やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第十六問 【日本史】
以下の問いに答えなさい。
「源義経が最終的に与えられた、もっとも高い地位とは何かを答えなさい」

比企谷八幡の答え
「検非違使」

教師のコメント
その通りです。義経のことを現代人の人が贔屓することを、判官贔屓と言いますね。

坂本雄二の答え
「武士」

教師のコメント
答えるのを面倒くさがらないでください。

由比ヶ浜結衣の答え
「白馬の王子様♪」

教師のコメント
大河『義経』と夢の見過ぎです。



第十六問 バカと期末試験と姉さん (1)

 夕ご飯も食べ終わって、ホッと一息ついた所。

 今日はいきなり雄二や八幡達がきたものだからびっくりしちゃったよ。前日に姉さんが急に日本へ帰ってきたものだから、みんなにあまり言いたくはなかったから隠していたんだけど……。姉さんも姉さんで、何をやらかしてしまうのか分からなかったし。だけど、予想に反して……というよりも、多分雪ノ下さんのおかげで大人しかったと思う。雪ノ下さんはきっと陽乃さんとの関係が上手くいっていないんだろうなぁ……。

 とりあえず今日の所はこのまま解散かな? ってなりそうだったその時。

 

「そういえば吉井さんって、はーばーど、を卒業したんですよね?」

 

 由比ヶ浜さんが姉さんに対してそう言った。

 うん、なんかちょっとイントネーションがおかしいけど気のせいだよね?

 

「えぇ。そうですよ」

「あの、もしよろしければ、勉強のコツとかを教えてもらいたくて……」

 

 そうか……由比ヶ浜さんもテストでいい点を取りたいんだね。確かに姉さんは勉強のことについては強いと思う。実際学力も高いし、質問すれば大抵答えてくれる。そんな姉さんから勉強について聞けば、もしかしたら点数アップ出来るかもしれないと思ったのだろう。

 けど、姉さんって勉強もするけど、元々の地頭がいいからなぁ……一回やれば大抵覚えちゃうとか言っちゃう人だし……参考になるのかなぁ。

 

「今回の試験範囲ってどんな感じですか?」

「えっと、数学は……」

 

 意外にも姉さんは、姫路さんに粗方範囲を聞いていた。

 もしかして、それに合わせて勉強方法とかを教えてくれるっていうのかな?

 

「なる程……それで、皆さんで勉強をするというのであれば、是非とも参考になりそうな物がありますので、部屋から取ってきますね」

 

 その後で姉さんは、その場から立ち上がって部屋へと向かっていく。けど、家にそんな参考書なんてあったかな……確かに最低限の教科書とかは置いてあるけど、勉強の為になりそうなものなんて……。

 

「これ、なんですけど」

 

 ドサッ ← 本が置かれた音。

 ワァオ♡ ← 本の中身を現した音。

 バババババッ!! ← 僕が必死に本を奪おうとしている音。

 

「ちょっと!! なんでそれを姉さんが持っているのさ!!!!」

 

 確かに参考書だけど!!

 けどそれはあくまで保健体育の参考書でしょ!!

 というか資料集でしょ!!

 

「…………吉井」

「そんな冷たい目をしないで八幡!!」

 

 いやなんかもう公開処刑もいいところなんだけれど!?

 

「保健体育の参考書としてどうぞ」

「どうぞじゃないよ姉さん!! 参考にならないよ!? あと、それを見つけたってことは僕の部屋に勝手に入り込んだってことだよね!?」

「アキ君……ベッドの下から本棚の裏、更に机の裏まで隅々確認しましたが、バストサイズが大きくて、ヘアースタイルはアホ毛が付いている女の子を重点的に履修している傾向がありますね」

「もうやめてぇええええええええ! これ以上僕の公開処刑をするのをやめてぇええええええええ!!」

 

 どれだけ言い方を変えたとしても、結局それって僕の性癖大暴露大会になることに変わりないんだからね!? 友人達の前で趣味趣向を曝け出しているようなものだからね!?

