闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的55一方通行はーと

天姫side

 

霧の守護者対決の会場先は学校の体育館でした。ホントよく用意できるよね、チェルベッロの皆さんは。本当は学校関係者とか関与してるんじゃないかって疑ってしまうぐらいだ。

 

「ねぇ、天姫」

「え、どうかした?マーモン」

「僕の対戦者って結局どちらなのさ」

「……行けばわかるかも…」

「天姫にもわからないってことだね」

「ごもっともです…」

 

だって!本来は骸なはずなのに凪ってば、完全に主導権握ってるみたいなんだもん。

あの子は骸と契約をした状態ではあるけど、その力が100%使えるはずではないような。

でも、凪って気がつくと骸の三叉槍を手にしているのよね。で、骸があわてて取り上げる感じ?

 

『霧の守護者対決』

 

あんまり緊張感というものはこの会場から感じられない。なぜなら、

 

「凪」

「なに?天姫」

「貴女は向こうでしょ?」

「まだ、時間じゃないよ?」

 

こてっと首を傾げて不思議そうな顔をする凪。思わずなでなでしちゃったじゃない。

案外計算の内に含まれていたりするのかしら。…侮れない子だわ。

だいたいそーいう事じゃないの。

 

「それでも、沢田たち来てるでしょ。あっちに行かなきゃ駄目じゃない。それに骸の姿も見えないし」

 

私の言い分に凪はぎゅっと三叉槍を握り締めてはきっぱりと宣言した。

 

「骸さま、遅れてくるから安心して。私が頑張る!」

「主役が遅れてくるから安心しろって言われたの初めてだわ」

 

凪はこっち側で私とおしゃべりするし犬と千種はまだ来ないし、沢田たちには不審な目で見られるし。

ああ、いたたまれない……。

唯一の救いはゴーラちゃんが盾になっているのでちょっと隠れた気分が味わえていること。

ああ、ゴーラちゃんは私の癒しだ……。

はたからみれば何してんだ?こいつらみたいに思えるだろう…フッ!恥もへったくりもないさ。もう、ね。

 

「……ねむ……」

 

ザンザスも寝不足みたいだ、アハハ。ああ、このまま寝ていいかな?

ルッスーが慌てて支えてくれたから良かった。なんせ、寝不足だから。

 

「ちょっと、いい?」「ねぇ天姫?」

「なに、二人して」

 

マーモンと凪が同時に詰め寄ってきた。思わず、仰け反る勢いだ。

 

「「天姫はどっちの応援する?」んだい?」

「……………ふたr」

「「駄目!」だよ!」

「駄目ですか」

 

最後まで喋ってないのに却下された。

やばい、究極の選択。

いつも抱っこさせてくれるマーモンか!

天姫チョイス服をセレクトしてくれている凪か!

やばい、選べるわけがない!

 

「それでは、霧の対戦を開始いたします。」

 

その時、ちょうど幸福のゴングもとい、試合開始の合図が鳴った。

 

「やった!」

「ム、逃げたね」「ずるい…」

「まぁまぁ、二人とも頑張ってよ。私は平等に応援するから!」

 

誰が負ければ嬉しいなんて気持ちは私は一切ないんだから。それにこの闘いは誰かが悲しんで誰かが得する闘いじゃない。

双方どちらとも最後には笑顔でいなきゃダメなんだよ。HAPPYな気持ちで行こうよ。

 

 

どうやら、ぎりぎり到着したらしい犬と千種が私に向かってブンブン手を振っている。

私は笑顔で返し骸の姿を探した。が、やっぱりいない。

凪、いったい骸をどうしたんだ?!

その凪は沢田にキスを贈っていた。衝撃をうけるメンバー。こっち側でもショックを受けている人物一人いる。

 

「レヴィったら、身動きしなくなったわ」

 

ほっとこう。勝負は開始された。

マーモンVSクローム髑髏。それなりに交流をもっている二人だけど闘いではどうなのかなと少し心配していたけど、そんなもの杞憂で終わった。

両者にらみ合う形なんだけど……こう、やる気が違うというかなんというか。

 

「いっつも、天姫の傍に居られるなんて、ひどい!」

「なんだい、弱者のくせして嫉妬かい?醜いね。女の嫉妬は」

「……!?ウルトラすーぱー強欲ドけち鼻たれドチビマーモンめ……」

「ムム!この、眼帯毒舌陰険性悪女が!」

「むぅ!?……………許してあげないっ!」

「それは、僕のセリフだよっ!」

 

二人の喧嘩口調とともに幻術が、交互に繰り出されている。

体育館の床が割れたり、マーモンから触手が出て凪を襲ったり、マーモンがバイパーになって彼女に襲い掛かったり、凪が応戦して火柱アチチ!と出したりしてくる。

私とザンザス他は大丈夫だけど、沢田サイドとまたこっちに一人犠牲者。

 

