天姫side
「スクアーロ、すごく嬉しそうじゃない。そんなに武と闘うのが楽しみなの?」
「あ゙たりまえだぁー。アイツはこのオレを楽しませてくれる逸材だからな゙ぁあ!」
「うん、張り切るのはいいけど殺そうとしたら禿げにしてやるから」
「う゛!?」
釘さしとかなきゃ殺す気まんまんだったな。その固まってる様子からね。
「凪の体調もすこぶる良くなってきているし」
お見舞いをかねていったら凪がいる病室までいったらすごく元気そうだった。
そこで、骸たちと鉢合わせすることはなかったけど彼らも凪のところまでは来ているらしく、夢の中ではなく現実の世界でちゃんと顔合わせができていたので安心した。
でも、凪の髪型がなぜか骸と一緒なのはすごく気になった。
右目は移植されたが眼帯をつけることでまぁ、人の視線はカバーされてるみたいで凪には落ち着くらしい。本人が望んでいるスタイルならいいだろう。
「凪、なんで骸と同じパイナポーな髪型にしちゃったの?女の子なんだから別の髪型もあったんじゃない?綺麗だったのに…」
「…天姫、気に入らない?」
きゅーん(うるうる)
「うッ!?」
速攻ですごく似合っていると彼女の頭をナデナデしまくった。
もう、そんなチワワみたいに切なそうな顔してたら何も言えなくなるよ。
「あーもう、可愛すぎ!凪ってば。どうしよう……ヴァリアー連れていっちゃ駄目かな~…」
「私って、沢田綱吉組のほう?」
「うーん、骸たちがそうだからなぁ。必然的にはそうなるね」
「天姫と一緒にいたい…」
ぎゅっと私に抱きついてくる感触についつい頬が緩んで無意識に凪の頭をなでなで。
なおさら凪が私にくっ付いてきた。
「あー、私も凪と一緒にいたいよー。けど駄目。まだ一緒にはいられない」
「………どうしても?」(きゅーん)
「うっ。……駄目、そんな顔しても……」
上目使いでみても駄目だから…。ダメだ、ここで揺らいでしまっては私が考えた筋書に影響が………。だが!この瞳に逆らえる者が果たしているか!?
「ああ――!可愛すぎ―!!でも駄目だから」
「うぅ」
でも一緒に見学はできるかも!ってな思いつきで凪を連れてヴァリアー組の応援と参りました。今日はスクアーロの応援です。
なんかすごく張り切ってるよ、彼ったら。
そう、言葉で表現するならいかにも殺る気満々?な雰囲気なので一発はたいといた。
「う゛ぉ゙お゙いい!?」
大きなたんこぶこさえた、スクアーロから文句が出たが無視。
ちょっと手に力籠め過ぎたみたいだ。気にしない気にしない!
「おい、天姫」
「何?ザンザス」
水のフィールドは理解できるけど、足元をとめどなく水が流れていくよ。
長靴はいてきて正解!
「その女がなんでこっちに居やがる」
「ん?見学だよ見学」
そう、ザンザスの疑問もその通りで凪は私たちと一緒に学校へ来ています。
だって一回ぐらいいいじゃん。今も一緒におてて繋いでいます。
後ろでは巨大傘もったゴーラちゃんがいます。
上からくる水対策用に用意したら自分からやってくれました。ホントいい子だよ!
