覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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スパート・障害物競走

大歓声が響き渡る体育祭の会場。モニターに映し出されているヒーローの卵たちの活躍を興奮した面持ちで見つめていたりどんな子を助手(サイドキック)としてスカウトすべきかと思案を巡らせているプロヒーロー達が多い。1年、2年、3年の体育祭がそれぞれ行われている中でも1年には多くのヒーローが集まっている。それはヴィランの襲撃を乗り越えたA組の存在だけではない。

 

「やっぱりあの子、轟君は別格だな。個性の強さが桁違いだ」

「そりゃそうだ。あの子はフレイムヒーロー・エンデヴァーの息子さんだ」

「オールマイトに次ぐトップヒーローのご子息だから当たり前か」

 

と焦凍の事が話題になっていた。彼の父親は事件解決数史上最多記録を保持する№2ヒーロー、フレイムヒーロー・エンデヴァー。燃え盛る轟炎を操り悪を討つトップヒーロー、そんな父親の血を受け継いでいる焦凍は氷の外にも炎を巻き起こす事が出来る。今は氷しか使っていないがその出力は桁違いであるために凄まじく目を引いている、がヒーローが騒がしいのは焦凍がエンデヴァーの息子であるからだけではない。

 

「あの宣誓の子、かなりいい動きしてるなぁ……個性もかなり凄い」

「個性だけじゃなくて身体もかなりのレベルで鍛えてますねぇ……あの創造の子も凄いですね。なんであんな動きしながら槍を振るえるんだ……?」

「おおっあの緑髪の子良い動きだなぁ!!」

「うわぁ最近の女の子ってパワフルなんだなぁ……」

「いやそれは手がでっかくなるあの子限定だろ」

 

進志や百、出久や一佳を筆頭に他の生徒たちも各々の力を最大限に発揮して障害に挑んでいる。経験的には劣っているかもしれないがそんな事知ったことか、今の自分を見せてやると言わんばかりに皆が暴れている。正しく正しく進志の宣誓通りの結果になっている。

 

「こりゃサイドキック争奪戦が今から激しくなりそうだな」

 

既にプロヒーローたちの話題は体育祭の後へと向けられようとしていた、だが彼らにとってそれは侮辱に等しい。何故ならば……彼らはまだまだすべてを出し切れていないのだから。そして先頭集団がいよいよ第二の関門へと差し掛かろうとしていた。

 

『さあぁ先頭がいよいよ第二の関門へと差し掛かったぞぉ!!!落ちれば即アウト、それが嫌なら這いずりなっ!!!ザ・フォォォオオオオオル!!!!』

 

第二の関門として姿を現したのは巨大な峡谷のように大口を開けている地の底へと向かっているような真っ黒い闇、切り立った崖のような足場とそれらへと架けられているロープの橋だった。つまり、ロープを綱渡りの要領ので渡っていく事で奥へと進んで行けという事になる。その証拠に既に焦凍がロープを凍らせてその上を滑るようにしてどんどん奥へと進んで行っていく。それにしてもいつの間にこんなステージを作ったのか、しっかり元に戻るのかと一部の人間が疑問に思ったりもする。

 

「私はバランス感覚にも自信はありましてっよ!!」

 

そういうと百はローラーブレードを着けたまま大ジャンプをするとなんとそのままロープの上を滑走し始めた。体重移動を少しでも間違えば下に落ちてしまうというのに途轍もないバランス感覚だ。それに負けじと出久や一佳も続いていく。

 

「僕だって負けないぃぃぃ!!!」

「アタシの個性にとっては有利有利!!」

 

出久は地味ながら根性と鍛えた力で中々に速い速度でロープを渡っていくとともに一佳は手を巨大化させてロープを鷲掴みにしてそのままひょいひょいとサルがロープを渡っていくかのようにすいすいと進んでいく。先頭集団にとっては障害でも何でもないようにも見える。そして進志は……

 

「イィィイイイイヤッホォォオオオオ!!!」

 

