ここ数日、海神島で過ごして最近わかったことがある。
……昔確かに僕はここにいた。
顔は思い出せないけど、大切だと思える人とあの浜辺を歩いた。
もっと、ここで過ごし世界を学べば曖昧だった過去の記憶を思い出すことが出来る筈だ。
「最近、信にも会ってないんだよな」
何をしてるのだろうか?
『自分の考えとは逆の考え方を持つ人間が必ずいることを忘れないでくれ』
あの件以来、謎めいた言葉だけを残して意図的に会わないようにされている。
会っても訓練の一環でファフナーに乗っている時くらいで、顔は見えない状態だ。
というよりあの時信に手を抜かれていたのが判ってしまった。今だと全く勝てる自信がない。
訓練を受けてみて遠見さんや他の人らは何となく考えていることがわかるけど(実際は動きに反応出来ないが)信や遠見さんの親戚は壁で覆われているような感じで考えが読めない。
ああ、それにしても眠い。もう今日は終わりにするか。僕は寝ることにした。
………………。
「ーーきて」
誰かに体を揺さぶられた気がしたので目を開けると、そこには本来いない筈の人間が立っていた。
「マリスどうやってここに……」
「迎えに来たよ総士」
「迎え?」
一体何を言ってるんだ?
「島の連中を信じないで、一緒に来て」
「待ってくれ。一体僕を何処に連れてく気だ」
「ここより安全な場所さ」
マレスペロに支配された世界で安全な場所は何処にもない。認識阻害を行っているからここは一応安全だ。
「僕が安全だと思えるのは、僕らが一緒に育ったあの島だけだ」
もう存在しない僕の島。あそこは確かに僕にとっては平和で安全な楽園だった。
「そうだったのか。なら、また一から作り直さないとね……」
一から作り直す?じゃあ、やっぱり。
「偽物を作って楽しいのか?」
「なに?」
「少なくともこの島の人たちは僕に真実を教えようしてくれている」
「ウソを吹き込まれてるとは考えないのかい?」
確かにそれも考えはした。けれど。
「僕が彼らのことを信じたい。ただ、それだけさ」
僕の勝手な願望なのかもしれない。何となく彼らの考えが判り、彼らの根底にある僕に向けての感情が『心配』だったから。
それに抜け出せる機会は幾らでもあったけど、僕を自由にさせている。なら、その信頼分くらいは彼らに応えたい。
「ここまで、毒されたのか……」
「マリス?」
「眠って。余計な記憶は全て消すから」
マリスに手をかざされると急に意識が遠くなる。
これは、信が以前僕にやったエスペラントの力。
「……やめろ!」
僕は振り払い、マリスの力を拒絶した。
……危なかった。ルヴィから少し力のことを学んでいてよかった。
「眠らせて僕を無理矢理連れていく気か!」
「抵抗するなんて、エレメントの力か」
人の意志を無視してマリスが僕を連れていこうとした?本当にあの島に居たマリスなのか?とても信じられない。
「離れなさい、マリス」
「……ルヴィ」
異変に気づいたのか、ルヴィとその従者が僕らの前に現れた。
「彼を連れて行かせるわけにはいきません」
「へえ、随分と人間らしい表情が出来るようになったじゃないか」
自分の置かれている状況が分かっている筈なのにマリスは妙に落ち着いている。
次に来たのは信の父さんたちだ。
「……真壁史彦」
「マリス・エクセルシア何が目的だ?」
「総士たちを連れて行くのが第一かな。それと……君たちに降伏をお願いしに来たんだ」
「降伏だと?」
「仲間だったよしみとして、これ以上無意味な抵抗をすることはおすすめしないよ。素直にマレスペロの"祝福"を受けたら?」
「……それは難しい提案だ。それに今、君を拘束して人質にすることが出来ると思えるが…」
「僕一人じゃベノンは止まらないよ。それでも僕を拘束するかい?」
マリスは僕に用が済んだのか部屋の出口へと向かおうとする。信の父さんたちは何もしない。
「賢明な判断だね。交渉相手は大事にしなきゃ」
「お前のことを親友だと思ったいたのに」
「僕もそうだったさ」
「マリス……」
「美羽、君の家族を用意したよ。君が来てくれるなら手厚く歓迎するよ」
「……………」
「黙りなんてつれないな。まあ、いいや」
出口へと着いた時、マリスは何か思い出したのか振り返った。
「……ああ、そうだ信はどうしたんだい?」
「彼は深い眠りについています」
「……そうか。なら起きたら宜しくって伝えて貰えるかい?」
その言葉を最後にマリスは部屋から出て行った。
うろ覚えでの会話になってしまいました。
プリキュアが10月末、
ファフナーが11月公開予定。
3ヶ月もあって長いよ。
皆さんも身体に気をつけて公開日に備えましょう。