覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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雄英へ

無事合格する事が出来た進志、それを我が事のように喜ぶ両親に進志は苦笑いを浮かべていたが直後に百とその両親もやって来て自分の合格を祝うパーティを開くという騒ぎに発展しそうになった。ただのパーティなら良かったのだが……八百万家の親戚を集めた大大的なパーティを行おうという話に発展しそうだったので進志は大慌てでそれを止めた。それに酷く不満そうな百だったが進志が一言

 

「俺としてはこの家で出来る大きさで二つの家族が一緒に楽しめるぐらいのが良いんだけどなぁ……」

 

というと百は

 

「進志さんがそう言うならば致し方ありませんわね!!」

 

と手のひらを返した、これには百の両親も進志の両親も肩を竦めながら笑っていた。それでも素材やらは最上級品ばかりのパーティだったのだが八百万家の豪邸でパーティをされるよりも遥かに気持ちが楽だったので良しとしよう。因みに進志が合格したという事に対して一番安堵していたのは学校側であった事は言うまでもないだろう。百の両親は娘がそうしたいのならばそうさせるかっと割と乗り気だったので、進志が合格したことに対して本気で安堵している。

 

『首席で合格ってマジで凄っ……なんかアタシが勉強に詰まったら頼るから宜しく!』

 

と自分の合格を一佳にも報告したのだが、一佳も無事に合格したらしく満面の笑みを撮影した写メが返ってきた。そんな彼女の笑顔に笑みを溢し、彼女と雄英で出会う事を楽しみにするのであった。そして―――遂に雄英へと登校する春が、その日が訪れたのあった。

 

「百待たせたかな」

「いえ私も先ほど来たばかりです、寧ろ少し約束よりも早いのではありませんか?」

「それを言うなら百はもっと早いじゃないか」

 

二人は駅前の時計台がある噴水広場にて待ち合わせを行っていた。お互いに思わず笑みを溢しあいながらも談笑をする二人、そんな二人はお似合いのカップルと思われているのか周囲からの視線を多く集めている。視線を集める理由はカップルだからというだけではない、二人が纏っている制服が天下の雄英の制服だからでもある。雄英高校は超が付くほどの名門、そんな制服を纏った二人そろっている事が注目を集める要因にもなっている。

 

「さてと……行くか」

「はいっ進志さん♪」

 

ダンスパートナーへと手を差し出しリードするように、そっとやんわりと差し出す進志とそれを笑みを浮かべながら弾むような声で応えながら手を取る百。二人は手を繋ぎながら共に歩きだして行く。手を繋ぐのは百が安心するからという理由から、出来る限り進志の温もりを感じていたいという彼女の要望を応えるように、進志は百に歩幅を合わせて歩き出していく。

 

「雄英か……どんな授業があるんだろうな」

「個性を生かしたものが多いのでしょうか……皆さんそのような事を多く言っておられましたが、ですが進志さんならばどのような授業でも完璧にこなせますわ♪」

「ありがとな。でもそれは百だろ、推薦枠の特待生のお嬢様」

 

そんなからかいを含んだ言い回しを受ける百だが彼女の表情には笑顔が張り付いているだけであった。彼女にとっては今こうしていられる瞬間こそが幸せでいたしかないのである。

 

「(進志さんと一緒にいられる……ぁぁっなんて、なんて幸せなのでしょうか……こうして居られるだけで雄英に受かった甲斐がありました……)」

 

中学時代、一緒に登校するには二人の家は学校を挟んだかのような位置関係にあったので一緒に登校するという機会がなかった。故の必然として学校で会うという機会しかなかったのだが、これからは登下校を共にできるという事実が彼女の胸の中を満たしていく。以前母から貸してもらった少女漫画にもあった流れを出来た事に感動すら覚えている。そんな彼女だが、表情自体は笑顔だが内面では周囲の気配と進志の左側をひどく警戒していた。

 

「(浮かれてばかりはいられませんわ、私は進志さんの目なのです。進志さんが危険な目に合わぬように細心の注意を払わなければ……近づいてくる通行人、建物の影、あらゆる場所に注意を……)」

 

と進志に約束した目としての役割を果たそうとしていたのであるが……如何にもそれが過剰というべきか、やり過ぎなレベルで周囲を警戒している。不意に他の学校の女子生徒が進志を見ただけで、そちらに殺気を込めて視線を送る。その女子生徒は急な寒気と嫌な予感を感じて、その場を大急ぎで立ち去り百はそれを見て鼻を鳴らす。

 

「(……あのような者が進志さんを見る事など許されません。下心があったに違いありませんわ……近くによるなど更に許しません……いざという時はこの制服のネクタイに仕込んだ超小型カメラで顔を撮影、そこから住所を特定して個人へと制裁を……)」

「百、なんか顔が固いけどどうした?」

「いえっ雄英での進志さんとの学生生活がどのようになるのか、少し想像しておりました♪」

 

進志に声を掛けられた瞬間に柔らかな声になり、心象も一気に穏やかとなった。女性は恐ろしくも美しい魔性の姿を持っていると言われるものなのだが……彼女の場合は魔性では済まないのかもしれない。

 

 

 

 

「(ご安心ください進志さん、この八百万 百が必ず―――貴方を御守りして見せますので……)」

 

 

その時、彼女の表情を偶然見てしまった少女は顔面蒼白となった。三日月のように歪んだ口に影が入った表情に闇のような瞳……。あれは見てはいけなかったものだと思い、何とか忘れようと努力するのであった。




なんか、しっかりヤンデレできるが不安になってきた……。

この作品のヒロインの行方は?

  • 八百万 百 (ヒロイン一人固定)
  • もう一人もいる
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