闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的126嘘と真実は紙一重

回想~γ編~

 

許し難し、あの女がしたことは毒を盛り、俺のボスを…奪ったっ!

 

友の振りして、仮面をつけて、俺たちに気を許させて油断させて、隙を狙って最悪の形で奪って言ったんだ。幻騎士が俺に言ったあの言葉は今でも忘れられない。

あの女は幻騎士よりも俺たちを裏切りやがったんだ。

 

『神崎天姫はボスを殺した』

 

病に伏せ気味となっていたボスをあの女が見舞に来ることはしょっちゅうであり、あの女が来るたびに俺たち、部下はボスから神崎天姫と二人っきりにしてくれと、頼まれていた。

俺たちは、日に日に弱まっていくボスの体を心配した。

あの女は信用できねぇ、ボスにとって毒だ。

そういってアイツと関わることをやめさせようとした。

だが、ボスの意思は固かった。いくらファミリーの俺たちの言葉でも受け入れようとはせず、あの女が訪問するたびに部屋にいれた。

そんな事が何回もあった、ある日。

 

「ああああああああああああああ―――――!」

 

女の叫び声が屋敷中に響き渡った。

ボスの部屋からだった。俺たちは急ぎボスの寝室に駆け込んだ。

 

バァン!!

 

鍵がかけられていたのを足で蹴り飛ばし無理やりにこじ開けた。

俺たちは目を見張った。

 

「お、まえ…」

 

血に塗れた神崎天姫が、ベッドの脇に立っていて、ずっとボスを見ていた。

あの女の左腕からはずっと流れていただろう『血』がカーペットを真っ赤に染めていた。

光を失った瞳が不意に俺を見つめた。そして、アイツ自身が言ったのだ。

 

「アリアは、旅立った」

と。

 

にいっと、口端を吊り上げ、笑みを浮かべて。

俺は悟った。この女は死を呼び込む。

ボスの予知能力が欲しいばかりに、自分のものとしようとした。

だが、手に入らないと思った奴は、ボスを殺すことにしたのだ。

あの死神は再び、俺たちの前に姿を現した。

抱えきれんばかりのを抱えて、あの女は微笑んだ。

異常ともいえるほど、艶やかに極上の笑みを浮かべて。

神崎天姫は呼んだ。

 

「ユニ」

 

と。

 

「天姫姉様…」

 

姫は戸惑いを隠せない様子だった。

なぜ、笑っていられるのかと、俺にはそう感じられた。

アイツは言った。

 

「アルコバレーノの『大空』襲名おめでとう」

 

カツリ、カツリとこちらに歩み寄ってきた。

しかし俺たちがそうやすやすと姫に近づける訳がねぇ。

ギラつかせた殺意は確実に俺の中に燃え滾っていた。

 

「てめぇ、殺してやる…」

 

地を這うような低く、押し殺した声で俺はアイツの前に対峙した。

神崎天姫はさっきから表情を変える素振りは一切なかった。

ただあるがままを受け入れていた。

絶やさずに微笑を浮かべて。

姫が俺の前にバッと出てあの女をかばおうとした。

 

「待って、γ!!ちがっ」

 

だが、

 

「ユニ、黙れ」

 

射殺さんばかりあの女は姫に殺気を放ち

 

「っ!?」

 

姫が恐怖から身をすくませた。

 

「気安く姫を呼び捨てにしやがるなっ!」

 

貴様が気軽に話しかけていい相手はない。

 

「γっ!話を聞いて」

 

姫は血をみるのが嫌なのだろう。

俺の袖にしがみ付き闘いを止めさせようと必死に泣きついた。

ああ、姫はこんな残虐な虫けらにさえ、慈悲の心を与えるとは、どこまでも純粋で白い姫。俺は二度となくすわけにはいかない。

 

「姫は下がっていてくださいっ!」

 

姫は後方にて仲間が守ってくれるから、あの女を血祭にあげることに集中できるぜ。

だが、俺の攻撃はいとも簡単によけられる。

あの女は澄ました顔をして俺を鼻であしらった。

腰に装備していた刀に手をかけることなく

腕組みをし、余裕な態度をアリアリと俺に見せつけた。

 

「その程度で私と対等なつもり?」

「なんだとっ」

「弱い奴ほど、咆え癖が酷くてかなわないわね」

 

そういって、アイツは片手を前に突き出した。その瞬間、体の自由を奪われ、地面にものすごい勢いで叩き落された。

あの女の能力、重力を操る力。倍以上の圧力を加えられ、骨が軋んだ、

 

