雄英バリアを突破したマスコミの一件は、雄英が抗議をするだけでは済まずその後に正式にニュースに取り上げられ大々的に広まる事になっていた。昨今問題になっているマスコミの個性機密使用、プロヒーローに対する無理やり且つ強引な取材などが一気に浮き彫りになっていく。侵入したマスコミなどは一気に糾弾されて社会的に死亡に近い状況になっているとニュースで見て進志はざまぁとテレビを見ながら珈琲を啜っていた。
そんな一件もあったから、それ以降は校門前に殺到するマスコミなどは存在しなくなり生徒たちはリラックスして登校出来るようになったのであった。そんなある日、午後のヒーロー基礎学の時間になった時に相澤が今日の授業内容について話し始めた。
「今日のヒーロー基礎学は俺ともう一人も含めての三人体制で教える事になった。授業内容は
人を助けるための授業、ある種ヒーローの本懐ともいえる授業に皆のテンションも上がっていく。相澤はコスチュームを出すと訓練場は少し遠いからバスに乗るので早く来るようにと言うとさっさと教室から出て行ってしまった。当然進志は迷う事も無くコスチュームを手に取った。
「進志君もコスチューム着るんだね」
「ああっ。俺のコスチュームは純粋な防御特化型、熱や電気に対する耐性だけじゃなくて衝撃や斬撃に対する耐性もある」
「こういった場には持って来いって訳だね」
共にコスチュームを着替える出久は矢張り軍服っぽい進志のコスチュームはヒーローとしてはある意味異色だなぁとも思いながら、片目を隠し続けている眼帯へと視線が行ってしまった。聞いてみたい気持ちもあるのだが気分を害してしまうかもと思って言葉を飲み込んだ時の事、A組が誇るエロブドウこと峰田がそれを突っ込んだ。
「なぁ傍立、お前なんで眼帯なんかしてんだ?」
「あっそれ俺も気になってた」
「片目に悪魔を隠すためか?」
とそれに続くかのように戦闘訓練の関係で仲良くなった上鳴、そして黒いコスチュームに身を包んでいる常闇も同じように言葉を並べた。常闇は中二病的な言い回しをするのでその関連だろう、眼帯と言えば一度は憧れるアイテムでもあるし。
「昔ちょっと事故にあってな、それで付けてんだ。まあ眼帯はカッコいいから俺としては良いけどな」
「……俺もその意見には同意だ」
「分かってくれるか常闇」
「無論」
ガッシリと握手を交わす二人、何やら友情のようなものが生まれた瞬間であった。矢張り男の心にはいつでもそう言った炎が灯り続けているという事なのだろう。因みにカッコいいという言葉には
「こういうタイプだったのか……」
「意味なかったね……で、でも前もっての練習にはなったとは思うよ飯田君」
と落ち込む飯田。委員長へと無事就任した彼の主導の下で出席番号順に席へ着いたのだが、後部はよくあるの二人分の座席、しかし飯田達が座っている中部から前部は左右に座席があって向かい合うタイプだったの出席番号順というのはあまり意味をなさなかった。それをフォローする出久の言葉を受けて、次に活かそうとなんとか持ち直すのであった。
「私、思った事は口に出しちゃうの。緑谷ちゃん」
「えっあっはい!……えっと蛙吹さん!?」
「梅雨ちゃんと呼んで」
「え、えっと努力します……」
「あなたの個性――オールマイトに似てるわね?」
出久は女子と関係をあまり持ってこなかったのか慣れない女子との一対一の会話に狼狽えていると彼女、梅雨ちゃんから言われた言葉に一瞬肝が冷えたかのような感覚を味わいながらも、必死に心を落ち着けながら自分に個性について話し出す。
「そ、そうかなぁ!?そう言って貰えると嬉しいけど僕の個性はオールマイトみたいに凄くないよ」
「そうだぜ梅雨ちゃん、オールマイトは怪我なんてしないぜ」
「うん。僕の個性は人間が無意識にかけてる身体のリミッターを外す力なんだけど、まだリミッターをどの位でリミッターを外すかが上手くコントロール出来ないんだ」
「それって結構難儀だよなぁ。リミッター解除って結構カッコいいけど、ミスると大ダメージだろ?リスキーだなぁ~」
と言った風に周りから言葉が掛けられながらも少しずつここでそのレベルを覚えていったりしたらいいと言われたりして嬉しく思う出久であった。そんな個性の話から派生したのか個性の派手さと強さの話へとなっていった。
「派手で強いって言ったらやっぱり轟と爆豪だよなぁ!!」
「俺の帯電も派手って言ったら派手だけど、結構使いにくいからなぁこれ」
「でも私は傍立ちゃんの個性も結構派手なんじゃないかなって思ったりするわ」
爆破の爆豪、半冷半燃の焦凍。派手さと強さで言えばこの二人のツートップなのではないかという言葉が多い中で進志も結構派手なのではないかという意見が出た。
「そうかぁ?爆破とビル丸ごと凍らせるのと比べたら随分地味な気もするんだが……」
「でも自分の腕にジッパーを付けて延長したりするなんて普通は思いつかないと思うわよ?下手したら千切れるかもしれないって怖くもなるのに、それを全然恐れずに出来るんだからやっぱりすごいと思うわ。それに腕が飛ぶっていうのは派手よ傍立ちゃん」
梅雨ちゃんの言葉を受けて皆も確かにそうだなっと同調する流れが出来たのか、このクラスの中だとこの三人の三強だという事が決められた。それなら百も入るんじゃねぇのかと言おうとした進志だったが、相澤がもう着くから静かにしろという言葉で鎮静化させられてしまったので、言い出せなくなった。救助訓練の会場となる場に到着してバスから降りていき、相澤引率の元、中へと入って行くとそこにあったのは驚きの光景だった。そして思わず口を揃えて言ってしまった。
『USJかよ!!?』
「水難事故、土砂災害、火事、
『本当にUSJだった……!?』
そんな言葉を漏らしながら登場したのは宇宙服のような戦闘服を纏っている一人の教師であった。スペースヒーロー 13号。宇宙服に似ているコスチュームを着用している為に素顔は見えないが、災害救助の場で大きな活躍をしているヒーローの一人だった。そんな13号は言いたい事があるらしく、言葉を綴った。
「え~っとごほん……皆さんご存知だと思いますが、僕の個性はブラックホール。あらゆるものを吸い込み全てをチリにする事が出来ます。災害現場ではそれで瓦礫などをチリにして人命救助を行っております。……ですが同時に、一歩間違えば簡単に“人”を殺せる個性です」
人を殺せるという言葉に皆が身体を固くする。自分が普通に使える事が人を殺すという言葉に恐怖を一瞬覚えた。
「今の世の中は個性の使用を資格制にして規制を行う事で成り立っている様に見えます。しかし、個性は一歩間違えれば安易に命を奪える事を忘れてはいけません。この中にもそんな個性を持っている人もいる事でしょう」
相澤の体力テストで己の先を、可能性を知り、オールマイトの実戦演習でその可能性を含め、それの活用と人へと振りかざす危険性を。
「そして……この授業では皆さんの力を人命救助に生かすのかを学んでいきましょう。君達の個性が他者を傷付けるだけのものではない。その事を学んで帰ってください、以上です」
丁寧な挨拶そしてこれから自分たちが真内で行くものの重要性、それらを教えてくれた13号へ対して声援が響いていく。そしていよいよ本格的に授業が始まろうとしたのだが……その時である。
世界に蔓延る悪意と敵意が、彼らへと迫る。