闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的58幸せの土台

とある世界、とあるところの場所にある対価を要求するかわりに相応の願いをかなえるお店がありました。

そのお店には魔女と記憶を無くした少女と眼鏡少年と『モコナ』と叫ぶ生き物と同じでないようで同じな女の子二人がいました。

魔女は眼鏡の少年にお酒を要求します。飲みたいからです。

眼鏡少年はいそいそと『お酒』と『つまみ』と『お茶』を運びます。

魔女の下僕だからです。

少女は魔女の隣でお茶を飲んでいます。そこにいる意味がわからないからです。

女の子二人は少女のそばにいます。そこにいるからです。

『モコナ』と叫ぶ生き物は心地良さそうに寝ています。少女の膝が生き物の指定席だからです。

毎日が過ぎ行く中でとある日魔女は記憶を無くした少女にいいました。

 

『ドッペルゲンガーって知っているかしら』

『?』

『怖いこと言わないでくださいよぅ!?急になんなんですかっ?』

 

眼鏡少年の叫びを魔女は無視しました。

魔女は少女に問いかけたのです。

少女は色のない瞳で魔女に問いかけます。

 

『もう一人の自分の事?』

『ええ、そうとれるかしら』

『違うの?』

『あたしが知っているのはとてもとても哀しい少女だけよ』

 

魔女は語ります。ある二人の少女の話を。

 

『その少女は自分がドッペルゲンガーであることを知らず少女に恋をする』

『少女はそのドッペルゲンガーが別人だと思う。そして知らないうちに受け入れてしまう

蝕まれていくのもしらずに』

『でもドッペルゲンガーはとても純粋に少女に恋をした 愛した 自分の存在が少女を死に追いやる行為だとしても』

『少女は途中から恐怖を感じるの。逃れられないほどの深く冷たい愛を恐れて』

『そして少女は闇に堕ちる。歪んだ愛に満ちるドッペルゲンガーの手によって』

『このお話はね 自分のドッペルゲンガーに愛された可哀相で愚かな少女のお話よ』

 

と。

少女は首をかしげながら、でも少しだけその少女を哀れみました。

だって少女が少女をやめない限り忘れないかぎりドッペルゲンガーは消えることはない。

だって少女は少女を愛したドッペルゲンガーなんだから。

それは記憶を無くした少女があの最初に感じた切なくなりそうな感情を抱いた時と同じ

気持ちになった瞬間だった。

 

(誰物語)

 

天姫?side 

 

窓には可愛らしい小鳥。まるで開けてほしいかのように口ばしで窓を

こつんこつんと叩く。小動物は嫌いじゃないわ。

シロもまぁ、生意気ではあるけど天姫を大事に思う同士みたいなものだし。

彼は珍しくワタシのすることに反論もしなかった。でも、どこかに消えてしまった。薄情な奴ね。さて、さして入れても問題はない。

天姫は扉を開いて招いた。

 

「おいで」

 

手を差し出せば、ぱたぱたと可愛らしく寄って来た。

そしてワタシの手におさまった。黄色いふわふわの毛。

 

「………君は何処から来たのかしら?」

「ピヨ」

「ひよこみたい。名前は?」

「ピヨッ!」

「ひばーど?変な名前ね」

「ピヨッ!?」

「ああ、ごめんね?君を馬鹿にする気はないのよ。それにしても……君は度胸があるわね?ワタシに近づくなんて」

 

普通の動物だったら、本能で危険を察知しすたこらと逃げ去っていくのに。

 

「君は逃げないのね。根性あるわ」

「ピ」

「……ワタシに会いにきた?何かしら」

 

だいたい、ワタシではなく天姫の方だろう。ひばーどは急に歌いだした。

 

「緑たなびく並森のー大なく小なく並がいいー♪」

 

大きくパカリと口を開き、なんとも和むような歌を歌う。

 

「フフっ」

 

癒されるってこういう事をいうのかしら?

