今回はちょっとしたグロ描写(食人描写)がありますので苦手な方は読まないことをおすすめします。
大丈夫な方だけ読んでいただけると嬉しいです!
のらくら4話
戦闘態勢に入ったミオを見つめ、ロゥは何をしていいかイマイチ分からない様子で辺りを見渡す。
「ああ、なるほどねそりゃ確かに僕は戦力外扱いされるわけだつまり御伽は」
「あら?来ないの??そしたらあたしから行くわね!!」
「ロゥを戦闘用に鍛えたいわけだ」
目付きの変わった社を横目に御伽は笑みを深める。
「悪い話じゃないわ、何か嫌な予感もするし、あの子も襲われてここまで来たのよ?身を守る術を与えてあげなきゃ」
「…僕、御伽のそーゆー所は嫌い」
「あら、心外ね、これを含めてあたしなのよ」
ふーん、と納得をしてないように社は視線をロゥ達の方へ向ける。ミオは畳み掛けるようにして連続してロゥに殴りかかっていた。
「ほらほら!避けてるだけじゃ何もならないぞー」
辛うじて攻撃をいなし、避けることが出来ているが攻撃を与える隙すらミオは見せない。
「社、あんた暇なら皐月呼んできてちょうだい」
「え、なんで紬なの?」
「ロゥの服、今あたしのお古着させてるけどサイズ合ってなくて動きづらそうじゃない?皐月に作ってもらうのよ」
「えー、あいつ作ってくれるかな?」
「大丈夫よ、ロゥ顔いいから」
うへぇ、と嫌そうな表情を浮かべながらもいってきまーす、と言って社はその場を離れた。
その背中を見送り御伽は組手をするロゥとミオに視線を戻す。ロゥの動きそのものは悪くは無い。しかし、ミオの実力が圧倒しているため、攻撃に転じさせて貰えない。これは恐らく経験の差だ。ミオは長い時を軍人としてすごし命の危機と隣り合わせの中で生きてきた。その軽やかな身のこなしは産まれ持っての才能もあるかもしれないが、それだけでは到底なし得ない。冷静にミオとロゥの実力差を分析しながら御伽は煙管をふかす。
それと同時にミオがロゥの顔に蹴りを叩き込むが、ロゥはそれをギリギリの所で躱し、バランスを崩したミオ目掛けて腕を振るう。ロゥの鋭い爪がミオの頬を掠めはしたものの決定打にはならず、ミオは冷静にロゥから距離をとる。
「うん!今のは少しよかったよ!」
頬から伝う血を拭いながらロゥに話しかける。ロゥはミオの頬からジワジワ滲んでくる鮮血をマジマジと見詰めている。
ロゥのその些細な変化に御伽はいち早く異常を察知した。組み手を止めさせようと声を出そうとした、そのとき。
ロゥの瞳孔が開き完全にミオを獲物としてとらえた獣へと変貌する。全身の毛が逆立つような殺気を放ち、地面を蹴りミオとの距離を一気に詰める。ミオへと振り上げられた手は目にも止まらぬ早さでミオの脇腹へと重い一撃を入れる。
「ーーーっ!!かはっ」
勢いを殺せずモロに受けたミオは数メートル先に飛ばされる。
「げほっ、はっ!ーーーはっ!!」
息をするのも苦しそうな程に顔を苦痛に歪め腹を抑えるミオにゆっくりとロゥが近づき、だんだんスピードをあげまた殴りかかる。
バシンっ!
「!!」
「組手は終わり、落ち着きなさい」
ロゥの凄まじい威力であろう拳を片手で抑え、御伽は煙管の煙をロゥに吹きかける。その煙を吸ったロゥの体からふ、と力が抜け、地面に倒れた。
御伽はロゥの拳を止めた手に目をやると赤くなり、カタカタと震えていた。
「っ、なんて力なのよ」
「お、とぎ」
弱々しく足元からミオの声が聞こえふと我に返り御伽は倒れたミオを抱きあげる。
「大丈夫!?ミオ!」
「へへ、ちょっと腕が落ちちゃったかも、」
「ごめんなさい、あたしの不注意のせいだわ、すぐ手当を」
「大丈夫、大丈夫!粼さんにお願いするわよ」
だから下ろして大丈夫よ!と言うミオを御伽はゆっくり地面へ下ろした。脇腹を抑えながら歩くミオに肩を貸しながらゆっくりと歩きだした。
「え、ちょっと何この状況」
するとちょうどその時、社が帰ってきて、その後ろにはひょこっと小さな明るい水色の髪が目立つ子供がたっていた。
「あら、早かったわね」
「たまたま街歩いててさ、てかこの状況説明してよ、なんでミオさんは怪我してて、ロゥはぶっ倒れてるわけ?」
「それは、」
「ねえ、俺はなんで呼ばれたの??」
社の後ろにいた子供が話を割って入ってくる。
「ねぇ御伽、この子は?」
「あぁ、ミオは初めて会うかしら、紬 皐月、羊の獣人よ」
「どーもっ!」
明るい笑顔を向け軽く手を上げる紬。
そんな紬に御伽は声をかける。
