ジルside
今日は朝から早起きをした。
だって今日は体育!別に自分が出るわけではいけどこう応援にやる気が出るというか、もしかしたらやる側よりも気合いが入っているかもしれない。いつになく朝、目が覚めてしまったのも興奮してだろう。せっかくの早起きに無駄にしないためお弁当作りのために奈々さんが起きていたので私も混ざることにした。早く家に来たハルやビアンキ姉も一緒に作ってくれるようだ。クロはテーブルの下で時折眠そうにあくびしながらも作業を見守っている。眠たければ寝てればいいのに、律儀な相棒だ。
「あ、ジルちゃん!うまいです!いいカンジです!」
「ほんと?」(ハルのほうがすごいことになってるよ。口では説明できないのが残念だ)
「ええ、貴女は筋がいいもの。さすがジルね」
「ビアンキちゃんも、張り切っているみたいね!それはチョコレート?」
奈々さんの問いかけにビアンキ姉はコクンと頷き、自信作と言わんばかりに笑みを深くした。
「甘いものは疲れを取るというから作ってみたの」
「ほんとだー!」(それ、ポイズンクッキング……、死亡者が出るなこりゃ)
「ジルにも後で味見させてあげるわ」
「ヒッ!」(私が第一の被害者か!?)
ってなカンジで和気藹々と仲良く作りあげた。自信作とその他ヤバい物を丁寧に風呂敷に包み、その他いろいろと持参して奈々さんと手をつないでやってきました、並森中。
いつもの風紀委員による支配され校則乱す奴には制裁を!
なんて緊張感に漂う学校内も今日は無礼講。いかにも体育祭ってカンジで盛り上がりをそこかしこにみせている。
うぅ~。体がウキウキするー!
その様子に手をつないでいた奈々さんがおかしそうに微笑んだ。
「あら、ジルちゃんたら。凄く嬉しそうね」
「うん!」
「そうよね!ツっくんが棒倒しの大将やるなんて楽しみよね!」
「……うん」(それは違うと言えるが奈々さんが嬉しそうなので流そう)
さっそく、ビニールシートを広げて一番良い席げっと!
私も今日の服装は動きやすい格好できました。でも、可愛さは消えていない。
奈々さんチョイスだからだな。沢田たちはA組みたいだ。
周りでは立って応援してる人たちもいる。
奈々さんや、ハルも凄く声を張り上げて応援してる。私も負けていられねぇ!
そういえば、彼、恭弥はどうしてるのだろうか。
こんな草食動物が群れてる中に彼は姿を現すとは考えれないから、応接室とかにいるのかも。
なんて考えこんでたらリレーで武がダントツ一位!
思わず「武―!やったー!」って叫んだら、ちゃんと聞こえてたみたいでこっちまできやがった。おいおい、呼んだつもりありませんぞ。
はっ!もしや、私ではなく私の周りでキャーキャー黄色い悲鳴あげているどこかの女子に用でもあるのか?それなら納得だが、私の考えは外れていた。
彼の足取りは私まっすぐ一直線でした。
「ジル!来てたんだな」
「う、うん。凄かったね。武が一番だった」
本当は一等の瞬間を見逃していたと言えない私。適当ににへらと笑みを作った。
だが武は幼児からの褒め言葉にマジに喜んだ。
「ホントか!?…へへっ、すんげー嬉しいわ!」
おい!なんだ、その照れ顔は!?
幼児に対するものじゃないだろ。それは好きな女に言われて嬉しいセリフだと思う。
しかも、あっちで君の名前呼ばれているじゃないか。
「武、呼んでるよ?」
こてんと首を傾げて早く行きやがれと意味を込めた隠れポーズをとる。
さぁ!この意味に気づけそしてさっさと行け。
私に促され武は曖昧に頷いたがどこかはっきりとしない様子で頭を掻きつつ視線は私へと注がれる。
「お、ああ……」
「ん?」
なんか言いたそうにしてると思ったら、あっという間に武の顔が近づいてそれは私の顔近くを掠めた。熱い吐息と共に耳に響く声。
『俺だけ応援してくれよ、な』
「ぬはぁ―――!?」
低音ボイスに瞬時に私の耳は真っ赤になったかもしれない。背中に走るゾクッとした寒気と気恥ずかしさ最大限Max。
耳が一番弱いのに何してくれてんじゃあやつは!何照れた顔して去ってくんだよ!?
