パラダイス・ロスト Champion of the Earth 作:若奈
「オルフェノク!!」
タクヤくんはとっさにそう叫ぶ。
それと同時にグイっとタクヤくんに腕を引っ張られる。
「痛っ」
ドスンと尻もちをつく。
「悪い。後で謝る」
そういうと、カバンからガチャガチャと何かを取り出し腰に巻き付ける。
二つ折りのガラケーみたいなものを3回プッシュし、
「変身!!」
それを腰に巻いたベルトのようなものに装着。
タクヤくんの身体が光に包まれる。
そこにいたのは戦隊ヒーローとでもいうのか、そういった存在が立っている。
『ファイズ…ベルトをよこせ!』
街灯に照らされた怪物の影が青白く発光し、友子の裸体が投影されるかのように映し出す。
ファイズと呼ばれた存在。
もとい、タクヤくんはそれに反応せずに先制攻撃をする。
バチンっと火花を散らすかのようにパンチを繰り出すが、怪物も一筋縄ではいかない。
防戦の一方だった。
一瞬のスキをついてファイズに蹴りをかます。
それでも、ファイズには効いてはいない様子。
怪物はそれに驚いたのか一瞬たじろぐ。
そこからは呆気なかった。
怪物の下腹部に3つの矢のようなものが絡み合った紋様があるのを見て取れる。
ファイズは重い一撃をそこへパンチとして繰り出す。
『うっ…』
怪物は一瞬うめき声をあげたかと思うと、背後の街灯に直撃する。
反動で、街灯は少し斜めに折れ曲がる。
直撃した怪物はそこから1秒もなかった。
青い炎をあげたかと思うと、苦しそうなうめき声をあげながら、サラサラーっと灰となって崩れ去った。
気が付くとファイズと呼ばれた存在はそこになく、ベルトをギュッと片手で握りしめたタクヤが立っていた。
「タクヤくん…」
そう一言絞り出すのがやっとだった。
「おい、冴島」
「なっ、何?」
「ごめん。それと、約束守れるか?」
「え、う…うん」
「なら、今のことは誰にも話すな。それと忘れろ」
「忘れろって、無理だよ!友子は?友子はどこに行ったのよ!!」
気付けば、タクヤの胸ぐらを掴んでいた。
タクヤは涙目になりながら自分のことを掴んでくる少女の顔を見れなかったのだ。
まあ無理もない。
その少女の親友の命を消してしまったのだから。
うっ、うっ、と涙を流し始めた少女にどう答えたらいいのか分からない。
タクヤ自身、幾度となく戦いに身を投じてきた。
それ故、この少女を巻き込みたくなかった。
「わりぃ…今はそれしか言えないんだ」
「今はそれだけって…」
「今日はもう遅い。明日放課後に時間あるか?うちに来い。話す。それでいいか?」
「…うん」
風香はコクっ頷く。
「じゃあな」
それだけを言うとタクヤはスタスタと、自分の家があるであろう方向に歩き出した。
風香はタクヤの姿が小さくなると、急に一人になった心細さと恐怖心からすぐにその場を後にする。
家に帰ってからも、頭の中がもやもやする。
明日になれば分かるのだろうけど、今日あったことを忘れろだなんて絶対に無理だ。
親友が化け物になって襲ってくる。
都市伝説は本当だったの?
友子…生きてるよね?
もう、グシャグシャになりそうな思考で頭はパンク寸前だった。
そうして、考えているうちに強制的なシャットダウンかのように眠りについていたのであった。
to be continued…
タクヤなに一人にさせてんだよと思いつつw
友子ー!なぜだ・・・
とまあ何も知らない風香ちゃんはこれからどうなっていくのか。
知らずに生きていくのか、タクヤと共にするのか・・・
それとも・・・
さて、いろいろ展開が思いつきそうですが、今日はこの辺で。
次回もよろしくお願いします。