Dアイランド……竜宮島に居るアルタイルを通じて、人類とフェストゥムが和平を結んで数十年。フェストゥムが地球で自由に生きる権利を手に入れ、人類が宇宙へ少しずつ進出した頃……宇宙から新たな"敵"が襲来した。
『お前たちを滅ぼす』
それは蟲のような姿をし機械の鎧を纏った異形の存在。
エスペラント、フェストゥムから対話を試みたものの彼らは応じる意思はなかった。
急に現れ地球全土に宣戦布告し、地上へ攻撃を開始した。
防衛戦力として残されていたのは人類軍のトローンズ、ドミニオンズ・モデルの二種。
結果は為す術もなく敗走した。
これがDアイランドのファフナーだったら、と思うかもしれないが結果は変わらないだろう。
過去のファフナーはフェストゥムに特化したモデルであるため旧い。
Dアイランドのファフナーは先の大戦で残った全機をフェストゥムとの関係の修復と称してフェンリルによって消滅させた。
味方と敵にとって救世主と呼ばれたザルヴァートル・モデルは地球に残っているザインとニヒト両機は行方不明。
ともかく地球生物は新たに戦う兵器を可及的に用意しなければならなかった。
***
新たな敵……エリュシオン帝国の襲来から3ヶ月。
多くの犠牲を払って得た人類軍の戦闘データから新たなファフナーの設計図がDアイランドより提示された。
その名は……アルゴノート・モデル
ネオ・アイン、ツヴァイ、ドライの三機の戦闘機が合体することによりファフナーとなる従来とは異なる全く新しい機体。
戦闘機の時点でエインへリアル・モデルを超える戦闘能力を叩き出し、移動速度だけならあのザルヴァートル・モデルに匹敵する。最大の特徴は戦闘の状況に応じて異なる形態へと変形することが可能だ。
何故、従来のファフナーと違うのかは幾つか理由がある。
まずは敵。
奴らは一部を除いて数が多く、単体では突出した力はない。だが、奴らは己の死すら恐れない。敵を見付けたら取り敢えず特攻と軽い気持ちで繰り返す。恐ろしい精神の持ち主たちだ。
よって敵に捕まらないような小型かつ速い機体が重要視された。
裏切り者が出る可能性。
今の地球上には人間至上主義の人類軍、フェストゥムの人権を主張するマレスペロ連合国、そしてどちらにも着かず中立及び共存を謳っているDアイランドと三つのグループに分かれている。
このアルゴノート・モデルは三つのグループの技術をかき集めたいわば集大成。
過去の大戦でのエスペラントの恥さらしのような裏切り者が現れ、敵に奪われる訳にはいかない。よって、牽制の意味合いも込めてグループから一人ずつパイロットを選出。結果として三機揃ってようやくファフナーと言う構造に至った。
一人でも扱うことは出来るが制御が難しく、弱体化は免れない。
以上が違う理由だ。
次にファフナーの特徴について。
まず従来のファフナーと違いコイツは同化現象が発生しない。エネルギー問題については過去にDアイランドによって解決されているため、地球上という条件付きで実質パイロットの体力次第で無限に戦える。
これは敵に同化能力がないのとファフナーとクロッシングしていないおかげだ。
機体操縦についてはクロッシング技術の応用で操縦桿からパイロットの脳波を受信して操作する仕組みだ。
最大の疑問点である合体したらファフナーになる技術はフェストゥムの生態データを取り入れている。かのザルヴァートル・モデル、マークザインも石になったり液体になったりしながらも最終的には再構築され、別の姿に変質している。要はそんなもん。
ただ、弱点として従来の機体と同じように乗り手を選ぶ。
シナジェティックコードとかそんなもんじゃなくて、純粋に早く移動する、高速戦闘をするということは当然、強靭な体が必要だ。
パイロットスーツで幾ばか緩和することは出来るものの、人類軍のファフナーに乗っていたテキトーな奴を乗せて行かせたら、ミンチになって機体ごと爆発しましたというハジを掻いた。
成功実績がある人物の傾向は、本能で動く馬鹿か、理性で動く天才(バカ)かのどちらか、後、純粋に臆病で頭がいいやつ。常人なんて戦争にいらん。バカなおかげで頭のリミッターが外れている奴が丁度いい。
半年後アルゴノート・モデルが完成した今、地球生物の逆襲が始まる。
***
「血祭りに上げて殺るぜ!このクソ蟲野郎ども!」
「ふっ、下等生物ごときに我が遅れをとるつもりはない」
「こんなところでしにたくないしにたくないしにたくない!」
ネオマシンで大空を駆け敵の尖兵を蹂躙する。
上から順にネオ・アインのパイロットでありエスペラントであるアラタ・デュミス。
ツヴァイのパイロットでフェストゥムのライ。
ドライ(ryの壁山重蔵が発した言葉だ。
……因みに実機での戦闘訓練中に敵が現れたもんだから命令無視をして勝手に現場に急行した。
何気に彼らの初の実戦でもある。
到着してものの数分で戦闘は終了した。
『エリュシオン帝国つうのも案外大した存在じゃねぇな』
『いいや、それは違うな。戦闘面においては我々の技術が彼らに対し適応しただけにすぎない』
『……そうだな。この力はみんなの犠牲で得た力だもんな』
アルゴノート・モデルが完成するまでに地球生物の総人口の約三割ほどいなくなった。
『お二人さん。殲滅しましたしそろそろ帰りましょうよ』
帰ろうと思ったが声が聴こえてきた。
『ほぅ、少しは強い存在を出したか』
『聴こえたかアラタ』
『ああ、随分と嘗められたもんだぜ』
『間抜けな奴も居たもんだ』
アラタとライは読心能力持っているため、敵が来ることを警戒した。重蔵は戦勝ムード安心しているためか気が緩んでいた。
程なくして、その存在は現れた。
『ほぉ』
『……ふん』
『あわわ』
今までの昆虫のような姿と打って変わってヒトの形をしていた。
「地球生物よ、力を見せろ!」
『うるせえ!蹴散らしてやる』
内装の機関砲で応戦しても大した手応えは感じられなかった。戦闘機は云わば前座に過ぎない。
『どうしたこんなものか?』
大した言葉じゃない。けれど、とても苛つく。
理由は簡単。奴らは敵だ。地球に攻撃を仕掛け生物滅ぼそうしている憎い敵だ。生きるか死ぬか生存競争を争っている相手だ。
だからこそ、そんな奴らに負けるつもりは毛頭ない。地球生物は宇宙でもやっていける。
『俺たちはまだ本気じゃない』
『見せてやるよ』
『本当の地獄って奴をな!!』
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