覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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本戦へ駆けあがれ

『HEY GUY!!チーム決めの時間も締め切りだっぜ!!さあさあいよいよ始まるぞ、騎馬戦のスタートがよぉおおお!!!』

 

いよいよ始まろうとしている騎馬戦、他のチームも準備が完了している様子。それに合わせるかのように配られた鉢巻を巻き付ける進志。そこには自分、百、一佳、鉄哲の全てを合計したポイントが書かれている、ここに自分達の努力の全てが詰まっている。そして次の努力を見せつける為にこれを奪われる訳にはいかないのだ、それを強く意識しながら額を締め付けるレベルで鉢巻を装備して騎手として上がった。

 

「鉄哲、お前の鉄の身体期待してるぜ」

「おうよっ攻撃なんざこの身体で受けて弾いてやるぜ!!」

 

出会ってまだ30分も満たない鉄哲だがそれでも彼の為人は十二分に把握出来る。人情味の強い熱血漢、好感が持てるタイプである上に全力を持って何事にも挑む性格。勝負事においてこれほどまでに頼りになってぐいぐい引っ張っていく人間が味方なのは安心できる。

 

「百、プランは練られてるな」

「はいっ出来るだけ一佳さんからも情報を頂けましたのでB組の皆さまへの対抗手段も出来るだけ考えました。何時でも行けます」

 

この中で随一の知恵者、成績的には進志もどっこいどっこいなのだが百は個性の関係もあるのか常に頭を働かせているタイプ。作戦やらを設定するには彼女に任せるのが一番だろう、それを状況に応じて自分が軽くアレンジすれば大抵の状況には対応できる。

 

「緊張してないだろうな一佳」

「入試の時よりも落ち着いてるわよ。それに頼りになる仲間が一緒だから不安なんて皆無よ」

 

不敵な笑みを浮かべつつも安心感を抱かせるような声色で自信満々に宣言する幼馴染に苦笑する。やはり彼女といると不思議と安心するというよりかはリラックスできるような気がする。恐らく気軽に触れあう事が出来るからこそだろう、そんな彼女にも今回は存分に頼るとしよう。

 

『さぁ、上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今、狼煙を上げるぜYAAHAA!!行くぜ、残虐バトルのカウントダウン!!』 

 

マイクの鼓舞するかのような声に内心テンション上がる進志、だが冷静に告げられて行くカウントダウンを見つめる。一瞬の静寂の後、カウントダウンが終わりを告げて始まりを告げた。 

 

「っしゃああああ行くぜ行くぜ行くぜ!!」

「先手必勝ズームパンチィ!!」

『おっと傍立いきなりいったぁぁ!!!』

 

開始直後の僅かな隙、それらを埋めるかのように鉄哲は声を張り上げながら個性を発動。そしてそれと同時に進志はズームパンチを発動し近場にいたB組の鉢巻を早速奪取する事に成功した。

 

「よしっ先ず一つっ……!!」

「進志右から轟が来てる!!」

 

鉢巻をいきなり取る事に成功した進志だったが、一佳の言葉を聞いて右から迫ってくる騎馬を見た。それは前に飯田、後ろに電気と尾白という騎馬に騎乗している焦凍の姿だった。前にいる飯田が個性のエンジンを生かした機動力で一気に迫ってきながらも焦凍が一気に自分達の鉢巻を取ろうと迫ってきている。

 

「百ォ!!」

「お任せください!!」

 

手早く指示を飛ばすと百が創造を行う。それは持ち手の部分に鉄パイプのようなものを加えた盾であった、それで伸ばされた焦凍の手を弾きつつも一佳が片手を巨大化させながら地面を殴って一気に後方へと飛びのく。着地の衝撃に軽く声が漏れるがそれでも後退は成功した。

 

「あぶねぇな今の!下手したら取られてたぜ!?八百万さんっつったか、アンタすげぇな!?」

「お褒めに預かり光栄ですわ、まだまだ来ますわよ!!」

「傍立ぃ……!!」

「進志、アンタ恨まれるような事でもしたの?なんか凄い言葉に恨み詰まってるわよ」

 

