タイプ相性とか努力値とかさっぱり知らないし登場人物の口調が合っているのかも分からないです。
「君、起きなさい!」
喧しい声で眼が覚める。ボックスシートに座った状態で寝てしまったようだ。
「もう少し……」
口から声が漏れる。寝起きで頭も体も働いてない為想像以上に小さい声になってしまった。
「いいから起きなさい、もうアローラに着いたぞ? 起きてくれなきゃワシが困る」
一気に体が覚醒した。
スクッと立ち上がる。
「うぉぉ、いきなり立たないでくれ。ビックリするじゃないか」
「すいません、寝ぼけてました」
まだ完全には機能を発揮していない脳を使ってなんとか言葉を紡いだ。
恥ずかしさで耳が熱くなっているのを感じる。
「ははは、そうかそうか。じゃあ目も覚めただろうし降りてくれ」
「はい」
船の窓の外の景色を眺めつつ船の中を歩く。
扉を開けるとムワッとした熱気が入ってきた。
冷房が効いた船室の中にいたから分からなかったがやはり南国のアローラと言われるだけあって相応に暑いようだ。
一歩足を船外に踏み出せば焦げ付くような日射しがジリジリと肌を焼く。
「クッソ暑い」
思わず天を仰ぎながら呟く。自分で移住を決めといて言うのもおかしいがどうしてこんなとこに決めたんだ俺。
半袖半ズボンで良かった。そうでなきゃ蒸し焼きになるところだ。
甲板を歩いて船を降り、桟橋を伝って港町に入る。日陰を見つけてそこで携帯を取り出して電話をかける。
「はい、こちらククイ研究所所長のククイです」
「もしもし、ヨシダです。今さっきアローラに到着しました」
「おおヨシダくん! そうかいそうかい、やっと着いたかい!」
「はい、それでどこに向かったらいいですか? 迎えに来てもらえるとの事でしたが」
「心配しないでいいよ。すぐに迎えに行くからそこで待っていてくれ!」
「分かりました。失礼します」
ククイ博士が迎えに来てくれるとの事だ。カフェにでも入ってノンビリ待つとしよう。
カフェの窓から見える景色を見つつジュースを飲む。
こうして見るとあちらとは海際でも大分違うことが分かる。
遠目にポケモンが海を泳いでいるのが見える。
道を歩いてる人が連れてるポケモンも見たことないポケモンしかいない。
色々あってアローラに来ることになってしまったが名前しか聞いたことが無いため、内情が全く分からない。
散策したいところだが迂闊に動き回ると迷子になるのは明らかである。
ボーッと町を眺めているとなんだかまた眠くなってきたので少し寝よう。ククイ博士が来たら見つけてくれるだろう。
♢♢♢
体が揺さぶられているのを感じる、なんだろう。何か聞こえる。
「……きるんだ!」
寝起きで言っていることが理解出来ない。
「……んおきるんだ!」
誰だ? そういえばなんでここにいるんだっけ……そこまで考えて状況を把握した。
「ヨシダくん、起きるんだ!」
そう、ククイ博士が起こしてくれていたのだ。
のびをしてから挨拶をする。
「おぉ、やっと起きたか! 待たせてしまってすまない。疲れていたのかな?」
「いやそんなことは無いですね。寝てしまってすみません」
「……まぁいいか! さて、こうして会えたわけだし早速しまキングのところに挨拶に行こう!」
しまキングってなんだ。縞キングなのか島キングなのか。それともポケモンなのか?
いや、本当になんでこんなところに来ているんだ俺は。
現実逃避しつつ寝起きでおぼつかない足を一生懸命動かしてククイ博士に着いて行く。
「ヨシダくんはアローラに来たことはあるんだっけ?」
「無いです。さらに言うとアローラという名前以外ほとんど知りません」
「あれ、そうだったか。じゃあしまキングも実は知らなかったり?」
「はい、知らないです」
「そうかそうか、じゃあ行きがてら軽く説明するかな」
「お願いします」
ククイ博士がしまキングについて話してくれるらしい。
「簡単に言うとだね。しまキングっていうのは今いるこのメレメレ島で最も強いポケモントレーナーのことなのさ!」
「男性の場合はしまキング、女性の場合はしまクイーンっていう呼び方になっているんだ!」
「そして彼らはただ一番強いっていうだけの称号としてしまキング、しまクイーンの呼び名を授かっているわけでは無いんだよ」
「それぞれの島を守る守り神、カプ神達から認められてこそのしまキング、しまクイーンというわけさ!」
なるほどどうやらホウエンやカントーでいうところの四天王、あるいはチャンピオンのような立ち位置にいる人物に会いに行くらしい。
……いやなんで?
