パラダイス・ロスト Champion of the Earth   作:若奈

16 / 17
10話

「あら、そう。友子ちゃんファイズにやられたのね。あなたもこちらに戻ってきていいわよ。ああ、それとあれは回収しといてね」

 

携帯電話を切る。

 

「ファイズはやはりこの町に?」

「そうみたい。私を追ってきたのかしら?」

「後始末は楽そうね。ご家族はすでに友子ちゃんに処分してもらっているし」

「ベルトはどうするのですか?」

「うーん。この町はもう用済みかなー?東京に戻ろうかしら」

「ファイズを野放しにするのですか?」

「まっ、無駄に戦って、せっかく手に入れた戦力を減らすのもね」

「確かにそうですね」

 

町はずれにある教会の一室。

露出のある女性とシスターが会話をしている。

 

ぱっと見れば、露出のある女性が懺悔しに来たのだろうかとも思える一面だが、なにやらそうではなさそうだ。

 

 

「この数週間で行方不明者は50人以上か…」

「そろそろ隠し切れませんね」

「この女も用済みかな?」

 

椅子に縛られたエージェントの女性。

 

「あんたたちになんか屈しない!」

「ふぅーん。ふふ。これはまだ序章の序章よ。これからもっと面白いことになるよ」

「そんなことはさせない!」

「ファイズの秘密を教えてもらいたかったけど、もういいや」

 

パチンと指を鳴らす。

 

バン

 

ドアが開く。

 

部屋に入ってきたものはおおよそ人間の形をしていない。

灰色の大きな鎧を身に纏ったような存在。

 

「くっ」

 

エージェントの女は苦虫を潰したような顔を見せる。

 

「最後に聞きますが、こちら側へ来ませんか?」

「行くわけないでしょ!」

「そうですか…では、おやりなさい」

 

シスターの一言が合図となり怪物は椅子に縛られている女性に襲い掛かる。

 

突進を喰らう。

 

弾みで木製でできた背もたれが破壊される。

エージェントの女は瞬時に両腕を拘束されている縄から脱する。

 

駆け出し、教会の本堂へ向かう。

 

クルっと振り返り、銃を構える。

 

「ふん。そんなの効かないのわかってるでしょ?」

「戦いたければ同じ姿で戦いなさい」

 

「嫌だ!!私は人間だ!」

「ふふ。お馬鹿さん」

 

叫ぶ女に一瞬奇怪な模様が浮かび上がるが、すぐに消える。

 

そして、

 

パン!

 

乾いた音が鳴る。

 

怪物に向けて銃弾を発砲したのだ。

 

パン!パン!パン!

 

全弾とも怪物に命中するも、鎧のような表皮が全て弾く。

 

「くっ…」

 

分かっていたことだが、いざ目の当たりにすると現状を理解するのにも十分すぎるほどだ。

 

『ぐぉおおおおお』

 

「シスター帰ったよー?」

 

雄たけびを上げる怪物をよそに後ろから声がする。

 

そこにはシスターと呼ばれる女と同じように修道服を身に纏った少女がいた。

 

「なになに?おもしろそうじゃん!」

 

修道服の少女は嫌な空気を纏うと、異形の鎧を身に纏った。

 

『これ、もういいの?』

 

「ええ」

 

『それじゃあ、おやすみっ』

 

異形の怪物は女にのしかかると、烈火のごとくパンチを繰り出す。

 

『いぇーい、ふぉーお、てぇーい』

 

奇声を発しながら全力でパンチを繰り返す。

 

『ふぅ…』

 

事を済ませたように怪物が天を仰ぐような仕草を見せると、嫌な空気が振り払われる。

 

灰色の異形がいた場所には元の修道女がいるだけだった。

そして、エージェントの女は人間の形を成していない、肉塊へと変わり果ていた。

 

やがて、肉塊は青く淡い炎をあげ、灰と化し、女の痕跡を全く消し去った。

 

to be continued…




エージェントの女は何オルフェノクだったんでしょうね?
こういった、正体不明ってのが割と出てくるかもです…

何とか今月も4話投稿完了です。
ギリギリだけど(;'∀')

多分いつか、加筆修正すると思います(;'∀')

この章ももう少し続く予定なので、よろしくお願いします。
基本的に章が変わると、時代や場面が変わるといった感じです。

では、次回にまたお会いしましょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。