闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的137とりあえず強制的に暴露してみたい。

さてさて、ディーノは自分から離れる事なく、くっついたまま天姫を伴って

落ち着ける場所にて二人っきりになった。ディーノと天姫。

天姫はおとなしく彼の膝にちょこんと座りいまだ彼の胸に顔を寄せていた。

ディーノはずっと黙ったまま天姫の髪を撫でていた。

いずれ、自分から言いたくなるだろうと。

それまではずっとこのままでもいいかなと思っていた。

徹夜かなと苦笑し、しばし、ゆっくりと時間が経過していった。

ディーノを下敷きにしてからどれくらい時間が経ったか天姫はようやく声を出した。

 

「…逢いたかった…ディディ…」

「ああ、俺もだ」

 

ディーノとて、同じ想いを抱いていたのだ。

 

未来の天姫が消えた事で彼を取り巻く環境も何もかもが一瞬で変わってしまった。天姫の与える影響は到底計り知れないものだと、奪われてから痛感させられたものだ。

 

「ディディに逢うまで色々あったんだよ、天姫の環境ですごく変化したの」

「そうみたいだな」

 

ディーノは相槌を打つ一方で、こう考えていた。

 

話の節々でお前の噂を聞いていたし、過去のツナとの『契約』が未来のお前と同じように解除されたのも知っていた。

同じ事になるとは予想していなかったけど、ツナはやっぱりツナだ。

天姫を想って、天姫の為に契約を捨ててまで天姫を守ろうとしたんだ。

立派になった俺の弟分。

そして天姫も立派に成長した。子供のように思っていた天姫は今は『女』の顔つきになっている。

俺が知る未来の天姫に近づいたような印象を受ける。

それと同時に少し心淋しくも感じた。

俺の手の届かない所にいってしまうような気がしてしまうのだ。

成長する事は良い事と思う。いずれは雛鳥は親元を巣立っていくのだ。

自然の摂理なのだ。それが。

 

だから喜ぶべきとディーノは自分自身を無理やり納得させることにした。

 

「やっと、『彼』の事多少なりとも受け止められたの。永かった、随分時間かけ過ぎた」

 

天姫が吐露するように言ったその言葉はきっと、様々な経験をしてきたからこそ得た答えなのだろう。

ディーノは知っている。

天姫が言う『彼』と言うのは一人しか思い当たらない。

天姫がそう言えるまでに、いったいどれほどの葛藤と苦しみがあっただろうか。

その断片を知るディーノには、

 

「それでいいんじゃないか、お前のペースはそれくらいだったんだろう。気にすることないだろ?」

 

とフランクに返すのが一番だ。天姫はほっと安心したように目を細めては嬉しそうに礼を言った。

 

「……ありがと、ディディ…」

「礼言うことじゃない、俺たちは『家族』なんだから」

「…うん…!」

「ところで、他に言いたいことあるんじゃないか」

 

ディーノからのズバリ!な指摘に図星と言わんばかりの天姫はみるみる内に顔を真っ赤にさせた。

ディーノは内心、当たりかと思った。

たぶん、ザンザスに会ってきたのだったらディーノの推測は間違っていない。

その証拠に天姫は言おうかどうしようか迷っている様子だ。

 

「…、あの、その…」

「うん?」

「……」

「……大丈夫だ、落ち着け…」

 

深呼吸した天姫はじっとディーノを見つめ、心決めたように、口を動かした。

 

「……告白、された…」

ボンっ

 

と天姫は自分で言って照れたのか、頭から湯気を大量噴出させ効果音まで発生させた勢いだ。

相当、天姫はディーノに伝える事に勇気を振り絞ったのだろう。

 

天姫は出会った頃と比べると格段と表情をだしてきた。

ここまで天姫を変化させたザンザスに礼を言うべきなのだろうか、

それとも義兄として大切な義妹を盗られてしまうのを警戒すべきなのだろうか

 

ディーノはどうしようもない気持ちで何も言えなかった。

 

っていうか未来の天姫はすでに掠め取られちまってるしな。

『アイツ』、に。どっちにしろ、選ぶのは彼女自身だ。俺がとやかく言えることじゃない。

だから俺が出来るのは、天姫の気持ちを落ちるかせることだけ。

 

「焦ろうとするな?アイツだって急かしていったわけじゃないと思うぜ?」

「……うん、でもいきなりだったし…」

「キレやすい『アイツ』がよく我慢したと思うがな…」

「え?」

「いや、なんでもないさ。……とにかく焦る事はない。こればっかりはお前自身が答えを出すしかないんだから……な?」

 

ポンと天姫の後頭部に手を置き、昔からの習慣となってしまった彼女の髪を撫でた。

 

「…うん…」

 

アドバイスになったかどうかわからないがディーノに言えるのはこれだけだ。

天姫はディーノの言葉を噛みしめるかのように考え込みながら返事を返した。

 

「こんな事しか言えなくて悪いな」

「そんな事ないよ、ディディに言ったら少しは落ち着いたもん」

「それは光栄だ、お嬢さま」

 

幸せだったあの頃の懐かしい思い出が今の自分たちと重なる。

ディーノは互いに天姫とおでこをこっつんこした。

 

久しぶりにディーノは大切な家族との時間を堪能できたのだ。

さて、せっかくディーノから元気パワーを注入してもらったというに今#name4#天姫はある意味危機的状況に陥っていた。

 

