パラダイス・ロスト Champion of the Earth 作:若奈
「えー今日は突然ですが、転校生を紹介します」
担任にそう言われ、少しびっくりする。
そこには少し茶色がかった髪に鋭い目つきの少年。
「それじゃあ、自己紹介して」
「…タクヤ」
なんだか不愛想な感じだなというのが第一印象。
お前らとは馴れ合いたくねーよ、という雰囲気を醸し出している。
というか、声が小さすぎて苗字聞こえなかった。
「じゃ、じゃあ冴島の後ろの席に座ってね」
私の後ろかよ。
「よろしくね。私は冴島風香」
ウスってな感じで首を縦に振ってくれた。
あれ?でもどこかで…?
でも、まあいっか。
誰とも馴れ合わないぞ、という雰囲気を醸し出しながら、座席に座る。
近寄りがたい雰囲気のせいか、特に会話もなくそのまま昼休みを迎えた。
いつの間にやら、転校生のタクヤはどこかへ消えていた。
「おーい、風香ご飯食べよっ」
友達の友子がいつものように誘ってくる。
そして、後ろの席に座る。
私は後ろに向いてお弁当を広げる。
「ねえねえ、千夏さん帰って来たんだって?」
「あーそうなんだよー。突然帰ってきてビックリした」
「東京行ってから初めてだもんね」
「あれ?何で知ってるの?」
「え、あ、なんか近所の人が見かけたって、お母さんが言ってた」
あのカッコは目立つよねと思いつつ。
田舎特有の情報網だな…
早紀ねぇはそういうところとかが嫌って言ってたなぁ…
「てかさ、この時期に転校生ってかなり珍しくない?」
そう言われてみればそうだ。
高校一年生の7月の夏休み突入する直前という、正直意味の分からない時期。
高校生になって3か月しか経ってないし。
「なにかやらかしたのかな?」
「んー。若干不良っぽいのかもね?」
「お前らには関係ねーよ」
ビクッと友子と一緒に肩を震わせる。
「あ、ごめんね」
友子は席の持ち主が帰って来たことによって、席を返さなければいけない。
「昼休み終わるまで、席を外すから座っててもいいぞ」
「あっ、まっ…」
一言謝罪を入れようとするが、席の持ち主はそそくさと立ち去っていった。
その後は放課後までまたもや特に会話はなかった。
「ん~…終わったー」
「おーい。タクヤ君」
「なんだよ?」
「さっきのお詫びに校内案内してあげよっか?」
「いや、いらねぇよ」
「えーいいじゃんーせっかくなんだからさ!」
「えっちょ…」
嫌がる素振りを見せるタクヤを半ば強引に腕を引っ張り、校内を引きずり回すようにあちこちと巡りまわる。
教室に戻ってきた頃には日が傾き、教室を茜色に染めていた。
「あー終わっちゃったね…」
「もう、下校時間過ぎそうだよー友子、張り切りすぎ」
「ごめんごめん」
ペロッと舌を出して謝るお茶目な一面を持っている。
「タクヤ君も友子がごめんね」
「いや、いいよ。俺友達とか作るの苦手だし、いい経験になった」
恥ずかしそうに頬を少し掻くタクヤ。
「友達か…」
「?どうしたの?」
少し意味ありげに言う友子に風香は恐らくそうであろうと、
「ま、友達からでもいいんじゃない?」
そっと、小声で言う。
「そ、そんなんじゃないよ!」
「ん?どうした」
「いや!何でもないから!じゃあ、私帰るね!」
「あ、ちょっと友子!」
頬を染めた友子は嵐のように去っていく。
残された二人。
「それじゃっ、帰ろうか?」
「ああ」
to be continued…
タクヤ!
巧じゃないよ( *´艸`)
恋が始まる予感??
あれ?これラブコメだっけ??
次回もお楽しみに~