「ぐフッ!」

 

俺が負けた。

圧倒的な支配力の前に俺の匣兵器など赤子同然のようにあしらわれ、

 

「私を殺したくば力をつけることね、γ。二度と、私に奪われないために」

 

俺を見下ろす瞳は人間の情のようなものは欠片一つとしてありはしなかった。

抑揚に淡々とアイツは言ったのだ。

 

「ふざけるな……、逃げんじゃねぇ、俺と勝負しやがれぇぇええええ!」

 

完全に敗北した途方もない悔しさと、ボスを奪われた事に対しての恨み、

まともに相手にされなかった事に対しての屈辱

そして、ボスを守れなかった自分に対しての愚かさ

その全てをγは叫びとして表現した。

神崎天姫は光の速さよりも素早く消えた。

思い出したくもねぇ、過去だ。

γはあの女は死んだものと聞かされた。

白蘭が殺したと、情報では言われていた。

しかし、今この場に再び出現してくれた事は素直に感謝しよう。

 

※※※

 

γはこの時を待っていた。あの時よりも、

 

「あの世でボスに跪け、蒼龍姫」

「させるか、って、お前出てくるんじゃねぇよ!?」

 

ふわりと、髪を躍らせ、ただ獄寺を見つめた。

熱く、熱く

距離が近くなるごとに、獄寺が狼狽しだす。

 

「な、なにす」

 

そこで言葉は遮られた。

ビシッっと指先まで一瞬にして固まってしまった獄寺。

なぜなら…、美しく整った容姿が間近にあるのだから。

柔らかい感触とともに。

両頬を挟まれ、濃厚な口づけを贈られた獄寺。

まるで一瞬のようで、永遠に感じる時間。

夕闇の女王は、心なしか頬をピンクに染め

 

「…勝たないと、許さないわよ。……隼人」

 

と言い残し、再び実体化を解き離れていった。

どうやら、笹川にも回復を施すらしい。

 

「…………」

 

固まってしまった、隼人。呆気にとられたγ。

その後は、とにかくがむしゃらに闘って勝った事しか覚えていない獄寺であった。

 

(獄寺×夕闇の女王、的な展開?)

 

 

天姫side

 

ワラワラ出てくる雑魚どもにいい加減うんざりしていた私。

最初は高揚としていたものもこれだけ、歯ごたえがないと逆につまらない。

さきほど大規模な地震みたいなものが起こるまで、通信はなかなか繋がらなかった。

電波状況が芳しくなかったらしい。今は、何かが動いた事によって、リボーンと連絡がとれた。

 

「リボーン!皆は大丈夫なの!?」

『わからねぇ、連絡が一切ないんだ。ツナは今んとこ無事だがな』

「そう……よかった。こっちは、もうすぐ敵さんとご対面する感じよ」

 

ビシビシ感じるのよね、まるで消す気がない殺気って言うのを。

気に食わない、それだけ自分に自信があるとか?嫌味な奴……。

それと小さな気配が二つ。もしかしたらヤバい状況かも。

焦る気持ちが苛立ちを呼ぶ。それを見越してか、リボーンは私に釘をさす。

 

『熱くなるなよ』

「…わかってるわ」

 

あやうく、また気持ちが高ぶるとこでした。

心の中で感謝を述べつつ通信を切った。それと同時に恭弥が声をかけてきた。

 

「天姫、出るよ」

「うん」

 

匣兵器実験場、問答無用で進んできた私たちにとって、ここが初めての強者との闘いの場となる。

恭弥が指輪をはめ、雲のハリネズミの匣を使用する。

遠慮なく壁をぶっ壊し始める。

カチャリと、愛刀を構えた。ついに壁を完全にぶっ壊した。

視界が一気に開けた。

 

「丁度良かった。そこの君、あの白くて丸い装置はこの先で良かったかな?」

 

わざとらしく恭弥がネクタイ緩めながら、前に出る。無論、私を背後で守りながら。

 

「ボンゴレ、雲の守護者に……蒼龍姫!?…そうか。過去からの、だな」

「俺と共に来ていただこうか。白蘭様へいい手土産だ」

 

人を土産者扱いする最低野郎だ。このマロ野郎だ。

不快感から眉間に皺が寄るが、奴の視線から隠すように恭弥がずいっと私を庇いながら前に出た。彼の押し隠していた怒りがヒシヒシと側でいて感じとれた。

彼は怒っている。

腹の底から煮えたぐっているのだ。

未来の私を護れなかった事に対して、そして今の私を物扱いする敵に。

 

