にわかファンがファフナーの世界に転生したら   作:桜大河

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冒険の書が消えた


BTL

先日、俺や一騎たちが第一種任務を解かれてから数日が経過したある日。

定期的な健康診断の結果から遠見先生よりとある"宣告"を言い渡された。

 

「あ、あと四年……」

 

隣に座っている一騎から項垂れたような声が聴こえてくる。

生存限界……つまり余命を俺たちは言い渡された。常人なら冷静でいられる筈がない。遠見先生からは研究によって延命することが出来るかもしれないと言われたが、その保証はどこにもない。

因みに俺の生存限界は一、二年。二十歳に……成人式を迎えられるか微妙なラインだ。

しかし本来俺はこの場にはいない筈の人間。

ティターンモデルにザインやデスティニー、同化現象を馬鹿みたいに加速させる機体に乗り続けていた俺は幾ら他の者より耐性が強くても、いついなくなってもおかしくない程の状態だった。そんな時に来主操から譲られた生命によって、俺は今も存在し続けられている。1日でも長く生きられることには感謝している。

だが、それにしても。

 

「短いな」

「そんなに長く生きられるんだ」

 

『……は?』

 

何言ってんだコイツ?

 

「俺たちはファフナーに乗ってたんだぞ。あと数年も生きられるならいいんじゃないか」

 

「確かにそういう捉え方も出来るが、昔の人と比べたら俺たちの寿命は限りなく短いんだぞ」

 

「そんなの今関係ないだろ……」

 

「何だと!」

 

「お前たちやめんか!」

 

『……父さん』

 

父さんの乱入により俺たちの会話は中断される。

 

「息子たちがうるさくしてすみません」

 

「いえ、そんな……」

 

『……………』

 

お、俺は悪くねぇ。お前が悪いんだぞ一騎。だから、お前のせいだぞ見たいな目を俺に向けるのを止めろ。

 

「ほら、帰るぞ二人とも」

 

「あー、その~」

 

こんなことになるとは思ってもいなかったが、当初の予定は父さんと遠見先生二人きりにする予定だった。今頃遠見も道生さん家で女子会擬きをしている筈だ。

 

「今日は家に帰ってゆっくり休め」

 

「そうなんだけど、ちょっと海でも観ながら一騎と今後について相談しようかな~なんて」

 

「……あ、ああそうだな」

 

「だからさ、父さんは予定通りに遠見先生の家にお邪魔してよ」

 

「だが……」

 

「大丈夫だってちゃんと家には帰るから、ほら行くぞ一騎」

 

「おい、待てって……」

 

と言う訳で俺たちはその場からそそくさと退散した。

 

 

 

***

 

 

 

「それでどうするんだ」

 

「……何が?」

 

「今回の件はみんなにはいつ言うんだ」

 

浜辺に移動して俺は今後のことについて切り出す。

経験はないが言うのは、早めに言った方が良い様な気がする。早くても遅くても心配されることは目に見えており、遅い!と隠していたことに対しての罵倒をされるだろう。

 

「気持ちの整理もしたいし、しばらくは言わなくてもいいんじゃないか」

 

「俺もそう思ったんだが、遠見辺りがちょっとな……」

 

「遠見が?何で?」

 

問題は俺たちの世代で遠見と羽佐間がファフナーパイロットを続投することになっている。

羽佐間はあまり心配していないが、問題は遠見。

一騎に好意を寄せている彼女が今回のことを知ったらどう動くのか。思い付く限りで最悪の答えが俺の中で出た。

言うべきか、いや……言わないよりかは言った方がいいだろう。

 

「想像の域を出ないがアイツ多分……ザインに乗るとか言い出すぞきっと」

 

「そんな馬鹿な」

 

「島の最大戦力の穴埋めをするなら、乗れることが一番の近道だからな」

 

馬鹿とは言うが有り得なくはないんだよな。

リミッターが掛かっていたとしてもザルヴァートル・モデルは色々な意味で別格だ。昔と比べてノートゥング・モデルの性能も向上しているがあくまで普通の枠組みでの進化だ。超えられない壁は確かに存在する。

今回、一騎がパイロットから外されたことによってザインは空席となった。

希望としては今のような状況が続けば良いが、イドゥンや来主操のような憎しみや喜び、感情を学ぶことによって驚異的な進化を果たしたフェストゥムを俺たちは目の当たりにしている。

いつかまた独自に進化した個体と邂逅する可能性は大いにある。最悪の場合はザインやニヒトに頼らざるおえない。

……と言うのが俺の考えだが、遠見の場合ならもっと単純に戦えない一騎の代わりに成りたいとか、共通の悩みである……長く戦士として戦い続けたせいで一般人に戻るのに抵抗があるとかそんなところだろう。

 

「まあ、ザインには乗れないしあくまで予想だけどな」

 

「そうかもしれないが不安になることを言うなよ」

 

「悪い悪い……けど、俺たちの命は自分だけのものじゃない。そこん所を知って欲しかっただけだ」

 

「そんなの、解ってるって……」

 

「……どうだかな」

 

戦いだけが命を使うことではない。手に入れた平和を享受することでも使うことが出来る。平和という文化を残してきたから竜宮島だからこその特別なことだ。教えることは容易いが、一騎自身にそこは気づいて、思い出して貰いたい。

 

「何か言ったか?」

 

「いや、何でもない。それよりも……」

 

そろそろ楽園行くかと言いそうなところで。近くにあるスピーカーから声が聞こえてくる。

 

『……迷子のお知らせです』

 

「なんだ?」

 

「総士?」

 

意図がわからない。

島全体に流すということは美羽ちゃん辺りがいなくなったのか?

 

『真壁一騎くん、真壁信くんが迷子になりました。見掛けた方はお家に帰るようお伝え下さい』

 

『!?』

 

何だこれ?顔に熱が籠るのを感じる。滅茶苦茶恥ずかしい。

 

「……あの野郎、一騎!」

 

「ああ!」

 

この償いどうしようか。だが、この放送止めることが先決だ。俺たちは家に向かって駆け出した。

 

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