どうも、わたくし執事のひつじと申します。
主である神様に遣えてはや数千年、わたくしの扱い用ときたら最初の頃となんら変わらなく思い切ってストライキを起こし、こうしてある場所へ逃げてきたのでございます。
日々滅茶苦茶な事を言われ、意味もなく足蹴されたり暇つぶしに軽く地球の裏まで飛んで来いなどとアホな命令をしてきたり、度胸試しに燐華様に『鉄腕毒舌陰険年齢詐称女』と言ってこいやなどと命がいくあっても足りないようなキワドイ命令ばかりしてきまして、わたくし、あの方の下で働く自信が消え失せてまいりました。
「揚羽どうしてるの?一応アンタの同僚でしょ」
揚羽様などわたくしに助けの手さえ差し伸べてくださいません。この間など、空をぼんやりと眺めて仕事さぼっている神様が何を言いだすかと思えば、「あ~、俺空、飛びたい。急に飛びたくなった、あの大空の端っこを見てみたい」
などと意味不明な発言をしたあげく
『おい、ひつじ。お前ド○○もんから空飛ぶ竹、借りてこいよ。こー、頭に装着して空飛べる道具あったろ?あれあれ』
わたくしがなんでそんなものがひつようなんですか!?神様なんですからあんた自身が空飛べばいいだけの話だと猛反対しましたら
神様はわたくしを鼻で笑い
『……ひつじ、所詮お前は草食動物。…動物には男のロマンが理解できないだろうなぁ?』
と馬鹿されたんですよぉぉぉおおおおおおお!
「そんなもんわたしも理解したくねぇよ」
しかもしかも!!揚羽様が通り過ぎ様に
『ついでにド○○もんのサイン、もらってきてくれ。ちゃんと揚羽くんにって書いてもらってくれ』
そういって笑顔でサイン色紙をわたくしに手渡したんですよ!?
「わたしも欲しいなぁ」
アンタは馬鹿ですかぁぁぁああ!ってサイン色紙投げましたら、揚羽様が3時間ネチネチ嫌味言ってきてゲシゲシ踏まれ続けました。
わたくし悟りました。
ああ、ここはもうわたくしの居場所ではない、と。
「だから、わたしのとこに来たってわけ」
こいつアホかと視線で投げかけるのは
超絶麗しい女帝の妹の狗楽様。密かな憧れでもあります。
ぽっ
「気色悪い、何赤くなってんだよ」
げしっ
ああ、狗楽様のおみ足がわたくしの体にヒット!この上なく快感が走りまくります。
「キモッ」
げしげしげしっ
グヘッ!!?
「ところで、ねーちゃんはいつこっちに帰ってこられるのさ」
……え、天姫様ですか?
今は無理かと思われますが。なにせ未来に行かれておられるので。
あそこは別次元となっておりまして、早々簡単に手を出せる場所ではないのであります。
そもそも管轄外ですし。
「未来?何それ。どこの未来行っちゃったわけ!?」
もちろん、彼の世界にございます。
「え!?マジで…」
マジでございます。神様が無理無理に仕組みまして、ヒナ様の言付けも無理に終わったのです。
「ここでばばあの名前なんか聞きたくない」
左様でございますか。狗楽様はほとほとヒナ様を毛嫌いしておられるようですね。過剰なほどではないでしょうか。せっかくの血縁者だというのに。
「うるさい、あの女見てるとすっごい苛立ってくるんだよ、なんか腹からむかつきが溢れてくるし。アレとおんなじ血が流れてるかと思うと苛立つ!!」
だからといって、毎度毎度ヒナ様と遭遇するとき、お二人して戦闘態勢に入らなくてもいいのではないですか。そのたびに被害が出ていると璃怜様が嘆いておいででしたよ。けが人が続出して仕事の量が増えると。
「そんなもの巻き込まれる人間が悪い!」
はっきり言いました!?なんと堂々たる御姿。
天姫様そっくりですな。
「はっ、そうよそうよ。話がすっごいずれてた。ねーちゃんは今どういう状況なのよ?」
そうくると思いまして、このひつじこんなものを用意しておりました!!
「……紙芝居……」
ええ、夜なべして作りました。でタイトルは
「『女帝天姫の華麗なる人生。そして、明かされる彼女の隠された秘話!?』………ねーちゃん、とうとう、『女王』から『女帝』に昇格したんだね……」
おめでとう、と狗楽様は遠い目をしてお祝いの言葉を申しました。
さて、ここからひつじの紙芝居が始まります。
皆様、ご準備はよろしいでしょうか?
