にわかファンがファフナーの世界に転生したら   作:桜大河

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今月二回目


6話

「何で俺まで……」

 

「うるさい。口よりも手を動かせ」

 

あれから、操との約束を守るために一騎を連れ、後から到着したLボートの厨房を借りることにした。

その際に父さんとも再会し、軽く会話。

 

「ただいま父さん」

 

「本当に……信、なのか?」

 

「そうだよ。忘れちゃったの自分の息子の顔を?」

 

「だが、信は……」

 

「確かに父さんにとって理解できないかもしれないけど、俺は父さんの子供だって思ってるよ。それだけは信じてほしい」

 

「……はぁ。疑うようなことを言って悪かった」

 

「?」

 

「一目みて自分の子と分からない程、親としてそこまで落ちぶれてはいないということだ。よく無事で帰ってきてくれた」

 

「へへ」

 

心を読まなくても父さんの考えていることくらいは分かる。

それより、父さんと会って直接聴きたいことが俺にはあった。

 

「約束通り遠見先生とは上手くいったの?」

 

「……それは勿論だ」

 

「……そっか。おめでとう父さん」

 

「お前たちにはいつも苦労を掛けてばかりいる」

 

「それはお互い様でしょ」

 

「そうかもしれないな」

 

頑張るのは平和を取り戻すまでの期間だけど。

いつになるやら。

 

「それでこれからどうするつもりだ?」

 

「とりあえずちょっと料理作りたいから厨房と食料を借りたい」

 

「それは構わないが……一騎も一緒なのか?」

 

「そうだけど、なに?」

 

「いや、それならいい」

 

大体こんな感じの会話をした。

それにしても設備が充実しているのは嬉しい限りだ。

島で暮らしていた頃も炊事をよく行っていたが使用していたものはフェストゥムが人の記憶から再現したせいか、どれも一定の基準は満たしていたものの俺を満足できる品質のものはなかった。

包丁の切れ味が悪くて苛々したのは今となってはいい思い出だ。

 

「サラダの盛り付け終わったぞ」

 

「ありがとな、甲洋。みんなを待たせちゃ悪いから先に持っていってくれ」

 

「わかった」

 

「俺には感謝はないのか……」

 

「兄弟だから助け合うのは普通だろ?」

 

「はいはい」

 

活動限界で寝るかもしれなかったから俺の範囲で一騎が背負う痛みを肩代わりしたし、対価は支払っているつもりだ。

……よし、匂いが変わったな。

 

「俺の方は出来たぞ」

 

「早いな。俺はちょっと掛かりそうだ」

 

「……腕落ちたな一騎」

 

昔は同時完成が普通だったのに。

 

「仕方ないだろ、誰かさんを探すのに必死で料理をする余裕がなかったからな」

 

それは一体誰のことやら。

 

「お前や総士のことだよ」

 

だから、心読むなって。

 

「すまなかったな。お詫びに先にご飯盛っておくから」

 

「頼む」

 

皿を棚から出して、ご飯を盛っていく。

 

「……こうしてると竜宮島にいた頃を思い出すよな」

 

「そうか?」

 

昔の俺の記憶だが、第二次蒼穹作戦以降の約2年間、フェストゥムとの戦闘もなく島で平和を享受していた。

楽園で働いたり、作物を栽培したり、疲れることはあっても毎日が楽しかった。

だが、ナレイン将軍たちが来訪して以降、新たな敵のアザゼル型の到来、アルタイルという未知なる希望の情報を提示されたおかげで人類軍とも戦うことになってしまい、平和に暮らすということは出来なくなってしまったが。

 

「……最近」

 

「ん?」

 

「戦うことだけが全てだって思うときがあるんだ」

 

「……祝福の弊害か?」

 

「そうかもしれない。ファフナーに乗り続けられるのはありがたいけどな」

 

「お前はお前だぞ、一騎」

 

「そうだな。お前の言う通りだ。俺はまだここにいる。でも、昔なら怖いと思ったかもしれないことすら感じなくなってきているんだ」

 

「……戦いからは、退く気はないよな?」

 

「みんなの痛みを引き受ける。それが俺の祝福だから……」

 

そうかよ。俺からは無理はするなとは言える立場ではない。

 

「……あの頃には戻れないけど、あの頃抱いていた感情は忘れるなよ」

 

「わかってるさ」

 

どうだがな。

 

「ほら、食べてみろ」

 

「食べろって、これを?」

 

「あーん」

 

適当にスプーンで掬って一騎の前へと持っていく。

 

「……あーん」

 

一騎は渋々口を開き咀嚼する。

 

「どうだ、判るか」

 

「……とても懐かしい味だ」

 

「そうだろ?あの頃の味を再現したんだ」

 

本当はもっと美味しくすることも出来たが、今回は目の前の弟のために思い出重視にした。

 

「見た目だと、お前の方が弟になるけどな」

 

「それは言わない約束だろ」

 

「そうだったな」

 

「今度はお前のも食べさせろよ」

 

「いいぞ、ほら」

 

「……ふむ」

 

食べてみて敢えて感想を述べるなら。

 

「俺のよりもウマイな」

 

「だろ?」

 

ドヤ顔するなよ。あーあ、手を抜かなきゃよかった。

 

「ありがとな、信」

 

「なにが」

 

「俺のことを心配してくれたんだろ?」

 

「さぁな。俺はお前のことを心配している奴等が心配して欲しくないからやってるだけに過ぎない」

 

「相変わらず難しい言い回しするな」

 

「そうか?それならもっとみんなのことを理解しておけ」

 

「りょーかい」

 

「さて、皆も待ってるし少し急ぐぞ」

 

「ああ、そうだな」

 

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