マークゼクスに乗り込み、そのままルガーランスで偽装鏡面を破壊し俺たちは島の外へと出た。
……島からの追撃が来ない。
本来足止めする筈のフロロがこちらに居ることもあるが甲洋や操が上手く敵を分散させているのだろう。とても有難い。
このまま行けば無事に帰ることは出来るがその前に、俺はやらなければいけないことがある。
「フロロ手を貸してくれ」
総士と一緒に島を眺めているフロロに声を掛ける。
「?」
フロロは何も考えずに手を差し出してきた。
「少し痛むかも知れないけど我慢してくれよ」
軽く握りしめると触れた部分から緑の結晶が溢れだす。
「っ!?」
同化現象によってフロロは痛みで顔を歪めた。俺も痛いんだけどね。
「おい、信何をしたんだ!?」
「……ああ、ただの身体検査さ」
そう言いながら、意識を集中させ俺はフロロのコアを覗き込んだ。
元々、フロロは人の形を保てる程、存在の力はないと思っていた。
力を奪ったのは昔の俺だけどな。
その時の見立てでは3、4年くらいで今の状態まで回復、成長すると予想していた。
なのに、約1年足らず……第5次蒼穹作戦の時には乙姫の姿を模して存在していた。
短期間でのコアの修復に、周りのフェストゥムを学習させる指導力、ベノンという組織は想像以上に強大だ。
……だからこそ、繋がりがあればそれを断たなければいけない。
『へぇ、目覚めていたんだ』
『……お前は』
『"君"とは初めましてかな?』
『……マレスペロ、なのか?』
『ご名答だね。名前まで知ってるなんてやっぱり君はすごいよ』
しばらくして、俺の前に現れたのは金色の瞳に金髪の青年。
その容姿はベイグラントのコアにとても似ている。
事前にフロロのコアから名前だけは知ることは出来た。
マレスペローーエスペラント語で絶望を意味するらしい。
大した自信だ。
『どう?君のおかげでここまで成長したよ?』
俺に対して微笑む姿と圧力にその自信が何処から来てるのか理解してしまった。
やっぱりコイツはベイグラントいや、新国連にあったプロメテウスのコアだと確信する。
ああ、ヤバイな。
俺たちには滅ぼす機会が有ったのにも関わらず、滅ぼせなかったのがとても悔やまれる。
また、想像以上に強くなっていることが判った。
地球で二番目じゃないのか?
因みに一番は竜宮島で眠っているアルタイル。
今のままでは勝てる気がしないそれと同時に俺は危機的状況に陥っている。フロロを通じて繋がってしまってるため、今の俺では簡単に消されてしまう。
『心配しなくてもいいよ。君を消す気はないから』
『……何?』
まだ、話し合いの出来る余地は有るのか?
『今からでも和平は出来ないか?』
『それは無理な相談だね。僕が何から生まれたのか判ってているのかい?』
『人間の憎しみ、絶望、負の感情が混ざりあった存在だろ?』
『判っているじゃないか。それよりもさ、君がこっちに来ない?』
『俺はお前の憎む、人間なんだが』
『君は特別さ……だって僕は君から祝福を貰った存在だからね』
『笑えない冗談だ』
そんな大層なことはしていないし、第一お前に与えた記憶はこれぽっちも無いんだけとな。それに祝福祝福って連呼してるの一騎や織姫とかなんだが。世界中がシャイニー☆ってな。
『関わることによって本来の運命を歪めて、その存在を代わりに高位へと昇華させる。それが君の祝福なんでしょ』
『……良く判ってるな』
『お、おい。ここは何処だよ信』
『総士?』
可能性は考慮していたが、まさかこんなに早く来れるとは、やっぱり総士だな。だが、今はマズイ。
『来るな、総士!!』
『あーあ、二人きりの時間が終わっちゃったね』
『お前は……』
『まあ、今日は挨拶程度だし、君がこちらに来てくれるのを心から待っているよ、またね』
そう言ってマレスペロの力で総士の近くに飛ばされる。
『それと、さ』
ああ、とても嫌な予感がする。
『裏切り者には容赦するつもりないから』
その言葉を聴きながら俺たちは強制的にフロロの中から弾き出された。
***
現実世界に戻され、俺が目にしたのはフロロの同化現象の末期症状がだった。
「おい!どうしたんだ乙姫!乙姫っー!!」
「おにぃーー」
言い終える前にフロロは消滅した。
後で活動報告にアンケ擬きを載せるので気になる方は宜しくお願いします。