闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的146禁句の early afternoon 『昼下がり』

さて勝手に自分の師匠だと図々しい態度をしてきて尚且つ天姫の義兄である特権を乱用しまくるディーノにムカつきを隠すことなく平然とする恭弥と

勝手に人の目の前に大切な義妹に堂々と手を出すどこ吹く風、つまり僕が風とでも通る弟子、恭弥が睨みつけてくるのに対抗してデイジーとの戦闘をあえてしてやったディーノ。

もし、仮に天姫がこの場にいたとしたらどっちもどっちだろ、呆れた事だろう。

でもあいにくと彼女は今、川平のおじさんの所にいるのでそれは叶わない。

ある意味似た者同士な二人はさっそく敵を前にして

 

「ちょっと、僕の獲物に手を出さないでよ」

「ん?しょうがないだろう。これは正当防衛さ」

 

とディーノは言うが恭弥には言い訳は効かない。

というか本人の性格からして受け入れるはずがない。

 

「邪魔」(グイグイ)

「おい。人を押しのけるなよ!?」

 

実はさっきのディーノが天姫に行った行動をちゃんと見ていたのでした。

人がキスした部分をわざわざふき取って上から己がキスするとは。

嫌がらせにも近いものであり、これがムカつかずにいられるかと思うものだったのです。

その意味も含ませディーノを後ろに追いやり恭弥がデイジーと対峙する。

 

「君、ウザイよ」

 

当たり所が欲しいのだろう。

彼の目つきは獰猛に獲物を求める獣と一緒だ。

簡単に殺すのではなく生き地獄というものを与える事で愉しみが増すのだ。

 

「ユニ様と神崎天姫はどこにいるの?白蘭様が欲しがってるんだ。早く教えてよ」

 

恭弥の言葉を無視して自分の意見を言う相手にム!と彼の眉が徐々上に上にと動く様を

ディーノはお?と面白そうに眺めていた。

 

「アイツ、『禁句』言いやがったな」

「確かに」

 

とロマーリオが髭を触りながら同意し、

 

「あれは怖いですよ」

 

とくさっぱ銜えた哲さんがうんうんと頷いた。

その禁句を発言したデイジーだけが意味を理解できずに首を傾げた。

傾げてデイジーは自分の体に埋め込まれた匣に指輪をはめ『修羅開匣』なるものに変身した。

その様、まるで腕や足部分が変化し鱗を纏った姿に。

異形ともいえるその姿。

だがしかし恭弥はまったく気にしておらずというか

それ以上に彼にはムカついていることがあった為驚く様どころか眉ひとつ動くことはなかった。

 

「ロール、形態変化(カンビオ・フォルマ)」

 

静かにでも圧倒するような気配を纏い恭弥は呟いた。

それに応えるようにロールは『クピィィィイ』と一鳴きしある武器の姿に変化した。

それは

 

「手錠!?」

 

とデイジーが訝しむ通り、恭弥の手にあるのは黒い手錠。

似合いすぎて拍手を送りたいほどそれは恭弥にぴったりだった。

当の本人はそんな事考えちゃいないが。

さて、何が恭弥の怒りの琴線に触れたのだろうか。

それは本人から教えていただきましょう。

ギロリ、と効果音がつきそうなくらいデイジーを睨む恭弥の台詞は

 

「…僕の、僕の前で……天姫をモノ扱いするな…」

 

天姫を独占していいのは僕だけだ、と目にもとまらぬ速さで攻撃をしかけた始めた。

ディーノたちが観戦する中圧倒的な力(怒りともいう)の前にデイジーはタジタジになり応戦するも恭弥の嫉妬のパワーには勝てませんでした。

真6弔花、デイジー撃破。

最後に恭弥が地に倒れ伏したデイジーから指輪を没収しながら吐き捨てた言葉。

 

「二度目はないからね」

 

でした。

所でなんでディーノたちは恭弥に言ってはならない『禁句』を事前に知っていたのでしょうか?

