闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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学校編
標的72桜の花びら


天姫side

 

桜みるシーズンはとうに過ぎています。が!それを可能にする男がいるのです。

公園の一番いい場所で目を奪われるほど見事な桜の花々を咲かせる木々の中。

そのど真ん中に堂々を赤い絨毯を敷き寛ぐ男。

その男を知らない人間にしてみれば、見目麗しい男性が優雅に酒を飲む、といった解釈か。

その白髪の長髪男。私たちに向かって気軽に

 

「よう!しっかり飲んでるかぁ?」

「てめぇはしっかり酔いどれになっとるじゃねぇか!」

ドカッ「ぐえっ!?」

 

持ってきた荷物を遠慮なく後頭部に落とした。

かなりの量の食べ物を持ってきて無理矢理詰め込んだので、すごく痛いはずだ。

案の定、神男は頭を抱えその場に蹲る。ぷるぷると肩を一定以上震わせた後、

 

「てめぇえ―――!天姫、何しやがる!?」

 

目に涙をためながら大声を上げた。ハッ!神様のくせして弱ぇ奴だ。

 

「人が苦労して運んできたっていうのにお前は一人で酒盛り始めやがって…。私だって飲みたいのに!」

「ただの八つ当たりかよ!?」

 

そうだよ、悪いかい。アンタばっかり楽しみやがって。

 

「天姫、未成年の飲酒は禁止」

 

後ろのほうで静かに静観していた主人公君、いつの間にか気配を感じさせずに私の背後に立っていた。

この私に気配を感じさせずに背後を取るなんて……

かなり油断できない……

沢田君、私の肩を握る手が力込めずぎではないですか?

笑顔で脅すのは卑怯ですよ。

 

「私は永遠の20歳です」

 

え?言い訳するなって?沢田君の笑顔が全てを物語る。

 

「永遠なんちゃらだろうが今は未成年でとおるの」

 

確かに、今の私は未成年だ。

でもムカついたんだもん!こいつ、人があ~桜見たかったなぁなんて

言ったら、じゃあ桜咲かしてやるとか急に季節に合わない桜咲かせて、

たまには気が利くじゃんと少し感心したら結局は自分が酒盛りしたかっただけで

私はついでだったということ。

こいつ、いっつも自分本意だから私達姉妹は振り回される羽目になるんだ。

 

「沢田君はあんな男になっちゃいけないよ」

 

君には純粋に真っすぐに育ってほしい。

 

「大丈夫だよ。俺よりも天姫の方が心配じゃない」

「は?なんでさ」

「鈍感なとことか、単に人に好かれちゃうとことさ。しかも無条件で?それはさすがにないか、漫画じゃあるまいし」

 

苦笑いして言ってくる。

サッパリ意味わからん。沢田君がヒヤヒヤする理由がどこにあるのさ?

仲良きことは美しいかなというではないか。

 

「やっぱり理解してない。……準備、始めるよ」

「あっ、沢田君?」

 

沢田君はさっさとビニールシートを広げはじめた。

先に場所取りとして早めに出てきた私たち。

仕事はスピーディに行なわなければならないが、謎を残したままでいかないでほしい。

私はモヤモヤしたままだ。

 

「おまえ、鈍感すぎてギネスに載るんじゃねぇか?」

 

ポツンと佇む私の隣に復活した神男がもらした一言。

 

「お前の言ってる意味がわからん」

 

なんで、ギネスとかって言葉が出てくるのさ。

 

「………やっぱ、お前、狙えるぜ?」

 

だから、なんのさ!?

その後、単体で先にゴーラちゃんが降りてきて、持てきれなかった荷物も持ってきれくれた。もちろん、飛んできてだけどね。

 

「じゃあ、乾杯!!」

「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

桜舞う中、飲むジュースは格別だね!!

