覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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アンケートは今話までとさせていただきますのでご了承ください。


戦闘服とヒーロー基礎学

昼休みも終わり、いよいよ午後の授業が始まろうとしていた。一体どのような授業が待っているのかと皆が期待に胸を膨らませている中で遂にその時がやっていた。そして―――扉が力強く開け放たれた。そこから入ってきたのは……

 

「わぁあたぁあしぃぃがっ!!!普通にドアから来たぁっっ!!!」

 

筋骨隆々の強靭で完璧と言っていい程に鍛え上げられた肉体、平和の象徴、皆が憧れる№1ヒーローのオールマイトだった。進志も大好き且つ大ファンである現代の大英雄とも言うべき超ビックネーム。オールマイトがデビューしてからというもの日本の犯罪発生率はどんどん下がり、世界最低レベルを保持し続けているほどの影響を誇る。そんなヒーローが教師として教鞭をとり自分達を見てくれる……これに興奮せずにどうしろというのだろうか。

 

「本当にオールマイトだ!!マジで教師やってるんだぁ!!」

「今着てるのは……銀時代のコスチュームみたいね」

 

つまり午後からのヒーロー基礎学はあのオールマイトからの授業となるのだからこれを興奮せずしてどうしろと言うのだろうか、重要な事なので二回言っておく。

 

「さてでは早速行こうか!!午後の授業は私が受け持つ、そしてそれはヒーロー基礎学!!少年少女たちが目指すヒーローとして土台、素地を作る為に様々な訓練を行う科目だ!!正にヒーローになる為には必須とも言える!!単位数も多いから気を付けたまえ!!そぉして、早速今日はこれ、戦闘訓練!!!」

 

その手に持ったプレートには「BATTLE」と書かれている。いきなり始まるそれに、好戦的且つ野心家な生徒達はメラメラと炎を燃やす。それと同時にオールマイトが指を鳴らすと教室の壁が稼動をし始めていく。そこに納められているは各自が入学前に雄英へと向けて提出した書類を基に専属の会社が制作してくれた戦闘服(コスチューム)

 

「着替えたら各自、グラウンドβに集合するように。遅刻はなしで頼むぞ」

『ハイッ!!』

 

各自は勢いよく自分のコスチュームが入った収納ケースを手に取ると我先にと更衣室へと向かっていった。そこにあるのは自分が思い描いた自らがヒーローである姿を象徴すると言ってもいい戦闘服、それをプロが自分たちの為に制作してくれるなど興奮して致し方ない。

 

「―――形から入るってことも大切なことだぜ少年少女諸君、そして自覚するのさ!!今日から自分は"ヒーローなんだ"と!!!」

 

それぞれが希望したコスチュームを纏い、皆がグラウンドβへと集結する。皆それぞれの個性が生かせるかのような物、又は苦手な分野をカバーする物になっており正に個性が出ていると言ってもいい。そんな中でもある意味異色な事になっているのは進志だろう。彼が纏っているのは緑系のカーキの上下に肩から黒いマントのように掛けられている黒いロングコート、そして黒く鋭角さがある帽子。コスチュームというよりも軍人の軍服(それ)に近いものがある。

 

「進志君の凄いカッコいいね!!なんか、軍服みたい!!」

「まあかなり意識してるからな」

「でもなんでそんな感じに?」

「ちょっとな、これが一番だと思ったんだよ」

 

彼がこのようなものにしたのは理由がある、彼にとってのオリジンは紛れもなく京兆との戦いだった。あれこそ自分が本気で誰かを守りたい、守る為に戦うと決めて前に進んだ始まりだった。そんなものを永遠に胸に止めておく為の軍服のようなデザインのコスチュームなのである。それを察しているのか百も頷いている……が。

 

「……百、お前もうちょっとコスチューム何とかならなかったのか?」

「いえこれでもかなり露出が抑えられているんです」

「……俺のロングコート羽織っててくれ、刺激が強い」

 

そう言ってロングコートを彼女に掛けるのだが、百のコスチュームは相当にやばい。隠れているのは身体の上半身の一部、強いて言うならば胸は確り隠れているレベルでやばい。同じコスチュームのヤバさでは葉隠という手袋と靴のみというのもあるが、彼女は透明人間なのであまり問題にはならない。意識するとやばいが……。百の場合は創造を使う場合は素肌から物を出すので肌を多く出しておく必要がある……そうだとしても男としてはいろいろと刺激が強い。

 

「傍立君って紳士だね~!!」

「流石にこれはヤバいからなぁ……悪いな葉隠さん、そっちを優先するべきかもしれんけど」

「ううんいいのいいの。私は透明だから気にならないでしょ、手袋と靴だけど」

「……なあそれ、全身纏うタイプの光学迷彩系か個性と同調する系って希望出せば良かったんじゃ……」

「……あっ確かにそうじゃん!!?」

 

この数日後、葉隠は早速コスチュームの改善願を出す事になるのだが、それはまた別のお話である。

 

「なんだよお前なんでコート渡しちまうんだよ!!?あの魅惑のボディ見たくねぇのかよそれでも男か!!?」

 

そんな彼に一人の少年が食って掛かった、頭にブドウのような紫の球を付けている峰田であった。彼としてはあの魅惑のヤオモモボディを目に焼き付けたかったのだろう、それを隠すような行動をした進志に文句を言う。

 

「男云々以前にモラルの問題だ。というか俺はあいつのは割と見慣れてる、それでも気まずいが」

「ハッ……?おいそれどういう……」

「オールマイトの説明が始まるな」

「おい待て話は終わってないぞ!!?」

 

そう言って追いかけてくる峰田を振り切りながらも進志はロングコートを羽織っている百を見て少し頬を赤らめながら帽子を目深に被った。

 

「(……あんまり見てほしくもないしな)」

この作品のヒロインの行方は?

  • 八百万 百 (ヒロイン一人固定)
  • もう一人もいる

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