覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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スタート・障害物競走

「第一種目はいわゆる予選、毎年ここで多くの者が涙をのむ(ティアドリンク)!!さて運命の第一種目、今年は障害物競走!!一学年の全クラスによる総当たりレース、コースはこのスタジアムの外周で距離は約4㎞よ!!コースを守れば何でもあり!!」

 

選手宣誓後、息をつく暇もなくいきなり開始される第一競技、障害物競走。会場の周りをぐるりと一周すると言えば聞こえはいいがどんな障害物が待っているかは分からない上に4キロというのは聞こえる以上に長い。ペース配分も重要になってくる。そしてスタートのゲート前には凄まじい人数がすし詰めのようになっておりスタートしたとしても本当に走れるのかと思うほどである。だが一部の生徒は会場から外に出るための道は壁がある事に気付き、そこを注視していた。そして―――

 

「スタァァアアアトォォオオッッッ!!!!」

 

遂にスタートが切られた。一気に全員がゲートから走りだそうとしている中、進志はやや後ろの方に陣取って一気に跳躍しズームパンチを行い壁にジッパーを開いた状態で生み出す。そしてそれを一気に閉じながら壁を滑るかのように突破していく。だがそれを許さないものもいる。

 

「待ちやがれ眼帯野郎!!」

「来たか爆破ヴィランが!!」

「誰がヴィランだぁぁああ!!」

 

と自分と同じようにスタートを飛び越えるかのようにしている爆豪、彼は両手から爆発を起こしそれを推進力にして空を駆けている。よくもまあ空中でのバランスを取れるものだと感心していると下から凄まじい冷気が溢れ出している。爆豪と共に下を見ると下は焦凍が地面を凍らせて周囲の人間を足止めしながら先に走っていた。

 

「野郎、相変わらず出力だけは馬鹿げてやがるな」

「半分野郎がぁ!!」

 

ジッパーを閉じる勢いで空中に飛び出した進志はさらに足にジッパーを螺旋状に設置して足をバネのようにして衝撃を上手く殺しながら着地して駆けだすとその隣に百と出久が降ってくる。

 

「おおっ!?」

「ふふふっお一人では行かせませんわ!」

「僕だって、成長している所を見せるために頑張るよ!!」

 

百は後方で待機しながらその手から鉄の棒を一気に創造してその勢いで空中に飛び出しながら焦凍の妨害を回避し、出久は進志の進み方をヒントを得たのか両足に力を込めて一気に壁へと跳躍。そのままの勢いで壁に足をめり込ませる勢いでぶつかりながらそのまま壁キックをしながら無理矢理突破してきたのである。力の制御が出来始めている彼だからできる力技だ。

 

「負けるかよ―――っ!!!」

「私だって、負けませんわ!!」

「僕だって……!!ペース・アップテンポ!!」

 

進志はスティッキィ・フィンガーズの足を出しつつもその勢いで加速し、百は以前使っていたローラーブレードを創造して常に最高速で進む。そして出久はダッシュの際に地面を蹴る瞬間に力を開放する走法で二人に負けず劣らずな速度で走っていく。他の足止めと地面を凍らせてそれを滑るように進んでいく焦凍と空を爆破で飛行していく爆豪を追従する。そして彼らは第一関門へと差し掛かろうとしていた。

 

「なんか見覚えがあるのが見えてきたなっ!!」

「入学時の仮想敵……しかも0ポイントの奴が大量に!!」

『さあさあ遂に来た来たやっと来たぜ!!!手始めの第一関門、名付けて『ロボインフェルノ』!!!此処を超えないと次にはいけねぇぜぇえエエエイエエイ!!!』

 

入試の時に投入されていた仮想敵。中には巨大な0ポイントも存在している。避けるべき障害、それが倒すべき障害でもある。何とも素敵な障害物競走の第一関門。だが進志は一気に突っ切ろうとしているのが一切スピードを緩めない、それに続くように百と出久も続いていく。目の前では焦凍が巨大な仮想敵を凍結させている光景だが、足を止める気など一切ない。

 

『おぉ~っと!!轟に迫るのは入試首席入学者である傍立と推薦入学の八百万、そして緑谷だぁ!!』

「あんなの脳無に比べたらただの雑魚の鉄くずだ!!」

「避けるべきではなく倒すべき敵とみるならばっ!!」

「余りにも鈍重な塊だっ!!」

 

焦凍が凍結させた敵を超えるかのように躍り出てくる敵、それらが殴りかかってくるが酷く遅い。それを進志は真正面から殴りつけるとジッパーが設置されると同時に開かれて真っ二つに切断されて沈黙する。百はローラーブレードの勢いのままでその手に槍を創造するとそのまま深々と槍を突き刺すと刺した槍を軸にするかのようにしながら跳躍して先へと進む。

 

「10%……DETROIT ACCEL SMASH!!!」

 

加速した勢いのまま放つ一撃、それは戦闘訓練の一撃よりも出力は弱いがスピードでそれを補っている。殴りつけられた仮想敵は一瞬全身が震えたかのようになると、直後に内部から爆発でもしたかのように吹き飛んで地面へと落ちていく。

 

「よしっ行けるっ!!」

 

確かな手応えを感じつつも出久は自らの成長を改めて感じ取った。まだまだ身体が出来上がり切っていない自分が下手に出力を上げようとすれば身体が壊れていく、故に速度で威力を補う方法を取った出久。やはり成功だったと思いつつも再び迫ってくる敵へと高速の手刀を振り下ろす。

 

「MISSOURI ACCEL SMASH!!」

「おおっやるねぇ緑谷!!」

「げぇっ!!?」

 

素っ頓狂を上げたのは進志だった。思わず聞こえてきた背後からの爆音に目を向けてみるとそこには巨大な手が仮想敵を握り潰している光景があったからだ、そう仮想敵を握り潰してスクラップにしているのは一佳だった。流石は巨大化した手の握力は6トンを超えるパワー、まるでゴミを握りつぶすかの如くだ。そしてそれを投げ捨てながら地面を殴るようにして加速して追いかけてくる。

 

「進志ぃアンタばっかりにいい恰好なんてさせないよぉ!!」

「ならやってみろっ!!俺は負けないけどなっ―――!!」

 

ロボ・インフェルノを突破して更に障害物競走は白熱していく。進志たちが抜けていくのを見て他の生徒たちも進んでいくが矢張りA組のメンバーがほんの僅か足を止めるだけで再び走り出して向かっていく。経験の有無などが出てきているようにも見ているが、他の生徒たちもすさまじい速度で猛追していく。そう、ヴィランと戦った経験があろうがなかろうがそんな事なんて関係ないのだ。彼らは皆、等しくライバルなのだから。そして、それらを見つめるプロヒーロー達も全員を見ていた。この中から光る原石を見つける為に。

 

体育祭は始まったばかりだ。

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