天姫side
ルッスーが一生懸命闘ったのは分かるよ?大怪我してきて大変なのも分かる。だけどね……
「聞いてちょーだい!天姫ちゃーん」
ルッスーリアがムキムキな腕力にものをいわせながら、泣き顔で顔をくっつけてくるので私は絶賛逃げるために格闘中です。
「ルッスー。顔引っ込めてよ。近すぎだから」
「ドカスがぁぁ―――!」
思わず両手で押さえてたけど,ザンザスがキレて吹っ飛ばしたおかげで難を逃れた。
壁はルッスーぴったりの穴ができたけどね。
「おっほほほほ。もう、ボスったら!ヤキモキしちゃって♪」
鼻血出しながら復活してきたルッスーにティッシュ渡してお茶タイムとなりました。
スクアーロが角砂糖が入った瓶を持ちながら、私のカップに入れてくれようとしているが、
「天姫は砂糖いくつ入れるんだぁ?」
「三個」
「俺が入れる!」
途中でレヴィがスクアーロにタックルをかまし砂糖を奪取した模様。
ドバドバとこれでもかというくらいに角砂糖が私のカップに投入される。私はその様子を冷静に見守った。
「レヴィ!?てめぇ゛ええー!横から手出しやがるなぁ!しかもどんだけ入れるんだよ!?」
「天姫、さあ、のm」ガチャン!
「お前が飲め。もはやそれは飲み物じゃないから」
秘儀!カップ返し。
私は角砂糖まみれのカップごとレヴィの顔面向けて投げつけた。
だって砂糖だけならまだしもレヴィの鼻血付きときたのだ。
誰が飲むかって話である。
別のカップに自分で紅茶入れて砂糖も三個入れてやっと紅茶タイム。
私の隣に座るルッスーはベルがバクバクとアップルパイを口に放り込んでいるのをみては軽くたしなめた。
「ベル~ちゃんと味わって食べなさいよ。お下品よ?」
「汚い食べ方だね、行儀悪いよ」
マーモンもベルの隣で食べ方について軽く指摘。しかもベルは時折、壁にかけられたダーツボードに愛用のナイフを軽やかに投げては見事的中させるという神業をみせている。
ベル、器用過ぎ。でも食べるか遊ぶかどっちかにしないと行儀悪いと思う。
「いいジャン!あ、お姫それ食べないなら王子がもらっちゃうヨン!」
「は?」
今私は優雅に紅茶を一口飲んで、さぁ焼きたてのアップルパイを食べようかとお皿を手に取り右手でフォークを持って小さく切って一口分を口に運ぼうとしたのだ。
だが、私の目の前であまりにも信じがたいことが起こった。
ベルが、ベルが!
グサっとフォークで私のアップルパイを遠慮なしに刺し
それをパクっと王子にあるまじき大口で
もぐもぐと美味しそうに食べているではないか。
「ああ!?私の愛しのアップルパイぃぃ―――!」
まだ、まだ一口しか食べてないのに……。
私は無言でスクッとその場に立ち上がった。フォークの尖った方を逆手に持ちながら、ベルにとびっきりの笑顔を見せた。
「死ぬ覚悟ある人手―あげてーそこの堕王子だよねうん言わなくてもわかってるようんうん今なら先着一名様に限り惨殺プレゼントしちゃいます☆喰らえつか、抵抗すんなマジ殺す!」
「天姫ちゃん!?落ち着いてとにかく深呼吸よ!ほらヒッ、ヒッ、フー、ヒッ、ヒッ、フー!」
「それラマーズ法だよ」
許すまじと鬼の形相になりつつある私を抑え込もうと躍起するルッスーリアにズバッとツッコミするマーモン。
ワイワイガヤガヤと楽しいお茶会の一方で私の隣で快適にお昼寝していたザンザスがむくっと起きて
「てめぇら―――うるせぇ―――!」
とお怒りの憤怒。これで何回目の憤怒か数えていませんが、私他みんなもばっちし巻き込まれて部屋中黒焦げさが漂う中、静かにお茶会を再開しました。
「次は、雷の守護者の闘いですって」
話題は今流行りの指輪争奪戦ですってよ奥さん!
