『トーナメント第一回戦、傍立 進志 VS 轟 焦凍ォ!!早くもとんでもない事になってきてるぜ!!』
マイクの実況が更に熱を加えていく第一回戦、ステージ上では氷と炎が入り乱れながらもそれらを打ち払うかのような鋭い攻撃が放たれていく。自らの全てを出し切る事を決め、爆炎と氷塊を纏う焦凍とそれに応えるべく切り札ともいえるスタンドの姿を見せた進志。此処からが本当の戦いの始まりともいえる。
「食らえッッ!!!」
右から無数の氷柱を生み出すとそれを冷えた空気を温めた事で生まれる膨張を利用して一気に打ち出していく焦凍。先程の投擲とは段違いの大きさの氷柱がかなりの速度で迫ってくる、これだけでも十分な必殺技ともいえるだろう、だがそれだけでは進志は止まる事などない。走りながらもスティッキィ・フィンガーズが迫る氷柱をパンチで迎撃し粉砕する。
「アリィッ!!」
「今までの物よりも速い、だが食らうかっ……ちぃこの程度が限界か!!」
迫りくるズームパンチ、だが進志が行うのではなくスタンド本体が行うそれは通常のそれよりも段違いに速い。現在のスティッキィ・フィンガーズのパワーとスピードは既にAへと到達している、それが行うズームパンチはとんでもない威力を持つ。それを避けるのは無理だと判断し右腕から氷の盾を生み出して攻撃を受け止める。が、まるですさまじい巨漢に殴られているかのような衝撃に軽く吹き飛ばされながら氷が砕けてしまう。体勢を立て直しながら右足から氷を生み出してスケートの要領で移動する。
「させるかよっ!!」
『アリィ!!』
地面を殴りつけるとそのまま巨大なジッパーが設置されていく、それらが一気に解放されて焦凍の進行方向を妨害するかのように氷が捲れ上がっていく。氷を利用して高速移動するならばそれを封じればいいだけの事、進志も全く負けていない。だが焦凍もそれに負けじと即座に捲れ上がった氷を固定するかのように新たな氷を生み出し、巨大な氷のオブジェが生み出された。
「お前のジッパーも流石に限界があるんじゃないのか……?ならこれ以上下手に馬鹿でかいジッパーを作り出しはしない筈だ」
「さあどうだろうな」
と一気に駆け出していく進志、それを追うような形で焦凍も続いていく。巨大な氷の塊となったオブジェへと昇っていきその中で激突しあっていく。焦凍は炎の扱いはそこまで出来ないのか体温を調整するにとどめてながらも腕から氷の刃を伸ばして近接攻撃を強化しつつ進志へと向かう。それを途中の氷柱を切断して剣の代わりにして受け止める進志。
「ぜりゃあっ!!」
「甘いぜっ!!」
「なっ嘘ぉっ!?」
深く踏み込もうとした時、焦凍は後ろに大きく引きながら炎を進志の足元へと放つ。巨大な氷とはいえ熱には弱い、焦凍の個性の出力を考えれば巨大とはいえ溶かすのは容易。深く踏み込もうとしていたために溶け始めていた氷を踏み抜いてしまい進志は氷から落下していく。
「くそっ味な真似をぉぉおお!!!?」
「これならどうだ!!」
落下し始める進志を追撃するかのように生み出した氷柱を勢いよく炎を纏った足で蹴る。先程の氷柱発射よりも更にとんでもない速度で迫ってくる氷柱、加えて落下しているのもあって進志はスティッキィ・フィンガーズで氷柱を迎撃しようとするが既に片腕にジッパーを取り付けて氷を掴もうとしていたので、片腕でしか氷を迎撃出来ずに右肩に氷柱を受けてしまいそのまま地面へと落下していく。
「ぐっ……食らったかっ……!!」
『ここで傍立が遂に大きなダメージを受けたぞぉ!!』
『即座に体勢を整えようとした対応力の素早さは褒められるが、今回はそこを轟が上手く突いたな。寧ろ被弾があれだけなのが御の字だろう』
深々と刺さっている氷柱、そこからは血が滴り地面へと落ちている。氷柱の一部には血が凍って付着している、どうやらかなり深く刺さってしまっているらしい。
「おいそれはかなり深いぞ、リタイアするなら今の内だぞ」
『傍立君まだ行けるの!?リタイアしてリカバリーガールに治療をお願いした方がいいわよ!?』
「……冗談言わないでくださいよ」
余りにも凄まじい激戦を誰よりも近く見続けながら主審として判定をするべき厳しい視線を送っていたミッドナイトだが、1年生とは思えない戦いに驚きを感じつつもこれは何処かで止めなければならないと思っていた。此処で止めるのがある種最善だと思っているミッドナイトだが、進志はそれを拒絶しながら刺さっている氷柱にスタンドで手をかける。強く握りながら歯を食いしばる。
「この位あの時に比べりゃ痛くも痒くも……ねぇっ!!」
そしてそのまま勢いよく氷柱を引き抜いた、鮮血が舞いステージに血飛沫が飛ぶ。思わず誰かの悲鳴が聞こえるが進志はそこまで苦痛に歪んだ表情を出さずにスタンドと共にまだまだ戦う意志を見せ続けていた。
「お前も満足してないだろ焦凍、折角全力を出せるようになったのによ」
「フッ……そうだな、その通りだ。んじゃ続きをやろうぜ……!!」
「上等だ」
『そ、それじゃあ再開!!』
この後も、凄まじくも激しい戦いは続いていった。プロヒーロー達も思わず息を飲み、瞬きもしないようにするほどの戦いだった。しかし、最終的には全開の個性発動に慣れきっていない焦凍が疲労を溜め込み過ぎてしまい、これ以上動けないのでリタイアするという形で勝負は締めくくられた。
「進志、俺が完璧に個性を使いこなせるようになったらまた戦ってくれ」
「望むところだ、後悪かったな。お前を悪く言って」
「気にしてねぇよ、俺はそれだけ言われる事をしてたんだ。悪いと思うなら……今度ざるそばでも奢ってくれ」
「構わないがなんでざるそば?」
「そば好きなんだ」
そんな形でトーナメント初戦は締めくくられたのであった。
あっさりめでも申し訳ありません、でもなんかこの二人のやりあいのラストが中々纏まらなくて……。この二人がタッグを組んで戦うなら広げられるんですが……本当に難しいですね作品を書くのって。