みんなの手前酒を飲むわけにはいかないのでここはグッと堪えます。

結構な大人数でガヤガヤと花見を楽しむ。

ボンゴレ組、黒耀組、そして私、馬鹿神男。

恭弥には電話でもかけようとしたのだが、朝からリボーンとランボの喧嘩で壊されてしまった。

修理には後で出そうと思ったので、ゴーラちゃんに伝言を頼んだのだ。

よく考えたら、私はゴーラちゃんの言葉を理解できるが、恭弥はどうだろう?

ルッスーは後半らへんには理解できていたようだ。

 

ディーノたちは残念ながらお仕事が忙しいので欠席。

すこし残念だがデジカメで撮った写真を後で送ろう。

ビアンキ姉のポイズンクッキングは、みんなに衝撃を与えた。

だって、明らかに異臭を放ち毒々しい色でみんなを違う意味で虜にしている。

すごいです、私には到底真似できない領域ですわ。

京子とハルはなぜか、私に魔女の格好をさせコレ持ってみてと鞭を手渡された。

そして、みんなの前で披露?された。

 

「じゃーん、魔女っ子天姫ちゃんでーす」

「それと、ちょっと、大人な雰囲気も演出してみましたー!」

 

その時のどよめきといったら、凄まじい。一部始終はこれだ。

 

「ブフッ!?」(噴出す音&鼻血)

「んなっ!?」(赤面)

「………やっぱ、天姫のイメージは女王様だよな~」

 

(武、それは私を愚弄しているととっていいのかな?)

 

「……似合ってるぜ。天姫」

 

(リボーンには好評だった。嬉しくない)

 

「グッジョブね!」

 

(ビアンキ姉、そんなに私の格好はおかしいですか?泣きたいです)

 

パシャリッ!

「天姫!最高にいいですよ、もっと、違うポーズをとってくれませんか?」

 

ドカッ!バキッ!(カメラが壊される音)

 

「ああ!?」

「骸さま、変態すぎるからどっか逝って?天姫、ちょっと胸元開けすぎスカート短すぎ。でも足細い腰元くびれてる、モデルみたい…」

 

(相変わらずの凪と骸)

 

「……天姫、猫耳つけたら女豹になる……野生的な感じ」

「昔から、そんなとこあったら。今も野生的ってことか?柿ピー」

 

(犬と千種も相変わらず。遠慮がねぇ)

 

まぁ子供たちには面白がられて気に入られた。もう勘弁してください。

 

「お前、魔女っ子って設定な訳?」

 

笑いを堪えながら嫌味をいってくる神男に蹴りをいれ沈黙させた。

延々と見世物にされた一時間後、ようやく解放された。

花見は楽しいものだった。

リボーンは一人私の膝を独占しまくりヤキモキしていたランボを泣かしたり

沢田君と隼人の一芸?とか武の持ってきた寿司とビアンキ姉が

対抗意識を燃やしたりとかフゥ太のみんなの好感度ランキングしたりとか

イーピンが巨大肉まんを御馳走してくれたりまぁ、どんちゃん騒ぎだ。そんな騒ぎの中、

 

「ランボ?」

「が・ま・ん…」

 

ランボが泣きそげに私の袖を握った。どうやらトイレに行きたいらしい。

私は泣きべそランボをすぐに抱え上げ

 

「ちょっと、ランボトイレに連れてくね!」

「ん、ああ?」

 

隣にいた武に、一言伝えて私はランボを抱え、駆けた。

なんとかギリギリセーフで間に合った私はランボをトイレに行かせ外で待つ。

しかし、見事な桜だ。

何処まで続くのかという感じだ。花々に吸い込まれそうな感覚に陥る。

神男が公園に咲かせたというこの空間。実は私たち以外の人は存在しない。

そのためだけに作り上げられた世界。

文字通り、ここは私たちの貸切状態なのだ。

神様ってのは力を無駄なことに利用するのかと思ったが、たまにはこんな日もあってもいいかもしれないな。

風が私の髪を踊らせる。ふんわりと春のにおいを漂わせながら。

 

「天姫ー」

「終わった?ランボ」

 