「じゃな!」
「ちょ!?」
待てやコラ!女子の視線が全部こっちにきてんだぞ!どうしてくれるんだよ!?
おもいっきり腕を振って怒りを現したのにそれを笑顔で手を振っているに勘違いしたのか武は手を軽くあげながら戻っていった。
その爽やかさ恨むぞぉ……。
ジルと武のやり取りの一部始終を盗み見ていた奈々ママたちの心情はこんな感じ。
奈々ママ(あらあら♪ジルちゃんたら)
ビアンキ(クッ、山本武!私の義妹を取る気!?許さないわ!……)
ハル(はひ!?……これはこれはツナさんとジルちゃんと三角関係!?どうしましょ!?ドキドキです!)
とな。
◇◇◇
やっとお昼休みになり沢田がどこか疲れた顔してやってきた。いつも後ろにへばりついている隼人の姿は見当たらない。大方体育祭の大イベント時に十代目の警護はかかせません!とかなんとかの理由で怪しい奴を片っ端からシメてるに違いない。忠義に熱い彼のことだ。仕事も結構マメなところは好印象だと思う。それが沢田にどう取られているかは不明だが。
さて、沢田も戻ってきたところで私はよっこらしょと立ち上がる。
私の行動に奈々さんは「あ!」と声を出して
「ジルちゃん。雲雀君にお弁当届けに行くの?」
「うん、たぶん応接室にいると思うから」
「雲雀!?雲雀ってあの、あの!風紀委員長ですか?!ジルちゃんの交友関係ってどこまで広がってるんですか!ミラクルすぎますぅ―!」
「ハル、ご飯粒飛んでるわよ」
ハルはおにぎりのご飯粒口から飛ばしてまで私の交友関係に首を突っ込みたいらしい。まず全部食べてから喋ろうね。軽く説明し行こうとしたが、どこか不満げな沢田に呼び止められる。
「待てっ!ジル、……俺も行くよ。一人じゃ危ないだろ?」
沢田なりの気遣いだろうが私にとっては大きなお世話である。内心来なくていいわ!と叫びつつ笑顔で首を振った。
「ううん、綱吉は休んでていいよ。午後からは棒倒しが待ってるんだからお弁当しっかりと食べなくちゃ!それじゃあ行ってきまーす」
いうが早いか私は両手に包まれた一つのお弁当を持ってトコトコと小さな足でグラウンドを駆けていった。
◇◇◇
沢田綱吉side
ジルがあんなに嬉しそうな顔をするのって俺、あんまり見ないよな。
いつも俺の前じゃ笑顔だけど本当に心の底から笑っているようには感じられなかったんだ。だから思わず引き止めた。あのヒバリさんの所へ幼児が一人で行くなんて常識を考えたらまず止めるべきだ。うん、当たり前なことをしてるんだよな俺。
「待てっ!ジル、……俺も行くよ。一人じゃ危ないだろ?」
そうだ、一応俺はディーノさんからジルの面倒を任されてるんだ。いわば保護者みたいなものだ。何かあったら責任問題にもなる。それは避けなければ。俺は色々と理由を挙げては自分自身に言い聞かせる。
お兄ちゃんが妹を心配する気持ちみたいなもんだ。
でもジルは首を振ってやんわりと拒絶する。
「ううん、綱吉は休んでていいよ。午後からは棒倒しが待ってるんだからお弁当しっかりと食べなくちゃ!それじゃあ行ってきまーす」
俺の呼び止めも聞かぬままジルは走って行った。妙にジルの走る背中が遠く感じられたのは俺の気のせい。
変に遠慮しなくてもいいのに……。幼児のくせに大人ぶって可愛くないと思う。
俺は面白くない気持ちを抱きながらドカッとその場に座り直し、適当にお重からおにぎりをとって頬張る。見た目がいびつで他の奴より大き目なそれは不格好だからハルが作ったやつだと思った。ぱくっと一口ほおばってもぐもぐと食べる。
中身は梅干しだった。疲れた時に酸味が効いたものはいい。不格好でも食べれればいいや。
今は無性にイラついて食べることに専念したかったけど、突然俺に紙コップにお茶を注いで手渡してきた母さんが変なことを言ってきた。
「あらツっくんったら。焼きもち焼いてるの?」
「ハァ!?」
可笑しそうに小さく笑いながら言う天然な母さんのセリフは俺は盛大に声を上げた。
「そんなことあるわけないだろ!?馬鹿馬鹿しい…変なこと言うなよ!」
「まぁ!」
俺はバッと奪い取るように母さんから紙コップを取り、食いかけのおにぎり片手にそれをぐっと浴びるように飲む。
「でも真っ先にそのおにぎり選ぶなんてわかってたからじゃないの?」
「は?」
確かにどうもでいいと適当にとったお重に入っている他のおにぎりは綺麗に三角で握られたもの。俺が手に取って食べたのはどこかべちゃっとしていて崩れかかっていたやつだ。
それがどうしたってんだ?
