覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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友人との一時

「やはり進志さんは物知りですわ。私も様々な授業を受けておりますがそれよりもずっと物事を知っておりますわ」

「百だって色んな事を知ってるじゃないか、これから色んな事を知っていけば自ずと俺よりもずっと物知りになるさ。ぶっちゃけ俺よりずっと優秀だし」

 

母からの言葉を受けて家へと遊びに来た八百万 百。彼女は自分が記憶を取り戻す前からの友人でかなり仲良くしていたらしい。それも両親が仲良しだったのが理由だが、どちらにしろ彼女が救急車を呼んでくれなければ自分はこの世にいなかったのかもしれないことを考えると恐ろしくてしょうがない。彼女には感謝してもしきれない。しかも記憶を取り戻してからも別段気味悪がることもなく対等な関係として付き合いを続けてくれているのは有難い。

 

「進志さん、個性の方はいかがですか。まだ、その使えませんか……?」

 

百は突如として聞きづらそうにしながらも不安そうに聞いてくる。そう、今までの傍立 進志は個性を使う事が出来なかった。個性は持っていたのだが使い方が分からずに如何にも使えなかったのである。両親のどちらの個性が受け継がれているのかもわからないが、どちらも強くイメージを必要とするものだったらしく個性を発動できていなかったらしい。結果として自分には"幽波紋"という個性があったのだが。

 

「ああっ遂に使えるようになったよ」

「ほ、本当なのですか!?おめでとうございます!!」

 

先程までの不安そうな表情から一転して花が咲いたかのような明るい笑みへとなった百はまるで我が事のように喜びながら祝福をしてくれる。

 

「あれほどに努力なさっておりましたものね、遂にその努力は実を結んだのですね!!」

「ああっやっとね。さっさと使えるようになっていれば百に色々と心配かけなかったんだけどな」

「兎に角良かったですわ!あ、あのどのような個性なのですか!?」

「ああっ今見せるよ」

 

目を煌めかせながらこちらに熱い視線を投げかけてくる百に少し笑いながら肩を竦め、軽く息を吐きながら意識を集中しながら自らの背後のスティッキィ・フィンガーズを出現させる……が如何にも百の反応が悪いというか、全く反応を見せない。スタンドはやはりスタンド使いではないと見る事が出来ないのだろうか。

 

「う~ん何がいいかな……なんか厚みがあるものってあったかな」

「何か必要なのですか?それなら私がお創りしますわ」

 

そういうと百はある程度の厚みがある木の板のようなものを服の下から取り出した。彼女は"創造"という個性を持っている。体内の脂質を変換して生物以外であれば有機物、無機物問わず、何でも生み出せる個性でそれを利用して木の板を生み出したのである。

 

「うし、それじゃあ行くぞ」

「はいっ!」

 

ワクワクドキドキしている百の視線を受けながらその板へと触れる進志。同時にスティッキィ・フィンガーズもそれに触れて能力を発動しジッパーを設置する。それが開いていき板は真っ二つに分離した。それを見た百は興奮したように声を上げながら二つになった板を手に持った。

 

「凄いですわっ板が二つに分かれましたわ!!ジッパーのようなものを設置する事が出来る個性なのですね!!」

「簡単に言うとそういう事になるな」

「実は中にはチタン合金を入れていたのですが、それを全く無視するように二つに分かれていますわね!!」

「んなもん入れてたのかよ……」

 

予想外な事に驚きつつも彼自身もしっかりと能力が発動させ、問題なくジッパーが動き板を分けたことに安心感を抱いていた。そして分かれた板はジッパーで接続も出来る事が出来た。

 

「このジッパーは設置した物の硬さなどを完全に無視するのですか?」

「色々試してるけど現状そんな感じだな。扉とか壁にもやってみたけどジッパーが付けば開くし多分、硬さとか厚さとかは関係ないんじゃないかな」

「それは本当にすごい個性ですわね!!簡単に考えるだけでも本当に色々な使い方が思いつきますわ!」

 

それには進志も同様だった。スティッキィ・フィンガーズの強みはこのジッパーの汎用性によるものだと思っている。ジッパーは他にもジッパー先の物体内部に空間を作り出すという事も出来る。ジッパーで物体を切断、ジッパー内部に物を隠す、行き止まりに道を作るなどなど簡単に様々な使い方が思い浮かんでくる。

 

「本当にいい個性ですわね、良かったですね進志さん!」

「ああ全くだな」

「あっそういえば私、ある物をお渡ししようと思っておりました事をすっかり忘れておりました!!」

 

百は持ってきていたバックから封筒のようなものを取り出すとそれを進志へと差し出した。手触りの良い封筒には何やらパーティの招待状のような文章が書かれている。

 

「実はご親戚のパーティの招待状が来たのです。ぜひご友人も一緒にとの事でしたので、進志さんいかがでしょうか?」

「パーティねぇ……俺なんか行って大丈夫かな……マナーとかあんまり分かんないぞ俺」

「大丈夫です、ご親戚とその友人が集まるホームパーティーのようなだから無礼講だとお父様が言っておりました」

「それなら……行ってみよう、かな?」

 

この時、進志は思いもしなかった。これが、彼の運命を大きく捻じ曲げてしまう出来事が起こるなど。

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