「二度も連れて行かせないよ」

 

それは自分へ向けてか、敵に向かての言葉なのかはどうでもいい。

彼が私を一途に想っていてくれている言葉だから。

 

「恭弥」

 

手を伸ばし彼のスーツを握った。どうか無事でと祈りを込めて。

彼は一度振り返り私の頬をサラリと撫でた。

私はその温もりに目を閉じた。恭弥が安心させるように言う。

 

「大丈夫だから下がってて」

「……うん、気をつけて」

 

離れていく彼の手を名残惜しみながらも見送った。

マロ野郎は明らかに嘲笑い恭弥を偉そうに見やる。

 

「ボンゴレ最強の守護者も地に堕ちたものだな。そのような女に固執するとは」

「五月蠅いよ。………君みたいな術士は特に嫌いだよ。虫唾が走る」

 

反対に恭弥は冷静、といいたい所だろうがそれだけはない感情に支配されているようだ。

本当に嫌いみたい。幻術とかそういう類が。

私はハラハラドキドキムカムカな気持ちで見守ることとなった。

 

『雲』守護者VS幻騎士の闘いstart!

 

※※※

別働隊にはまさかまさかあの人たちが来ておりました。

天姫大好き人間で肩に匣兵器であるムクロウを乗せた眼帯少女、凪です。

 

「六道、骸っ!?」

「否、我が名はクローム髑髏」

 

仲間だと思っていた同僚は実は幻影をまとったクロームでした。

どっきりしたモブAは

 

「何、女だと!?」

 

そして続いてモブBが

 

「かまわん、撃て!」

 

と号令をかけましたがぬっと現れた今でも恭弥にこき使われている哲さんに

 

「一人とは、限らんだろう」

 

と拳で叩きのめされ次々とノックアウトされました。

哲さんの背負っているリュックから飛び出す

牛柄のランボさんと、イーピンちゃんであります。

 

「鼻血ブー!ぎゃはははは」

『ぷはっ。ランボうるさいっ』

「お二人とも、静かに。騒いでは気づかれてしまいますよ。この先の部屋に笹川と獄寺はいるようですね」

 

いざ、突入!としたとき、

 

「あとで天姫に叱られるかも……、京子ちゃんとハルちゃん、守りなさいって言ったのに……」

 

敵地だというのに、凪の心情は暗いものでした。

さっきから敵を遠慮なく、幻術を使いぶっ倒してきた子の台詞とは思えません。

彼女の通った後には、敵の無残な姿がたくさん放置されていました。

半分は哲さんによるものです。

天姫が、アジトを頼むと言って承諾した彼女がなぜここに項垂れているのかというと、どうやら、ヒバリに前もって言われていたらしいのです。

天姫には内緒でアジトに潜入しろと、

でも言ったら当然反対されるから、天姫には黙っていろ、でないと未来の神崎天姫が助からなくなる、そういわれてしまったのです。

いってらっしゃいと送り出していながら、自分もきてしまったこと、もしかしたらこれは天姫への裏切り行為になるのではないかと

考えれば考えるほど、凪は嫌な方向へ気持ちが堕ちていきます。

天姫には嫌われたくない、でも未来の天姫も助けたい。せめぎ合う両方の気持ちに挟まれながら凪はここまで来ました。

しかし、耐えきれずにズドーンと、三叉槍を支えに座りこんでしまいました。

哲さんは慌てて、気落ちしたクロームをなんとか持ち上げようと声をかけました。

 

「大丈夫ですよ!お嬢は心の広い方。理由を話せばきっと理解してくださいます」

「うぅ…」

 

でも、いまいち凪気持ちを浮上させるには何かが足りない様子。

そこで、哲さん考えました。

クロームの普段の様子からある物を思いついたのです。

 

「アジトに無事帰れたら、未来のお嬢の写真やビデオが残されているので、もしよければ見ますか?」

「早く行こう」

 

スクッと立ち上がりスタスタと凪は俊敏な動きを見せました。

どうやら、哲さんはチビッ子たちではなく、骸でさえ、翻弄させるほど扱いが難しい凪をも相手にできるようです。

さすが、長年、恭弥の相手をしてきただけの事はあるすごい人です。

自分のスタイル(リーゼント)を一切変えずにやっきてた彼だからできる技なのかもしれません。こうして、彼らは無事、ボロボロだけどやたらと元気な笹川了平と獄寺隼人を回収できたのでした。

 

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