ーーて
ーーーきて
ーーーーおきて
誰かに呼ばれたような気がする。
……ようやく来たのか迎えが。
「ん…………………来主?」
瞼を開けるとそこには来主操がいた。
「やっと起きたね、信」
「操、お前……」
俺がいた場所は存在と無の地平線、生と死の狭間。操がここに来たということは。
「……やられちゃった」
「誰にやられた?」
「マークレゾン。君がミツヒロと呼んでいた存在さ」
「……やっぱりな」
「もしかして、僕がやられるのを知っていたの?」
「すまない。ミツヒロによって味方の誰かがやられることは知っていた」
「……そっか」
言うつもりはないが操か甲洋、どちらかがここに来ることは俺にとっては確定事項だった。
「なら、教えてよ。これからどうなるのか。お母さんは無事に生き残れる?」
「……聴いてどうするんだ?お前はもういないんだぞ」
ここに来た時点で操は還る術はない。生と死の循環を知ったミールによって、いなくなった操の代わりとなる、新たな誰かが誕生することは決定している。今の操に未来を教えたところで何も変わりはしない。
「"僕"が安心したいんだ。ちゃんと守れたのかを」
「……そうだよな」
もしかして、容子さんを心配してるのか。たった数年とはいえ、家族として一緒に生活していたのだから、そう想うのは当たり前か。人間らしい感情がちゃんと有るんだな操は。少しだけ羨ましい。
「大丈夫さ。容子さんは無事だよ」
「ホントッ!?」
「お前のお陰で未来は繋がったんだ。本当に感謝してるよ」
お前の犠牲は無駄にはしない。
その犠牲によって俺は戻ることが出来る、後のことは任せてくれ。
だって、その為に俺は居るのだから。
***
「目が覚めましたね、信」
「ルヴィ、か……状況は」
「……あまり芳しくありません」
「なら、早く準備しないとな」
「大丈夫、なのですか?身体は……」
「問題ない。操が力を貸してくれた」
ここに意識がなかった間、無意識に自身の身体が再構築を行ったことにより、前世と同じような体格に戻っていた。多少の倦怠感はあるが時期に慣れるだろう。
移動しながら俺が寝ていた間のことを大まかに説明して受けた。
要約すると総士が家出したらニヒトが覚醒してその代償として零央と水鏡が同化現象の末期症状になり戦線から離脱。
現在はアルタイルを目覚めさせるために総士や父さんたちはLボートで竜宮島へ向かったとのこと。俺が海神島に居るのは総士が俺に頼らず、自分たちの力で今の状況を打破しなければならないと訴えたからだそうだ。
「あの時の総士はかっこ良かったですよ」
「それは見てみたかったな」
「貴方が無茶をしなければ、見れませんでした」
「そうなのか?」
「判ってて言ってますよね?」
「まあ、な」
俺の存在によって総士が成長する本来の機会を失ってしまった。だから、代替のプランとして俺はアレを行った。総士の心が折れてしまう要素もあったが無事に乗り越えたようだ。ヘスターの婆さんもいい仕事をしてくれた。
総士が成長するなら俺の犠牲は安い。
俺は誰がどんな選択をしたかによって、おおよそのたどり着くこの世界の未来を知っている。
未来を確定させるのに重要な存在は美羽ちゃんに総士、そしてマレスペロの三人。アルタイルと邂逅する前に彼らがどれだけ成長出来るかによって決まる。操を殺ったミツヒロとレゾンは確かに強力だが、強さに底が見えている。俺だけでも対処可能だ。
「それりよりも止めないんだな、俺を」
「止めても無駄ですから。それが最善なのでしょ?」
「……分かるのか」
「貴方ほどではありませんが私にも未来は見えます」
「そっか、なら逝ってくるよ。未来を見つけに」
「気をつけて下さい、シン」
ここまでは最小の犠牲でたどり着いた。この調子で最後までいきたい。ハッピーエンドで終わらせたい。
だからさあ、この長く続いた物語を終わらせようかマレスペロ。
こんな感じで後数話で終わります