闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的71矛盾に満ちた関係

沢田綱吉side

 

結局、彼女はこの世界に残ることになった。

理由ははっきりしない。それは彼女や彼女を取り巻く環境が積み重なって留まるという結果に至ったのだと思う。

そんな細かい理由など、今は別に知らなくてもいいと思う。

だっていろんな人が全てをさらけ出して生きていくなんて無理な話だから。

その人が抱えている問題を100%理解してあげるなんて神様じゃなきゃ無理だ。

あ!あのやけに主張激しい神男さんは別として。

 

妹の狗楽さんから教えてもらったのだけど、一旦元の世界に戻るということらしい。

色々とゴタゴタしているらしく、しばらくは来れないからねーちゃんよろしくと託された。

色々と問題は解決したわけじゃない。むしろ山積みだ。

でも、まぁ確実に消えるわけではないのでまず、一安心といったところか。

 

全てが終わった日、俺たちは天姫の歓迎会&誕生日会をする事にした。

場所はもちろん山本の家。

前々からするとみんなで決めていたことだ。やっとそれが今日できる。

実は、天姫には秘密にしていて内緒のサプライズパーティでもあった。

天姫はレオンが変形した目隠しによって視界を遮られており、片腕にリボーンを抱えてもう片方は俺と手を繋いでいる。

ちなみに俺が彼女を連れてくる係。そして、俺の肩にはシロ。

ゆらりゆらりとしっぽを揺らして楽しげだ。

そういえば、シロは消えたり現れたりと気紛れみたいだななんてふと、思った。

 

「ねぇ、えーと。沢田君?何処に行くの。さっきから目隠しって怖いんだけどさ」

「大丈夫だよ、俺の手をしっかりに握ってて」

 

こうやって繋ぐとああ、天姫がいるって安心しちゃうんだ。

それに、一応沢田君と呼んでいてくれているあたり、あの時よりは関係は良好だと思う。

実は、いつか前みたいに名前で呼んでくれるようになればいいと少し、…結構…期待していたりする。

 

「なんかな~」

「まぁ、駄目沢田君じゃ心配だろうが、俺がついてるぜ」

「リボーンは一言が余計なんだよっ!」

「正論だから何も言えない」

「少しはフォローとかしないの!?」

「しない!」

「言い切った!?」

 

道中、楽しい会話をしながら、目的の場所へ向かった。

 

カラカラ…と扉を開けて真っ暗闇な中へそっと天姫を誘導する。

当然、天姫は暗い視界のままだ。

 

「沢田君?」

「ほら、手離すよ…」

 

不安げな声をだす彼女。なんか可愛いなと頬が自然と緩んだ。

天姫に気がつかれないようにこっそりとリボーンから蹴りをくらったけどね。

俺は天姫の手を離し、リボーンも彼女の腕からすり抜ける。

 

天姫side

 

「沢田君?」

「ほら、手離すよ…」

 

視界はレオンで塞がれてるし、沢田君はさっさといなくなるし、リボーンは素早い動きで私の腕をすり抜ける。

 

うぅ、なんでこんな事になってんの?

朝起きたまでは普通だった。

結局行くあてのない私を奈々さんは温かく迎え言入れてくれた。

あからさまに嘘八百を並べて奈々さんに同情を誘わせて居候を快諾させるという、リボーンにしかできない悪行をやってのけた彼に感謝するべきか……。

本来はあんな別れ方して会う顔なんてなかった。

 

でも、奈々さんは笑顔一つで「良かったわ」って言った。

あの時泣いていたから心配してたのよ、でも今はどこは晴れ晴れした良い顔してるわって、茫然とする私をそっと抱き込んでくれた。

思わず涙腺が緩みかけたけどそこは根性で無理やり飲み込んだ。

 

嬉しい、また奈々さんの近くにいれることが。

また、この温かい家の中に迎え入れてもらえたことが。

 

