あまり進んでいません。
総士がニヒトに乗ってから数日が経過した。
「かなり無理してるんじゃないか?」
「まあな」
剣司に栄養剤を注射されなから適当に相槌する。
あれから俺の新しい器…マーク・フュトゥールで連日、模擬訓練を行い勘を取り戻していた。
デスティニーが"彼"の願いを叶えるため、残酷な運命に打ち克つことを込めて名付けられたが、フュトゥールはみんなの未来が平和であることを願って"俺自身"で付けた。
訓練してみてわかったのが、今のままではフュトゥールの戦力不足は否めない。システムから提案された新しい強化ユニットを製造及び制御するのにも時間を割き、本人の希望から一騎の為の新しい器を用意しなければならないのも辛い。時間がとにかく足りなすぎる。
「それにしても恐ろしい程に数値は安定している。薬が要らないのも少し不気味だな」
「片足分、人間止めてるからな」
「それは違いねぇ。けど、中身は変わらないだろ?」
「そうかもな」
現状俺だけ、多分総士も学べば使えるかもしれないがエレメントとエスペラント、双方の力を使い同化現象自体の進行を留めることに成功した。これにより意識がある限りファフナーに乗り続けられることが出来る。気に入らないけどまだ、戦わないといけないから好都合だ。
「ところでよ。最近、家に帰っていないって本当か?」
「誰から聴いた?」
「千鶴さん」
「……そうか」
俺たちが願ったから父さんたちの関係は変わった。遠見先生……義母さんに心配されるのは俺にとっても心苦しい。
「なら、久しぶりに帰るか」
「そうしてくれ、俺も早く咲良たちに会いたい」
「悪かったな、付き合わせてしまって」
「いいさ。これが俺の役目だからな。けど、ほどほどにしてくれよ」
「りょーかい」
軽く雑談をしてよし、帰るかとそう思っていたが。
「失礼します」
入ってきたのは御門と水鏡の二人だ。この組み合わせは。もしかして。
「信先輩、話があります」
「……疲れてるから、手短に済ませてくれると助かる」
「俺は外した方がいいか?」
「いえ、先生も聴いてください」
剣司を残すのか?俺に言い訳をさせないつもりだな。彼らが言いたいことはおおよそ見当はついてる。
「……俺たちをファフナーから降ろすって本当ですか?」
「正確には非常事態以外の時だけな」
「信、それって本当か?」
「訓練を通して俺の判断で父さん…真壁司令に打診した」
本人たちが聴いているなら、承認されたことになるか。二人にはここ数日、総士の訓練の合間にシミュレータではなく実機で遠見と鏑木含め四人で三対一の戦闘訓練をしてもらった。
結果は俺の……全勝。
セレノアが西尾姉に用いた、他者に干渉する能力を参考にジークフリード・システムの使用者である鏑木と遠見たちとの繋がってる経路から彼らの思考を読んだ。
遠見が十全なら善戦出来ただろうが、セレノアに目を奪われているため、機体性能の差で余裕で勝利出来てしまった。
今、島で俺とまともに戦えるのは一騎や甲洋くらいだろう。
「まだ俺たち戦えます」
「私たちってそんなに頼りないですか?」
「そういう訳じゃない」
「……ならどうして、遠見先輩はいいんですか?」
「遠見は…その頑固だから」
こればかりは回答に困る。
たとえ俺が止めても一騎が戦い続ける限り、遠見は止まらない。ファフナーに乗れずとも別の手段で戦闘に参加するだろう。
……もう遠見自身が自分で自分を止められない。恐らく、遠見は人を殺めた時から止まることが赦されないと思っている。一騎なら遠見を赦すことが出来ると思うが、一騎は遠見だけを見ていない。何とも悪循環なことだ。
「そんなんじゃ納得出来ません!」
「俺たちは先輩がいない間、島を守ってきました」
「そう言われると耳が痛いな」
確かに一理ある。今俺がここに居ることが出来るのは島にいた御門たちが俺がいない間島を守り続けてきたおかげだ。だが、だからこそ。
「なあ、御門、水鏡。俺は、な。お前たち…後輩組には長生きしてほしいんだ」