「皐月、あんた悪いんだけど、ミオを部屋に送ってくるから少し社と待っててちょうだい」
悪いわね、と言ってミオを連れて御伽はその場をあとにした。
「ねぇねぇ、社はなんで俺を呼びに来たの?」
社を見上げながら不思議そうに問いかける紬に社は顎に手を当てて目を閉じる。
「んーーー?知らない」
「…なんじゃそりゃ」
説明するのが面倒になった社は庭の芝生の上にどか、と座り込み大きくため息をついた。
「ああ、もうあいつには振り回されっぱなし!やんなっちゃう!」
場面は変わり、御伽に情報を売ってもらえなかった翡翠は1人帰路へ着いていた。
はずだった。
ぐち、ぐちゃっ、べちゃ
耳を塞ぎたくなるような音と辺りの地面をそれめ紅、噎せ返るような生臭い香り。
「汚い食べ方をするなシルバ」
見るも耐えない変わり果てた翡翠の亡骸を食べているシルバに、シャンパンゴールドに美しい桜色がかった髪を風に靡かせながら、汚物を見るな目でシルバに声をかけたのは溯だった。
「そうは言っても、食器がある訳でもないのだから仕方あるまい」
「せめて音を立てるな」
ぐい、と口にべっとりとついた血を腕で大雑把に拭い食べかけていた翡翠だった肉塊を地面へ放る。
「ま、さして美味くもない肉ゆえ、もう終いにするかの」
「美味しくないのになんで食べるの?シーくん」
心底嫌そうな顔で腕を組みながらシルバを見つめている溯の後ろからひょこっと顔を出したのはピンク色の髪に大きな花の髪飾りを付けたうさぎの玲だ。
「好き嫌いせず食べんと、体力が持たんのだよ」
「ふーん、シーくん運動量多いもんね!」
「しかし、少数一族である宝眼(ほうがん)の一族であるこの者の肉が、こんなにも不味いとは思わなんだ」
血のついたシルバに玲がタオルを渡すと、シルバはボヤきながらもそのタオルを受け取る。
「当たり前だ、そいつは混血、純血ではないからな」
「ぬ?」
キョトンとするシルバと玲に溯は大きくため息をつく。
「何も知らないのか?宝眼の奴らは本来虹彩のみ宝石に変化する。そいつは眼球全てが宝石だった、だから混血の奴らの眼は宝石になりかけの時にしか役に立たん。とんだ出来損ないな奴らだ」
ほー、と間抜けた声をあげるシルバと玲に溯は頭を抱える。
「この出来損ないの宝眼のせいで、遅かれ早かれ俺達の身元はバレる。ここから離れよう」
「そうだの、余計なことをしてくれおって」
「なんでバレちゃだめなの?」
シルバの肩に座る玲が溯に問いかける。
「俺達の邪魔をされては“あいつ”を助け出すために無駄な時間が増える。だから、俺達はなるべく存在を知られてはならない、いいな?」
「ああ、そっか、早くあの子のために回収しなきゃだもんね、たっくさん素材を」
にぃぃ、と笑みを深めシルバの頭に体重をかける玲。
「そうだ、あいつの為に俺達はここに居る。…行くぞ」
「いいねいいね!!ミステリアスな雰囲気にピッタリじゃない!?ねぇ!そうでしょ!御伽さん!!」
場面は戻りミオ邸にてテンションが爆上がりの紬に押されタジタジになったロゥの装いは中華風の衣装に口元を隠す様なスタイルのものへと変わっていた。
「そうね、これならみんな下手に話しかけないから声が出なくても問題無さそうね」
「かっこよくなったね!ロゥ!」
社に褒められ照れたように顔を伏せるロゥ。
「さて、じゃあ、今日はそろそろ帰りましょう、ロゥは明日もここであたしとミオとで組手よ、ある程度闘えるようになるまでね」
そう言った御伽にロゥはコクコク、と頷いた。
「御伽さん御伽さん」
ちょいちょいと御伽の服の裾を引っ張る紬に御伽が耳を傾ける。
「ロゥ君の項のところ、こんな刺青があったんですが、御伽さんがいれたんですか?」
そう言って紬が出した紙には太陽を模した様な形の絵がかいてあった。
「?何これ」
その絵を見てもなんの事かさっぱり分からない社は紙を受け取りヒラヒラと遊ばせていた。
「御伽何だかわかる?」
御伽に顔を向けると御伽は額に汗をかき、顔はあおざめていた。
「…御伽?」
「まさか、そんな」
「さぁ、帰ろう俺達のホーム、【デュスノミアーデン】へ」
「【デュスノミアーデン】…!」
To be continued
今回ガッツリ、溯、シルバ、玲の3人組が登場です!
ちょっとここからだんだんと物語が盛り上がって行きますので気長に待っててください!
誤字脱字は心の目で読み解いてね♡
今回も読んでくださりありがとうございました!