すごく、嬉しかった。

それからあれよあれよという間に、私が#name1#だったときに使っていた部屋をそのまま私の部屋としてくれた。でもそれ以上に驚いたことがあった。

なんと!並盛学校へ通うこととなった。

中身は大人でも見た目は沢田君たちと同年代ととられたのがきっかけた。

私は通う気などまったくなかったけど、奈々さんの「学校はちゃんと行かなきゃダメ!」との一声で学校行決定。

沢田君たちには内緒で奈々さんと一緒にその手続きで学校へ行った。

もちろん一部を除いて、今現在彼らは知らない。

今までは外国へ行ってたという事にして編入と言う形だ。

年齢は沢田君と同じ14歳。

ホントはもっと年齢上ですが正直に告白したら混乱を招くだけだ。

『永遠の20歳』です!って言ったら、皆引くし。

なので、沢田君たちと同じニュー並森中学生。

クラスは…できれば同じクラスだといいな。実は人見知りするので。

 

ちなみに、恭弥にはすぐに情報が届いたようで手続きが完了した時点で呼び止められた。

これからはずっと一緒だねとかほざきやがった。

私は静かな学校生活、送りたいんだよ

と喉まででかかったが

奈々さんもよかったわね。ツッ君のライバルだわと恭弥に朗らかに言う。

あははうふふな会話が数十分私の両隣で行なわれた。

恭弥が用意したアップルパイを三人で食べた。

帰り奈々さんは玄関で待っていると先に行ってしまった。

恭弥からポンッと手渡されたのは小さな箱だった。

 

「何?このプレゼントみたいなの」

 

綺麗に包装されていて明らかにプレゼントものである。

怪訝そうに恭弥を見やれば案の定、思った通りの言葉を言われる。

 

「プレゼントだよ、君に」

「私に?なんでまた…」

 

祝うような日ではなかったはずだが、はて?と首を捻って唸る私に恭弥は言葉を曖昧に濁した。

 

「…さぁね」

 

早く開けてと視線で急かされているので私はその場で包装を取り中身を確認することに。

すると黒い箱の中に入っていたのは、高級そうなブレスレット。明らかにブランド物の類であるとわかる。

一瞬、頭の中でこれ幾らかなと値段を計算しかけた自分がいました。

 

「……もらって、いいの?」

「君が貰ってくれないなら捨ててよ」

「っ貰う貰うよ!?捨てないから!」

 

こんな高級なものを誰が捨てられますか。

恭弥はどことなく悪戯が成功したような子供のような表情を浮かべ背を向けた。

 

「じゃあ、またね」

「んっ!?」

 

去り際、唇にキスひとつ奪われました。

 

くそっ、なんというさりげない行動。隙一つなかった。

で、そのブレスレットは今身に着けております。袖の下に隠れてるから見えないけどね。

ああ、でも手探り状態というのは心もとない。あ、レオンがにゅるっと視界からいなくなった。

途端ぱぁあああん!!

パンパン!!と、眩しい光と沢山の激しいクラッカーの音が鳴り響く。

そして大勢の人の気配と

 

「「「「「「おめでとう!!天姫―――!」」」」」」」」

 

との拍手つきのお祝いの言葉。

 

「はい?」

 

銃撃戦でも始まったかと思った。

なんと、連れて来られた場所は武の家でもある山本寿司だった。

武のお父さんも見慣れた顔ぶりの中にあり、一緒に拍手をくれていた。

 

「今日をさ。天姫の誕生日会にしたんだ」

 

私の手を引いていた沢田君が側にいて、彼の顔はたくらみが成功した子供みたいだった。

そういえば、私の誕生日とか教えていなかった。

 

そっか、みんなで祝ってくれたのか。だから恭弥もプレゼントだなんてものをくれたんだと納得。みんなからも嬉しいことにプレゼントが手渡しで順番に私に渡される。

リボーンはこれまた瑪瑙で作られたバレッタ。

 

「お前の長い髪をまとめるに丁度いいと思ってな」

 

赤ん坊のクセしてセンス抜群じゃないですか。

これでどのくらいの女の人、虜にしてきたのか気になる。

隼人からはアンティークの懐中時計とそれを繋ぎとめるチェーンのセット。

 

「ちゃんと時間みて家帰れよ?メシも三食きっちりだ」

 

私は子供か?あんたは私のママか?武は可愛らしいのピンキーリング。

 

「次は本物な?」

 

次ってなんですか?次も存在するの?