後ろから足元にへばりついてくる牛柄の子供。

私はランボの前でしゃがみこみ、目線を合わせた。

 

「ちゃんとおてて綺麗にした?」

「ランボさんはエライからきれいにしたもんね!」

「偉い、偉い!」

 

ガハハハと笑うランボ。

なんだか昔の狗楽をみているようで懐かしく温かい気持ちになった。

私はランボの頭をなでなでしながら、じゃあいくかと抱き上げようとした。

すると、ランボはなんだかごそごそとしだした。

 

「あのねーうんとねーランボさんは、天姫にだけ特別にみせてあげるのー」

「ん?何を」

 

頭の中を一生懸命探す姿は可愛いが、なぜにそんなにものが溢れていられるのかが不思議だ。

 

「あ!あった」

 

ランボがようやく見つけたのは10年バズーカだった。

 

「これって、ランボのボスがくれたのだっけ?」

「ガハハハ、ホントは他のひとにみせちゃいけないけど、天姫はランボさんのお嫁さんになるからいいのだ」

「…それは、ありがとう。しかし、こうやって本物みるの初めて」

 

見た目ずっしりだけど重さってないのかしら?ランボは軽々持ってるし…

そんな私の疑問を知ってか知らずか、ランボはその10年バズーカの凄さを語る。

自分の方に銃口を向けるもんだから誤爆させないか心配。

 

「ランボ、気をつけないと…」

 

とか言ってる間にバランスを崩したランボはバズーカの直撃をモロに喰らう。

BON!!

案の定、ランボは弾をくらいもくもくと煙に包まれた。

そして煙が晴れた頃、姿を現したのは……

 

「…やれやれ、また10年前に来てしまったのか」

 

格好良く成長したランボだった。

 

「うわー、生10年ランボだー。…」

「…貴女は……」

 

私の存在に気がついた彼は私の顔をみて固まる。あれ?

 

「ランボだよね?私の事わかる?」

 

未来の私ってそんなに今と分からないほどなのかな。

姿かたちが変わるほど?やだな、太ってたら。

だが、ランボがいった言葉はそんな私の考えを凍りつかせるものだった。

 

「こんな美しい女性に会ったのは初めてです。お名前をうかがってもよろしいですか?」

「…え」

 

さりげなく私の手をとった彼は手の甲に挨拶のキスを落とす。そして

 

「俺の名はランボといいます。過去でこのような素敵な女性に会えるなんて、僕は運がいい」

 

思考が追いつかない。

 

「ちょっと、まって。ホントに私のこと知らないの?神崎天姫!天姫だよ!?」

 

「天姫というのですか。いえ、貴女とは今日が初対面なはずです。僕が貴女みたいな女性を忘れるはずがない」

 

鈍器で頭を殴られたかのような感覚が襲う。

べらべらと喋り続ける彼を目の前に現実という刃が私を傷つける。

10年後の世界に、『私』は存在していないという事実が。

茫然とする間に時間は経ち、大人ランボは消え、子供のランボが姿を現す。

 

「あ、天姫だー」

 

だっこ、だっことねだってくるランボをゆっくりと抱き上げた。

すると、遅い私たちを心配したのか、武の姿が。

 

「天姫、なんか問題でも起こったのかとおもったぜ?……どうかしたのか?顔色が悪い…」

「…なんでもない、心配かけてごめん」

「……なんかあったのか…」

 

私の様子から何かを察した彼。やはり鋭い。

だが、この事実を伝えるわけにはいかない。余計に不安を与えるだけだ。

私は笑顔で取り繕い

 

「なんでもないよ。行こう?」

「あっ、天姫!?」

 

迎えに来てくれた武を置いていくみたいな形で駆け足でみんなのところに戻った。

少し、遅れて納得がいかない顔の武。

少し、武とはギクシャクしてしまったがみんなはわかっていないようなので安心した。

だが、ここのもう一人、敏感な人間がいることを私はその時忘れていた。

小さなヒットマンの事を。

 