「見学って、天姫ちゃん。小学生じゃないのよ?一応、敵味方に別れてるのに意味ないじゃない…」
「お姫って突発的になんでも決めちゃうよネ」
「尻に敷かれてみたい…そして、萌えだ」
「レヴィ。鼻血たらしながら、僕に近寄らないでよ」
そうだよ、水に流れてくるしこっちの方まできそうだし。
アンタ、その内出血多量で死ぬと思う。
「まぁまぁ、いいじゃない。だって凪だってばれなきゃいいわけだし」
「天姫、これって変装になってる?」
「なってるなってる。もう、誰だかわからないくらい可愛いよ」
抱きつかずにはいられないほど可愛いです。抱きついたけどね。
私チョイスの服は猫耳フードつきのマントでらぶりー。
「そういえば骸さま、今『何か』を探しているみたい。でも天姫が来るなら見に来るって言ってからたぶん来てると思う」
「骸が?何探してるんだろ…。ちょっと、待って。なんで私を見に来るわけ?普通違うでしょう」
「骸さま、ストーカーだから」
「凪それは本当でも言っちゃいけないからね?本人の前で言っちゃいけないからね?」
「……うん、天姫が言うなら。でも変態だよ?骸さまって」
「だから駄目だって」
あの親から解放された途端、凪はこっちの方が素だったんじゃないかってくらいに素直に何でも言うようにはなった。それはとてもいいことなんだけどこう、ほいほいポンポン遠慮なしの言っちゃうっていうのは、よくないのかしら。凪の将来がちょっと心配になってしまう。すると一人思案にふけっていた私にゴーラちゃんが綱吉たちが来たことを教えてくれた。
グォングォングォン…
「ん、来たの?」
「ずっと思ってたんだけどあえて勇気だして聞くわ。天姫ちゃんってどうやってゴーラの言ってる言葉分かるわけ?」
ルッスーリアの心底意味わかんないっていう問いかけに私は逆に尋ねた。
「なんでルッスーはわかんないの?」
「お姫だけだよ、ソレ」「確かにね」
みんな失礼な事いうなぁ。
※
山本武side
『時雨蒼燕流はなぁ、完全無欠最強無敵よ!』
豪語する親父だったけどどうなんだろ。
でも親父の言葉に嘘はないな、となんとなく思ってた。
「うお゙ぉ゙い!よく逃げ出さなかったなぁ゙あ゙!」
なぜかたんこぶをつくっているスクアーロがわざわざ来た。面白いな!
そうこうしてしてる間に獄寺と笹川センパイも合流していつもの円陣を組んだ。
今回からバジルって奴も入った。
よしッ!やっぱこれやると気合が入るぜ。
「今回の戦闘フィールドは『アクアリオン』。特徴は立体的な特徴をいかした密閉された空間に水を流した状態のものです」
「来た来た♪うししし」
「ヴァリアー!」
後方で守られるように佇んでいるのは彼女だ。
「………ジル!」
「……余裕そうな武。勝つ気、でいるのね……。ふーん」
名を呼ばれ少しだけ前へ出た彼女。
警戒するように、ヴァリアーの連中も動いたがジルの手がそれを制する。
言葉は刺々しいものでも、なんとなくあの頃となんら変わりないジルだと思った。
だから、伝えずにはいられない。
「俺さー!お前が『誰』だってかまわないぜ」
「っ!?」
水が大量に流れこんでいる為、大声を出さなければいけないが、むしろ、他の奴らに聞こえてもいいと思った。むしろ、聞いてみろって強気でいた。
「お前が『ジル』だとしてもー、『天姫』だとしても、関係ないからー」
「……………」
「俺はジルを嫌いにならないから」
花火の夜、お前に伝えることが出来なかった言葉。
今、お前に伝えてもいいだろ?
微かに顔が歪んだお前は声を発しないまま、フィールドを去った。
でも、確実に届いたって思った。
俺の正直な気持ちが。
心臓がバクバクと脈打っている。
※
天姫side
まさか、あの時の言葉が彼に届いているとは思わなかった。
あの弱りきった身体でふと、弱気になっていたんだ
ふと、夜空に咲く花火のあまりの儚さに自分を重ねてしまっていた。
もし、自分の存在が消え、あの少女が私になっていたら、と。
少女が自分を気に入っていたことはわかっている。
けど、バランスが保てなくなっていたあの頃。いつ入れ替わってもおかしくは無い状況だったのだ。
だから、なんとなく誰かに問いてみたかった。
誰かに答えてほしかった。
『私が私でなくなってしまったら、嫌いになってしまうのか』と。
誰でも、よかったわけじゃない。
武だったら、私が望む答えをくれるような気がして。
ちょっと卑怯だよね、私って。
「天姫?どうしたの」
「なんでも、ないよ」
いけないいけない。今は目の前で行われようとしている闘いに集中しなくちゃ。
平静を装う事さえ、今の私には困難だ。
『もしもだよ?』
『俺さー!お前が『誰』だってかまわないぜ』
どうしよう、
『もしもワタシがワタシで無くなってしまったら』
『お前が『ジル』だとしてもー、『天姫』だとしても、関係ないからー』
嬉しくて堪らない。
『……武は、嫌いになる、かな?』
『俺はジルを嫌いにならないから』
心臓の音が、さらに大きくなったような気がした。
『雨』の守護者対決、開始。