どう考えても俺はそんな立場には無いのだが、そこらへんどうなっているのだろうか。
聞いてみると
「実は僕も理由は知らないんだ。でも君について話したら、この島のしまキングであるハラさんが是非会いたいと仰ったんだ」
いやなんでだよ。一体どういう御仁なのだろうかそのハラキングは。
話しているうちに先ほどの港町は見えなくなり、草が茂っている地帯に出た。
と、そこでククイ博士が立ち止まり、こちらに振り返った。
ニカッと笑っている。
嫌な予感が……そういうの分からねぇや。
「ヨシダくん! 実はハラさんから一つ大事なことを仰せつかっていてね!」
前言撤回、嫌な予感がしてきた。
「君にポケモンを渡して欲しいと言われたんだ!」
デデンッ! という効果音が似合いそうな感じで言い放ったそれはこちらの度肝を正しく抜いた。
「は?」
「さぁ、君にはこの二匹のポケモンから一匹、好きなポケモンを選んでもらおう! 本当は三匹いたんだけど一匹はもう別の子に渡してしまったんだすまない!」
「あの、別に俺はポケモントレーナーとして成長するためにこの島に来たわけでは無いんですけど……」
「まぁまぁ。自衛の意味も込めて、だよ!」
確かに野生のポケモンが跳梁跋扈するこの世界で丸裸で野原を駆け回るのは危険なことだ。
でも……
「町から出る用事って果たしてあるのかどうか……」
「いやいや何を言っているんだい。この島、いやアローラ地方で一つの町に引きこもるなんて勿体ないじゃないか!」
「そう、なんですかね」
「うんうん、そうだよ! だからほら、ポケモン達の目を見てごらん。君と冒険するのを楽しみにしているんだよ!」
今冒険って言ったぞ、やっぱり危険なんじゃないか!?
「まぁそれなりにだね。君だってポケモンの危険性はよーく分かっているだろう?」
「まぁ……それなりに」
じゃあ何故俺がそのポケモンと積極的に関わる必要があるのだろうか。
「まぁ憶測でものを言うことはできないけど相当重要なことなんじゃないかな? そうでなきゃ来たばかりの君がしまキングに会いに来る意味が無いからね!」
……重要なことじゃあどうしようもないかな〜
「そしてそれはポケモンを所持していないとできないことなんだろうね!」
「あの、取り敢えずポケモンを選ぶにしてもハラさんに会ってからにしませんか?」
何かの勘違いの可能性も拭いきれない。というかそうであってほしい。
「その方が良さそうだね! じゃあリリィタウンに行こうか!」
道すがら飛び出してくる野生のポケモンを、ククイ博士が出した二匹のポケモンが威嚇して制圧する。
倒す必要が無いからだろう。
野生は非常に利己的だ。
不利だと悟ればすぐさま逃げることだってできる。
「ほら、あれがリリィタウンだよ!」
開けた場所に家屋が立ち並んでいるのが見える。
町民だろうか、和気藹々と話している。
階段を登り、リリィタウンに入る。
すぐにある看板に「ここは リリィタウン ポケモンに 感謝する ところ」と書いてある。
ククイ博士の先導に従って直進する。
もう一つ階段を上ると何かのステージがある。
町民はみんなニコニコしている。
「それでしまキングというのはどなたですか?」
「うーん、さっきから探してるんだけど見当たらないなぁ。あの人は若干放浪癖なところがあってねぇ」
中々マイペースな人なようだ。
「申し訳ない! 僕はハラさんを探してくる! 町民と話すかこの先の戦の遺跡でも観光していてくれ!」
ダッシュで去ってしまった。博士という割にはバイタリティに溢れている人だ。それも南国故だろうか。
流石に談笑している町民にいきなり話しかけるのは厳しいものがあるので戦の遺跡とやらに行こう。軽く会釈をしつつ通り過ぎる。
「アローラ!」
「ア、アローラ……」
なんだ今のは……
おうむ返ししてしまったがあれで良かったのか。
階段を上っていくとなにやら騒がしい。ポケモンバトルでもしているのだろうか。
上るにつれ声は大きくなる。
そしてやっとはっきり聞き取れてきた。
「ニャビー! まずはしっぽをふるんだ!」
男の子の声だ。