では、始めましょう……
※
相変わらずの鈍感さと壮絶な美しさをもった神崎天姫は復活の世界にとどまること決意した後も相変わらずの鈍さを誇っていた。
鈍感すぎて自分のまわりにいる男たちが自分に好意を寄せていることにも気がつかずに、日常を送っていた。
そんなある日、事の最初は神男が用意した花見の舞台か始まる。
まったく季節感を滅茶苦茶にする神男にあきれながらもまんざら嫌ではなく楽しく風情ある桜を楽しんでいた天姫。
しかしランボのトイレの付き添いとして一緒にいた天姫は10年後のランボと遭遇することになる。彼女にとっては初対面となる彼に気軽にあいさつしたつもりが、10年後のランボはなんと貴女とは会った事がないと未来での天姫がいない事を告げる。
天姫にとって復活の世界は居心地がよく、自分がいない未来の話を聞いてショックが隠せない日常が続いた。
それにいち早く感づいたのが山本武、それにリボーン。彼らは天姫に問いただそうとするが、天姫はどうせいないのならばわざわざ話すことはないと、彼らに告げることはなかった。
そして並盛中学に通う事となった天姫は、やっぱり注目の的となった。
京子の親友、黒川花とも友達になれ、天姫にとって楽しい学校生活になると思われた。
ヒバリのしつこさがなければ、さらにエンジョイできたものとも思っていた。
ある日、天姫は後に重要人物となろう眼鏡男子、入江正一とも接触を果たす。
彼との会話を意識しないまま、しゃべっていた本人であったが、入江にとって天姫は、もっとも大切にしたかった女性であり、あの入江は未来での出来事をすべて知っていた。
なおさら、自分が彼女を危険に追い込んだ犯人であることに心痛めていた。
さて、その入江とは再び会うことはないだろうと思っていた天姫。しかし今度は自分自身の問題が襲い掛かるとは夢にも思わなかったはず。
自覚ナシにヒバリとイチャイチャしていた夜、
ある人物の気配に気がつき家を飛び出した。
その人物とは予想だにしなかった女
自分の愛しき男の実の妹、朱論(しゅろん)であった。天姫は戸惑いを隠せず、精神部分にまでノイズに操られた朱論に敵わずにいた。
普段の自分ならこんなもの避けられるのに!!
天姫にとって初めての屈辱であり敗北だった。朱論の攻撃が天姫にとどめを!!
という時にまさかの助けがはいる。
それは天姫の友、そして朱論の異母姉妹の姉、燐華(りんか)であった。
彼女は朱論に冷たく言い放ち、たとえ、妹といえど、手加減は一切しないと、殺す構えをみせた。
朱論は素早く退避しきえさる。
燐華の出現に違和感を覚えた天姫は彼女に問いただした。なぜ、急に来たのだと。
燐華は言った。
天姫の養父、影動が祖父である凍翆を襲ったというあまりに悲しい現実を。
ツナたちが心配する中、事件は起こった。
天姫が家を飛び出し行方をくらませたのだ。
慌てて捜索にでるメンバー。そこに天姫の義兄、ディーノが駆けつける。
天姫がいるのは学校。そう考えた彼らの考えは当たっていた。
しかし、天姫自身の能力で学校へは容易に入れる状態ではなかった。
そんな中ディーノだけは、天姫の愛猫シロの協力を得て、天姫に会えることが成功した。
学校の屋上で一人泣いていた天姫はディーノの感情をぶつけ、訴えた。
私は忌むべき娘、生まれてはいけなかった
全ては私自身が招いたことと自暴自棄になる
しかしディーノの目覚めの一発により天姫はようやく落ち着く。
なんとなく感情を吐き出すということを体験した天姫は、未来に跳んでしまったあとも度々問題発生するときにそれを発動する。
訳もわからずにリボーンを抱えたまま未来の並盛に到着した一行は、未来のゴーラちゃんによってボンゴレ十代目である綱吉が用意した地下アジトへと案内される。
そこで待っていたのは10年後の大人になった山本武であった。
彼は天姫を見て驚き、謎めいたことを告げる。未来の天姫は氷の中で眠っていると。
その時は理解できなかった彼女だったが、のちに会う、ラル・ミルチが語る、未来の天姫の真実。
