別働隊として動いていた人物等が登場しました。
「恭さんっ!」
「天姫!」
「無事かっ!」
「なんとっ、雲雀は入れ替わってしまったのか!?」
「凪!?それに哲さん、隼人に笹川兄まで。なんでここに…!ってか、ランボとイーピンっ!?」
目ん玉飛び出そうなほど驚きましたよ。
アジトにいるものと思っていた凪たちがなぜ、ミルフィオーレの敵地まっただ中にいるのか。
ムキ―!!凪を無理やり連れてきやがったなぁぁあああああ!
純粋な乙女心を汚い手を使って実行したに違いないっ!
哲さん!!そんな腐った根性してたなんて、許せねぇぇえええ!
問いただしたい所だが、今はそれもかなわず。
なぜなら……
「……幻術ウザァァァァァアアアアアア!!」
怒りマークを額に浮かび上がらせながら、叫ばずにはいられないほど、あの眉毛がムカつくことばかりしやがるからだ。
恭弥が、トンファーでシュッと前へ出て幻騎士に一撃を入れる。しかし、奴はそれを刀の柄で受け止め、霧の匣兵器を持ちいり、誘導弾のようなものを大量に出現させる。
「変な眉毛のクセしてムカツク!」
どうやら怒っているのは私だけではないらしい。悔しそうに眉を吊り上げより一層幻騎士を狙う。しかし、数多くの誘導弾が私たちに襲い掛かる。
私はギリギリで避けるが、恭弥の方に標的を切り替えた幻騎士が、数多の誘導弾を向かわせる。
ッチ!間に合うかっ!
「恭弥っ!」
私の力で彼の周りに防壁を作り出す。
咄嗟の事だったが、それと同時に爆炎が一気に彼を包み込む。
気配からして成功したようだ。
しかし、敵は一瞬の隙を逃さず、初めて己が刃を煌めかせ、私に突っ込んできた。
高速ともいえる素早さ。
ガギィィイイイイン―――!!
金属同士のぶつかり合う嫌な音が響き合う。ぶつかり合う瞳と瞳。
お互いに宿らせるそれは、純粋な『殺意』のみ。
「人の心配をしている暇があるのか」
「お生憎様だよ、そこらへんの女と舐めてかかると痛い目みるぞ」
ぐぐぐっ
両者とも力押しが続きそのたびに刃から火花が飛び散る。
くそ、この馬鹿力がっ!!
私は、刀に込める力をふっと弱くさせ、押し比べに負けて反動的に襲い掛かる刃を寸前で自身の体を横にずらし、幻騎士が驚愕している顔を横目で流しながら、右手に力を込め、瞬時に支えにして回し蹴りをした。
「なっ」
体勢が崩れた瞬間を狙い、私は奴の背中目指し跳躍し月光を真下に向け突き立てようとした。
「ハァァァアアアアアア――――!」
「させるかっ!!」
幻騎士が叫んだ瞬間、奴の剣が横に大きく振られそれと同時に刃の波動のようなものがいくつも出現する。瞬く間に私に目がけて襲い掛かってくる。
「チッ!」
舌打ちしつつ、それを防壁で消滅させていく。
しかし、いくつかが防壁を通り抜け私の体をいくつか掠め、
ブシュッ、ブシュッ、ブシュッ!
宙に紅い鮮血が舞う。
肩に2か所、わき腹に太ももにも浅いものが数か所、あ、それと左頬もか。
「やるじゃないか」
負傷した所を冷静に分析しつつ、私は奴自身に重力を送り込み、奴を地面に押さえつける。地球で感じる以上の重力を倍以上に叩き込んでやった。
地面が一気に重力に耐え切れずに沈んでいく。
「…グハッ!?」
血反吐を吐き、奴自身もめり込む様は愉快といっていい。
地に降り立った私の隣に恭弥が駆けてくる。
「天姫、血が!?」
恭弥の顔が凍りついた。
ピシッと。効果音が飛び出たみたい。
敵があまりにも強いので、恭弥がびっくりしたのね。
「かすり傷だ、それよりも油断するな」
獲物はまだ生きているのだから。
私のこの能力が安定してしない。
だから、幻騎士にかけた重力も一時的なもので、もう解かれてしまった。
のろり、と立ち上がった幻騎士。
どうやら奴のプライドに傷をつけてしまったらしい。
奴の気配がガラリと変わった。
「……殺してやる…」
「ひゅ~。怖い怖い……」
おどけながら、私も体制を整える。これぞ、死闘。
アドレナリン出まくりですよ!
愉しすぎて笑いたい。
腹の底から笑ってやりたい。
お前の恐怖に歪む顔が目に浮かぶよ、と言ってやろうか?