階段を上り切るとやはり男の子がポケモンバトルをしている。
女の子もいるが男の子とバトルをしているのは野生のポケモンのようだ。
というかあれはオニスズメだ。
まぁバトルをやっているなら邪魔をする必要も無いしオニスズメにだけ注意して通り抜けるか。
「ニャビー! 火の粉!」
元気だなぁ、と感想を抱きつつ歩いて行くと声を掛けられた。
「あ、あの……」
女の子の声だ。
足を止めて振り返る。
「なに?」
「えっと……じつはホシグモちゃんがポケモンに襲われてて……」
ホシグモちゃんとはバトルをしている男の子のことだろうか。
視線の意味に気付いたのか女の子は首を振る。
「彼のことじゃなくて……友達で……橋で襲われてるんです……」
確かに橋の上でオニスズメが何匹か飛び回っている。その下に何かがいるのも見える。
「助けてあげなきゃいけないんじゃないか?」
そう聞くと女の子は声を震わせる。
「私は……ポケモントレーナーじゃなくて……助けようと思って……彼にも頼んだんですけど……まだ助けてあげられなくて……怖くて……」
なるほど把握した。
一番体が大きいのは俺だ、ここは行ってやらねばなるまい。
走り出すと声が聞こえた。
「ホシグモちゃんを……おねがいします!」
走り出したが橋がボロいことボロいこと……
一歩踏み出せば軋むどころかミシミシィと橋桁が悲鳴を上げる。
それでもなんとかそのホシグモとかいうポケモンのところに辿り着きオニスズメ達を蹴散らす。
しかしいかんせんオニスズメの数が多いため追い払う事が出来ない。
隙間を縫って鳥畜生がホシグモに攻撃してくるため庇う事に専念することにした。
蹲っていると聞いたことのない類の音が俺の腕の中、ホシグモから鳴り始め、光が弾けた。
青い光は球状に広がり、橋を破壊した。
「ちょっ待て……」
そして俺はホシグモを抱いたまま落下した。しかし静電気の弾ける音がしたかと思うと何かに抱え上げられて、先ほどの少年少女がいるところに戻っていた。
「わぁ〜カプ・コケコだー!」
少年が間延びする声で、目の前にいるポケモンがカプ・コケコという名前であることを告げる。
カプ・コケコは俺が抱えているホシグモをジッと見つめた。
そして体から雷を迸らせながら嘶きをあげ、ロケットの如く飛んで去って行った。
「あー行っちゃったー」
感謝をする暇もなかった。確かカプというのはアローラの島の守り神の名前だったはずだ。今度捧げ物でもしなきゃいけないだろう。
さて、橋も壊れてしまったしその遺跡とやらには行けないだろう。大人しくリリィタウンに戻るとしよう。
その前に
「怪我はないか二人とも」
「うん! 大丈夫だよー!」
やたら声が間延びするなこの子は。
一方少女は
「あの……わたしは……大丈夫ですから……ホシグモちゃんを」
おっと、そう言えば抱えたままだった。
「もう危ないところに近づくんじゃ無いぞ?」
と、軽く叱ってから離す。
腕でペシッと俺の脚を叩いてから少女の方にフワフワと戻って行った。
なんだ今のは。
「あの「おにいさん、さっきの光すごかったねー! おなか痛くないー?」」
少年がいきなり興奮したように話しかけてきた。
少女が何か言いかけた気もするが少年の勢いが凄い。
「俺は別に何も感じなかったな」
流石にそれでは好奇心が納得しないようだ。
「でも橋は壊れてたよー?」
「っ……」
少女がビクッと体を震わせた。
「まぁ、あれだろ。特殊なエスパー技なんだろう」
「えーそうかなー。ねぇねぇどうなの?」
思ったことを言ったら少年がそれをそのまま少女に聞いた。
あからさまに困っているようだ。
「なぁ君達の名前はなんていうんだ?」
「名前? おれはハウだよー」
「リーリエです。助けてくれて……ありがとうござい……ます」
話題を逸らすのに成功したようだ。
少年、ハウはアローラ感満載だ。対しての少女、リーリエはお嬢様感満載だ。
「俺の名前はヨシダだ。好きに呼んでくれ」
自己紹介を終えて、さぁリリィタウンに帰ろうと二人を促す。
するとリーリエがリリィタウンに帰る前に、と言ってお願い事をしてきた。