ワタシは少しだけ、普通の少女のように一緒にひばーどと、歌を歌った。

ワタシに可愛いプレゼントをくれたお礼に天姫がしていたチョーカーを手に取り、宝石を外した。

手袋をとり、左手の指先にほんの少しだけ傷をつける。ぷっくりとあふれ出す血。

指を伝い血は宝石へと零れ落ちた。

瞬間、宝石は赤い光を放ち輝いた。

それをパキンと二つに割り、一つはひばーど用にと首に丈夫な紐で結び首にかけた。

そして、もうひとつのかけらを鎖に繋ぎヒバードの首にかけた。

 

「これは君のと、君のご主人様にでもあげなさいな?」

 

ひばーどにはご主人様がいるらしい。

ついでだし。ご主人様と対であるほうがひばーども嬉しいでしょう。

 

「ピヨ?」

「さっきのはなんだって?おまじない、ちょっとしたものだけど、君を災難から守ってくれるわ」

「ピ」

「お礼をいうのはワタシの方。楽しませてもらったわ」

 

ひばーどは帰っていった。

さて、そろっとあの子たちが来る時間帯ね?

ディーノ&スクアーロside

 

天姫に助けられたスクアーロは、天姫の強制入院により退屈な時間を強いられていた。そこへ、意外な人物が見舞いに訪れる。

 

「よう、スクアーロ」

「てめっ?!跳ね馬!?」

「なんだよ、そんな驚いた顔して。一応同級生だっただろう」

「はぁ゙ん゙?お前が何も考えなしに行動するわけねぇだろ゙ぉ゙ーがぁ!」

「まぁな、一応にお前に文句言いにきた」

 

部下はロマーリオだけといういつもの跳ね馬らしくない行動にスクアーロは確かな違和感を感じ取った。

 

「…どうせ、天姫絡みなんだろう」

「ああ。お前、俺の大事な天姫泣かしやがったな」

「はぁあ!?あいつがおせっかい働いたからじゃねぇかぁ」

「おせっかいだ?お前、もう一回言ってみろ。今度はその口喋れないようにしてやる」

 

鞭を片手に凄みを利かせた顔で脅してくるディーノ。親馬鹿ならぬ兄馬鹿だ。

分かりやすい奴に、ため息すら出なくなる。

さっさと追い出す気でスクアーロは問いかけた。

 

「…お前、なにしにきたぁ」

「天姫から事情は粗方聞いた。天姫の『本当』の事をな」

「アイツ、お前に喋ったのか」

「ああ、ボンゴレで知っているのは俺とロマーリオだけだ」

「お前、あいつが何考えてるかわかるかぁ゙?」

「いきなりなんだ」

「あいつが、俺をがむしゃらに助けたと思っただろ。だが、天姫の目は普通の正義感から助けたわけじゃねぇ」

「お前、偽善だと言いたいのか?」

 

ディーノの目つきががらりと変わった。

鋭いものへと。

だがスクアーロにはどこ吹く風のようだ。

 

「それなら、まだいいさ。そんな生ぬるいもんじゃね゙ぇ゙。アレは生に執着する目さ。死を恐れ、生にすがりつく、そんな目だ。」

「信じられねぇか?まぁ、溺愛したいた跳ね馬にはわからねぇだろうが、俺は幾つもに死を見てきた。だが、あそこまで『狂気』を感じたことがねぇ。アレは『生に対する狂気』だ」

 

 

『誰が、いつ、どこで、何時何分何秒お前に死ねって言った!?』

『……許、さない………死ぬなんて』

『……だったらそんなもんぶっ壊してやるそんなもので死ぬ時を決めるってんなら私が言ってやる!『私が死んでいい』って言う時があんたの死ぬときだ!