「……レヴィ―、気休めに消化してやろーか」

 

ベルがそんな優しい言葉をかけるなんて。

あ、消化機投げつけた。自分でやれよってことね。

試合のほうは青筋浮かべたバイパーが凪を氷付けにしようとする。

その時、凪が手にする三叉槍に目をつけ、あれが力の源と理解するなり、壊そうとする。

 

「ダメ、ダメ―――――!」

 

凪の叫びが体育館に響いた。だが、槍は砕け散ってしまう。

だが彼女のまわりを霧が出現し、

霧が凪を包んでゆく。それは全体を覆うほど丸く円形上に大きく広がっていく。

沢田達、向こう側からでは見えなかったが中では……

少々、汗をかきまくった骸が、ぜはぜは言いながら凪を睨みつけていた。

骸の髪型はへたっている。よほど、急いで走ったからか?

 

「凪!!許しませんよ……僕を出し抜いて天姫とイチャイチャするなど!!」

「あ、ぱいなぽー」

「『あ、ぱいなぽー』、じゃあ、ありません!どういうつもりですか!?僕に天姫からの差し入れだと言って渡したアップルパイを喜んで食べたらすぐにトイレに直行して悶絶ものの苦しみを三時間は味わいましたよ!!謀りましたね!?」

「あっぽーだ」

「誰があっぽーですか!!アホと呼びなさい」

「強力下剤薬入れたのに3時間しか持たなかった……ッチ……」

「くぅうう!返しなさい、三叉槍!僕のです!!って粉々に!?」

 

バッと、凪から取り返した?三叉槍は骸の手に収まり、やっと真打登場!

でも砕けてちゃ使えないでしょって思うと思いますが、アラ不思議!

骸の変態パワーで見事修復されたのでしたー。

霧が晴れたときには隣にはぶーっと頬を膨らまし拗ねている凪とクハハハと余裕を見せている骸。たちに戦慄が走った。恐怖の大王が降りてきたって顔してると見た。

 

「六道、骸がきた!?」

「お久し振りです、沢田綱吉。舞い戻ってきましたよ?」

バァン!!

「輪廻の果てより!!」

 

骸的には決めてるつもりみたい。実際沢田たちはすごく動揺している。でも、

 

「(輪廻じゃなくてトイレだけどね。)随分時間がかかったようだね?」

「っ…!?…クフフフ、クハハハッハハハハ!!特殊暗殺部隊ヴァリアーの術士、マーモン。アルコバレーノと言えど僕に敵うと思っているのですか?」

 

マーモンが茶々いれるから骸が笑いながらキレちゃいました。器用な骸。

二人のやり取りはこちら側からは丸見えでした。

 

「凪、強力下剤薬を使ってまでマーモンと闘いたいだなんて……。今度はザンザスと闘いたいなんて言い出すんじゃないかな…」

「明らかに勘違いよ。天姫ちゃん」

「え!?何処が?」

「俺は付き合わん」

「さすがの御姫好きボスも逃げたね」

「ベルそれ私に対する宣戦布告?後で受けて立ってやる。ねぇ、ゴーラちゃん?」

グォングォングォン!

「え!?自分がザンザスの分まで頑張るって?いい子だなぁ」

「天姫ちゃん、黙ってみてなさい。ゴーラも話をややこしくしない!」

グォングォングォン♪

「ルッスー、ナイス突っ込みだって。やったじゃん、ルッスー。ゴーラちゃんと意思疎通できてるよ、おめでとう!」

「……早くスクアーロに帰ってきてほしいわ…」

 

ルッスーがすごく大きいため息ついた。

まるで付き合いきれないわっていう風なのはやめてほしい。

 

 

六道骸side

 

フッ、僕が本気をだせば、赤ん坊などたやすいものです。

 

「…まだだよ!まだ、僕はやれるよ」

「おやおや、往生際が悪いですよ」

 

指輪はこちらに渡ったというのに、なぜそこまで勝ちにこだわるのか。まさか金絡みか?

ドけちマーモンのことだから勝利すれば金額倍増などともちかけられているのかもしれませんね。ですがそれも無駄というもの。

僕の完・全・勝・利です。

後で天姫にぞんぶんに褒めてもらいましょう!

