闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的49掴んだ温もり

ディーノside

 

何かの気配を感じ、俺は鞭片手にその場所へと足を忍ばせた。無論前方にはロマーリオが銃を装備して控えている。そこはある一室になにかいる。

かすかな機械音がその証だ。なんせ、ここは無人の医院跡だからな。確実に何者かが忍び込んでいる。二人でドアの付近に立ち、目配せでドアをゆっくりと開けさせた。

そして、一気に駆け込む。

 

「動くな!」

グォングォングォン!

 

目の前に現れたのはあのヴァリアーの副補佐。ゴーラ・モスカ。その大きな巨体の後ろのベッドの上で座り込む黒髪の少女。目が落ちてしまうのではないかと思うほど大きく見開き、止まる。一瞬、あの可愛がっていた義妹の姿が丁度重なった。

自分でも声が掠れていたのを感じる。でも声に出さずにはいられなかった。

 

「……ジル、なのか……?」

「…ディディ…」

 

ぽつりと少女の口が開き、出たのはジルがいつも俺を呼ぶ時の愛称。

少女の瞳からぽろぽろと涙の雫が零れた。

真っ直ぐただ、涙を流す少女。俺は動けなかった。

あれは幻ではないか?そんな不安に駆られ、触れてしまえば淡雪のように溶けて消えてしまうのではないかって。

少女は素足なのも気にせず俺にゆっくりと歩み寄ろうとした。だが、ゴーラ・モスカが少女の動きを阻む。俺たちを敵と認識しているあたりすこしヤバイか?

だが、そんな考えも杞憂に終わる。少女がモスカに寄り添い動きを止めた。

さらに後ろに下がらせ大人しくさせる。瞬間、少女は俺の腕に抱きついてきた。そしてぎゅっと服を握り締める。

 

「ディディ!」

「……ジル……」

 

やっぱり、ジルなんだな。俺をあだ名で呼ぶのは一人しかいない。

 

「逢いたかった、すごくすごく。寂しかった、悲しいくらい。……側に、いて欲しかった、よ」

 

嗚咽まじりに語る声。

それだけで、今までの溝が埋まるような、謎がどうでもよくなっていく感覚に陥った。

ただ、今はずっと、言いたかった言葉をお前に聞かせたい。

 

「……お帰り……ジル」

 

やっと、お前を捕まえられた。

ロマーリオも、小さなジルでなくなってしまったジルを思いっきり抱きしめた。

 

「ジル、心配かけさせやがって!」

「……ご、めんな、さ、……」

 

親子みたいだな、こいつら。

さっきから涙が止まらないジルの目元は赤くなってしまっている。

俺は、氷を入れた袋を用意し、

 

「ジル、うさぎになっちまうぞ?ほら、冷やしてやるから、こっちこい」

「…うん…」

 

手を差し出せば素直に受け入れる。ベッドに腰を下ろし、俺の膝に乗せる。

 

「ホラ」

「…う~~…」

 

無邪気そうな表情は小さい頃となんら変わりない。まぁ、しいていえば、体重がそれなりに重くなったことか?

言ったら、嫌われるから絶対、言わない。

俺は離す気はないというのに、ジルは不安なのか、俺の服を離そうとはしない。

 

「ジル、大丈夫だから、手離せ?消えたりしねぇよ」

「………やだ…」

 

なおさら、力が篭った。ハァ~。仕方ねぇか……ロマーリオが隣に佇む、ゴーラ・モスカを警戒している。

 

「ジル、こいつ、大丈夫なのか?襲ってきたりとか」

「ゴーラちゃんはいい子だよ!!悪いことなんかしない」

「「ゴーラ、ちゃん!?」」

 

ロマーリオと声がハモる程、それは強烈な一言。まさか、コレをちゃん付けで呼んでるとは…

 

「ちょっと、私に関しては過剰に反応するトコあるけど……それ以外では大人しい子だもん。自分から人を傷つける事なんかしたこと無いの。だから、無理かもしれないけど信じて欲しい……」

 

必死にゴーラを庇おうとするジル。俺もジルが嘘をつくような子ではないことを、知っている。

 

「分かってるよ……実際、警戒している気配はないしな」

 

分かりやすく、ほっとため息をつくあたり処分でもされるとでも思ったのだろう。俺はそんな様をみては苦笑してしまった。

 

俺がそんな事するわけねぇだろうが。お前が大事にしてるもん壊すほど馬鹿じゃないさ、と付け加えてみようかと思ったが、今はそれよりも先に優先すべき話題がある。

 

「ジル、正直に答えてくれ」

「………何?…」

「どうして、俺たちの前から消えたのか。どうしてヴァリアーと共にいるのか、全部話してくれないか?」

 