 

「アホ毛、ですか……」

「…………おい姫路。こっち見んな」

 

 何故か疑いの眼差しで八幡を見つめる姫路。

 待って、僕にその趣味ない。

 

「ちょ、ちょっとアキ! は、ハチをそんな目で見たらだめよ!」

「見てないよ!? 僕はちゃんと女の子が好きだからね!?」

「けど、吉井君……ヘアースタイルはアホ毛って……」

「それとこれとは話は別だよね!?」

 

 確かに僕らの周りでアホ毛が付いているような女の子って全然いないけれども! だからって男に興味を抱いた覚えはないからね!?

 

「アキ君……減点案件です」

「どうして!? エロ本隠し持っていたから!?」

「いいえ。姉萌え本がなかったからです」

「それってあまりにも理不尽じゃない!?」

 

 すっごく自己中的な理由で減点されちゃったよ!?

 待って、この調子でいったら僕、絶対に一人暮らし出来なくなっちゃうよ!?

 

「はぁ……まったく。吉井君は本当に仕方のない人ね」

 

 雪ノ下さんがこめかみを抑えながら呟く。

 

「ひ、ヒッキーも、その、こういう本って、持っていたりするの?」

 

 顔を真っ赤にして由比ヶ浜さんが八幡に聞いていた。

 それに対して八幡は若干引きながら、

 

「な、なに聞いてきてんだお前。やっぱビッチか」

「ビッチじゃないし! 男の子って、その、こういう本持っているものなのかなーって思って、気になっただけだし」

「う、ウチも気になるかも……」

 

 何とそこに美波も加わった!

 八幡の逃げ場がどんどん失われていくぞ!

 

「……その話、詳しく」

「なんでお前が一番食いついてきてんだよ土屋」

 

 本当ムッツリーニはブレないよね。こういう話題が出た時に真っ先に反応するんだもの。

 ムッツリの名前に恥じない反応だ。

 

「お前も随分と苦労してるんだな、明久」

「雄二……君も苦労しているんだね。だから料理得意なんだね」

「…………ん?」

 

 何か、妙に間が空いた気がする。

 あれ? 僕何か変なこと言った?

 

「えっとな、明久。何でそこで料理について出てくるんだ?」

「え? だって料理って家の中で一番地位が低い人が作るものなんでしょ?」

「「「「「・・…」」」」」

 

 あれ、雄二だけじゃなくて他の人も僕のことを悲しそうな目で見てくる。

 

「明久よ。普通料理というのは地位や立場など関係なく、作れる人が作るものじゃ」

「その理論でいくと小町の立ち位置が下になっちまうからな? そんなわけねぇし、何なら俺が作らなくてはいけないまである」

「でた、ヒッキーの謎理論……」

 

 確かに……雪ノ下さんは料理出来てたけど別に地位が低いってわけじゃないし……くそぉ! 母さんめ! 今まで僕を騙していたな!! 今度抗議の電話を入れてやる!!

 

「とりあえず、それぞれ苦手科目と得意科目をおっしゃってください。よろしければ私が、今回どんな勉強をすれば点数があがるのかアドバイスしますよ?」

「あれ? 凄い強引に話題が戻ったね!?」

 

 驚きの強引さで姉さんが本題に戻してたよ!?

 まだ僕の話は終わっていなかったんだけどね!?

 ていうか僕の参考書達を返してよ!!

 

 結局、この日は姉さんによってみんなにアドバイスが与えられたのだった。

 ただし、僕のエロ本は返ってこなかった。

 

 




今回は明久目線での玲さんエピソードとなります!
正直、今回の話はなかなか難しいなぁと思っている部分もいくつかあったりします……何せ原作でやったことはある程度省きつつ、オリジナル要素を入れたいなぁって思ったりしております故。
何にせよ、明久は無事期末試験を乗り越えることが出来るのでしょうか……?

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