なぜなら、彼女は女の子面々に四方を囲まれ逃げ道を封鎖されていたからだ。

どうしてこうなったかというと、ぶっちゃけ、天姫の様子がおかしいことにいち早く気がついた凪が他の女子たちに収集をかけたから。

その伝達内容は…

 

『天姫が照れた顔するなんて世界が終ったも同然!』

 

と世界の終末が訪れるような恐ろしい事と同等にソレが起こってしまったという、常人の感覚では考え付かないような事を皆に伝えたからだ。。

それに衝撃を受けた女子たちはすぐに天姫を問い詰めようとこうして天姫は

拉致られ、今に至ったというわけである。

 

ちなみにそのメンバーは目の前には凪、右には京子、左にはハルそして後方にはビアンキ姉。イーピンは天姫の膝の上で待機中。

 

「さぁ、天姫。吐きなさい」

 

ジュウジュウと異臭を放つポイズンクッキングを手にしたビアンキ姉が天姫を純粋に脅す。

 

「……黙秘しますっていうか殺さないで!」

「天姫ちゃん?大丈夫、何もしないから怯えないで」

 

ジャキと京子は大変似つかわしくない物騒なものを平然と構えていた。

 

「京子、その手に持ってるのって恭弥のトンファーじゃないですか」

 

京子は即答した。

 

「借りたの」

 

天姫は一瞬で理解させられた。恭弥からかよ、と。

 

「そうですか」

「ハルはハルは!今まで何も話してくれなかった鬱憤がいっぱいたまってますぅ~!」

 

ムキ―と怒っているハルの姿は微笑ましいほど可愛い。しかし彼女の手に持っている類のやつが駄目である。

 

「だからってフライパン装備しなくてもいいじゃないですか」

 

彼女は態度を変えずに言う。

 

「天姫ちゃんが大人しく全ての事を正直に言ってくれたら何もしなくてすむんです!だから素直に吐いてくださいぃ!」

 

そして天姫は冷静に突っ込む。

 

「それ脅してるからね、ハルはデストロイな事を自分でしてるんだからね」

「天姫、ねぇ話して?」

 

凪が小首かしげて小動物を模したかのようにキュートな作戦で来た。

しかし天姫はそれを苦しみながらも突っぱねる。

 

「そんな可愛い顔しても今回は駄目だめダメだから」

「…チッ…」

 

これじゃダメかと、彼女の口がそう声を発することなく動く。

 

「ああ、天姫の可愛い凪が黒く染まっていくっ!?」

「「「「いいから全部暴露して!」」」しなさいっ!」

 

皆に詰め寄られ天姫は逃げられるわけもなく全てを暴露するしかない状況に。

それから各々の反応は…まずは凪が大変だった。顔面蒼白で、

 

「…あ、あの…破壊が大好きな人が、わたしのお父さんになるのっ!?」

 

何やらとんでもない勘違いが彼女の中で出来上がっているらしく、天姫は、確かに凪は自分の娘みたいに可愛い可愛い!思ってるが、どうしてザンザスが父親にならねばいかんのか。曰く、それならば恭弥の方が凪のお父さんになるんじゃないか。

と言おうかとも考えたが、冷静になってみれば今の凪に天姫の言葉など届かない様子。

なので、ここは見守るだけにしておこうと思った。

次、

 

「天姫、ザンザスは愛人にしときなさい。でも隼人もイケる方だと思うわ。隼人を本命にしてザンザスを愛人にするべきだわ。大丈夫、貴女ならいくらでも持てるわ」

 

と無駄なアドバイス&自分の弟売り込みしまくるビアンキだった。

 

それ本当にアドバイスなの?と首をひねりたくなるくらいうまくやりなさいっ!とさえ激励するビアンキ。どうやら他の人もまともな反応は期待できないようだ。

 

京子からトンファーを奪取した天姫は

 

「天姫ちゃん、そのザンザスって人は年収とかどのくらいなの?ちゃんと安定した職業についてるのかな?」

 

とのいきなりの現実的な京子からの質問に

 

「暗殺部隊だから金には不自由しないんじゃないかな、『命』の保証はないと思うけど」

 

と答えると、京子はしばし思案した様子を見せ、一つ頷くと

 

「天姫ちゃんは一生独身でいいと思う」

 

ときっぱり言い切った。天姫は口元ひきつらせて、これって友達が言う台詞?と心で涙した。

 

「うぅ~。ハルはショックですぅ~。天姫ちゃんがもう人妻になっちゃうなんて、ハルはショックで感電死しちゃいます!っていうかその相手を感電死させたいですっ!」

 

ハルはどうやら人の話を聞く余裕というか考えはないようだ。天姫が言ったのは未来の天姫に言ったつもりであろう告白なのに、今の天姫がどうして人妻にならなければいけないのか。まったくもって理解不能である。一歩譲って結婚を認めるとしたら、それは劉牙が初婚であって、人妻というよりは未亡人というやつだ。

 

と天姫が思考の波の飲まれこんでいる間にも、ハルはフライパン振り回しては煮えたぎる怒りを消化する勢いのまま文字通り、暴れている。

 

そんなカオスな状況の中、イーピンだけが天姫の唯一の救いでした。

さっきから天姫の膝の上で黙って肉まん食べてた彼女は

 

『食べる?』

 

と天姫に肉まんを分けて、天姫は思わず目頭を押さえてしまった。

 

ああ、純粋な癒しが私の前にいたんだわ!って感じに。

 

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