一瞬、ジルは口を噤んだが俺を想いを汲み取ってかその経緯を話してくれた。

ジルは本当は神崎天姫という名前で、本当の年齢は20歳。

神と名乗る男にこの世界に飛ばされたこと。

自分には『柱』という任務があること。

自分の中にはもう一人の自分がいてその少女が自分に不思議な力をくれたこと。

その少女の力が強すぎて小さな器では耐え切れず、死にそうなところを少女が替わったことで生き永らえたこと。

少女がザンザスのもとへ向かった訳は分からないがジルを救うためだったらしいとのこと。そして、ザンザス、ヴァリアー側はジルを助けるためにこの争奪戦をおこしたとのこと。

 

「まだ、私自身わからないところがあるから、全部とは言えないけど…」

 

それでも、ジルは打ち明けてくれた。正直、他人が聞けは頭がおかしいと感じてしまう突拍子もない話だろう。だが俺は彼女を信じよう。俺を信じて話してくれたジルだ。俺が信じなくてどうするんだ。無論、黙って聞いていたロマーリオも同じようだ。

この雰囲気を打ち壊すかのようにわざとおちゃらけた態度を取る。

 

「…まさか、ジルが20歳のレディとはね!ボスと二歳違いじゃねぇか!」

「確かに、そうだな。これじゃあ頭撫でたりするのも嫌に感じないか?」

「ううん、私は、その……ディディにされるの嫌いじゃない…かも。……もう、してくれない?」

 

そんな、俺のハートを貫くような瞳で見上げるなよ!?

冗談で言ったつもりだったんだけど。内心、拒否られたらと不安だったけど。

 

「お前が嫌じゃないならこれからもそうさせてくれ、な?」

「うん!」

 

やっぱり、お前の笑顔はサイコーだよ!

 

夜が明け、日が昇るまで俺たちは話続けた。正直に言えば、ジルを帰したくない。

だが、今の現状。それを実行してしまうと状況がおかしくなる。だから、今は我慢だ。

ザンザスがジルに協力的なら、危害を加えている心配は霧散した。綱吉たちにも悟られる訳にはいかない。ジルに関してはボンゴレとの同盟関係でも、譲れない。だが、名残惜しい。去り際、ゴーラちゃんとやらに抱えられたジルのおでこに軽くキスをした。

 

「ちゃんとご飯食べろよ?アップルパイの食べ過ぎは太るからな」

「そうそう、三食しっかり食べろ。育ち盛りなんだから」

「大丈夫!私料理は得意な方だし。ゴーラちゃんも手伝ってくれるし。むしろヴァリアーの皆と争奪戦な夕食してるから鍛えられてるよ」

「こいつ、料理もできんのか!?すごい奴だな…」

グォングォングォン…

「ありがとうだって!」

「会話も成立するのか!」

 

俺のツッコミにジルはこてんと頭上に?マークをだす辺り言葉の意図を理解していない。

相変わらず、すごいな…。少し、圧倒されてしまった。

もしかしたら、ヴァリアーでもこんな感じに過ごしているのか?だとしたら、少し心配も軽減された。

 

「またね」

 

ぐぐっと身体を伸ばし、ロマーリオにお別れのキスを送り、最後に俺。

 

「気をつけてな」

「うん!」

 

ゴーラが噴煙を立て空へと浮かんでいく。

俺たちはその影が消えてなくなるまで見送った。

 

「………ウシッ!仕事するか」

「ボス、俄然やる気だな」

「ああ、久し振りにジルを満タンしたからな!」

「……妹離れ、出来るのはいつのことやら…」

「おいおい。俺は一生でも、ジルの側にいるつもりだぜ?誰が妹離れなんかするかっての!」

 

なんて言ってたり。元気100倍な跳ね馬ディーノでした。

 

あ~。久し振りにディーノを堪能できたとホクホク顔で朝帰りの天姫。

だがヴァリアーの住居としているホテルにバレずに帰れるなんてことはないわけで。

 

「天姫ちゃ――――ん!」

「ぐぇ!」

 

ルッスーの強靭な肉体抱擁抱きしめもとい、殺戮ハグハグアタックにより天姫昇天。

十分後、マーモンの癒しにより蘇生された私はお馴染みのお説教を主にルッスーに延々と5時間、正座でさせられやっと解放されたと安堵のため息をついたらその後はザンザスが膝を占拠して昼寝して動けない状態が続き、ベルが遊ぼうよ♪とか言ってナイフを遠慮なく投げてきてので必死に逃げて、スクアーロとマーモンが助けてくれるかと思ったら逆にベルに加勢してさらに必死に逃げた。

走りながら『御仕置き』だと言っていたが、天姫にとっては命がけのサバイバルである。レヴィは猫耳コスを強要してきたので窓から蹴り落とした。

(結論:朝帰りはするもんじゃない)

 

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