨てられてしまいそうなポーズも、小町ちゃんがやると『あざとかわいい』に進化する気がする。

 というか、雄二にムッツリーニの二人が居るということは、もしかして……?

 

「お主らも仲がよいのぅ」

「秀吉ぃいいいいいいいいいいいい!」

 

 やっぱり来てくれていたんだね秀吉!

 もう今日は幸せな一日だってことが証明されたね!

 ありがとう秀吉。君は天使だ……!

 

「お兄さんは確か、木下秀吉さんですよね?」

「うむ! ようやっと儂を男と認めてくれる者に出会えた……!」

 

 秀吉は小町ちゃんの言葉が嬉しかったのか、両手で小町ちゃんの右手を握ってぶんぶんと上下に振っている。何を言っているのさ秀吉! それはあくまで戸籍の話で、秀吉は秀吉だって前からずっと言っているじゃないか!!

 

「お前はお前で随分と嬉しそうだな秀吉」

「もちろんじゃ! これほど嬉しいことはないのじゃからな!」

「……これは激写するしかない!(パシャパシャ)」

 

 可愛い子が可愛い子と一緒にイチャイチャしている様子というのは、どうしてここまで僕達の心を穏やかにしてくれるのだろう(賢者モード)。

 

「ところで、明久と比企谷妹はどうしてここに?」

「あ、結衣さんへのプレゼントを買いに来ていたんですよ~。お兄ちゃんと雪ノ下さんは二人で見に行っている所ですよー」

「……羨ましい」

 

 ムッツリーニがポツリと呟いた。

 確かに、雪ノ下さんと二人きりになっても特に追撃されない八幡って羨ましいよね。他の人が二人きりになろうものなら、そもそも雪ノ下さんから距離を取りそうだもの。

 

「由比ヶ浜の誕生日ってもうすぐだったんだな」

「うん。確か十八日だよ」

「あと二日後じゃな……せっかくなので、儂らもプレゼントを探しに行ってみるかのぅ」

「だな。ムッツリーニもそれでいいか?」

「……了解した」

 

 小町ちゃんの手を離した秀吉と、その様子を最後まで撮影していたムッツリーニ。

 そんな彼らは、去り際に小町ちゃんにこう言った。

 

「ま、今後ともよろしく頼むわ。友人として比企谷のこと、色々聞くこともあるかもしれねぇからな」

「……ご贔屓に」

「仲良くしてくれると嬉しいのじゃが……これからもよろしく頼む!」

 

 そして三人は、きっと由比ヶ浜さんの誕生日プレゼントを探しに行ったと思う。

 そんな彼らの背中を見送りながら、小町ちゃんは呟いた。

 

「お兄ちゃん……本当にいい友達に恵まれたね」

「……きっとこれも、八幡の優しさに気付けた人がたくさんいる証拠だよ。君のお兄ちゃんは、やっぱりもうぼっちじゃないよ」

「……そうですねっ!」

 

 にぱっという笑顔を浮かべながら、小町ちゃんは言葉を返してきたのだった。

 

 

 余談だけど、結局色んな人が由比ヶ浜さんにプレゼントを渡したわけなんだけど。

 

 雪ノ下さん → エプロン

 僕     → キーホルダー

 小町ちゃん → シュシュ

 八幡    → 犬用の首輪

 

 という感じで色んなプレゼントが渡されたわけなんだけど……。

 

「……由比ヶ浜。それ、犬用の首輪な。お前がつけるものじゃない」

「えぇ!? そ、それならそうと最初から言えしっ!!」

 

 うん。

 間違えたのは由比ヶ浜さんだからね?

 




というわけで、お後がよろしいようで(オチがついた気がしました)。
原作よりも若干ギャグ寄りかつ、小町から見た八幡に関する要素が多かったエピソードでした。
次回はどんな話をやろうか悩んでいる所です……バカテスと俺ガイルを読み直したりアニメ見直したりしながら、話を作ろうかなって思います。
また、番外編リクエスト箱へのリクエストも引き続き募集しておりますー。
場合によってはここから本編へいくこともありますからね!
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