食いかけのおにぎりに視線を落としつつ、怪訝な表情で母さんを見やれば母さんは
「それ、一個だけ頑張って作ってたのよ?小さい手で、一生懸命握って熱いの我慢してね」
「…ハルだろ…?」
「違いますよ!?」
俺からの問いかけにハルはぶんぶんと首を振って否定した。
母さんがにこにこと笑みを浮かべて俺を見つめる。俺はおにぎりに視線を落とした。
誰が作ったか、言わなくてもわかるわよね?と母の顔にはそう書いてあった。
小さな手で、熱い炊き立てのご飯を無理して握ろうと奮闘して奮闘して、でも手には収まり切れないほどデカくなったおにぎりに海苔をまこうとしたけどうまくいかなくて、けど誰かの手を借りずに頑張って作った……つか?
つまり、これは……ジルの手作り。
「………」
俺はしばし食いかけのおにぎりを見つめ、またぱくっと口に含んだ。
「あとで言ってあげるのよ?」
「…わかってるよ…」
いちいち母さんは一言余計なんだ。
言われなくてもわかってるよ。帰ってきたら言えばいいんだ。
美味かったよ、って。
(気になるあの子は逃走中)
◇◇◇
ジルside
着いてから後悔した。走るんじゃなかった。いかにも幼児がいるとすぐ迷子?とか周りの人は思うから背中に注目浴びまくって逃げたい一心から駆けたら疲れた。
うぅ、ちょっと休もう。お弁当持ったまま走るなんて一人借り物競争してる気分だ。
ペタンと人がいないのをいいことに冷たい廊下に腰を下ろして疲れ切った体を休ませる私。
お弁当を膝にのせて、そういや最近倦怠感が抜けないなと思った。
夏だからだろうか、それとも幼児故の体だからだろうか。
理由はわからないが、ディーノと共に過ごした期間も医者に掛ることは頻繁にあった。
まーそれは幼児だから予防接種とか検査とか必要だから行っていたんだろうと思う。
検査結果などは一切知らされていないし、ディーノに聞いてもどこかはぐらかすばかりだったから、聞かなくてもいいことなんだと他人事のように感じていたけど。
なんと、ちょうどいいことに今私が休憩している場所はなんと保健室の前です。私はお水を貰おうとへたりきった足腰に再度力を入れて立ち上がり、お弁当をわきにもって扉の戸に手をついた。
「…あの~スイマセン。ちょっとお水を一杯もらえませんか?」
声をかけ中に入ってみたらそこには。
「よう!ディーノのとこのお嬢ちゃん」
なんと、保健室にいたのはどっきりびっくりドクターシャマルだった。
げぇ!?思わず仰け反りすぐに扉を閉めようとしたが、にゅっと伸ばされた首根っこをひっ捕まえられる。
「ぎゃ!変態!」
「こらこら、俺がなんかすると思ってたのか?失礼なお嬢ちゃんだな」
日頃の行いがものをいうのを知っているだろうが!