「このコのこと……誰にもいわないで……ください」
二人とも了承の旨を伝える。
ホッとしたような顔のリーリエ、なにかめんどくさい理由でもあるのだろう。
そしてリーリエが俺に近寄ってきてあるものを見せる。
「これ……おにいさんのいしですよね」
その手のひらには見たことのない不思議な紋様の石が乗っていた。
「いや、俺のじゃないな」
「え……でも……カプ・コケコがあなたにあげたのでは……」
何故そんなトンデモ結論に至ったのか不思議だ。
「ハウ、君のじゃないのか?」
「えー? おれはもう持ってるから違うよー」
どうやら違うらしい、というか持ってるのか。この島だと珍しい石では無いということだろうか。
「リーリエ、その石は君にあげるよ」
「そんな……わけには……いかないです……カプ・コケコが認めた人に……あげるものを……それにわたしは……ポケモントレーナーじゃない……から」
「いや俺もいらないから。ポケモントレーナーじゃ無いし」
なんでポケモントレーナーかどうかが関係あるんだ、混乱してきた。
とりあえずリーリエがいつまでも差し出している手を押し返す。
「さぁ、またオニスズメが来たら敵わん。さっさとタウンに戻ろう。ハウ、ポケモントレーナーは君だけだ。君だけが頼りだぞ」
「……うん! がんばるぞー!」
ハウ先導の元リリィタウンに戻る。見た目一番年上の俺が先導しなくて情けない気がしないでも無い。
何事もなく戦の遺跡の看板があるところまで戻ってきた。
先ほどのステージの近くにククイ博士と太ったおっさんが立っている。祭りで音頭を取りそうな雰囲気だ。
「お、ヨシダくん……とリーリエとハウも一緒だったのか!」
「ククイ博士、そちらの方は?」
ククイ博士に紹介を求めるとおっさんが握手を求めてきた。
「君がエリートトレーナーのヨシダくんですな! わたしの名前はハラ、しまキングをさせていただいております! これからよろしくお願いしますぞ!」
えりぃととれぇなぁ? えりぃととれぇなぁってなんだ?
「えっと……俺がですか?」
混乱して趣旨の明確でない質問をしてしまった。
「そうですぞ! ククイ博士から君がこの島に興味を持っているということを聞きましてな! 是非ともわたしの手伝いをしてもらいたいと思ったのです!」
それに対して鷹揚に頷きつつ自分の手伝いをしろと言ってくるしまキング。
「ククイ博士……これは一体どういうことですか?」
ククイ博士に説明を求めると
「えっ、そんなこと……言ったっけ?」
何もわかっていないというような顔をしている。
なんだ……何なのだこの状況は……
三人が三人とも頭の上に? を浮かべているとハウが切り出した。
「じーちゃん、そういえば俺たち遺跡の橋の前でカプ・コケコに会ったんだよー!」
「なに、それは本当かハウ?」
「ホントだよー。なーリーリエ?」
リーリエが首肯する。
「ホシグモちゃんが襲われて……助けていただきました……」
色々抜けているが良いだろう。それよりもホシグモのことを話して良いのだろうか? そう思って会話の外から見ていると
「そうそう、俺とにーちゃんで助けたんだよ! にーちゃんがホシグモを助けようとして橋が崩れたんだけど、カプ・コケコがピューンって来てズバババーってやってくれたんだ!」
まぁ合ってる。
ククイ博士が視界の端でちょいちょいと手招きをしている。
俺も聞きたいことがある。
「ククイ博士、俺がエリートトレーナーってなんですか? 嘘ついたんですか?」
「いや、ぼくはそんなことは言ってない。多分ハラさんが勘違いしてるんだろう」
「い、いやいやいや困りますって。エリートどころか今はポケモントレーナーですら無いんですよ!?」
「う、うーん、確かにハラさんの仕事の手伝いは無理だよねぇ……分かった。ぼくが誤解を解くよ」
「お願いしますよ!」
ちなみに全部小声である。
そしてククイ博士がハラさんの誤解を解くべく話しかける。
少ししてハラさんとククイ博士の会話は終わった。
ハラさんが近づいてくる。
「ハッハッハ! 申し訳ない! まさかエリートトレーナーと移住者の話を混合してしまっていたとは!」