それは蒼龍姫の力を失い、ただの龍姫になったということ。そして未来の自分は敵、ミルフィオーレの手に落ちてしまった事実。
さらなる事実が天姫を襲った。
それは未来の自分が綱吉との契約を破棄され
雲雀恭弥と婚姻していた事。
それは自分がずっと愛することを決めた男を消し去る行為だとヒバリを認めなかった。
しかし、シチュエーションが良かったのか、はたまた実は心の奥底で彼を意識していたのか定かではないが、事実上彼に身を投じてしまった天姫。
共に夜を明かし、翌朝逃げるように恭弥の部屋から出てきた途端、天姫を捜し回っていたツナと遭遇してしまったのだ。
ツナは天姫を一目みて直観してしまう。
天姫は他の男に抱かれてしまったのだと。
動揺を隠せないツナは、狂乱の眼差しで天姫に詰め寄った。
それがいけなかった。
天姫はツナの異常ともいえる態度に恐怖し、運よく出くわした武が間に入り、二人の言い合いを止めた。
天姫は隙をついて逃げるように駆けた。
彼女の中では幼少時に受けた忌まわしい記憶がよみがえっていた。
それは、両親からの虐待によるもの。
その傷は今も彼女を蝕み、決して消えることがなかった傷だったのだ。
後から追い掛けてきた山本武は驚愕してしまう。
あの、普段の天姫からは想像もつかないほど、怯え、恐怖し叫びまくる姿を。
山本はかつて愛した男に泣きながら助けを求める天姫を腕に抱き締め、叫んだ。
お前は俺が守る、だから泣くな、と。
山本は覚悟したのだ、これから彼女に降りかかるすべてのものから守り抜くと。
今までツナに遠慮してきたが、もう容赦しねぇ。
その意思は揺るがないほど強固なものとなった。
ツナとて、後悔していた。
彼女を奪われたことにより、独占したつもりでいたツナの気持ちが嫉妬として浮き彫りに出てしまった事を。
壊れたままの関係はいったいどうなるのか!?
未来への世界での闘いを無事に終え、現代へ帰ってこられるのか。
そして、未来の天姫の真意とは?
それはこれから語られるであろう。
※
「はい、質問!」
え、狗楽様、何かおかしいところがおありになりましたか?
「ねーちゃんが親に虐待されてたなんて初耳なんだけど、それってどういう事?なんか他にも理由がありそうな…おい、お前何逃げようとしてんだよ」
がしっ!
あ、あのわたくしは何もし、知りません!!
げし。
「吐けやオラ!」
げふっごほっぬへっ!
「言う気になったか」
言います、言いますから!?どうかその毒がたっぷり塗られた刃物下げていただけないでしょうか!!
「じゃあ言え」
…実は天姫様は狗楽様に秘密にしていることがありまして、
天姫様と狗楽様は実は!!異母姉妹だったのですっ!
「……それで?」
はぅ!!?なぜそんなあっさりと流すのですか!!?驚きになられないのですか?!
「異母姉妹なんでしょ、半分は血、繋がってるじゃん。だったら何の問題があるん?
まったくの他人同士だった!なんて話だったら驚いたけど違うんだったらなんら問題ないし。むしろあのヒナが本当は私たちの母親!だったら喜んで切り刻んでやるよ」
こわっ!恐怖の大魔王がここに降臨した!
「聞き捨てならない事を言ってくれるな?狗楽」
「ゲッ!ばばあ、なんて勝手に人の部屋入ってくるんだよ!?」
「あれだけ大声を上げれば、嫌でも聞こえてくるものだ。しかも人の悪口ばっかり言って」
「あーん?文句あるんかよクソばばあ」
「ありまくりだ。ちなみに私がお前の名付け親だ」
「ばいばい、狗楽!今から別の名前名乗ります新生わたしの誕生編よろしく!」
「アホか」
「ヤルか!?コラ」
「受けてたとう」
おやめ下さい!!せめてわたくしに被害が及ばない場所でごへっ!
「「やかましい」」
うぅ、わたくしまだ死ぬわけには……
ばぁぁあああん!!!
「凍翆様がお目覚めになりましたぁぁあああ!」
璃怜が思いっきりドアを開口したので、近くにいたひつじに被害が及びました。
のほぉおおおおおお!
「「なんだとっ!?」」
驚き声も同じなお二人でした。
わたくしはまだ死にません、死ねないのですっっぅうう!