「知らない人、特に白衣きてタバコふかしてる男には近づくなってリボーンやディディから言われてますから。主にアンタだ!」
「……可愛い顔して傷つくこというじゃねえか。小さい花嫁さん」
ブランブランと揺られあっという間に椅子に座らされる。
「っ!ひゃぁ!?」
おでこに冷たいタオルを当てられ吃驚して声を上げてしまった。さりげなく持っていたお弁当は机の上に置かれている。なんと素早い動き!呆気に取られた私にDrシャマルは、保健室用の冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出しコップに注ぎ込んだ。そして私の前に苦笑気味に差し出す。
「ジルちゃん無理するもんじゃないって跳ね馬に言われなかったか?ちゃんとしつけてねえな、アイツ。まぁ甘やかしてたんだな。今体熱いだろ?もともとお前さんの体は丈夫じゃないんだ。無理すると倒れるぞ」
「倒れるって大げさな……。それよりおじさん、なんでディディ知ってるの?」
おっさんと面識はなかったはずだけど。
「おじさんってまだ若いつもりなんだけどよ。……知ってるもなにもそれはふか~いふか~い関係だぜ?」
何この人。変態か?幼児になに言ってんだよ。
しかもあんたは男じゃなく女相手だろうが。
「危なそうだからリボーン呼んであげる」「待てィぃ―――!」
さっと首にぶら下がった携帯に手をやったら青い顔してばっと携帯奪いやがった。
ッチ!
「怖いことするお嬢ちゃんだな……」
「じゃあ、教えて」(さっさと吐けや)
私のお願いにおっさんはしぶしぶ教えてくれた。
なんでもおっさんはイタリアにいた時私を見てくれたお医者さんの一人だそうで、検査なんかもみてくれたらしい。へぇ~、別にどうでもいい情報ありがとう。
「まぁ、そんだけお前さんは大事なんだよ。だから、あんまり無理して心配かけてんじゃないぜ」
「善処します」
「餓鬼が善処とか言うな」
「別にいいじゃん。……ああ、だいぶ良くなった気がする…」
「ホレ、薬飲め。お子様でも安心して飲めるカプセルタイプだ」
「お子様扱いするな変態」
「いやお子様だろ!」
おっさんと言い合いをしつつもらった薬を飲んでしばらく休むと先ほどよりは体調がよくなった。私はタオルを彼に返し軽くお礼を言って保健室を出た。
結構休んでいたからお昼時間も残り少なくなっている。
これは恭弥が腹を空かして暴れるのではないか!?
ヤバいヤバいと焦りつつ私は応接室を目指すのであった。
◇◇◇
ジルが去った後、シャマルは深くため息をつきどかっと椅子に座った。
そして誰もいない筈の室内にむかって話しかける。
「アンタも過保護だな、お嬢ちゃんが心配で仕方ないってか?」
「惚れた女がどうしているかを気になるのは当然だろ」
風で揺れ動くカーテンからバッと現れたのはほかならないリボーンであった。
リボーンは窓際からくるっと一回点すると見事に着地しシャマルへと顔を向ける。
そして押し殺した声で呟くように言った。
「………ジルの、容態は今の所どうなんだ…」
「…正直に言ってあんな強い薬ばかりを服用し続けたら体が持たないだろう。だいたいアレは大の男が一つのカプセルを飲んだだけで効果が現れる代物だぜ?」
「逆にいえば毒にもなるってことか」
「そういうこと。あのお姫さんにそれが耐えられる筈がない。……しかも、あのお姫さんの体も相当堪えているはずだ。ディーノから定期的に送られてくるお嬢ちゃんの情報見てるとよくもってやがると感心するほどだぜ」
「……いつまで、もつんだ…」
本当はそれを知りたくはない。でも、どうしても聞かなくてはならない。
ジルには絶対知られてはならないこと。
シャマルはリボーンからの問いに数秒間をあけて伝えた。
いや、宣告した。医者としての事実を。
「……もって、半年以内だ」
