沢田綱吉side
白蘭との闘いに向けての決戦前、俺はある意味の捨て身での強硬手段に出た。
此処の所、天姫が上の空というか始終ぼけっとする様子を見ていて苛立ちが募るばかりでもやもやしてばかりだった。その原因というのも天姫に対する、ディーノさんやヒバリさん、それに京子ちゃんたちの態度の変わりよう。ほんの、ちょっと違和感を感じるようなものだけど、明らかに何かあったと俺は直感。
ただでさえ、天姫は態度にもろでるタイプ。ヴァリアーとの再会から帰ってきた後から挙動不審な行動にあの心ここにあらずといった様子。
このままでは、明日の大事な決戦に支障をきたす恐れあり、というわけで俺は今日の内に天姫に聞いておくことにした。そりゃもう、ドキドキだけどここはびしっと決めるべき!
ってなわけで俺はさっそく、天姫を誘って夕方河原近くにて、二人並んだ姿で今に至る。
「天姫、あのさ、聞きたいことあるんだけど」
「今日の夕飯のこと?」
「ボケなくていいよ。さっき夕飯食べたばっかりだろ。真面目な話だから」
「スイマセン」
ここにくるまで、天姫はやっぱりどこか落ち着かない様子だった。
しかも、彼女が片方しかしていなかったピアスが、両方揃っている点は今は関係ない関係ない。
このままの流れではらちがあかないと俺は笑顔で彼女に迫った(脅した)。
「ズバリ、ザンザスと何があったか教えて」
「いや、あの…その。え、っと……いやぁ~ちょっとね」
「俺にイエナイような事されたの?」
「いや、されたといかそれで悩んでるっていうか…ぐるぐるしてるっていうか…」
「…言わないとどうなるかわかってる?」
「綱吉、顔怖いです」
「天姫」
「わかった、言います言いますからその禍々し闘気を抑えてくれませんか」
「…抑えたよ、早く言って」
天姫は片手で口元を抑えなら視線を泳がせていたのを俺に視界を合わせた。
「…………ぷろぽーず、された…の…彼に」
俺の 思考は 完全 テイシした。
「…………」
「ああ!言っちゃった!めっちゃ恥ずかしいのに~!」
石化した俺の隣で天姫は頭を抱えて顔をうずめた。
「あ、でもそれは未来の私に向かって言ってたみたいだから、私はまだセーフだよ!そうだ、アレは未来の私に向かって言ったの!ネ!綱吉もそう思うでしょっ!?」
俺に同意求めるの…?この、俺に……?
なにこれ、こんな理不尽な事って世界中で俺だけじゃないの?
鈍感天姫もいい加減にしろよ。
「…俺もキミに言いたい事あるよ」
「え?」
馬鹿で人の気持ちに鈍感なキミだ。
絶対にストレートに言わなきゃ伝わらないって実感させられてたんだ。ああそうさ!俺の認識が甘かっただけの話だ。今は言う時じゃないって自分で抑えたのに、決戦前に君の心を乱すのはいけないことだってちゃんと考えてたのに、そんな俺の周りじゃ天姫に告白合戦なイベントでも発生してたってことか?
いいさ、もう俺も参加してやるよ。決戦前なんか関係ない!
でも天姫が、君が俺を惑わせた。そう仕向けたんだ。
天姫の所為なんだよ。
でも、俺だってよく我慢したもんだ。…これ以上は俺自身がイカレテしまう。
自分をさらけ出したい、言ってしまいたい。
だから、言った。自分に正直になったまでだ。
彼女の肩を引き寄せて、彼女の紫の瞳に俺の姿を焼き付けさせて
「…つな、よ、し?」
戸惑いを浮かべた君は夕日に照らされて美しかった。
黒髪が赤く染まる。一つ一つの髪筋が輝いて見える。
俺は一つ一つ言葉を重ねるたびに、想いをより一層、言葉に込めた。
「天姫、俺はずっと、好きだった」
そう、永かった…この気持ちを吐き出すまで…。
「君がジルだった頃から、出会った時から俺は君に堕ちた」
自分で今の台詞クサいと思ったけど、でもこれが本当なんだからしょうがない。
簡単に堕ちてしまった、君に。ここまで来るまで俺は遠回りしてばかりいたけど今は違う。素直に伝える事ができるようになった。
君との壁が無くなったから、遮るものが何もなくなったからかもしれないな。
ある意味あの、『契約』は俺の足枷でもあったのかもしれない。
こうして晴れ晴れとした気持ちを純粋に抱ける余裕は、あの時の俺にはなかったから。
「俺は、天姫が好きだ、大好きだ」
他の誰でもない 君だから恋をした。
一生をかけてでも自分を捧げたいと思った人。
「君だけを、」
永遠に君だけを、
「愛してる」
俺は一世一代の愛の告白をとうとう神崎天姫にした。
石化した君の顔を俺はこの先一生忘れることはないよ。
だって天姫のその顔は滅多に見られたものじゃないから。
白蘭との世界を賭けた決戦前日の夕方の河原にて、数分経ったか、石化から復活し赤面な天姫からの返答は
「…保留で勘弁してください…」
と土下座ぷらすされたものだった。
夕方の河原で男の俺に土下座する君。
思わず苦笑しながら思ったよ。
この時の天姫が一番人間らしいってさ。
そして俺たちは明日、白蘭とのチョイスの日を迎えるのだった。