俺たちの代で戦いを終わらせ、後に続く者たちには戦うために命を懸けるんじゃなくて生きるために命を使って欲しい。その為にまず余力がある内にファフナーから降りて生存限界を延ばすことから始めてもらいたい。
延命の医療技術は義母さんや剣司たちが時間を掛けて何とかしてくれるだろう。
「それで納得しろっていうんですか?先輩たちは戦い続けているのに……」
「これ以上乗るとヤバイってお前ら自身もわかってるだろ」
「それは……」
「なあ剣司そうなんだろ?」
「……遠見やシステムの鏑木に比べ前線でSDPを多用するコイツらの症状の進行が早いのは確かだ」
カルテを見た限り乗れて後数回くらいだろう。それも島防衛とかの長時間の戦闘はそのまま彼らの死に直結するはずだ。
「……それにお前たちはどちらかがいなくなっても戦い続けることは出来るのか?」
「……わかりません」
「だろうな」
経験してないからわからないだろう。
だが端から観るなら彼らは仲睦まじく、心を通じあってるように見える。例えるなら比翼連理のような関係だ。羨ましいことだ、けどそれは同時に問題でもある。
「はっきり言うが出来ないし立ち直れないはずだ。お前たちがそれでも……」
「敵は待ってくれない、ですか?」
「そうだ」
片翼を捥がれた鳥は地に墜ちる。居なくなったらもう一人も連鎖的にフェンリルを使って後を追うはずだ。
「だけど、先輩はカノン先輩たちのときそんな素振り……」
「俺は感傷に浸る暇がなかっただけだ」
少しでも気を抜いたら、大切な人たちがいなくなる。だから俺は戦いながら気持ちを整理していただけにすぎない。
「それに次の戦いにはマレスペロが必ず出てくる筈だ」
マレスペロはマーク・デスティニーで乗り込んでくるだろう。アザゼル型を単騎で屠れる機体。到底、御門たちの機体では太刀打ち出来ない。ザインやニヒトの力も必要になってくる。
「尚更俺たちの力が……」
「だから、俺はマレスペロと一騎討ちでアイツを倒す」
恐らくマレスペロもそれを望んでいるはずだ。
「そんな無茶苦茶な」
「勝てる見込みは……」
「未知数だからやってみないとわからない」
「お前なぁ」
「こればっかりはすまない。俺を信じてくれ」
俺自身も余り自信はない。現状一%くらいの確率だ。それでも勝たないといけない。未来を掴むために。
「わかってくれるか」
「……なら一つ俺から条件があります」
「何だ?俺が出来る限りのことは応えるつもりだ」
「……俺たちの機体を改修してください。先輩がマレスペロに勝てるってことを俺たちに証明してください」
「ちょっと零央ちゃん」
やっぱり言葉だけじゃ認めてくれないか。
御門、水鏡本当にすまない。
「……わかった」
「ありがとうございます」
「零央ちゃんいいのそれで?」
「いいのさ、これで」
御門は満足したのか。出口の方へ歩いていく。
「すいませんでした。時間を割いたしまって」
「いいさ、このくらい」
「それでは失礼します」
「あ、待ってよ~」
そうして二人は出ていった。
「……あんなことを言ってよかったのか?」
「案はあるさ」
「お前なぁ」
「頼まれたんだ。俺はやれることをやる」
二人に与える力は命を縮めるもの。
出来るなら彼らにその力を使わないで欲しいと切に願うものだ。
一応予定として。
次にマリス襲来。総士視点。
里奈パイセン救出作戦。
VSマレスペロ
くらいでやっていこうと思います。
7、8.9話が早く観てみたいです。
個人的に第二次L計画が楽しみ。
多分、Lボートに総士たちだけを載せて竜宮島に行く流れかな。海神島を囮にして。
スサノオ、ツクヨミの改造案。
機体スペックはこれ以上上げられないためSDPの能力の拡張。
スサノオならジークフリード・システムを介し特定の座標を選択してそこにいた存在を別の場所に移動させる。飽くまで味方が来るまで時間稼ぎの方法。
ツクヨミは単純にウォールの範囲拡張。EXO第三次蒼穹作戦時に美三香が黒い球体になる前に張ったウォールを常時張れるようになる感じ。