OSERO【狐野家長男あべこべWORLD】 作:のり塩ぽてち
魅音君の危険が危ない!
連休の2日目、私こと美玲は最高に気分がいい。
なんといってもゼミが急遽休講になり、事前情報によると今日は我が愛する弟、魅音と一日中2人きりというシチュエーション。これはさっそく甘やかさねばと気合を入れて愛のこもった朝食をいただき、リビングで全員が外出するのをコーヒー片手にリラックスして待つ。
「あれ、美玲姉さん。ゼミに行かなくていいの?」
「あぁ、今日は急遽休講になってな、今日は思う存分お姉ちゃんが甘やかしてやるぞー。」
「えっ、えええええぇぇ・・・。ふ、ふーん、そっかぁ・・・。」
弟よ、どうした?
そのまま何事もなかったかのように自室へ戻っていく我が弟。アレ?もしかして私はなんかしたか?
もしかして洗濯するときにこっそりと匂い嗅いでるのバレたか・・・?それともお風呂上がりに身長差からくる胸チラを見ているのをバレた?さては料理をしていてこちらを気にしていないときに、こっそり部屋に入って布団にくるまっているのがバレた?
マズい、マズいぞ!!それはマズい!!
「魅音よ!!お姉ちゃんが悪かった!!もう匂い嗅いだり、胸チラ見たり、布団にくるまったりしないから嫌わないでええええぇぇ!!!」
「扉を叩きすぎ、壊れるだろ!!!というか美玲姉さんそんなことしてたのか!?」
「あ、あああぁぁぁぁ・・・」
「いいよ、別に。今度からしないようにしてくれたら、なんとなく気持ちがわからないこともないし。」
危ない危ない、一瞬絶望を味わってしまった。
それよりもなんだ、うちの弟は天使か。いや、天使が弟の真似をしているんだな。
「それより美玲姉さん、今日は外に出る用事はないの?」
「いや、今日は全部の予定をあけてきた。だから魅音よ、お姉ちゃんと一緒に遊ぼう。」
「あ、うーん。まあいいか、わかった。なにするの?」
弟の返事が煮え切らないがまぁいいや、今日は普段なかなか外に出られない弟のために早朝からビニールプールを用意してきたのだ!!
しかも弟用の水着はすでにミツリンで買ったのが昨日届いて受け取り済み!!私の夏の弟とのアバンチュールはここからはじまるのだ!!
渋々着替えた弟と私も水着に着替えて準備済み、これは勝ったな。
「あの、ごめん。ほんとに美玲姉さんは悪くないんだけど、ごめん。」
「どうした魅音?暑いのだからプールに入ればいいじゃないか。」
「そのビニールプールって、俺と美玲姉さんが一緒に入るにはちっさいよね。」
「どうした、私と魅音の中だ、何も問題あるまい。なんだ、かわいいやつめ。照れてないでこっちにこい。」
涼むために出したとはいえうつ伏せで寝られては遊べないじゃないか。くそぅ、まさかプールの中でぐーたらされるとは思ってなかったぞ。
起こそうとしても全然起きないから背に乗って後頭部に水鉄砲をかけてやる!!くらえ、キャッキャウフフしたいぞビーム!!
「だああああああぁぁぁ!!!美玲姉さん!!そろそろお昼だからお昼ご飯作るね!?」
「お、おおぅ・・・そうだな。」
んんん?やはり弟の様子がおかしい・・・。なんというかその、冷たい?
ハッ、もしやあれか!これが俗に言う『反抗期』というやつじゃないだろうか?
くそぅ、なんてタイミングが悪いんだ。反抗期といえば腰を据えてじっくりと本人と向き合う必要があると先生も言っていたな。
よし、午後からは無理にでももっとスキンシップをして悪の道に走らせないようにしないと!!
そのまえにちゃんとごはんは美味しくいただかないとな!!弟の愛がこもっているからな!!
「あのさ、美玲姉さん。お願いだからおろしてくれないかな?ごはん食べ終わってからずっと膝にのせて映画見てるけど、そろそろ足も辛いでしょ?」
「何を言う、愛する魅音なら私は何時間でものせていられるぞ?ふふん、なぜなら私はお姉ちゃんだからだ!!」
どうだ、今のはキマっただろう!?
これで弟もお姉ちゃんへの尊敬ポイントがうなぎのぼりに違いない。
昨日はきーちゃんとほーちゃんがヘマをやらかしたそうだが、私は弟が嫌がるようなことはせん!!
お?どうした弟よ、ため息なんか吐いて。ダメだぞ、幸せが逃げていくからな!まぁ弟はこの私が幸せにするんだけどな!!
「・・・仕方ない。美玲姉さんお願いがあるんだけどいいかな?」
「どうしたんだ?なんでも言ってみろ、叶えられるものは全力で叶えてやる!」
「どーしても◯✕駅の前にあるケーキが食べたいんだけど、お願いできないかな?あそこって並ばないといけないらしいんだけど、食べてみたいなぁって。」
「むぅ、◯✕駅か・・・遠いな。あ、ちょっと待っていろ。」
ワガママを叶えるためには部屋まで戻らねばならんではないか、せっかく弟の反抗期を矯正中だというのに!!
まったくかわいいやつめ、弟のワガママぐらいお姉ちゃんは叶えてやらんといかんからな!!仕方ないな!!
「よし、魅音よ!よろこべ!!1時間もあれば届けてくれるそうだ。母さんの門下生の方がそこのケーキ屋と懇意にしていてな、ちょうど近くにいるから買ってきてくださるそうだ!」
「うわあああああああぁぁぁぁ!!!」
「む、どうした魅音よ。頼み事をしたらお礼を言わなければならんぞ?」
「違うんだよ姉さん、違うんだ!!」
アタマをかかえながらこちらに訴えかけてくる弟、かわいい。
あ、ちょっと涙目になってる、かわいい。
「俺は美玲姉さんに少しの時間だけでも出かけてほしいだけなんだ!!」
「む、なぜだ?ハッ!!まさか私がいない間に悪いことをするつもりだな!?ダメだぞー、お姉ちゃんは許しません!!」
「悪いことじゃ・・・いや、んん?ああああああああぁぁぁ!!とにかく姉さんが家にいたら出来ないから出ていって!!」
「なんだと!?お姉ちゃんに向かって出て行けとはひどいじゃないか!!とにかく理由を言いなさい!お姉ちゃんは許しませんからね!!」
「あああああああぁぁぁ!!もうっ、いいっ!!姉さんのバカ!精子バンクの提出期限が今日だから一人にしてほしいの!!!!!」
「ひぅっ!?」
ああああああああぁぁぁ!!!
やってしまったあああああああぁぁぁ!!!
私は家を出るときに多分謝ったと思うんだが、気付けば家の前にいた。
そう、この弟の平穏な時間を誰にも邪魔させてはいけないからだ。
そして炎天下と沸騰したアタマのせいで自宅の前で倒れる1人の空気の読めない姉がいたらしい。
最後に彼女は熱中症にかかったおかげで愛する弟の看病というものを勝ち取った。
はい、ポンコツお姉さんの回でした。
そりゃプライバシーもへったくれもない家でどーすんだよ、ってなったら1人になるしかないよね。
キャラでいえば今の所、美玲姉さんが一番好きです。
料理以外は美玲姉さんがやっているところもあり、魅音君は結構尊敬しています。