っていうのは冗談でして。
私のちょっとこげてしまった髪の毛を丁寧にすいてくれているルッスー姐さん。
隣ではザンザスが大人しくシロをかまっている。
はははのは、ちょっとは反省したかね少年よ。
なんていったって乙女の髪の毛をちぢり毛寸前にまで追い込んでくれたのだからね。
今頃ルッスー姐さんが手入れしてくれていなければアフロデビューだわ。
それにしてもザンザスの手の中でふにゃーんと借りてきた猫のようにおとなしすぎるシロを一瞥しつつふと思う。
私よりも甘えていないか?って。
いや、ザンザスに甘えたいわけじゃないんだけどこう私に対する態度が明らかに違うっていうか、それなりにシロとは絆っぽいのを感じてるけどこうわかりやすいくらいに甘えてるとこみると妙な感じというか、納得いかんというか。
もやっとする。
なんだよ、なんだよ…。私だって浮気してやるもんね。
私はウザったそうにしているマーモンを抱いて膝に置いた。
文句の一つでもあれば離そうと思ったが、その類の発言もないので良しとしよう。
あ、そうだった。今、ルッスーとは雷の守護者関連の話題になってた。私は思い出したように話題をさらっと続けた。
「じゃあ、ランボだね、次の相手は。色々と心配だなぁ」
子供相手にレヴィが加減するとも思えないしな、不安だわ。
「……………」
「レヴィ、そんな顔して睨んだところで天姫に伝わる訳ないでしょ。馬鹿じゃん?」
「………………」
「ゔお゙ぉい!?だからってオレを睨むな!」
天姫に心配してもらいたくて睨んでたレヴィ。
でもウザくて天姫は視界から除外していたのであった。
「ランボだからなぁ~。……心配だから見に行こうかな」
「「「「「…………………」」」」」
天姫の一言でレヴィを除くみんなが観戦しに行くことになった。
(気軽な気持ちでいきまっしょ!)
※
はぁ~。もう心配でたまらない天姫です。
だってランボに変態レヴィの相手が務まるもんかといいたくなるではないですか。
でも、もう決まったものはどうしようもない。
雨天決行された雷の守護者の戦い。
皆とお揃いの黒のかっぱかと思ったが天姫用にと用意されたのはと赤。
仲間はずれ?と首を捻る私にルッスーリアは『可愛いからよ♪』と説明。
おいおい、奈々さんの次はルッスーが私に衣装係ですか。
会場に着いたはいいけど雷すごすぎである。
どんだけこんな避雷針セットした訳だ。
これではランボが感電してしまう可能性大だ。いや、変態レヴィのことだからびりびりしてるとこ見て喜ぶのかも。こわっ!
しかしレヴィ。そんな、いかつい顔してちゃあのランボの余裕には全然叶わないと思うよ。
だからレヴィに言ったつもりで声に出したんだけど
「そんな腑抜けじゃ彼には勝てないわ」
そしたら向こうの沢田たちが反応したから気軽な気持ちで挨拶したんだよ。
「ジル!」
「久しいわね、沢田綱吉。ちょっとは逞しくなれたかしら」
だって、あの頃と違って顔つきとか変わってて男らしさアップみたいな?そんな雰囲気醸し出しているからとうとう大好きな京子ちゃんにでも告白して男前度アップしたかと思いました。でも、なぜか沢田は肩を震わせて傷付いた顔して声を荒げてきた。
「ジル……どうして?そんな言い方するんだよ」
そんな言い方?他に言い方ってあるっけ。
もしかして京子ちゃんに振られた?もしかして振られた系?だから傷口抉っちゃいました系?あららそれはそれは。お気の毒―とか言いようがないね、うん。
っていうかそんな事情とか知らないし適当に言っただけだし!的中するとかこっちが知らないし。八つ当たりでそんな言い方されたらこっちだって機嫌悪くなるぞ!
今の私は相当酷い顔してるとはずだ。だって口元ヒクヒクさせて怒りを抑えているもん。
「そんな言い方?私の何を知っていたの?4歳児の私?それとも今の私?ほら!即答できないじゃない。本当の私を知らないくせにそんな言い方?何、何様のつもり?笑わせないでよっ!」
振られてイラついてるからってそんな言い方は男としてない。私だったらお断りだ。
告白してきたとしてずばっと魅力ないって断ってやる。
「天姫」
ハッ!?怒りで我を忘れてしまっていたぞ、私。落ち着け、どうどう!