それは以前に経験したからなのです。

未来の恭弥が天姫との婚姻の事でしでかしたことでした。

神前誓い合った二人。本来なら幸せに満ち溢れたものだったが、真の意味での二人の関係は偽装結婚だった。

ツナとの契約を解除された天姫にとって強固な壁が取り除かれたも同じ事。

重荷が消えた事で尚更、彼女には別な盾が必要になった。

数多の敵に狙われる身である天姫を守る為、ボンゴレの中で偽装結婚と言う案が持ち上がったのだ。

無論、天姫本人は頑なに拒んだが、事実自分の力を失った状態ではいつボンゴレに

戦の種を植え付けるかは時間の問題であった。

自分の所為で他人を巻き込むわけにいかない。

天姫は渋々その案を受け入れ相手となる男との婚姻の日を迎えた。

もっとも天姫を守り通すことが出来る男。

それが雲雀恭弥であった。

誰もが認める戦闘スキルを持ち何者にも揺るがない強き意思を持ち

ボンゴレ最強とまで謳われた彼になら天姫を任せられる。

多くの幹部らはじめ守護者たちは反対の意を示したが最後にゴリ押しをしたのが

ボンゴレ十代目である綱吉であり契約を解除した本人綱吉でだった。

天姫自身に好いた人物がいたかどうか、それは定かではない。

本人とごく一部の関係者しか知らない事だからだ。

さて、雲雀本人はすんなりとその偽装結婚に同意したかと思えばそうでもなかった。

それなりに一悶着も起こし血みどろ寸前泥沼というか

殺し合いにまで発展する所だったものをディーノが身を挺して抑え込んだ。

恭屋が敵意を剥き出して闘った相手が綱吉であり、お互い本気でぶつかり合いボンゴレの屋敷さえ崩壊するのではないかという勢いだった。

 

「恭弥っ!!やめろっ」

 

後ろから羽交い絞めになんとか恭弥を抑え込むディーノ。

向こうには綱吉を抑え込む獄寺と山本の姿。

対峙する二人はお互いが攻撃した生々しい傷が目立ち、血が滴り落ちるくらいだった。

 

「…簡単に束縛したくせに、あんなに独占し続けたくせにあっさり僕にやるってどういうことさ」

 

邪魔だと、ディーノの腕を振り払い、破けた黒い背広を無造作に脱ぎすてる。

ネクタイも地面に落とす。

まだ闘いは終わってないといわんばかりに殺気を放つ恭弥。

それに対して綱吉は、宿していた炎を終息させ、息がつまりそうな殺気を真正面から受け止めた。

彼にとって受け止めなければならないものだったのだ。

 

「ヒバリさん、それが最良の選択だって貴方だってわかってるでしょう?俺にはその資格は…」

「天姫の為だと言ってキミは自己満足をしてるだけに過ぎないよ」

 

辛辣に言い放った恭弥の言葉に反論できるほど綱吉の取った行動は正しいとは言えないと自分でもわかっていた。

自分に許されるのはこのくらいと重々しい雰囲気の中、ゆっくりと口を開く。

 

「…そうとってくれても構いませんし、俺は反論する気はありません」

 

俺には手に余る存在だ、と瞼を伏せ辛そうに顔を歪ませる。

 

「…見損なったよ、沢田綱吉。キミにとっての天姫への気持ちはその程度だって事かい。失うくらいなら手放してすっきりしたいの…勝手だよ、キミは」

「…………」

「………わかった、この話受けてあげる。でも覚えておいて」

 

吐き捨てるように突きつけるように恭弥の言葉は確実に綱吉に響いた。

二度と、キミに天姫は渡さないから天姫をモノ扱いした男になんか、ね。

 

「十代目、本当にこれで…」

「…ツナ…」

 

獄寺と山本の声も綱吉には届くことはなくただ、彼は拳をぎゅっと握り

耐えるしかなかった。

それからまもなく雲雀と天姫の結婚が正式に発表されたのは数日の事だった。

 

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