私の足が一歩を踏み出そうとした。
「貴様が死ね」「ちょっと待って」
スパァァァぁぁぁアアアんンンン――――。
人が殺戮への一歩を踏み出そうとした瞬間、強面の恭弥が放つ、ツッコミが私の後頭部を直撃した。
「イダァァアアアアアア?!」
反射的に両手で自分の頭を押さえた。当然、愛刀『月光』は地面にカシャンと落ちた。
私は信じられなかった。
このシリアスな展開を迎えているというのに
この小気味よい音の懐かしさ、感触、受け続けてきた丁度良いツッコミのタイミング。
懐かしくてたまらなかった。
これではまるで……まるで
「我が愛しの狗楽ちゃんのツッコミ!?」
痛くない痛くないんだけど、愛に溢れたこのツッコミを、なぜ…
「なぜ恭弥が!?」
トンファーではなく、白い巨大なハリセンを左手につかんでいる恭弥は、名に喰わぬ顔で平然と私に言いのけました。
「君の妹が宅急便で送ってきたから。天姫が暴走しだしたらこれではたけば一発で我に返るって。当たりだったね」
「恭弥ァァァァアアアアア―――――!」
なぜ、貴方はそんなにもイイ顔して言うのですか!?
ときめいてしかたがないですよ、私のハートがドッキンドッキンって!?
ハッ!?もしや、これが、これが!!
私が恭弥に感じていた『愛情』!!?
「第2の狗楽を見ているようで、懐かスィィィイイイイイイイイイ!!」
絶叫して叫びだした私を放置して、恭弥はポイッとハリセンを投げ捨て、
ギラリンと呆気にとられている幻騎士を睨みました。
とっても気に食わないらしい。
「よくも天姫の柔肌に傷つけてくれたね?」
雲の指輪は膨大な死ぬ気の炎が出現していた。
彼は自分の右手に収まっている『雲』の指輪をオリジナルのハリネズミの匣にはめ込んだ。哲さんは天姫の計算しつくされた計画だったんだと勘違いし、ガッツポーズで
「恭さんがやる気になった!?さすがお嬢だ!」
狗楽に嫉妬した凪はどす黒い雰囲気を出しながら、呪詛をブツブツと言い続けた。
「…………ブツブツ………」(呪ってやる呪ってやるあの子呪ってやる)
「クソ、アイツ、一瞬にして天姫を正気に戻しやがった……!」
悔しそうに舌打し恭弥の神業に嫉妬する隼人に
「目にもとまらぬ速さ、アレは達人の息を超えている!」
と感動している笹川兄であった。
「えーん、狗楽ちゃんのツッコミが懐かしすぎて寂し――――!」
天姫はいまだに頭を抱えながら叫んでました。
恭弥の匣から出てきたのは、可愛いハリネズミでした。
しかもおなか満腹そうにげっぷまでして、可愛いったらありゃしない。
どうやら、あまりの注入された炎の量により酔ってしまったらしい。
恭弥が片膝ついてそれに手を差し出したけど、ハリネズミだからね。
何回も言うけどハリネズミだからね、恭弥の手にじゃれ付こうとした匣兵器は、自分の針で恭弥の手を
グサッ
と刺しました。その瞬間
「……キュウ………キュゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウ!?」
涙目になりながらハリネズミは暴走状態となり
ボンボンボンっと鋭い丸い針の球態が異常なスピードで大量に増殖していった。
「クっ!」
恭弥はすぐさま右腕にトンファーを装備し防御しつつ、いまだ涙目で項垂れている天姫の腰に手を回し、引き寄せた。
幻騎士もこの展開は予想できずじまいであり、徹底して防御の体勢に入っていた。
隼人らも、このままではマズイと、撤退しようとおいおいと両手で顔を覆い、嘆き悲しんでいる天姫を姫抱きした恭弥に向かって叫んだ。
「恭さん、ここをまず出ましょう!」
「僕に命令するの、副委員長」
ムっと機嫌悪くなった恭弥だが、無言で暗い雰囲気を背負いだした天姫を抱っこしながら潮時だねと、呟きながら
「こっちにドアあるー」
『ランボ、危ない!』
ランボとイーピンが誘導する扉に向かって走り出した。
隼人たちもそれにならい隣の部屋に駆け込んだ。
しかし、そこは敵の罠が待っていた。
皆がその部屋に入ったのを見計らった瞬間、扉は完全に
ガシィィィン!
と閉まり両壁が
ゴゴゴォ!と狭まってきた。パニックに陥る皆。
『オホホホホホ~狗楽に会いに行こう~~♪』
「はっ!?天姫の魂が半分抜けかけてる!?」
凪が悲痛に叫び声を上げ、恭弥が投げ捨てたはずのハリセンを手にし、再び天姫の後頭部に容赦なく素早い動きで叩いた。
「天姫!ツッコミなら僕にだってできるさ」
と恭弥がぐっと自信満々にハリセンを握りしめ
天姫にそう言いました。
凪は一生懸命、天姫の魂のしっぽをつかんでいました。
ランボと、イーピンは天姫の魂をツンツン突いて遊んでいました。
哲さんは恭弥の情熱が心に沁みこんだようで、感涙し
「恭さん、ツッコミを極めるんですね!?どこまでも御供いたしやすっ!」
「雲雀!?また俺よりも先にツッコミしやがったな!!抜け駆けは、許さねぇ……」
お前が天姫と漫才をするなら俺だってコンビ組んでやる!!と対抗心むき出しに意気込みを見せました。
「お前たちっ!?ツッコミから離れてくれぇぇえぇええええええ!」
笹川兄だけが唯一まともな反応を示し罠に引っかかったみんなは仲良くミルフィオーレに捕まりました。