闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的152淡い記憶だけ残して壊す

GHTST(ゴースト)が綱吉の手によって倒される少し前、なかなか登場しなかった凪の方は、と言うと…。

ちょっと嫌だけど事態が事態なので匣兵器を届ける最中だった。変態骸を捜す為森の中をかけまくっている最中にM・Mと遭遇。

 

「変態骸さまー!」

 

さっきから凪はこうやって捜しまくって叫んでいた。

そこに突っ込む人物が現る。

 

「ちょっと!その叫び方やめなさいよっ!」

「……?」

 

凪は首をかしげて怒りまくっているその人物を見やる。

 

「……白フクロウと眼帯に骸ちゃんを愚弄しまくるその態度…アンタ、クローム髑髏ね」

「誰?」

 

自分の前に降りったったその女は昔黒曜で一緒に戦ったM・Mだと名乗った。

未だ苛立ちを抑えられない様子で凪の顎に手をかける。

すると、M・Mは不意打ちに凪に平手打ちをかます。

ように思われたが、凪はなんなく余裕でそれを避ける。

 

「アンタっ!?」

「攻撃、するなら容赦しないから」

 

三叉槍をシャキンっと装備し白フクロウが妖しく目を光らせる。

なんで理由もなしも自分が痛い思いをしなければならないのか

もちろん、理由があっても素直に当たる凪ではない。

天姫にはちゃんと自分の身を守れるように言いつけられているからだ。

『殺られる前に殺れ』、が凪に天姫が教えた言葉。

物騒な事を教えるものだ。

でも急いでいるので威嚇だけして相手はしてられないと凪は背を向ける。

けどM・Mがまた呼び止めます。

 

「だから待ちなさいよ!」

 

凪は不機嫌そうに振り返り二度目の

 

「…何…」

 

と言った。

 

「このムカツク女め……骸ちゃんならこの先をまっすぐ行った所よっ!さっさと」

 

M・Mの言葉を最後まで聞くことなく凪は走り出した。

後ろで怒り狂った叫びを無視して。変態骸を目指す。

天姫と自分が仲間と認めた以外の人間には淡泊になる凪だった。

 

GHTST(ゴースト)の放つ炎吸収攻撃が骸を捜しまくっていた凪にも襲い掛かろうとしていた。

 

「ここは危険ですよ、クローム」

「…あ…」

 

今凪を抱き寄せた腕は覚えがあった。というか夢の中でほっぺを引っ張られたから

嫌でも覚えている。

このオリジナルパイナポーヘアーは一度見たら忘れることができない特殊な分類だから。

 

「仕方のない子ですね、フッ」

 

偉そうに言う様は相変わらず上から目線だった。

 

「骸さま、さっさと離して」

 

腹にパンチでも入れてやろうかと動いたがそれは簡単に逃げられたことによって未遂に終わってしまった。

この餓鬼が、と青筋浮かばせて舌打ちする骸だったが私の方が大人、私の方が大人と自分に言い聞かせ無理やり笑みを浮かべる。

 

「…今は、そう喜んでいられませんよ…。天姫にすぐ伝えなければいけないことがあるんですが…」

「……何を?」

 

いつになく焦った様子の骸に凪は大きな不安を感じてしまった。

どうしてかわからないが、自分の何かが感じている。

天姫に関係していることなのだと。

骸も凪の顔からその感情を読み取り、重い口を開いた。

 

「…私がどうしてすぐに天姫の傍に行けなかったか、という事ですよ」

 

骸は深刻な表情で言うにはある人物によって邪魔をされ、身動きを取れなくさせられたからなのだ。

その人物は天姫の根本ともいえる存在。

こうして未来の地に跳ばされたことも奴の手段の一つであろうと骸は睨んでいる。

 

天姫をより完璧にさせる為に、器として失敗なく成功させる為に・自分たちさえも奴の手の中で踊らされているのかもしれない。奴の計画の一部として。

 

 

沢田綱吉side

 

骸やヴァリアー暗殺部隊も戦闘に加わったことでこちらに有利になったと思ったけど、

そう上手くはいかなかった。

GHOSTの出現後、みんなの死ぬ気の炎が奴によって吸い取られる現象が引き起こされた。通信によると、奴はユニを目指して歩いていることがわかった。

天姫が単独で動いている今、ユニを守れるのは俺だけだ、拳に力が入る。

すると、ユニが不安そうに俺に声をかけた。

 

「沢田さん、気をつけてください…。特に、白蘭に」

「うん、わかってるよ」

「ツナ君、天姫ちゃんの事も守ってあげて!」

「お願いしますっ!ツナさん……天姫ちゃん、無理してると思うんです…」

「京子ちゃん、ハル」

 

