天姫side
「ゴーラちゃん大人しくしててね」
「いや、勝手に動かないだろ゙ぉ゙お゙!」
うるさいわ!
ゴーラちゃんはね、主人想いの優しい子なんだよ!だいたいスクアーロはなんでもかんでも私の発言に突っ込みすぎなんだ。少しは控えめにしろ。それにもしかしたら心配性のゴーラちゃんのことだから私の危機には駆けつけるかもしれないじゃん!
「ザンザス、レヴィは留守番してて。ゴーラちゃん扱き使っちゃ駄目だからね!」
「お土産はリング持ってくるしー」
今日は嵐の守護者対決。朝から気分が良かったらしいベル。
「…………………オゥ……」
「可憐に去る姿も素敵だ…」
ベル張り切ってるね!頼もしいよ。
「切り刻み放題やったね!」
おい、そっちかい。どうしよう不安だわ。守護者対決。
会場先となったのは、並中の校舎全体だ。ああ、ジルだった頃、毎日通い妻ごとく恭弥がいる応接室に通ったもんだ……なんて思いを馳せてたら、向こうの団体さんご到着。
「ごきげんよう」
「…………天姫……」
隼人も遅れて推参。特訓一生懸命してたの情報で聞いてるよ。頑張ってるね。
今日は隼人の成果が試される日だからね。期待してるさ。
「名前、やっと覚えてくれたのね。沢田綱吉君?」
「……っ……」
「ジル、お前、脅されてるんだろ?そこのやつらに」
「……武」
「十代目の気持ち考えてんのかよ!?十代目だけじゃねぇ、俺らの気持ちを。ああ!ジル!?」
「…隼人まで……」
ちゃんと私は天姫ですって、何回も宣言したよね、いい加減にしろよ。
何回言えば理解するんだ。物覚えの悪い奴は嫌いだ。
「………あんたら、みんな……『嫌い』よ」
その言葉が引き金となって当たりの空気が変わる。
ズンっ!!
とまるで普段の倍以上の重力場がその場に発生。
感情の抑えが狂うと正常に力のコントロール力がきかなくなってしまうとその影響からか、周りの物質に影響を及ぼすとかアイツが言ってたような…。
私には全然影響ないんだけど、皆ありまくりで重みからぺしゃんこに潰されかけてるやつもいる。レヴィとか。それだけではない。校舎の窓ガラスが連続してパリンパリン!と音を出して割れていくという悪循環。かろうじて必死に耐えてるみたいだ。
「……………天姫……やめ、ろぉ゙……」
「アギョゴ!」
「………き、つ過ぎ……」
「天姫、…サイキョー、っ……グッ…!」
あ、ルッスーのサングラス割れた。私は急いで自身を落ち着けさせようとした。
落ち着け―、落ち着け私よ!
外野は気にしないというか目の前居るのは、かぼちゃ人参じゃがいもナスピーマンだと思うことにした。
ふぅ…と軽く息を整えて瞼を閉じて深呼吸した。
オッケー、大丈夫。
そう自分に言い聞かせれば、自然と重力場が収まって元の静かな夜の並盛中校舎へ……。
戻ってる、はず。
戻ってる、はずなんだ。私の中じゃ。
「……………」
だが凄惨な現場は変わらないです。一回目をとごしごしし擦ってみた。
……現実に変わりはないですね。窓ガラスの割れた破片が廊下に飛び散って足元が危ないし、ヴァリアーの面々は倒れて起き上がれないのもいるし、それは沢田組も同じみたいでえらいこっちゃ。
ここは彼の聖域。彼が愛してやまない並盛中。
備品一つ怖したくらいで咬み殺された生徒がいるのを私はよく知っている。
なんせ、その現場にいましたから!のぉぉおぉおおおおおぉおおお!
なんてことをしでかしてしまったんだ私はっ!
すいません、どうしよう!?きょんが大好きな校舎、破壊しちゃった!
恭弥に噛み殺される!?いや―――!
思わず近くにいたマーモン抱き上げてぎゅっとしました。
「…………天姫……?」
ゴメンねゴメンねゴメンねゴメンねゴメンね
金ならいくらでも支払うからザンザスに払わせるから完全修復するからだから咬み殺さないでぇ!!
「てめぇら゙゙あ゙あ゙あ゙ぁぁ―――!」
「……王子、キレちゃったぁ~!」
「天姫を泣かすなんて。君たち、報酬は高くつくよ」
「天姫ちゃん、こっちにいらっしゃい」
あれ。いつの間にかマーモンすっぽり消えて今はルッスーの背に隠れる形で庇われてるし
あれ?なんかヴァリアーの皆、怒ってないか。
っていうか皆さん、揃って武器装備して誰と喧嘩を?私、いつの間に泣いた事になってるとか誰が決めたのさ。恭弥の咬み殺しが怖くて怯えてただけなんですって、今更言えない雰囲気。
「……ヴァリアーの皆様、どうか落ち着いてください。これでは貴方方が失格となってしまいます!」
そうだよ、ここで失格になっちゃったら意味ないでしょうが!
あんたらの勘違いのせいでおねーさんたちも冷や汗でてるし。
「……………私は大丈夫だから…」
早く試合始めないと向こうもハラハラとかしてそうだし。
ここは私に免じて、ね?
皆、しぶしぶ武器収めてくれました。よかった!
※
獄寺隼人side
今日は嵐の対決。
だが向こうのボスの姿はなく、代わりにアイツの姿。
お前、そんな顔して笑う奴だったか?
「ごきげんよう」
「…………天姫……」
無邪気に笑ってやがる、お前はもうジルじゃねぇと気がつかされた。
「名前、やっと覚えてくれたのね。沢田綱吉君?」
「……っ……」
「ジル、お前、脅されてるんだろ?そこのやつらに」
山本のあいつに対する気持ちがひしひしと伝わってきた。
「……武」
俺だってお前に言いたい事たくさんあるっつのに!!
「十代目の気持ち考えてんのかよ!?十代目だけじゃねぇ、俺らの気持ちを。ああ!?ジル!」
「…隼人まで……」
言葉を重ねていくほどにあいつの笑顔が崩れ、出てくるのは凄まじい覇気。
そして小さく小さく呟かれた悲しみの音。
「………あんたら、みんな……『嫌い』よ」
その瞬間、俺たちをたっていられなくなるほどの重力が襲う。
「っ!?」
「グッ!」
「こ、れ、あの時と、おな、じ……クゥ!」
「しゃ、れ…に、な……んねぇ……な……!」
「ク、ソ!!………ジル!!」
ヴァリアーとて同じ境遇。あいつだけが平然と立っている中、俺の叫びが木霊した。
その瞬間、アイツの瞳が揺らいだ。瞳が大きく開き、一瞬だったが宙に舞う水滴。
「……………っ……」
泣いてる?アイツが?
重みから解放された瞬間、今までの疲れがどっとあふれ出す。
荒い息で向こうを見上げたら一人立ち尽くすジル。
それは孤独で寂しいように思えてしまった。
あの、マーモンとかいう奴を抱きこんで顔を伏せてしまった。
「てめぇら゙゙あ゙あ゙あ゙ぁぁ―――!」
「……王子、キレちゃったぁ~!」
「天姫を泣かすなんて。君たち、報酬は高くつくよ」
「天姫ちゃん、こっちにいらっしゃい」
ヴァリアーの奴らに守られあいつの姿が隠される。
俺たちは言葉を無くした。
どうして、あいつは泣いた?
どうして、あいつは俺たちを嫌いだといったんだ?
理由が知りたい。だがお前は俺たちを拒む。
『嵐』の守護者の対決は幕を開けた。