一話
ーー返事が来た
ーーもぅ、遅すぎだよ~
ーー仕方ないだろう。アイツも敵に捕まっているんだ。
ーーまあ、そうだけどさー
ーー時間が惜しい。準備に取り掛かってくれ
ーーりょーかい
ーーいよいよだな……一騎
ーーああ
ーー三年前と同じことは繰り返させない
ーー今度こそ救いだして見せる。待ってろよ……総士、信
*
5月某日。俺たちの住む竜宮島は本日も平和だ。
「おい、乙姫。早くしないと置いてくぞー」
「もーお兄ちゃん待ってよ!」
俺の居候先である皆城家の主である親父さん……レガードが今日、漁を終え港に帰ってきたので、港まで迎えに行くことになった。
俺としてはレガードには余り会いたくはなかったが他の奴等が来い!と駄々を捏ねたので仕方なくだ。
まあ、俺の前方を走る……総士とその妹である乙姫もといフロロは久しぶりに会える嬉しさからかとても笑顔なのは俺にとっても嬉しいところでもある。
それに彼等を観ていて得られる情報は少なくはない。
昔、敵として戦ったフロロ……アザゼル型ウォーカーがたった3年ちょっとで"ある程度"の感情を有し人間を理解したことには目を張るものを感じた。
早く他の個体も憎しみ以外の感情を理解してくれることを切に願うものだ。
「なあ……信」
忘れていた。迎えに着いてくる同伴者は俺の他にもう一人いた。
「どうしたんだ、マリス?」
俺の隣を歩く血の繋がりはないのにちょっと俺に似ている容姿の少年の名はマリス・エクセルシア。
元、エスペラントで第4次蒼穹作戦が終了して少し経ったある日、人類を裏切りフェストゥムに寝返った、今は俺たちの戦う相手だ。
ついでに言うと、俺たちをこの島に連れてきた張本人でもある。
「最近、総士が変な夢を見るらしいんだ。何か知らないか?」
「さぁな。俺は何も聴いてないぞ?」
「……そうか」
本当は知ってる。
恐らく一騎たちがクロッシングで総士に語りかけたのだろう。
上手く俺の言葉が届いて何よりだ。
もう、この島で俺に出来ることは何もない。後は、助けが来るのを待つだけだ。
「…………」
この島は俺たちの過去データを元にして再現された竜宮島。懐かしい景色に感情をある程度学んだフェストゥムたちが暮らす島。可能性に未知溢れ出来れば残しておきたいと思えるような島だ。前の俺だったら反対しただろう。
だが、もうすぐこの偽りの日常は終わりを迎える。少し寂しい気はするが仕方がない。
総士が外の世界を観てみたいと言った時点でこの世界は滅ぶことは決定事項だ。
EXOでいなくなった人。(竜宮島)
翔子、道夫さん、弓子さん
暉と広登、カノンは生存するも広登とカノンは芹ちゃんと一緒に竜宮島の居残り組。