やはり、二人も感じとっていたか。天姫の様子がまた豹変していることに。

俺はコクンと頷いて、迫りくる敵に突っ込んでいった。

GHOSTは強敵ではあったけど、白蘭ほど強いとは感じなかったな。

白蘭ソックリな容姿をしていたけど、実は炎のかたまりのような体を持った生命体のようなものだったらしい。

俺の攻撃も吸収だから奴を吸い取ったことになるけど、俺の炎は大きくなっていない。

おかしい、違和感が背中を駆け巡る。

だから、勝てた事に歓喜する仲間に叫んだ。

 

「来るんじゃないっ!」

「沢田?」

 

怪訝な声をあげる笹川先輩、それとすぐに奴の気配が出現した。

上空から声が響いた。いかにも高みの見物をしていた見物客のようにだ。

 

「やぁ綱吉くん、すごいね♪GHTSTを倒しちゃうなんてさ。君の方が化け物みたいだね」

 

一気に皆の視線が集中する。もちろん、綱吉も鋭く目を細め睨みつける。

 

「白蘭」

「ああそんな怖い顔しないでよ、軽いジョークだよ?」

「お前、」

 

ふざけるなよ、と俺は言葉に出さずに形だけ唸る。

絶対に馬鹿にしているし、何よりあの態度は余裕に溢れすぎている。

どこからその余裕は生まれるのだ。

自分にとって不利な状況であるはずなのに、

だからこそムカツクし、絶対負けたくないと強く思った。

 

「君は理解したはずだ、あの神は自分の私利私欲の為に天姫を生贄にしようとしている。僕がこの世界を選んだ理由がわかるかい?天姫が唯一いる世界。数多あるパラレルワールドの世界の中でここだけが為しえることができる。過去の天姫は未来の天姫と精神が同調し惹かれあう。神はこの世界に送り込んだことで彼女に本来足りないものを与えさせ完全体に近づけさせようとしている。奴の思惑を僕は逆手にとった。

彼女をこの世界に閉じ込めることで天姫を守ることになる。しかも過去も未来の天姫も同時にだ。いずれ時が満ちれば、彼女を解放する術がある。それまで僕が守ってあげられるんだ」

 

これは彼女の為なんだよと正当化する白蘭。

自分が行った事に対して何の罪悪感も感じていないらしい姿に腹だった。

 

「だからってなんでそこまで天姫を欲するんだっ!守るにしたってもっとやり方があったはずだろう!?」

 

どんな理由があったからって、天姫を閉じ込めて自分だけのものにするなんて

許せない…。

 

「あの男だけじゃないんだよ、天姫を利用しようとしているのは」

「なんだと?」

「僕が未来の天姫を閉じ込めたとでも思っているんだろうね、あいにくそれは見当違いだ。彼女はノイズによって氷漬けさせられたんだ。あの男は神と繋がっている」

 

ノイズって天姫の宿敵の男の名前だよな?白蘭はどこから情報を仕入れたんだ?

そもそも理解できない…。

俺は頭が混乱してしまうのを止められなかった。

だって、まさか、まさか

 

「…ノイズが神男と繋がってる…!?嘘だ、そんなの、だって劉牙さんを天姫の手で殺させようとしたのだってノイズの仕業だって…」

「ま、その話は終わりにしようよ。どうせ君たちに関係ないし」

 

無駄話で時間がもったいないからね、と言う奴は、ここで全てを終わらせるつもりらしい。今までの軽い雰囲気が一切なくなり俺たちを押しつぶすような圧迫感を与えてきた。

激化していく闘いの中、まずユニの身に異変が起きた。

俺たちのリングとユニがもつおしゃぶりが共鳴を引き起こし、ユニの体の周りに大空の結界が出現し、ユニはツナたちのほうに浮かんで引き寄せられてしまう。

だが、ユニだけじゃなかったんだ。

 

「天姫っ!?」

「ユニだけじゃなく天姫までが取り込まれていくっ!?」

 

意識を失った天姫も炎の丸い球体の結界に取り込まれ宙へと浮かんでいく。

 

「天姫!」

 

彼女を取り戻そうとヒバリさんが匣で攻撃するも、彼女を覆う球体は崩れることはなかった。

 

 

結果、天姫とユニはボロボロ状態にやられている俺と余裕アリアリな白蘭がいる密室空間に入り込んできたのだ。

君が望んだ夢を私も見たかった。

夢は諦めなければ叶うものだって昔から言うでしょう?