【小さな小さな花嫁。リミットまで後、もう少しだよ。】
◇◇◇
ジルside
応接室にやっと到着。ガラガラっと開けようとしたら先に開いた。
自動ドアにいつ替えた?っと思ったら恭弥が不機嫌そうな顔で出迎えてくれたが、速攻で抱き上げられドカッっとソファに座る彼の膝におさまる。
「遅いよ」
「スイマセン、あのね、これにはわけがあって」
「どこほっつき歩いてたの」
「……スイマセン…」
まさか保健室でくたびれて休んでたなんて言えない。もっと早くこれなかったのかと責められそうだから。でもお弁当は頑張ったんです。褒めろとは言わないけど機嫌だけは直し欲しい。突き刺さる視線から逃げるようにあたふたとしながらお弁当を広げた。
「ほ、ほら!きょんハンバーグ好きだったでしょ?一生懸命作ったんだよ!」
箸を手渡し一生懸命食べて食べてとアピール。
恭弥は一瞬もたされた箸を一瞥し彼の膝に座る私にふて腐れた顔でこういった。
「………食べさせてよ…」
「え!」
いい歳して中学生が幼児に食べさせてはないでしょう。だが恭弥の場合本当に中学生かと疑いたくなるので似非中学生としておこう。じぃっと見つめられどうしようもない。私はため息をつくと彼から箸を受け取り
「……箸の使い方そんなに、うまくないからね?」
と念を押して彼の口におかずをダイブさせた。
彼は待ってましたとばかりに口を広げもぐもぐと奈々ままお手製のハンバーグを食べた。
「おいしい?」
「うん。すごくおいしいよ」
それはそうだろう、自分で箸動かしてないし私は親鳥かい。
「委員長!」
「……なんだい……」
食べ終わった直後に突然風紀委員の人ががらりと出現。その瞬間、恭弥がギロリと瞳を光らせた。
「じ、実は、最後の棒倒しなんですがB組とC組の大将がいろいろありまして欠場してしまい、どうするかと、もめているのですが…」
「棒倒し?そんなのやりたい人間に」
「忘れてた!」
「えっ?あ、ジル!?」
恭弥のお弁当食べさせてたらすっかり頭から除外してた。楽しみにしていた棒倒し。人間が転げ落ちる様なんて中々見られない。私は急いで恭弥の膝から飛び降り寂しそうな顔の彼には一切気がつかずに、
「綱吉が大将やるの~!」
と言って部屋を駆け足で出ていった。
急げ急げ!体育祭の醍醐味が終わっちまうぜ!
◇◇◇
ジルがいなくなった後の応接室では…というと。
「………」
「…………」
後に残されたのは風紀委員と顔を俯かせ怒りを抑えるかのような委員長だけだった。いやその怒りは抑えるどころか今にも膨れ上がりそうだった。だからこそ風紀委員は心底逃げたいと思った。一生分の恐怖を味わった気分だった。
「………僕がその大将やってあげるよ。すぐに伝えて」
「ハッ、ハイぃぃぃぃ――――!」
地を這うような声に風紀委員は泣きながら応接室を駆け足で出ていった。
大切な大切な華が手から零れ落ち獰猛な獣は怒りに任せて目標を狩りにいく。
そう、嫉妬という暴走にすべてを任せて。
(どうしても、邪魔をするんだね。沢田綱吉)
※
最後のイベントはそれはそれは大乱闘でした。
戻ったときにはすごい心配されて、今度はジルちゃんにGPSつけようかしらって奈々さんが真顔でいうものだから必死にそれだけはやめてと謝りたおした。
で、棒倒しが盛大に始まったのだけどA組の大将は沢田、反対の大将は恭弥。
漫画とは違う展開が待っているとは思わなかったけど。
なんと!沢田が死ぬ気状態で直接彼と乱闘しだしたんだから。しかもリボーンに死ぬ気弾打たれてないのに、だ。恭弥も恭弥もすごい獲物を狩る気に満ちていて目もギラギラして沢田とタイマンしてた。グランドは血塗り状態に。
みんな遠巻きに傍観してました。その二人を。
で結局、決着はつかず。お互いにボロボロになるまで闘ってたのにね。
うーん。今日も暑いなぁ。
(気になるあの子はのんき中)