覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

37 / 55
(新しいパソコンが)来たぁぁぁぁああああ!!!!
(デスクトップPCが)遂に戻ってきたぁぁあ!!!!


騒動後の騒動

雄英の施設であるUSJをヴィランらが襲撃した数日後、襲撃によって数日の休校の後に授業が再会される事となり進志も今まで通りの日常通りに戻ったのであった。百に銃で調教を受けそうになった直後に先生たちに助け出された後に事情聴取という名のお説教を受けた進志であったが彼に一片の後悔などもなかった。それを最も理解していたのは説教に参加していたエクトプラズムで、あれは彼なりに必死になった結果であり、状況が全て終了してしまってから到着した自分達教師は何も言う資格はないと自罰的に呟くとその場にいた教師らは思わず口を噤んでしまった。

 

「進志ぃ~歯ぁ食い縛れ」

「えっはぁっちょっまっぐはぁっ!?」

 

そんな彼は雄英に登校した直後、挨拶してきた一佳に顔面を一発殴られた。腰を入れての見事な体重を込めた一撃は同年代の男子と比べて高い身長を持つ進志の身体を容易く浮かせた。宙を舞って行く中で二転三転する視界の中で進志は一佳の表情を見たときに思った、自分は彼女に酷い心配を抱かせた上に不安を纏わせてしまった。地面に落ちる寸前にスティッキィ・フィンガーズの腕が軽く地面を押す。傍から見れば殴れた男が地面に落ちる寸前にもう一度宙に浮かび直して着地している。これも個性の中でも異端ともいえる個性を持っている彼だからこそできる。

 

「い、一佳さん!!?」

「悪いね、ちょっと黙ってて」

 

周囲にはまだ多くの生徒らがいる、そんな中での出来事だった。ただ男子生徒が女子生徒に殴られた、というだけの話ではないのだ。

 

「―――せめて、歯を食い縛る時間位くれよ」

「知るか、言葉を聞いて反射的にやりなよ」

「無茶苦茶言いやがんな……」

「それとも何、一回は一回だから今度はアタシを殴る?ならご自由に」

「それもアリだな」

 

立ち上がりながらも首や指などを鳴らしながら威圧するかのように、殴るための準備するかのように一佳を鋭くにらみつける進志に周囲は思わず視線を集中させていた。進志が首席入学者という事は知られている、そんな彼が居るクラスがヴィランの襲撃を受けたという事さえももはや周知の事実。それに関することなのかと皆が息を飲む中で進志は一佳の前に立つ。そして大きく腕を振り被り……

 

「ていっ」

「あたぁっ!⁉」

 

スティッキィ・フィンガーズと共に額にデコピンをする。たとえデコピンだとしてもスタンドも一緒にやっているわけで衝撃は二発分である上に一発は並の人間以上のパワーを持つフィンガーズの物。恐らく相当痛い。

 

「これでおあいこな」

「ちょっと待ちんしゃいなぁ!!アンタなんでデコピンなのよ!?」

「いや女殴る趣味ないし」

「舐めてるんの!?あたしはあんたを殴ってんのよ!!」

「えっなにお前男を殴る趣味なの?あらっやだ怖い、この人Sだわ」

「茶化すなぁ!!」

「い、一佳さん落ち着いてください!⁉」

 

と飄々としている態度の進志に半ギレ状態な一佳を止めようとする。

 

「言っておくぞ一佳。俺は一発殴られたからって殴り返すような真似はしない、やり返すのが筋なのかもしれない。だが俺はしない」

「何でよ!?」

「お前の怒りが正しい物で俺がお前に与えた物が原因、そして殴られるべきだと俺が判断したからだ」

 

そこまで言って言われて一佳は漸く怒りを収めたかのように冷静になりだし、自分を抑えようとしていた百にもう暴れないという。

 

「はぁっ……分かったよ、もうこれ以上言っても無駄ね。んじゃお昼はアンタの奢り、OK?」

「分かったよ。どうせだ百、お前にもなんか奢るよ」

「えっは、はい分かりました……」

 

そこまでで話を終わったのか百は歩きだしながら、普段と全く変わらないように話をする進志と一佳を追い出した。それと同時にやはり自分にはないものが進志と一佳の間には存在しているのだと強く実感させられる。本当の意味で彼と彼女の間には通じ合っている心というものが存在している。互いの心の中に思い浮かべているものを簡単な言葉のやり取りで共有して理解、そこから相手の感情や考えすらも把握するほどの信頼関係がある。まるで長年連れ添った相棒同士のようだ。

 

「(進志さんは私といる時も笑ってくれる、でもあの笑いは……)」

 

一佳と歩いている彼の笑いは自分の時と比べるどこか軽薄そうな印象も受ける、でもそれが酷く羨ましく思えた。軽薄であろうとそれが自然と出る、相手を信頼しており相手も信頼を返す。

 

「(私にも、一佳さんのように微笑んでくださいますか……進志さん……)」

「百、最初って何の授業だっけ俺ら」

「えっと確か……」

 

そんな複雑な内面を隠すようにしながら、声をかけられたので足早に彼らに追いついていく百。そしてそんな三人は校舎の中へと入っていくのだがそんな彼らを見つめている一人の少女がいた。いや、正確には一人を見つめていた。最初から一人しか見ていなかったがその一人が他の二人と共に居たので結果的に彼らを見る事になっていた。

 

「……」

「やぁっ如何したんだい、それになんか周りに騒がしいみたいだけど」

「ねぇねぇねぇ聞いて聞いて聞いて!すごい面白い子見つけちゃったの!!聞きたい聞きたい聞きたい!?」

「うん是非っ!」

 

声をかけられたその人物は背後からやってきた友人に口早にどこか幼い子供が自慢をするかのような早口で何が起こったかを語りたそうにしている。その友人も慣れているのか笑顔で聞きたいと返す。

 

「その子がね、女の子殴られて後ろに飛んだの!不思議だよね、だってその子は全然悪いことしてなさそうなのにね!!それでね飛んだ時がすごいの、なんか身体から透明な腕みたいなのが出てね、地面を押すみたいにしたの!そしたらその子はまた浮き上がって着地したんだよ!!」

 

それを聞いた友人は酷く興味深そうにしながらも早くいかないと遅刻するから歩きながらにしようと催促する。そして歩きながら話を聞いた。

 

「へぇっ……なんか、似てるね」

「うん似てるよね不思議だよね!!後で会いに行ってみようかな?」




イ、一体最後ノ人物ハ一体ナンダー。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。