笹川兄からはランニングセット一式。

 

「極限!お前は鍛え方がたらんから精神的に弱いのだ。これで俺と共に熱い青春を送ろう!」

 

暑苦しいのは勘弁してください。

ザンザスからはなぜか、片方だけのピアス。

アメジストの宝石が大胆にあしらわれた一品。

そして、イタリア行きの飛行機のチケット。ほしかったらこっちまで来い、ってことだね。

骸はみんなと馴れ合いたくないので手紙とプレゼントだけ。

素敵なネックレス。

凪はかっちょいーサングラス。

 

「天姫はなんでも似合うから選ぶのに苦労したよ。でも喜んでくれて嬉しい」

 

凪曰く、少しでも男どもと視線をあわせないで済む方法を考えた結果、サングラスだったらしい。

嬉しいよ。プレゼント選びにその方法はどうかと思うけどね。

そして京子とハルからは猫耳カチューシャと魔女っ子一式セットをもらった。

どう、言えばいいのか。複雑だ。

 

「天姫ちゃんって、大人っぽいからなんか『女豹』って感じになっちゃうね?あ、そうだ!鞭も持ってみたら、カッコイイかも!」

「これで、気分ルンルンになります♪」

 

女豹で魔女っ子……、私のキャラってなんだろう…。

ふと、自分探しの旅に出たくなった。

ビアンキ姉からは特注ポイズンクッキングバースディケーキヴァージョン。

 

「グッジョブな出来だわ!」

 

見た目すごく豪華だがなぜか身の危険を感じた。

野生的な勘からよるものか?

フゥ太は私のランキング集をくれ、ランボはブドウの飴玉をくれた。

そしてイーピンは特大肉まんをプレゼントしてくれた。

皆で食べたけどメチャおいしいかったです。こうして祝ってもらう事なんて、ずっと狗楽とだけだったお誕生日会がこんなにもにぎやかで楽しいものなんだって教えてもらえた感じだ。嬉しい、心からそう、思った。

そして最後。沢田君からは沢山の赤いアネモネの花束を渡された。

沢田君は真っ直ぐに私を見て言う。

 

「アネモネの花言葉は『君を愛す』。天姫、俺は勝手に君を愛する。だから天姫は気にしなくていいよ。俺が側にいることが当たり前にさせてあげる……なんて恥ずかしい台詞だけどそれが日常にさせてあげるって意味で取ってほしい。あ、別に告白とかじゃないから!?…そういう意味じゃなくて、その……コホン!……ここにいるみんなが勝手に君を愛する。愛されちゃいけない人なんて誰一人いない。君だってその一人だ。それに皆が勝手に君を愛するんだ。ややこしいけどそうするって決まっているから。天姫はただ、気にしなければいい。あるがままの自分で堂々としてればいいんだ。そうすれば君の生き方は否定されないだろ?君は君が誰だろうとどんな人だろうとここに居る皆だって気にしない。皆誰でもない、#name1#だろうと#name1#天姫だろうと、君が、君だから必要としているんだ。だから、また日常に戻ろうよ、一緒に、人生楽しもうよ!」

「……沢田君……みんな……」

 

人からみれば変だといわれるかもしれない。

でも、私は……

 

「あらためまして、って言うのも変なんですが……神崎天姫です。皆!これから宜しくお願いしますっ!!」

「「「「「ようこそっ!天姫」」」」」

 

こんな変な私を受け入れてくれる人達。

矛盾、世の中には完璧な関係もあるかもしれない。

けど、私が選んだのは矛盾。そして彼等も選んでくれた。

私という矛盾を受け入れることを。

 

私は愛されることはできないと思っている。

彼らはそんな私を勝手に愛するという。

 

矛盾な私、矛盾な関係、だけどそれでも成り立つ時もある。

 

矛盾を抱えながらも私は前へ歩きます。

 

まだ、道はどこかに繋がっているはずだから。

 

天邪鬼編 完

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