それまでは許さない!たとえ反抗しようが絶対に逆らえないようにしてやる、

抗えないようにしてやる。私が!いる、私が『今』生きてるこの『世界』で、絶対、誰も、死なせない!神が殺すって言っているなら私が神を殺してやる!あんたは『今』、生きるんだ!』

 

あの叫びは確実に天姫の心情を現すものだった。

仲間をおもいやる姿が天姫の美徳かと、勘違いするほど。

それは違った。天姫はただの仲間想いなどと、言葉で表現できないほどまったく違う想いからあの行動をとったのだ。

『死』と生きる者なら逃げられることがない終点。

天姫はソレを恐れる。いつもの気持ちを理性を無くしてまでも取り乱すほどに。

ディーノは言いようのない不安を感じた。

そして、それはスクアーロも同じこと。

 

「ディーノ。……天姫とすぐ連絡をとれ。アイツは脆い、放っておけば取り返しがつかなくなるぜぇ?」

「……っ!くそっ!」

 

すぐに病室を走り出た。

 

その後、天姫たちが滞在しているという場所へ行ってみた。

天姫が所持していた携帯の番号、前に

再会したときは、繋がっているから大丈夫だよ、本人の口は言っていた。

無論、ディーノはちょくちょくとは言わなくとも、ロマーリオに注意されるくらいは掛けていた。

だが、その電話が一向に繋がらない。不在だという音声が流れるだけだ。

ならばと、直接会いにいくだけだと、ロマーリオを伴い向かった

だが、すでにそこはもぬけの殻だった天姫の姿どころかヴァリアーの連中さえ見当たらない。

天姫?side

 

全身を純白のドレスに包んだ少女が鏡の前で座っている。

大きく胸元の開いたドレスは、彼女のふくよかな身体を体現し引き締まった腰の後ろ部分で大きなリボンが施されている。

そのリボンが後ろへ優雅に流れ落ちていく。

腕まであるの白手袋をはめ、黒い髪を白い百合の華であしらったヴェールがまとめる。

 

「天姫ちゃん、ホントにここまでやることあるの?貴女の命が危ないのよ!?」

「なんで?終わらせる為だよ。これが一番」

「なんか、お姫らしくない。自分の命を賭ける闘いなんてさ」

「そお?まぁまぁ、ベルは思う存分闘えるからいいじゃない!はりきってやって」

「…………変だ…」

「マーモンまで……ほら、時間がくるよ」

「………わかったわ、でもすぐに危ないと思ったらワタシは行動するから」

「うん、ありがと!」

「一応、言ってあげる。ソレ似合ってる」

「お世辞でも嬉しいよ。ベル」

「……………」

「頑張って、マーモン」

 

ひらりと手を振り送り出す。マーモンは最後まで疑惑ありげな表情だった。

誰も居なくなった室内。ふと僅かな変化があった。

 

「ノックぐらいしたら?」

 

彼は音もなくそこにいた。最後は彼。氷の王子様。

 

「…………」

 

全然喋らないからヒヤヒヤしちゃうわ。

冗談だけど。でも、彼は冗談だなんて言葉で誤魔化せないわね。

鏡に映ったワタシを射殺すかのような鋭い視線。

可愛いわ。生意気そうで、でも静かな子のほうがワタシは好み。

だって、死んでいるのだから喋る必要もないじゃない。だからワタシは静かな子が好き。

 

「お前の目的はなんだ」

 

あの時と同じことを聞くのね ワタシの願いは最初から同じだわ

 

「もちろん、彼女の復活よ。『完全なる』、ね」

「…………それは天姫を消すということか」

「まさか、だって天姫は永久不滅だわ。消えることなんてない。天地がひっくり返ってもそんな事起きない。もちろん、世界が破滅しようが地球が吹っ飛ぼうが関係ないわ。ワタシがさせない。全力で阻止させるわ」

「ならば、なぜだ」

 

彼はそこで言ったん言葉を切った。

信じられないんでしょう、最後の最後でこれだからね。

 

「なぜ、キサマは、今、目の前にいる」

 

愚問ね。最初から決まっていたのよ、すべては。

ハッキリと言ってやった。

 

「『ワタシたち』の為よ」

 

己が顔を隠す、ヴェールをとった。

女になる為、化粧を施された顔。全てが完璧。

鏡の中でワタシは笑った。

ウサギのように真っ赤な目で美しく、純粋で、誰もが魅了される

『虚像の花嫁』として、彼女=神崎天姫はここにいる。

 

(鏡の幕開け)

 

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