 

お花見は、恭弥が介入したことによって中断されてしまった。

なんせ、彼は群れることを嫌う人。

乱闘騒ぎな発展してしまう前に恭弥を引っ張って、その場から離れた。

そしてこの空間の中、公園として形をとった場所とは違う場所に私たちはいる。

神男が作り出したという一種の小さな空間でそこは私たちの貸切状態だ。

夜の中、ぽっかりとお空には真ん丸なお月様が浮かんでおり、湖にその姿が映るほどだ。

桜の木々が満開の桜を咲かせる中、ゆらゆらと船が揺れ、静かに桜の花びらが舞い落ちて池の水に小さな波紋を起こす。船で夜桜というのも乙なものである

 

「恭弥は船酔いとかしないタイプ?」

「全然しないよ」

 

ふたりっきり、いや、二人とロボと猫一匹小船で漂う中、恭弥は私の膝でのんびりと横になり私は恭弥の枕がわりで、ゴーラちゃんは私の隣で大人しくしている。

そしてシロは恭弥のおなかの上で丸くなっている。

 

まぁ、その小船といっていいのかわからないが、立派なつくりだ。

豪華絢爛といったほうがいいか?

誰も私たち以外いないはずなのに船の舵はちゃんととられゆっくりと進む。

料理などもお膳で出されており、細かいところまで気を配られている。

何処からか笛の音が鳴り響き情緒漂う雰囲気を作り出す。

そして、私たちの格好も着物へチェンジ。

というか、恭弥は現代でも通用するスタイルだが、私は平安時代のお姫様っぽく

十二単のような格好。

かといって凄く重たいわけではない。

恭弥の指が私の髪で遊ぶ。反対に私の手は彼の髪を撫でる。

真っ黒空に丸い月。そして風に舞う桜の花。

 

「ねぇ、天姫」

「ん?」

「君は、此処に存在してるよね」

 

確かに、まだ私はここにいる。この世界に留まる決心はしたのだ。

だが、不安と言う形だけはどうしても消し去れない。

 

「………いるよ……」

 

嘘ではない。だが、確実なものでもない。

 

「僕から二度と離れないで」

 

彼の切なげな声が静かな空間に響く。

恭弥の髪を触っていた手をとられ

彼の柔らかい唇が手に当てられる。

何度も、何度も。彼の必死さを伝えるがごとく。

 

「そうだ、ね。私も離れたくない…今のとこ」

「今のとこ?」

「うん」

「素直じゃないね」

「うん、私。素直じゃないから」

 

この世界から。

私という人間を認めてくれたこの世界をこの世界の家族を愛しいと想う。

たとえ、どんな理由があろうとも、今の私はこの世界にいたい。そう切に願う。

しばし、現実世界から切り離された空間で私たちはお互いの不安を必死に埋めるかのごとく共に過ごした。

 




指輪編~継承編までの設定

神崎天姫
15歳(本来20歳)
銀髪から黒髪に変わり年齢も上がり自分の名前と記憶を取り戻した。自分の大切な者を傷つけられようものなら地獄に堕ちた方がましだと思えるほどの制裁を躊躇いなく与える女王のような面も持ち合わせる。

シロ
いつもヒロインにくっついている白毛の子猫。
大虎に変化することが可能なミラクルな猫。愛情表現で人を襲うことがあるチャーミングな式神。

ゴーラ・モスカ
新たなヒロインのペット2にして最強な殺戮人形。
ヒロイン命であり彼女に危機が迫るととにかく抱えて逃げるという習性がある。主に家事・炊事・洗濯が得意。ヒロインはちゃん付けして呼んでいるが、性別男の子。ちなみにゴーラの動力源は、ヒロインの死ぬ気の炎。

夕闇の女王
15歳
もう一人の自分。ヒロインに執着し彼女の存在だけが夕闇の女王にとって救いであり絶対的な正義である。人を殺すことになんの躊躇いも感じない冷酷な少女。
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