飲み込まれてどうするのだ。あやうく「お断りだ!」って叫ぶところだった。
ザンザスが止めてくれなかったら、今頃どうなっていたか……。
沢田綱吉、色々な意味で恐ろしい男だ。
ありがとう、ザンザス。
サンキュー、ザンザス。
でもさっきから腰元に添えられている手がいやらしいので嫌なのでスッと外しました。
セクハラ禁止。
「…ハイハイ……今日は、楽しませてよ。色々と」
ランボが無事ならいいんだ。
決闘の勝敗は興味ない。それにレヴィどうなってもいいし。
※
結果はランボの負け。でも良く頑張ったぞ、ランボは。
10年後とか20年後とかのランボもすごかったけど彼は頑張った。ハラハラさせられそうな場面もあったし、今すぐにでも飛び込んで行きたかったけど今の私はヴァリアー側なので手出しはできない。ぐっと我慢して耐えてじっと見つめた。
試合の途中で沢田が乱入したのでチェルベッロのおねーさん判定により雷の指輪はこっちの物になった。ラッキー。
けど沢田は指輪が手に入らなかった結果よりもボロボロにされ大けがを負って気絶したランボを見やっては
「仲間を守れないなら俺は指輪なんかいらない!」
と大きな死ぬ気の炎を灯し真っすぐにボスであるザンザスを睨みつけた。
それって欲しかったものが手に入らないならいらない餓鬼のセリフじゃない?
だったら最初からこの争奪戦に参加しなければいいのに、と思った。
でもこの言葉がザンザスの癪に触ったらしい。
「……ならば散れ」
と沢田に攻撃を仕掛けようとする。だが隣に立つ私にはたまったものではない!
下手すれば私も巻き添えを食う結果につながるのだ。
隣ではザンザスの手の中で炎が急激に凝縮されていき熱い熱い!滅茶苦茶熱い!
「ザンザス様!?お待ち下さい。ここで手を上げられては意味が無くなってしまいます!蒼龍姫様とて……!!」
そうだよ!私まだこんがり焼け死にたくない!
私は自分の命を守るためにザンザスの腕に手をかけた。
途端、ザンザスは不服そうに私へと視線を向けた。
「…………なぜ止める、天姫」
「無駄に力を使うことも無い、そうでしょう?」
アンタはまた完璧に私をアフロにするつもりか?ええ、絶対そうだよね?
やめろよ、人生初のアフロなんて私にまだ早い領域だよ。
いやいや、アフロで済めばいい話だよね。
アフロ通り越して波平さんスタイルになっちゃうよ。それは乙女じゃない、ってか女じゃない!
私の鬼気迫る表情に、ザンザスは
「………興が、そがれた……」
と炎を消滅させた。
ほっと一息ついた私は
「試合の結果を言い渡しなさい」
とおねーさんに促した。さぁ早くザンザスの気が変わらないうちに!
おねーさんは
「ハッ、ハイ!」
と元気いい返事を返した。くだらないやり取りしてる間にも雨脚が強まってきた。このままで風邪をひいてしまうかもしれない。それは計画にも支障をきたすことになるのでここは早く帰りたいところだ。
「今回の守護者対決。沢田氏の妨害によりレヴィ・ア・タンの勝者とします。それにともない、雷のリングならびに大空のリングはヴァリアーの物となります」
「なんだって!?」
「なんで十代目のまで!」
向こうの皆からブーイングの嵐。
だが勝負は勝負!そういうルールなのだから引き際は潔くするべきだ。
「フィールドへの接触は勝負を妨害したものとみなされ失格の対象となります。例外はありません」
「…ザンザス様、お受け取り下さい」
「………………やっとオレの物に……」
ザンザス、嬉しそうだ。それはそうだよね。
おじい様も立派なボスでいらっしゃるし憧れ的なものかな?
