闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的141振る舞うは覇者の匂い

天姫side

 

私たちは白蘭の指定した時間前に並盛神社に到着した。

相変わらず、恭弥と武が現れる気配はないようだ。

正一が用意したという基地ユニットを面白そうに見ている京子や基地ユニットの上に乗っかろうとするランボを抱えたハル。

凪はさっきから私の腕に引っ付いたまま離れようとはしなかった。

決戦まであと少しだと言うに、まるで幼子のように凪は必死だった。

 

「どうした、凪?」

 

と、訊ねてみても彼女は首を振り、黙ったままひたすら引っ付くのみ。

私は「仕方のない子だ。…もうちょっとだけだよ…」と苦笑し、凪をそのままにさせた。

 

なんとなく凪の心情はわかっていた。私が普段と違う事に敏感に感づいたからだろう。

本来の性質である『蒼龍姫』である私になりつつある事にだ。

他の皆も私の雰囲気に戸惑っている様子は一目瞭然だった。

あえて私はそれを無視し、今に至る。

気にする理由がないの。そう感じないのだ。

よく性格がコロコロ変わるなと思われて仮に皆に正直引くなと思われても

ハイそーですか。別にそう思いたければ思えばいいとあっさり言うだろう。

大切な仲間であるが、本人たちの考えにいちいち振り回される私ではない。

私は私だ。

他人に考えに引きずられ自分を失う事ほど愚かではないし、振り回される気もない。

あくまで、私が思ったまでの事をし、行動する。

うーん、世間ではこれを『我儘』と言うのだろうか。

昔の感覚が戻りつつあるから変な感じだなと、頭の隅に考えつつ、急激に何かが襲来する予感に空を見上げた。

 

「天姫?」

「奴さんのお出ましだよ」

 

不思議そうに私の名を呼んだ凪に言うわけではないが私はニヤッと笑みを浮かべ言った。

後ろの方ではスパナがレーダーに急激な炎を感じる、それも異様なスピードで近づいてきていると呟いていた。

綱吉たちがその言葉に身構え、私と同じように頭上を見やると、どす黒い雲が並盛神社の頭上に突如現れた。雷雲のようなそれは徐々に人の顔を成していく。

 

「やぁ、諸君」

 

綱吉たちが驚愕する中、あまりにも趣味の悪さに私は思わず、ポロリと呟いてしまった。

 

「…なんとも悪趣味だな…」

 

呆れ半分、よくやるものだと感心を含んで。

すると、相手に聞こえたのか、空に出現した白蘭のどでかい顔がこちらに反応した。

 

「元気そうだね、天姫♪」

「そう見えるのなら勝手にそう思えばいいだろう」

 

皮肉を込めて言ってやれば、アイツはなおさら目を細め、

 

「もうちょっと可愛く言ってよ」

 

と意味わからんことを言ってきたので、とりあえず奴の事は無視し、おとなしく黙ることにした。

綱吉たちが相手してあげるだろうしそれに凪が今にも暴れんばかりに血気盛んになっているので抑えなければならないしね。

凪の頭をナデナデしてゴーラちゃんにストップと抑えている間に、白蘭はベラベラと喋ってあの白蘭の顔はチョイスの舞台へと連れていくための転送システムでそれを作動させるためには相当数の炎圧が必要なのだと言ってきた。

 

だから全員で来いと言ったのか…。

 

何も言わずに居る所が意地が悪いというか、性格が悪い。

おまけに白蘭を失望させるような事があれば、あの巨大な顔の一部である目から強烈なビーム光線を発射させ地上を恐怖に陥れるという、子供の駄々っ子のような事をかましてきた。

やること派手だな、さて時間が限られているらしい。

頭上からあてられている光がだんだん集束していき小さくなっていく間に何とかしなければならないらしい。

フム、相当な死ぬ気の炎か。腕組みしつつずっと、首が痛くなってきたのでコキコキと動かす。実は出せないこともないのだ。その死ぬ気の炎が。

 

私の匣、『蒼龍』である。

実は皆に黙って、ゴーラちゃんを連れてちょびっとだけアジトを抜け出して誰もいない場所へ飛び、自分が持つ匣を試してみた。

その結果、……森林破壊するつもりはなかったが覆い茂った森が一瞬で広大なむき出しの大地になってしまった。

コントロールがうまくいかず『蒼龍』が暴走してしまったのだ。

『蒼龍』が匣に戻った瞬間、私の体は極度の疲労から立っている事さえままならずに地面に倒れこんでしまった。

遠くで見守るように控えていたゴーラちゃんに抱え込まれて帰るという、なんとも情けない姿になってしまったのだが、エネルギー量となれば相当なものだろう。使えば白蘭が用意する舞台へと行けるだろうが、危険な賭けである。

どうしたもんだ、と悩んでいる間にも光は消えつつある。そんな中、ついに待ち人が来た。

 

「君たち、そんなところで何してるの」

「よ!待たせたな。皆」

 

一段と頼もしくなった恭弥と武の登場である。彼らが来たことで道は開けた。

綱吉を促す声が仲間内から次々と上がる。

皆がこのチャンスを逃すなと綱吉の名を呼ぶことで叫んでいるのだ。

綱吉はこの機を逃さずに叫んだ。

 

「ボンゴレ匣」

『開匣!!』

 

同時に注ぎ込まれた炎はあっという間に膨大な光を生み出し、白蘭の炎圧の倍の数字を叩き出したのだ。己がパートナーである匣兵器を出現させた綱吉たち。

これが彼らの姿なのだ。

圧倒的でありながら、仲間の絆に溢れたモノ。

開匣し終わった後の彼らの会話も微笑ましいものであったが、一部煩いのがいた。

ジト目で睨んでくるは風紀の腕章を腕に通す彼。

 

「天姫、君。スカート短いし足だし過ぎ」

「恭弥、文句は後で聞くから」

 

指摘しながら腰に手を回し引き寄せようとする彼を手で押しやろうとするが、あっさりと彼に引き寄せられてしまう。

 

「それになんでチャイナなの。もしかしてコスプレ?」

「コスプレじゃない、これが私の戦闘装束なの」

「なんかムカツク」

 

と言って彼は不機嫌になった。ブツブツと自分だけ見たかったと文句垂れているが無視した。相手してしまったら彼の文句にブレーキをかけられないからだ。

しかもそれだけでは終わらずに今度は顔に包帯を巻いた武が爽やかに目の前に立ちこう言いのけた。

 

「俺は天姫のミニスカ好きだけどな。天姫足細いし似合ってるぜ」

とセクハラまがいな発言をする。

 

「山本っ!?」

「アイツ」

 

一部が度胆抜かしてて声をあげる。

なんとも爆弾発言してくれる少年である。恭弥の不機嫌さがさらに増してしまった。

なぜわかるかと言うと、彼の眉間には皺が寄り、殺気が増し私を抱き寄せる力が増したのだ。

ああ、頭痛がしてきた…。

 

ともかく仲間は揃った。ならば後は行くだけだ。

色々と一悶着はあったが私たちは無事に白蘭が待ち構えているであろう、

『あちら』へと跳ぶことができたのだった。

 

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