心当たりはある。恐らく体育祭が始まるまえのやり取りがあからさまなほどに原因だろう。

 

「鉄哲」

「おうっ如何するんだ!?」

「ちょいと無茶すんぜ、確り騎馬支えてろ」

「お、おうよっ!!」

「一佳、投げろ!!」

「ああっやっぱりそういう事ね、了解っ!!!」

 

なんと進志はその場で軽く跳躍した、空中に飛び出した進志の足場を作るかのように巨大化した手を伸ばす一佳。それに着地しながら思いっきりジャンプして距離を稼ぐと進志は両腕にジッパーを設置して両腕を構えた。

 

「さあっどの腕に奪われるかを選びなっ!!ズームラッシュ、アリアリアリアリアリアリィィィ!!!!」

 

空中にいる進志はそのままジッパーで腕を延長したままのラッシュを繰り出し始めた。伸びた腕は伸び切った瞬間にジッパーが閉まる事で一気に戻っていき再び開けられる事で腕が自在に伸縮しているかのように見える。そんなラッシュが焦凍へと襲い掛かっていく、流石の彼もこれには予想外だったのか一瞬言葉を失ったが腕を突き出して巨大な氷の盾を作り出してそれを防御する。

 

「アリィッ!!」

「両断されたかっ!!」

 

たとえ巨大な氷の盾であろうともジッパーが設置されれば問答無用で両断される、そして迫る進志の腕だがそこへ電撃が程走り進志へと電撃が達した。それを受けつつも腕を戻しつつも一佳へとズームパンチを仕掛けて手を掴んで貰って騎馬へと戻っていく進志、焦凍は一体何が起きたのかと思ったが騎馬の一人である電気が不敵な表情をしていた。

 

「へへっ如何だよ轟!俺の新技、部分帯電・スタンガンだ!!出力は落ちるけど身体の一部分に電気を纏える!」

「成程、それなら俺達への感電の心配ないんだな!!」

「やったね上鳴君、俺も特訓に付き合った甲斐があったよ」

 

なんと進志を阻止したのは電気だった、彼も体育祭に向けて尾白に協力してもらって彼なりに努力していた。その努力の結果として彼は身体の一部分に帯電を限定する事が出来るようになっていた。焦凍も最初は感電を心配していたが、本人曰く絶対感電しないという根拠が把握出来た。機動力の飯田、攻防一体の上鳴、そして両手が塞がっていても防御を行える尾白。このチームは強いと焦凍は確信していた。

 

「……あいつ狙いは保留だ、次は……緑谷だ!!」

 

 

「ビリリリッ……だぁぁっビックリしたぁ……電気の奴、いつのまにあんなこと出来るようになってたんだ?」

「おい進志お前大丈夫か!?」

「お、おう大丈夫だ。ちょっとしびれただけ」

 

なんとか戻ってくれた進志だが軽くまだ痺れているのか身体に動かしずらさを感じる。これが電撃の恐ろしいところともいえるので電気を対策してるつもりだったのだが……流石に部分帯電は予想外だった。

 

「不覚でした、上鳴さんの個性は帯電。他の人も巻き込むので大放電などはせず弱い物しかしないと思っていたのが間違いでしたわ」

「だけどよ進志、お前いきなり飛び出してビビったぞ!?」

「悪い、今度は前もっていうから。さてと……俺達は敢えて1000万(緑谷)は狙わない。防御重視の策で地道にいくぞ」

「「「了解!」」」

 

この後、進志の読み通りに一発逆転可能な緑谷の1000万ポイント狙いに多くのチームが群がる中で進志は堅実にポイントを集め続け、騎馬戦終了時には2位の位置で競技を終えて本戦出場を決めたのであった。出場を決めたのは焦凍チーム、進志チーム、爆豪チーム、緑谷チーム。これらが本戦ともいうべきトーナメントでぶつかり合うことが決定した。




書きたかったトーナメントに行ける……。凄い書きたかったんですよ、その時をお楽しみに!

後なんか短くてすいません、トーナメントは出来るだけ重厚にしていきます。

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