どうやら誤解は解けたらしい。
「誤解が解けて良かったです。これでポケモンを俺に預けるという話は無かったということに……?」
ホッとして確認すると
「うーん……そうですな。わたしの勘違いに巻き込んでしまったようですし、そういうことになりますな! 改めてほんとうに申し訳ない!」
やった……安寧を勝ち取ったのだ……
完勝の余韻に浸っているとハウが爆弾を投下した。
「そういえばにーちゃんはカプ・コケコから石を貰ってたよね!」
「いや、俺にじゃないってあれは」
「でもなんもしてないリーリエにあげるかなー?」
などとハウが微妙に失礼なことを言うと
「カプ・コケコから石を……ちょっとその石を見せてもらえますかな?」
と言ってハラさんがリーリエからあの石を受け取った。そして少し観察して、ククイ博士と顔を見合わせて頷きあう。
なんであそこだけ通じ合ってるんだ。
そしてハラさんは再びこちらに向き直る。少し硬い表情にも見える
「ヨシダくん……先ほどの話なんだがね。申し訳ないんだが、やはり君にはポケモントレーナーになってもらうことになりそうだ」
ナ、ナンダッテー
訳の分からない俺にククイ博士が補足説明をしてくれる。
「この石をカプ・コケコから授けられることの意味。この島にきたばかりの君には理解できないかもしれない。この石を与えられるということは、カプ・コケコに認められたということだ」
つまり……?
「つまり、君はポケモントレーナーとなってしまめぐりをする必要があるということだ」
……なるほど!
自分なりの解釈を話す。
「ポケモンをゲットして島中を観光すれば良いんですね?」
ハラさんとククイ博士が真顔で首を横に振った。いや、しまめぐりってそういうことでしょう。
ククイ博士は続ける。
「ヨシダくん、しまめぐりというのはアローラの四つの島を巡ってそれぞれの島のしまキング、しまクイーンに認められることで一人前として認められる行事なんだ」
「一人前というのはポケモントレーナーとしてですか?」
しまキングというのはしま最強の称号だったはずだ。
ハードルが高くないだろうか。
「その通りだ。まぁ、いきなりキングやクイーンに挑むわけではないよ。キャプテンが課す試練を乗り越えた者だけが挑戦権を得るのさ」
「でも俺はポケモントレーナーでは無いからやる必要は無いですよねそれ」
「いや、それはかえって危険だ。カプ神は守り神でもあるが同時に荒ぶる神でもある。自分がわざわざ石を授けた君がそれを蹴ったとなればどのような危害を与えるか分からないんだ」
なんというかとんだとばっちりだ。
「ポケモンバトルについても素人なのかい?」
「昔、10歳の頃は流石にトレーナーもやってましたけどね。名残でタイプ相性ぐらいなら多少は分かります」
水は火に強い、俺は料理したことあるから知ってるんだ。
「つまり素人ということか……」
まぁそうなるな。
「しまめぐりは失敗しても特にお咎めは無いんですよね?」
ククイ博士はニカッと笑った。
「ああ!」
なら大丈夫だ。
「分かりました。しまめぐり、やってみることにします」
そう返事を返すと横からハラさんが顔を覗かせた。
「であるならば! ククイ博士に用意してもらった三匹のポケモンのうち一匹を選んでいただきたい!」
「ニャビーはもう俺の相棒だよー!」
ハウがそれに抗議する。
別に奪おうなんて思っていない。
「二匹のうちから選べば良いんですね、ハラさん」
そしてククイ博士に二匹のポケモンを出してもらう。リリィタウンに来る前にも一度見た。しかし名前を知らない。
「えっと名前が分からないんですが」
ククイ博士が説明してくれた。
「こっちがモクロー、くさひこうタイプのポケモン。こっちがアシマリ、水タイプのポケモン。さぁ、どっちを選ぶ! 君の冒険を支えるパートナーだ!」
悩みに悩んで、俺はアシマリを選んだ。
「これからよろしく、アシマリ」
手を差し出すとアシマリはポンと手を乗っけてきた。
こうして俺のしまめぐりは始まった。
──いっちょやってみるか!
ポケモン楽しいなぁ