と意気込む僕の視界に入った風に踊る黒い髪。

 

「バイパー!」

 

マーモンを庇うかのようにザンザスの所から駆けてきた彼女は必死に伸ばした腕でぎゅっと自身の胸にマーモンを閉じ込める。

 

「…天姫?」

「バイパー、もう、終わった。……もう、帰ろ?」

 

バイパーを抱き込む姿。

それは愛しいものを守るかのように儚いもののようだ。それがたまらなくイラついた。

僕はここにいるのに。どうしてそんな奴を優先するんですか。

僕は貴女に逢うため、地獄から生還してきたんですよ?(注:トイレから)

 

「天姫」

「…骸…」

「天姫、僕はあの日貴女に言った言葉に偽りはありません。今でも貴女を欲している。心の底から」

 

いつでもどこでも貴方を考えない日はない。それほどに貴方は僕の呼吸そのものだ。

近くにいて当たり前、そばにいて当たり前な存在なんです。

 

それでも天姫の顔はマーモンで隠れてみえない。

肩が小刻みに震えるのみ。それが彼女の拒絶と認識してしまう。

 

「……………」

 

己が声すら震えを隠せない。懇願しか僕には残されていないのか。

 

「この手を取って下さい、天姫。僕を欲してください。……貴女を必ず守ります、何者からも。あの『神』にだって負けません。………だから僕の手を取って」

 

ゆっくりと彼女に向って手を伸ばした。

けど僕の手を彼女がとることはなかった。あるのは頑なすぎる拒絶だけだ。

 

「………ゴメンね……」

 

ザンザスが立ち上がり天姫に声をかけた。

 

「天姫、帰るぞ」

「うん」

 

胸にバイパーを抱き、天姫は立ち上がった。

表情は決してみせることはせず。ただ一言、言葉を残して。

 

「……骸、凪を大事にしてね」

「天姫!」

 

それは無理な話です!だってクロームは僕にすごく反抗的なんですよ!?

 

僕の声無きの声が体育館に木霊した。

それでも天姫が振り返ることはなかった。

 

「……どうして、ですか……天姫」

 

やはり、天姫のなかでの僕の壮大なイメージがガタ崩れしてしまったことが要因なのですか。これはイメージ戦略を練る必要がありますね……。

頭脳フル回転して新たな策をひねり出している最中に沢田が邪魔をしてきた。

 

「……骸…お前」

「……クロームを頼みます。少し疲れているようだ」

 

いい厄介払いです。

少し、いいえ!当分沢田の所で反省してきなさい。ってか、僕を貶めた罰です。

 

「ちょっと、待って!?骸は何処に行くんだ?」

 

どこに?それを貴方に言う必要があると?

 

「僕は僕で行動させてもらいますよ。霧の守護者といえど、それは天姫を救うためだけになったのですから。貴方の指図を受ける気はありません」

「てめぇ!十代目になんて口の聞き方を!」

「おい、獄寺!?」

「一つ、忠告しておきます」

 

僕は珍しく沢田にアドバイスを送ることにした。

クロームを預けるならこれくらいは教えておいてあげても悪くはないでしょう。

なんせ僕でさえ手を焼く子ですからね。沢田ならもっと僕以上に痛い目に合うでしょう!

 

「えっ?」

「沢田綱吉。表ばかりを見ていては彼女に足元をすくわれてしまいますよ」

「……表って?」

 

僕の問いを理解しているのかいないのか、ですがヒントはここまでです。

そう、簡単に答えるはずないでしょう?この、六道骸が、ね。

その事実に気が付くのは、クロームの本性に気がついた時ですよ。

それは同時に君が被害にあってるときでしょう。

 

「犬、千種。行きますよ」

「あ、待ってよ!?」

 

僕がやらなくてはいけないのはあの男の素性を調べること。

天姫を縛る『神』の存在を明らかにすることだ。

そして、ドラッグストアへ行って薬を買いに行くことです。

クフフフだが僕にはその前にやるべき重要な仕事があるんです!

 

 

「うるさい、骸さま」

 

グサッ!

なんともえげつない事を真顔でしてくれる、凪よ。

本当に女の子かどうか心配してしまいます。

部屋に帰ってみればさっそく奴が飛びついてきた。

だから、どうやって侵入してんだよ。

 

「骸、ザンザスに消し炭にされたくなかったら三秒以内に離れて。そして凪、三叉槍を骸のお尻に突き刺すのはやめなさい」

 

ぐりぐりと腰元に抱きついてくる腰ぎんちゃくならぬパイナポー。

三叉槍がお尻に突き刺さっているのに平然としている。

あ!凪、無理矢理抜こうとしちゃ駄目!?

 

「いやですさっき拒否られたんだからくっついていたいんです抱きついていたいんです縛りついてでもいたいんです!」

 

変態。

本当に、この子はどうやったらこうなってしまったの!?

私の育て方が悪かったの!?

もう色々とぐるぐるして気が動転してきた私と引っ付き虫状態の骸にイラついたザンザスの憤怒のゲージが一気に爆発。

 

「さっさと、離れやがれぇ――!」

 

アハハ、また皆で仲良く黒こげ状態になりました。

あはは、それでも平然とお茶してるヴァリアーの皆と犬と千種がいました。

あはは、お約束だけどゴーラちゃんが部屋を壊滅させました。

修繕費がかさむ………。私が払うわけじゃないから別にいいんだけど。こう、迷惑かけてるわけだし心が痛むわ……。それにしても、私、どこで育て方間違えたんだろう。

 

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