ズームパンチの要領で腕をジッパーで延長しながら飛ばしてロープを掴み、まるでターザンのように勢いをつけて跳躍からロープを掴み、そして再び跳躍するを繰り返していく。その様子はターザンというよりかは某親愛なる隣人のようだ。如何やら本人はこれがお気に召したらしく、半分楽しく第二の関門を楽々突破するのであったがまだまだ焦凍には追い付けていない。氷を利用したスピードは相当に厄介、こちらが加速しなければならないかと思っていたが第三関門に差し掛かった時、焦凍のスピードが極端に落ちたのだ。その理由は……。

 

『さぁあていよいよいよラストの障害だぁああっぜ!!そこらは一面地雷原!!他にもトラップあるかもな!名付けて『怒りのアフガン』!!!だけどeverybody もし踏んでも安心しな、競技用だから威力は控えめだから殺傷力はマジ皆無!!だが音と爆発は派手だから失禁しねぇように精々気を付けやがれってんだYAAAAHAAAAA!!!!』

『おいテンション可笑しくなってんぞ』

 

第三関門はまさかの地雷原、一応高校の体育祭で地雷原を設置するような学校が他にあるだろうか。いやまあロボとかとんでもない断崖絶壁を持ち出す学校も類を見ないだろうがそれでも地雷原はとんでもない。焦凍も慎重に足を進めている、下手に氷で地面を凍らせれば後続に足場を作り迫る隙を与えるためだろう。

 

「おいおい地雷原って……フリーダムすぎるだろ雄英」

「ふ、踏みたくありませんわね……」

「地雷原だから高速で走り抜けても無駄なこともあり得るって飯田君んんんんん!!?」

「大変だ眼鏡君が吹っ飛んじゃった!!?」

『この人でなしぃぃぃいいい!!』

「「「「マイク先生自重して!!?」」」」

「待ちやがれ半分野郎ぉぉおおおお!!!」

 

とそんなことをしている間に爆破で地雷原を完全にスルー出来る爆豪が焦凍へと迫っていく、このまま遅れていくわけにもいかないと進志は舌打ちをしながらも他の三人に言う。

 

「俺が道を作る、ここからがガチの勝負だ!」

「望むところですわ!!」

「僕だって負けない!!」

「うん、アタシだって!!」

「よしっ……アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィィィ!!!!」

 

地面へとラッシュを決めると地雷原へとジッパーが設置され地面が左右に割れるかのように引っぺがされていく。ジッパーによって開けられるジャケットのように開いていく地面に思わず焦凍と爆豪も驚いたのか振り返ると、そこからは凄まじい勢いで迫ってくる4人の姿があった。

 

「くそっここまできたら後続なんて気にしないってか!!」

「あの眼帯野郎がぁぁああ!!!」

「残念無念また来週ってなっ!!」

 

遂に並び立つ所まで追い上げることに成功した進志たち、先頭集団は6人が入り乱れた大混戦となり果てていた。焦凍が周囲を凍てつかせようとするが爆豪が邪魔をする。そんな爆豪の爆破飛行を進志が妨害する、他のメンバーも他人の足を引っ張りながらもゴールへと向かって走り続けていく。そして間もなくゴールへと迫ろうとした瞬間に一つの影が飛び出した。

 

「15%……KICK SMASH!!!」

『なっ!!?』

 

―――それは出久だった。彼は最後の最後まで自分の肉体が傷つきすぎないレベルの力を隠していた、そしてそれをゴールが見えてきたところで開放して一気に他を引きはがした。それに驚き反応が遅れたが進志たちも各々できる手段で最後の追い込みをかける、それは加速した出久にも届きそうなものばかりだった。そして―――ゴールへと到達した面々、その順番……

 

1位:緑谷。2位同着:進志・百。4位:焦凍。5位:爆豪。6位:一佳。




進志はズームパンチ、百は手から鉄パイプのようなものを伸ばして。

焦凍は腕から氷を伸ばして、爆豪は爆破加速、一佳は手を巨大化させて。

これらでゴール判定を得ました。
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