「しかしこれは驚きだな……切断されているというのに血が一滴も出ていないなんて……」
進志が脳無を完全に無力化した直後、USJに大勢の先生たちがやってきた。飯田が何とか脱出に成功し救援を求めたのである。その先陣としてオールマイトがやって来てあらかたのヴィランを無力化する様は正に圧巻と言える光景。そしてそんな中で進志が無力化した脳無を先生たちが囲みながら警察が来るまで改めて拘束用の鎖で縛りながら脳無を調べている。
「両腕両足は間違いなく身体から切断されているのに、神経は完全に通っていて動いている。本当に不思議な個性ね……」
「それもあるがこの脳無……だったか、こいつも相当なレベルで異常だろうな。此処までやられて動かないっていうのは100歩譲って理解出来る、何をして何の反応も返さないのはおかしい。正しく無思考状態だ」
達磨になっている上で鎖で完全に拘束されている脳無を見ながら話をするミッドナイトにブラドキング、出久などの話ではこれが対平和の象徴の切り札という話である事らしいが人間というよりも完全な生体兵器という印象を強く受ける。
「ケロケロッ先生達、傍立ちゃんが水難ゾーンに飛ばしたっていう奴の腕を拾って来たわ」
「ごめんなさいね梅雨ちゃん、態々やって貰っちゃって」
「いいえ水中ならお手の物だから。それじゃあ先生、アタシはゲート前に行くわね」
「ええっ後はゆっくり休んで頂戴」
梅雨ちゃん協力の下でこれで脳無の全てのパーツが揃った事になるが、改めて脳無とその各部を見てみるとジッパーの先には空間が広がっておりそれ以上は何もない。進志曰く、ジッパーを設置する時にただ切断するのか空間を生み出せるのかを選べるらしい。それを応用して相手をバラバラにして無力化出来る、確かにこれは対平和の象徴だとしても倒す事が出来る。
「だけど進志君が倒せたのも上鳴君が弱らせたからなのよね、彼は大丈夫なのかしら?」
「リカバリーガールの話では限界を超えた放電で身体に負荷が掛かり過ぎて気絶しただけらしい、今はもう起きているらしい」
「そう……とにかく怪我がなくてよかったけど、進志君には話をした方が良いでしょうね」
「ソレハ我モ賛成ダ」
エクトプラズムが死柄木が連れてきたチンピラ同然のヴィランたちを拘束、連行しながら声を上げた。
「彼ハ以前ト同ジクヒーローガ来ル前ニヴィランヲ打倒シタ。大人シク話ヲ聞イテクレルカハ分カランガ、説教ニセヨ褒メルニセヨ、対話ハ必要ダ」
「彼の状況判断は正しいともいえるが……あまりにも危険すぎるからな、説教は必要だろう」
「あらっそう?私は凄い正しい判断だと思うし最善の一手だと思うわ、彼からしたら私たちが来るなんて分からなかっただろうし」
といった風に教師間でも進志の行動の評価はかなり割れているらしく、ヒーローとして勇敢で正しいと褒めてこれからもその心を忘れないでほしいという派閥とまだ自分たちが守るべき子供で死ぬかもしれなかったのだからあまりにも短慮すぎる行動だという派閥もある。ミッドナイトは褒めるべき、ブラドキングは評価こそはするが矢張り説教はすべきだと思っている。
「それにしても本当にいいわよねぇ……私、ああいう子大好物なのよねぇ……♡」
「お、おいミッドナイト……お前まさか……」
「あらっ冗談よ?流石に教え子に手は出さないわよ、同年代だったらアタックしてたけど」
「勘弁シテヤレ……」
とブラドキングとエクトプラズムは進志の行く先を色んな意味で心配しつつ、当時の状況などを聞きつつも簡単な説教位はしようと決めながらゲート前へと移動するのだが……そこである意味言葉を失った。
「ですから如何してすぐにお引きにならなかったのですかとお聞きしているんです!?」
「いやだから一人ぐらいは残って、あの脳無を抑える足止めが必要で……」
「だとしてもどれだけ危険だったのかをご理解しているんですか!!?一歩間違えたら死んでいたかもしれないんですよ!!?」
大声を出しながら激怒している百とそんな彼女に気押されているのか正座しながら顔を青くして震えている進志の姿があった。
「状況を判断した上だとしても私たちが緑谷さん達が来た時にどれだけ不安に駆られたのか分かっているんですか!!?剰えあのオールマイト先生対策に連れてこられたヴィランと戦ったなんて信じられません!!」
「い、いやそれは電気のおかげで勝てるって確信が……」
「だまらっしゃい!!例え勝利する可能性あったとしても、負ける可能性だって同じだけあったことを理解してください!!全く進志さんあなたという方は本当に……って聞いてらっしゃいます!!?」
「き、聞いてますからって百やめろお前なに銃創造してんだ!!?」
「……いえ、お話をお聞きになってくださらない悪い子である進志さんには調教が必要かと思いまして……」
「調教どころか俺死ぬじゃねぇか!!?」
「大丈夫です、弾は非殺傷弾です」
「全然大丈夫じゃねぇええ!!!?」
「お、おい流石にやり過ぎた八百万!!!エクトプラズム、ミッドナイト止めに行くぞ!!」
「オ、オウ!!」
「そうよね、本当の調教を教えてあげないといけないわよね!」
『ちがうそうじゃない!!』