諦めて欲しくなかった、もっと一緒にいたかった

ほんのちょっとだけどユニと二人っきりになった時があった。

 

年相応な少女に天姫は将来の夢を聞いてみたくなった。

 

『ねぇユニ、貴女はどんな大人になりたい?』

『私、ですか?』

 

目をぱちくりとさせ、驚く様は本当にどこにでもいる女の子だ。

首をかしげて、今まで考えたこともなかったです、と呟いた。

じゃあ私が初めてね?と彼女の頭をふんわりと撫で、ユニはそうですねと嬉しそうに笑った。

 

『私は、私は…普通な女の子になりたいです』

『ユニにとって『普通』ってどんな感じなのかな』

 

生憎と普通と言えるほど平凡な生活をしてこなかったから、ユニの言葉が理解できない。

天姫は普通ってどういうことなのかわからないから教えて?と目を細めて優しく尋ねる。

 

『そんなはっきりとは言えないけど』

 

珍しく口をもごもごさせながら、でも一生懸命天姫に伝えようと言葉を捜す。

 

『いつも当たり前な生活があって、いつも変わらない家族がいて、いつもと変わらない会話をして、それが毎日ずっと続けられる…。そんな夢みたいな事が私にとって『普通』なのかもしれません』

『じゃあ、ユニは大人になって好きな人とずっと暮らしたい、のね?』

『おかしいですよね、まるでおとぎ話みたいな話で』

 

現実味を帯びていません、と肩を落とす。

 

『そんな事ないわよ、だっておとぎ話みたいな例があるわよ?しかも証人もちゃんと実在してる』

『本当ですか!?』

『うん』

 

天姫はにっこりと自分を指差して、生き証人いるよと言った。

 

『天姫姉様が…?』

『うん、ユニのいう平凡ではなかったけど。でも好きな人と暮らせた思い出は本当に幸せだった。戦いが終わったら私の話、聞かせてあげようか?』

『…ハイッ!』

 

じゃあ、約束ね?と二人で指切りをした。

指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます

 

『『指きった!』』

 

こうして天姫とユニは確かな約束をした。

絶対破られることがないと思ってた約束。

天姫の意識が戻った時、現実は悪夢になった。

アルコバレーノを復活させるためユニは自らの魂を捧げようとしていた。

 

「天姫姉様、さようなら」

 

γに抱き締められてニコリとユニは最後に天姫に笑って、逝った。

笑顔で散っていったユニとγ。

その光景を目の当たりにしてしまった天姫は錯乱状態だった。

 

「ユニぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!……いやぁぁぁああああああああああ――――!」

 

恐れていたことが現実となってしまった。守らなきゃいけなかった

あの子を失くしてしまった。助けられなかった。

 

その事実が天姫には受け入れられず、首を振りいやだいやだと髪を振り乱して

泣き叫ぶ。

手を伸ばして助けたかった、蒼龍を完璧に呼び出せれば勝算はあるいはあったかもしれない。

我が身を犠牲にしてでもユニを助けたかったのにっ!

 

何度も何度もユニの名を呼び続ける。

 

「ユニユニユニユニユニユニユニ………あ、あああ、あああああああああァァァアアアア―――――――――――――――――――!!」

 

天を裂くかのような悲鳴は木霊し続けた。

これは嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だと頭を抱え自分に言い聞かせる。

でも、ユニは二度と目の前に現れない。

彼女の服だけが地面に残り香のように残っているだけだ。

天姫の耳にはツナの心からの怒りの声や、白蘭の嘲りや二人の鬼気迫る戦いなどが

一切情報として認識できていなかった。

天姫にある感情はただ一つ、ユニの所に行きたい

 

「ゆ、に…」

 

瞳から光を失い己を保つ事さえやっとな彼女にできるのはユニの元へいくことだけ。

体が言う事を効かないのも無視して月光を杖替わりにし地面を張ってユニが消えた場所をただ目指した。ゆっくりゆっくりとユニがいた場所を。

 

どんなに願っても

どんなに叫んでも

どんなに手を伸ばしても

 

こみ上げてくる熱いものがどっと零れおちて、

それが重力に従って頬を伝い下に堕ちても天姫はただ軋む体を痛めつけて

動かして這う。

 

「………」

 

この世界にはユニがいない。守ると決めた娘は死んだ。この世界を守る為に過去の世界を守る為に。その尊い犠牲を誰が喜ぶというのか。

 

ユニが着ていた服をぎゅっと胸に抱いた。

 

「結局、……私は誰も救えないんだ…私の手から、はいつも誰かが零れていく……」

 

どんなに願っても

どんなに叫んでも

どんなに手を伸ばしても

 

こみ上げてくる熱いものがどっと押し出てくる。

それは重力に従って頬を伝い下に堕ちる。行く筋も痕をつける。

 

「…なんで、なんで……」

 

妹のように大切だと思った。それだけじゃない、あの屈託なく笑うユニを本当に守りたかった。未来の私がそうだったからじゃない、私だから、守りたかったのにっ

幸せな大人になってほしかった。約束を果たしたかった。

 

「……うっ……うぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」

 

役立たずな私こそ、犠牲になればよかったのだ。

天姫の慟哭のが大地に響く。

 

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