なんか感慨深いわーって雰囲気になってしまった。
どうしよう、ここはザンザスの為に演出したほうが盛り上がるのだろうか。
私はない頭をひねって考えた挙句、ああ、ここは王道のアレじゃない?と実行することに。
ザンザスの隣に立っていたので中世の騎士が王様に挨拶するみたいに膝ついて頭を下げた。
「おめでとう、ザンザス。……いいえ」
台詞もなんとかこれっぽい言い方だよなと舌咬まないようにゆっくりと喋った。
驚いて固まってるザンザス指に収まっている指輪がはめられた手を取りつつ、
「……我が、主よ」
「………天姫……」
「この身朽ち果てようとも全て私は主のもの。いつ、いかなる時も我が力惜しみなく注ぐと誓う。付かず離れず守り通す。今、ここに揺ぎ無い忠誠と永遠なる親愛を貴方に捧ぐ」
指輪に軽くキスを落とす。
「…………ん………」
上目遣いにザンザスを見上げれば、顔真っ赤にして返ってきた返事は「ん」だけだった。
そんなに嬉しいんだね、良かった。
「……先に、帰る……」
「気をつけて」
ヴァリアーのメンバー連れ立ってザンザスは先に帰りました。
うん、残ったのは私と双子のねーちゃんと沢田メンバー達。
ちろりと彼らに視線をかえたらなんか皆ショック受けた顔していた。
ははん!自業自得だね。
ルールは守護者同士の対決以外認めない。乱入してきた時点で指輪を失う覚悟は必衰なのだ。それをわかっていてランボを助けたのだろう。ならばそれでいいではないか。
今更未練がましく指輪を欲するなんて……。
なんだい、それは。しかも沢田父もいらっしゃる。
驚愕の表情で顎はずれてもおかしくないほど、口開いてる。
「…真の契約が実行されただと!?」
「……そ、そんな……ジルが、ジルが…」
しつこい、まだ壊れたテープみたいに何回も『ジル』って。
ほんと、学習能力ない男だ。
「沢田綱吉、私はもう『ジル』ではないと言った筈。まだ理解していないの」
「!?」
私はもう、この場所にいる理由もないのでさっさと背を向けた。
「天姫様!」
「何?」
双子少女に呼び止められた。何?演出、気に食わないって?
「この後の守護者対決はいかがなさるおつもりですか!?契約をなされてしまうなど余りに軽率では…!」
やった後で抗議するなんて。私にどうしろというデスか。
しかも話進まないでしょ。ここでやめたら。
「争奪戦は変わらず続行。だって」
「「!?」」
「面白いものが見られるのよ。……そういえば九代目と連絡は取ってるかしら。沢田家光」
急に話題振ってなんですけど、おじい様が元気なの知ってるのかしら。
色々と情報操作はしているけど、万が一彼らに知られでもしたら計画がおじゃんになるからね。ここは確認するためにそれとなく情報収集といきましょうか。
私からの問いかけに沢田の父は、
「………、九代目に何をした…!」
とまるで私がおじいさまに危害を加えてるみたいな勝手な思い込みの反応を示した。
おいおい、勘違いもいいところだ。私はもう少しであのゴーラ・モスカの中でくたばりそうなおじい様を救出した当事者だというのに、いかにも私が犯人扱いってどんだけ?
「何も、知らない?……そう、だったらいいわ。別に今更知ったところでどうなるというものでもないし。それにしても門外顧問というのは存外役に立たないのね」
だいたいさー、ちゃんとおじいさまの近くにいればあんな事態防げたかもしれないのに。
終わったこと蒸し返すのも嫌だし、何よりこの雰囲気嫌いだ。ま、帰ろうっと。
「天姫」
「何、リボーン」
帰ろうと彼らに背を向けた途端、また呼び止められた。
まだ話続いてるのかよ。もうおなかすいた…。夕飯食べてないからぺっこぺこなんだよ。
ヴァリアーの皆といると夕飯は豪華だけど争奪戦になっちゃうからゆっくり食べられないのが難点なんだよね。
「それはお前の本音か?」
え、本音ってなんですか。夕飯が争奪戦で困っちゃう~って話ですか?
いやー、本音言えば静かなところで食べたいけどお金の支払いがヴァリアー持ちだから外で外食してきますなんていった日にゃ、じゃあ俺たちも!なんてくっついてくるに決まっている。それでは外で食べても何も変わらない状況じゃないか。だったら少しでも自分の分を確保してさっさと別の部屋に籠ってテレビ見てた方が俄然いいよ!
おやつには当然アップルパイさ!
ははは、今度はベルに横取りされないよう隠してあるから大丈夫の助。
はぁ、早く帰りたい。
「…………当ててみなさい、アルコバレーノ。………貴方は『最強』のヒットマン、でしょう」(腹減った)
適当に誤魔化して私はさっさとその場から逃走。
結局、私が隠していたアップルパイはベルに見つかり横取りされました。
「ぬがぁぁああああああ―――!」
「あはははっ!お姫ってば変な顔―!」
「天姫ちゃんがご乱心よぉぉぉおおお―――!?」
暴れて暴れて暴れつくしたので多少はストレス発散でしました。
ヴァリアーの皆がボロボロで気絶してたりしたけど気にしない♪