西暦2143年のとある日。
ついに遂に俺はーーAlvisへ入る許可が得られた。
いやー許可が得られるまで長かったな。
一騎が皆城を怪我させてから数年。
その間は勉強したり、皆城のために一騎の観察記録書いたり、羽佐間の小説創作の手伝いしたり、羽佐間のことで春日井からは嫉妬されたり、原作では糞だったけど設計に関しては一流だった、ミツヒロ・バートランドと遠い未来の希望である日野親子が島から出てったりと色々とあった。
……けど、よかったわ。L計画が開始する前で。
一年という平和が得られる代わりに40名の参加者全員がいなくなることが判ってる。
先輩たちをただ送り出すなんて胸糞悪いからな。
これでいなくなる筈の人間を一人でも生き残らせる可能性が出来た。
そして、生きた人間は行く行くは俺のために……。
よし、まずは原作知識を活用して案を出して大人を納得させなきゃ。
***
「おいおい、これはどういった面子だ」
「今回の議題は極秘裏に決めなければいけないことなのでな。関わる主要メンバーだけにさせて貰った」
定例のミーティング終了後、アルヴィスにおける主要メンバーのみが招集が掛けられた。司令である皆城に溝口、医師の遠見先生にメカニックの羽佐間さんに小楯さんと近藤さん。だが、それよりも気になるのは。
「それで何で私まで呼ばれたんだい」
「すいません、西尾博士。彼の希望なので」
「……そうかい」
普段ならいない西尾博士も同席していることだ。
しかし、ことの事情を知っているだけに、今回だけは博士の意見が必要になるので、申し訳ないが居ることに私は納得してしまっていた。
「皆すまない。今回の議題はーー真壁信から提出されたデータについてだ」
モニターに表示されたものは先日、私の息子である真壁信から提出された研究レポート。
その内容は私も一度は軽く目を通したものの、我々、大人の常識を根底から覆すものばかりだった。
「羽佐間チーフ」
「はい。まず始めにファフナーの改修案についてーー」
表示されたのは我々の現在の最大戦力であるファフナー、ティターンモデルのデータ。見る限りでは機体の重量が少し減ったくらいだ。しかし、近藤さんや小楯さんは何かに気づいてとても驚いている。
「おいおい何も変わってねぇじゃないか」
「機体の外観には特に変化はありません、が」
「……ジークフリードシステムがないね」
「そうです」
敵であるフェストゥムの読心能力を防ぐためのシステムが外されていた。これでは敵に考えていることが筒抜けになってしまう。
「それじゃ、敵とまともに戦えないだろ」
「いえ。離れた位置にジークフリードシステムを内蔵した司令塔を設置し、司令塔の人員とパイロット間でクロッシングして敵の読心能力を防ぎます」
「結局、外すことの意図が解らないんだが」
「パイロットの同化現象を緩和させます。先日、擬似プログラムを用いて起動実験を行い検証しました」
「傾向としてはとても安定しています」
確かに過去のデータに対して同化現象の進み具合が非常に緩やかだ。実地者二人のコード形成率を加味しても筋は通ってる。親の知らぬ間に危ないことをしているのは気に入らないが。
「司令塔を通すためパイロット間での連絡にラグが生じてしまいますが……一番の問題である時間を伸ばせます」
「……西尾博士、いかがですか」
「大したもんだね……やる価値はあると思うよ。因みにその考えに至った理由は知っているのかい?」
「ファフナー同士でクロッシングしていても、実際は一人だ。なら、人を増やして支えあえばいいと……」
「……そうかい。で、これで話は終わりかい?」
「……いえ、続いて次世代のファフナーの開発計画について」
「おいおい、マジかよ」
次世代のファフナー、ノートゥングモデルの設計案。従来のファフナーよりも小型化がされている。
「コンセプトは機体との一体化による生存率の向上です。従来にはないパイロットの感情を機体に取り込むことによって機体をより繊細に動かすことが出来ます。
ですが、その分新たな機体にはそれなりのコード形成率を有したパイロットが必要となります」
「……パイロットはかなり限定されてしまうな」
判りやすいデメリットだ。遠回しにここにいる全員の子供たちくらいしか乗りこなせないということだ。
「それに関連してコード形成率と同化現象への耐性の違いについても判りました。遠見先生お願いします」
「ジークフリードシステムを……隔離型にしたことによりサンプルデータを多く取ることが出来たため判りました」
データではコード形成率が良いのにも関わらず、同化現象の進み具合が早く、逆に悪くても進み具合が緩やかな者がいる。
「……一気に選択の幅が広がったな」
そう思わずにいられない。新たな事実が発見されたことにより、討論されることになった。
……そして、殆どの議案が承認され……。
「最後に我々の敵であるフェストゥムについてだ。あくまで憶測に過ぎないが」
フェストゥムは我々ですら理解出来ていない未知の存在だ。
「ーーいずれ、海中でも活動するかもしれない」
皆はここまでの実績で納得しているが、レポートを事前に観ていた私はどうして信はそのような考察したのかが判らなかった。
他のことは天才症候群や子供の発想で納得したがこればかりは腑に落ちない。まるで未来を、見てきたかのような。
それに最近、というかアルヴィスに来てから信は段々と悪い方に向かっているような気がする。
勘だが当たらないで欲しいと願うばかりだ。
次回からはROLに入ります。大体一話か二話くらいで終わる予定です。
Beyondは力なき者までは書けるので気が向いたらで